第2章1話 『王都と王女と私』
ゼロの書Ⅲ
私は人間に裏切られ、死ぬ間際7人に別れた。
火、水、自然、土、闇、光、無を司る7人に。
7人はみな水晶に封印され、神殿の奥深くに誰にも気づかれないように納められた。
でも、人間たちは知らない。
私よりも凶悪な存在がいることに。
だから、私はいずれ復活を果たし奴を狩る。
それが生前にやり残したことだから。
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「……………………………」
「………………………………………」
ギルド内には沈黙が続いていた。
「…………あのー。そろそろ決めてください。」
「嫌です!嫌です!絶対お断りします!」
なにがあったかと言うと俺らは魔王軍幹部を倒したことを讃えられて褒美があると言われ、あの新魔王軍誕生にたまたま居合わせていなかった王女に王都に招待されていた。
.....そこまでは、いいのだが.....
王女様の手紙にはこう書いてあった。
.......我らの騎士団と闘ってほしいと。
.......無理!無理!死ぬわボケ。
「うむ。より強くなれるなら行こう。マスター。」
.......そりゃあ、ゼロは強いから平気だろうね!俺ら即死だわ。
「いいですね私も賛成です。」
「私もさんせー!行こうくう!」
...........お前らみんな馬鹿なの?
「俺は行かないぞ。」
「どうしてですか。マスター。」
ゼロが目をうるうるさせてきた。
そんな顔してもその手には乗らないぞ。
.......そんな顔しても.....
.....そんな顔しても...
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「うおー!王都広っ!?すごいねくうー!」
…………結構行くことになってしまった。王都は俺らの町から離れているのでテレポートで行った。
結構、新魔王軍が誕生した原因の王様は未だに魔王軍に捕まっていて、いまは王都の政権は若い王女が行っているらしい。
王都の城は王都の入り口から入って目と鼻の先にあった。
…………でけぇ。これは凄いわ。
城の入り口はとてつもなく大きな壁で厳重に守られていた。俺たちは服装を整えてから門番に手紙を見して許可をもらって中に入った。
城の中にはたくさんのメイドが出迎えてくれた。
………………うぉぉ!?まじでメイド服だ!!異世界でメイド服に出会えるなんて広めたやつ神だろ。
俺が頭の中で馬鹿なことを考えながら城の王女のいる部屋に招待された。
「こちらが、王女様の部屋になります。王女様曰くまずくう様と2人でお話がしたいとのことです。」
.....何故俺だけ?まぁいっか。
俺が1人で部屋に入るとそこには!.....何にも無かった。
「物置部屋なんですけど。」
「あっ。すみません。王女様の部屋は下でした。」
.....おい。ふざけるなくそメイド!!可愛い顔しても許さないからなっ!
そうして、迷宮のような城を進み本当の部屋に案内された。
そして次こそ本当の王女様の部屋に入ると中には女の子らしい部屋が目に飛び込んできた。
流石は女の子の部屋だな。いい匂いがする。
「貴方がくうさんですか?」
「はい。そうです王女様。」
「王女様はやめてくださいくうさん。私のことはカナリアと呼んでくれて構いません。」
金髪で金色の目をした俺より年上の少女の王女はカナリアと名乗ったのだった。




