第2章2話 『死者復活型作戦』
少年の記憶
俺には思い出せない過去の記憶がある。
気づいたら俺は知らない街の知らない場所にいた。.....これは記憶喪失だろうか。名前は分かる、言葉も話せる。
なのに、なのに過去の記憶はとても楽しかったとしか思い出せない。
……………………俺は誰だ?
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少女1人が使うにはあまりに大きな部屋だった。でも、その少女はまありその部屋を気に入ってはいなかった。
「私はカナリアと言います。今はお父様が連れ去られてしまい、この国の政治は私がやっています。」
幼女の俺より少し年上の少女……いや王女カナリアがいまの政治を動かしていると知って、率直にすごいと思った。
「実はいま我が国は2つに分裂しています。また魔王軍を倒そうと考える人たちと新しい魔王軍には逆らわずに忠誠を誓おうとする人たちに分かれています。」
マジかー。俺らの住んでるところ遠いかったから知らなかった。
「前回の魔王軍との戦いで物価は上がり、都民の不満は爆発寸前でした。なのにまた新しい魔王軍のと戦いが始まったかとなると忠誠を誓いたくなる都民の気持ちも分かります。」
カナリアは少し俯いて喋っていたが、顔を上げたカナリアの表情は決意に満ち溢れていた。
「.....ですが、私は都民のためにこの旗は例え私1人になっても振るうつもりです!.....それでなのですがくうさんに頼みがあるのです。」
カナリアの頼みは要するにもうすぐ2つの勢力が激突するそうだ。その激突にカナリアも参加し、自ら魔王軍に忠誠を誓おうとする勢力を抑えるので俺らにも手伝って欲しいとのことだった。
「それでですね。敵だとは言え相手は私の大事な都民です。なので峰打ちで殺さないようにしてください。」
「………あと、次の戦いでは1つでも戦い方の可能性を広げたいので隠していることを全て教えてください。」
「いや、隠してることなんてなにもな…」
言おうとしたところでカナリアがクスッと笑い
「嘘はつかなくて結構ですよ。その腰の剣は聖剣で神から与えられた神器なのでしょう?」
……バレてた。俺は仕方なく全てを正直に話した。
ゼロ以外はみな神器持ちであること。
俺らはこの世界の者ではないこと。
……俺が幼女になってしまったことなどなど。
………泣いていいかな。早速王女に俺が幼女だって話さなければいけないという地獄。
…………………もう泣きたい。
カナリアは全てを聞いて納得したかのように頷くと、部屋の外で待たせていた集たちを部屋に呼んだ。そしていままで話したことを伝えるとカナリアが話をし始めた。
「では、これから作戦会議をします。ここで決めた作戦をあとで部下に伝えます。…では、各自意見があればどうぞ。」
まず最初に集が手を上げて意見を出した。
「ゼロちゃんが火の禁呪で火の海にするのはどう?」
「いいですね。私は賛成です。」
……………うん。ゼロと集、話聞いてねぇな。誰が殺せって言った。火の海とかみんな死ぬわ。
「殺すな。峰打ち。峰打ち。」
「だめぇー?……じゃあさ!氷の禁呪で敵をみんな氷に閉じ込めるのは?」
………それ下手したら死ぬやつな。まず禁呪から離れろ。
「また、くうの顔がダメだって顔してるー。」
「当たり前だわっ!禁呪から離れろや。なんで集はそう死ぬやつしか打とうとしないのさ。」
「では、こんなのはどうでしょう?くう様。……禁呪で敵をみんな氷の中に閉じ込めて捕獲。もし死んでしまった人がいればあっつーの神器で復活させるっていうのは?」
「集、賛成ー!ゼロちゃんは?」
「私は別に構いませんが。」
「じゃあ、カナリアちゃん全員一致でこの作戦に決まり!!」
……っておいっ!おれは賛成してねぇーぞ!
「そうですか。ならそれでいきましょう!」
…………………まじでそれでいくの?
………………………嘘だろぉぉぉお!?




