第2章7話 『繭蛇』
ゼロの書Ⅵ
大昔、まだ神が伝説ではなく存在していた時代に人々は今後人類の敵となるであろうやつが小さく無害なうちに蛇の中に閉じ込めた。
何故殺さなかったかと言うと厳密には殺すことが出来なかった。やつもまた神によって作られたものであったからだ。
まだ神が存在していた時代において神のものは地上に神がいる限り人には無害である代わりに人には殺されないという加護があったからだ。故に人々は今後いつ神がいなくなるかわからないため蛇の中に閉じ込めたのだった。
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巨大で鱗が硬く周りから魔力を奪う黒蛇。でも、無力化出来たのなら話は別だ。厄介だった鱗と魔力吸収が一時的ではあるものの無くなっているのであれば剣での攻撃が可能だからだ。
……さぁ俺の出番ですかね!!見せてやるよ本当の聖剣ってのを!!
「我が祈りに応えよ!聖剣よ双剣となり我が力になれ!!」
そう唱えると聖剣に変化が起こった。聖剣を小さな光がいくつも集まり聖剣は長めの双剣へと姿を変えたのだった。
初めは何が起こってるのか分からなかったがどうやらこの聖剣は俺が願えば形を自由自在にすることができるらしい。
そして俺は双剣を構えてさらにバフをかけた。
「スキル!特攻二段づき!」
とりあえず職業特有のスキルをかけ、さらに重力無効バフをかけてより速く剣を振るえようにした。
さぁ、刻んでやるよ!!黒蛇覚悟っ!!
俺は一気に黒蛇との距離を縮めていき、もう少しで着くところで王都の兵士たちも剣をもって駆けつけてきた。
……よしよしよし!行け行け行け!今しか剣での攻撃が出来ないからみんな頑張れ!!
黒蛇が俺らに気づいて襲いかかろうとしたが今回はこっちの方が1枚上手だった。
「させません!クロス・チェーン・ダークネスッ!!」
黒蛇の行動に気がついたユメが神器を解放したからだ。
………ナイスタイミング!!黒蛇が動いてたら危なかった。ユメまじで神……いや天使だわ。
漆黒の鎖によって体の自由を奪われた黒蛇はひたすら威嚇し鎖を壊そうともがいていた。
動けない黒蛇の周りを沢山の兵士が武器を使って攻撃していた。俺はというと双剣で皮と肉を剥ぐようにして振り回していた。
黒蛇の周りの地面が真っ赤に染まり黒蛇の体には沢山の傷が刻まれていた。もうかなりの血を出しているのに未だに対抗して鎖を壊そうとする黒蛇は流石は3大魔獣といったところだった。
俺がトドメをさしてやる。もうこれ以上傷つくのも可哀想だから一瞬で楽にしてあげよう。
黒蛇は何も悪くは無い。むしろ悪いのはそのように生きるように作った神の方だ。黒蛇は悪く無いがその能力が人類の敵である以上は殺すしかない。
俺は黒蛇の顔の前に立つと黒蛇は口を開けて威嚇してきたが俺は気にしない。
「貴様は長い時間永遠と周りの魔力を奪い続けた。でも、貴様の腹は満たされないようになっているが故に永遠と食べ続けた可哀想な魔獣よ、今日この時をもって貴様の人生に終止符を打つ!」
「我が祈りに応え、我が力となれ!……安らかに眠れこれこそが我が究極の神器ダブルカリバー!!」
俺の双剣によって体中を切りつけられた黒蛇は瀕死の状態だった。体は痙攣を起こしその目からはまだ死なんという強い意思が伝わってきた。
そして、そのその目が閉じようとした時それは起こった。
黒蛇が突如体を起こして鎖を壊すと体中を口から出した糸で覆い体を丸めて繭のようになったのだった。
…………嘘だろ。そんなのありかよ!!
こうして黒蛇とは決着がつかなかったのだった。




