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最終項

「しかし…」


 畠はプラグを手にしていた。見事といっていいくらいに…家庭用の電化製品と同様のプラグが、その手には握られていた。


「鼻の穴にでも突っ込めというのでしょうか?」


 勢いでここへ来たものの、畠は無計画であったことに気付いて躊躇いを避けることが出来ずにいた……


「ええ、畠さん…」


 畠を制し、悟すように語り直す穏やかな水先案内人。


「それでいいのです、そのままで…」


「?何がですか?やはり鼻の穴が正解なのでしょうか??」


「いえいえ…」


 水先案内人、指でなぞって…


「ここ…」


「!」


 水先案内人がひと撫でしたのは、あろうことか頭頂部だった。


「えっ?」


 畠は自分の頭頂部へと左手を移し、ゆったりとその指でさすってみた……


「!!」


「ええ…やはりです」


 畠は、頭頂部、髪の毛の下に隠れていた、ひんやりと冷たく、硬質な肌触りをその指先に感覚していた。


「…まさか…」


「はい。そのまさかです。ちゃんと二穴がありますから、そこへ挿入してみてください…無論、あなたの使い慣れた、あのやり方でね……」


 畠は、おそるおそる、右手に持っていたプラグをその挿入部へと近づけていく…そして左指は、ふたつ並んだ、窪んだ線をもう確認していた……


gatyu……


「!!!」


・・・・・・


…めくるめく……

…ふらふらと回転する意識の巡回……

……!!!!!…

…ああ……


・・・・・・


 …深海を漂うのだった……

 …ただし…深海と違っているのは…まったく透明な大気の中を…泳いでいることだった……

 …イソギンチャクのようなものが…ぎっしりと閉ざしている……ぶよぶよとした…幾筋もの襞がジャングルのように密生して漂う視野……半透明の…タコのような生物がゆったり縦横無尽に伸び縮みしながら泳ぎ続けている……あれ?……

 …タコは畠……

 …そう…畠がタコなのだった……

 …畠が…器用に伸び縮みしながら泳いでいる……

 …ここが…涅槃のふうけいなのか……まるで…深海ではないか……

 …??……畠のつるつるした体躯に…なにかがぶつかって障害した……それは……かべなのか……畠は…なんどかなんどか衝突してみて……それがほんとうに…かべであることを知る……

 …透明な…それはドーム状の…透明な障壁だった……奥の方から…「畠さん…きこえますか~…そこを…そのかべをつきやぶってみてくださ~い…それがこの…入り口となっていますから~……」

 …?…何だ……まだ涅槃へと……到達していなかったのか……まるい体躯で…ぶつかってみるが……なかなかおもうように…それは割れてはくれなかった……

 …!!……

 …脳髄に電撃が!!……意識のおくのおく……なにやら…きおく…のようなものが……畠…小さな部屋……ベッドに腰掛ける畠……連れられて歩く情景……

 …!!!…まばゆい塵がチカチカと……無数に舞っているのか……銀河!……ここは銀河の…生まれて…きえていく場所?……

 …Doooooooonnn…!!……

 …Pa……PALYYYYYYYYYYNNNN…!!!!!!!!……

 …ああああああああああああああああああああああ……

 …砕け散ったドーム状のかべの奥側から……

 …液が…黄金の…まばゆい液が溢れくる……

 …じゅわわわわわわ…!!!…あああああああああああ……

 …タコのような畠のまるい体躯を……その黄金の液が……熔かしてしまうのである……みえる…みえる……涅槃の……情景が…!……!!!!!…


・・・・・・


 真っ白。ただ真っ白だけの視界だけが。

 白の…奥の奥の遥か遠い地平線よりも奥の遠い先…ちりちりと焼け焦げる…黒い…ミクロのすすがみえていた……


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ……」


「!!!!!」


「……」


 唖然…

 畠以外の皆……

 畠のまだみずみずしさの遺った肉体の最上部に…場違いのように繋げられたその頭部?のようなものはすでに干からびて……

 …かつてミイラ化した面影を僅かばかりに残してはいたが…それはひとつ吹いた風に流されて…もう完全に風化して消え去っていた……

 …プラグには…赤い血液が……たっぷりとのばされているのだった……


「さあ、皆さん…お立会い……見事に驚いていらっしゃるようで……」


 一同は眼を…最大限にまるく開いて、自意識は完全にその驚愕映像に吸い込まれてしまっていた……


「見事な推理でしたね、皆さん…畠さんに拍手を……とはいかないようですね、ははははははは……」


 水先案内人は、顔の高さまで右指を上げて、パチン、と鳴らした。


 …すうっ……


 消えている!

 水先案内人は、皆を残して、何処かへ消えてしまった……


 パチン!


「うああああああああああああああああああ……」


 残された4名が、頭を抱えながら、一様に地面に臥し、のたうちまわり……各人左右の耳から…もれなく血液や体液が勢いよく溢れ出した……


 ぶしゃっ!!! 


・・・・・・


 部屋。

 5台のベッドに寝かされた5人の人間が。

 ヘッドセットにつながっていた…


 謎の男がただひとり、立っている…

 そして皮肉な笑みを浮かべ、ふん、と鼻で一息…


 5体の人間たちは…すでに絶命していた……

はい。

いかがでしたでしょうか?

YUMEZ (ゆめぜっと)ミステリ第三弾でした。

今回は、一番ボクのやりたかったテーマに近い作品が、イメージ通りに創れました。

すなわち、後の勝負作のテイストにもっとも近い感じです。

こういった着想を今後続けなくちゃいけませんね…

満足の出来です。

登場人物やセリフは、筆が乗ってクセで書き過ぎましたが、今回に限ってはこれはこうするべきだと思います。それなりの力作となりましたから。


ところで、今回の後半は、内藤カイトさんに感想をいただいて、ひと味違ったモチベーションで書けた気がします。

チカラをくれてありがとうございました。

(随時コメント募集中!)

さて、次週は巨人伝説第三弾の予定。

ミステリ第四弾は、再来週ということで…

ノルマはやり遂げましょう!

それではサヨナラ×3

ゆめぜっと

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