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三種の神器?

作者: 西澤 瑠梨

ブレスレット





いよいよ今日はバレンタインデー。

昨日ちょっとだけ張り切って手作りしてみたチョコは上手く出来た、と思うけど悠くんは喜んでくれるのか、と不安になる。

性格的に、えー手作りなの?やった!とか言ってくれるかな、と思いながらラッピングをする。

服の再確認を済ませると既に家を出なければいけない時間になっていた。



「遅刻する…!!」



慌ててバックを掴み靴を履いて玄関を出る。天気は生憎の曇り。でもいつもより空気が冷たく、これならホワイトバレンタインが期待できるかもしれない。

待ち合わせ場所に着くと珍しく悠くんの姿がない。



「もしかしてまだ来てない…?」



そう呟いた時後ろからそっと目隠しをされる。



「だーれだ」

「悠くんですね」

「バレた?」



バレバレ過ぎるけどちょっと照れて笑う悠くん。カッコイイ。彼が私の彼氏だなんて未だに信じられない。



「プレゼントあるんだ」



そういって何故か悠くんからプレゼント貰った。



「今日バレンタインですよね?私が渡す方じゃないですか」

「本当のバレンタインは男から渡すんだよ。俺がゆかちゃんに渡したかっただけ」

「…ありがとうございます..」

「…どうかした?」

「なんでもない、です」



迂闊にも照れてしまう。外国のバレンタインには男性から女性へ贈り物をする習慣があるとは聞いたことがあるけれどここは日本。まさか自分がプレゼントを貰えるなんて思ってもいなかった。



「あの、これ。今日バレンタインなので。よかったら、どうぞ」



悠くんの顔なんて見れなくて俯いたままチョコを差し出す。



「ありがとう、ゆかちゃん。…もしかして手作り?…うそ、俺手作り初めてなんだけど」



頷き一瞬焦った。もしかして重かった…と思ったのもつかの間、顔を上げるとそこには耳まで真っ赤にした照れた悠くんがいる。



「えっと…」

「ごめん、めちゃくちゃ嬉しい。」



そう言って想像通りの笑顔でフワッと笑った。その笑顔で私も照れてしまう。

2人でひとしきり照れて笑顔になった。



「行こっか」

「はい」



自然と繋がれるようになった手。まだ敬語は抜けないけど距離が縮まった証だと思う。



「今日は俺が行き先決めてもいい?」

「いいですよ」

「アクセどうかなって思うんだけどそういうの好き?」

「最近欲しいなって思ってたので丁度いいです」

「よかった。実は気になってたお店があるんだ」



そう言って悠くんはとあるお店へ連れていってくれた。



「ここなんだけど」

「綺麗なお店ですね」



思っていたより敷居の高いお店じゃなくて安心した。心の中で有名ブランドとかだったらどうしようかと思っていた。小洒落た雑貨屋さんのような柔らかい雰囲気。



「これ、ゆかちゃんに似合うと思う」



そう言って見せて貰ったのは星と小さなハートがモチーフになった細い金鎖のブレスレットだった。派手すぎず地味すぎず、普段使いからどこでも使えるようなものだった。



「かわいい…」

「でしょー。絶対似合うと思うんだ」



私は違うものも見ていた。ブレスレットにも沢山の種類があるし、値段もピンからキリまで。他にもネックレスから指輪、アンクレットやピアス、イヤリング、なんでもあった。



そうして私が他の物に目を奪われている間に悠くんは店員さんと話し込んでしまっていた。

そんな悠くんを見ていると目が合う。名前を呼ばれた。



「ゆかちゃん、ちょっと来て」



さっきのブレスレットを再度付けられる。



「おっけーです」



よくわからないけどよかったらしい。夕方くんは店員さんと話しながら離れていく。少し不思議に思ったけれど、他の店員さんがパンフレットを見せてくれて今度はそっちに釘付けになる。



「ゆかちゃん、そろそろ出ようか」



いつの間にかそんなに時間が経っていたらしい。店員さんにお礼を言ってお店を出る。結局パンフレットは頂いてしまった。外に出たらそっと手を繋がれ、歩き始めた。



「ジュエリー好きなの?」

「今まで意識したことはなかったんですけど…。綺麗ですよね。好き、とはまたちがうかもしれませんけど、見るのは楽しいです」

「あのブレスレットさ、実は同じデザインでネックレスと指輪もあるんだ」

「えっ…そうなんですか?気づきませんでした。あれ、ほんと可愛かったなぁ…」



自分で買えばよかったかと少し惜しい気持ちになる。すると突然悠くんが立ち止まった。



「そういうと思ってさ。はい、プレゼント」



さっきのお店の袋を差し出される。



「まさか…」

「開けてみてよ」



中にはあのブレスレットが入っていた。



「私が貰ってもいいんですか…?」

「ゆかちゃんに一番似合うと思ったから。ゆかちゃんが、じゃなくて、ゆかちゃんにあげたいんだ」

「うれしいです…!!ありがとうございます!…でも私…何もお返しが」

「俺、お礼は敬語はなしがいいなぁ?」

「え、あっ…うん。ありがとう。ほんとに嬉しい」

「それでよし!」



そう言って笑って頭を撫でてくれた。


また手を繋ぎ歩き始める。今度はお互い気兼ねなく話せる気がした。







最後の別れ際悠くんが一言。



「ネックレスとブレスレットと指輪。何かわかる?」




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