プロローグ(笑)
この物語はフィクションであり実在する人物、団体とは関係ありません。
ありふれた日常これが素晴らしいことに気づいたのはいったいいつだろうか?
金はある。52歳で株に手を出して失敗した親戚の叔母さんを見て学んだ株の運用方法。
にわか知識だったがビギナーズラックが起こりそこからあれよあれよと億万長者。
もう一度同じことをやったら100%借金地獄であろう。
25歳の時に株に手を出していなかったらどのような人生だったであろうか?
平凡な会社員にも慣れず……ここまでは思い浮かぶがそこからは無理だ。
やりたい事はやった。平日に家でゴロゴロ。布団から出ずに、電気もカーテンもつけずに
世の中にこれほどの贅沢があるのかと思うほどダラダラダラダラ。
美味しい物も沢山食べた。一食5万円する料理を食べて見たり100万円のおせちをお正月に頼んだ某一流ホテルの最高級スイートルームにも宿泊した。
金銭感覚などあってないようなものだ。ゲームカセットはどれだけ買って抵抗がないのにネットゲームに課金出来ないでいる。心は小市民なのだ。
まぁ 今となってはそんな感覚邪魔でしかないが。
そんな不満も何にもないような生活ぶりだか刺激がたりない。
スパイスは重要である。
今の私の人生を例えるならルーの入っていないカレーだ。
具材は最高級なだけに残念でしかないが……。
どこかに私のスパイスになってくれる女性はいないのか。
……いい加減現実と向き合おう。
現在進行形でヤのつく自由業の方々に追いかけられている。
雨が激しく降る中俺はとある裏路地を逃げ待って数分。
遂に奴らに見つかってしまった。車はすでに押さえられているのはわかっていたが……。
タクシー運転手までグルだとは思わなかった。雨という事もあり足音が消えるだろうと油断し一刻も早くこの場から離れたいという俺の思考を見透かしているかのようにあっさり捕まった。
いや見透かしてるのではなく今までの経験からどういう逃走手段を使うか分かっていたのだろう。
これから俺はどうなるのだろうかどこかの三流ラノベ見たいに他人から颯爽と助けられると言う落ちはないだろう。だとしたら人知れず殺されるこれが確実と言うもの。
バラバラにされてコンクリートにで固められドラム缶に詰められ……考えるのは無意味だ
どうやら私の運命が決まった見たいだ。タクシーから降ろされ如何にもな廃工場まで歩かされたということはそこで消されるのは確定だ。私の運命がわかった方。おめでとうそしてさようなら。
こうなるなら株をこいつらの組と敵対してるとこに売らなければよかった。
親孝行は充分したな。主にマネーで。
大事なことを忘れていた。未来のマイハニーへ先立つ不幸をお許しください。
廃工場の中には20人くらいの強面のお兄さんが無駄に世紀末なゲスい笑顔を浮かべている。
恐怖心が麻痺した俺には微笑ましく思えてくる。いつか刑務所で立派にお勤めを果たすのだろう。見守れなくて残念だ
こうして最期の時間を微笑ましく過ごしているとお兄さんの間から若頭と思われる奴が出てきた。
「ふっお前の人生はここでthe endだ」
無駄にキラキラしている若頭が白いスーツの胸元から銀色の銃を取り出し俺に差し向けつつ俺に言った。
うわぁ…最期こんなナルシストに殺されるのか……整形したと思わせる面、無駄に俺カッコいいアピール。お兄さんたちもドン引きだ。
立場が違えば仲良くなれそうという今の空気を読んでいないことを考えていた俺にもっと空気を読んでいない奴が再び口を開いた。
「ふっ最後に言い残すことはあるか?それくらいなら聞いてやるぞ。辞世の句と言うやつだ。お前は邪魔だが抵抗せず殺されてくれる礼だぞ。ありがたく思え」
やーべぇ、今の俺チョーイケてない、という独り言は無視して辞世の句を考える事にした。
それにしてもいい笑顔だなぁ。
そうだなそれなら……俺は思ったことを口に出して見ることにした。
「ズボンのチャック開いてるの気づかすカッコ良いアピールとか。ぷっ芸能界に転向したら?」
凄く良い笑顔だったと思う。若頭は何を言われたかわからないような顔をしていたがズボンを見ると顔を真っ赤にして心臓に向けて発泡した。
最期に聞いた音は壁に反響した銃声であることは残念である。
大事なことだから2回言うが未来のマイハニーへ。先立つ不幸をお許しください。
そうして俺の意識はとんでもない痛みと共に消え去った。
忌々しい男を処分した俺は奴の懐から財布を取り出した。
あの野郎俺のチャックのことを言いやがってくそっ。
下っ端どもは一斉に目を逸らしている。
おっ免許証発見。
「後藤優希ね……忌々しい奴として覚えておこう。おいっ!お前らこいつの死因を隠蔽するぞ!何をやっている!……後チャックの事言ったらお前らチャカでバラすからな。覚えておけよ」
下っ端ども一斉に準備し始めた。
俺は今から県警幹部に根回しを親父に頼まないと…面倒くせぇ。
「おいお前ら!準備出来たな!引き上げるぞ!」
血なまぐさい所にいるのはもうやめだ。帰ったら愛ちゃんといちゃいちゃしよう。
「しまった……ふっ皆さん引き上げますよ」
下っ端の連中から微妙な空気が流れる。
俺は気にしない事にした。
「ふっでは行きますよ」
『午後のニュースをお伝えします。昨夜愛知県の山中で乗用車がガードレールに激突し衝撃で火災が発生しました。焼け跡から性別、身元不明の遺体が発見されました。警察は身元の確認を急ぐと共に昨夜の事故現場の路面がお昼の雨の影響で凍結していたため事故が起きたという見方を示しています。』
痛い、凄く痛い、物凄く痛い………あれ?何故考えられるのだろう?確かに胸を撃たれたはずだ。心臓が弾ける気持ちの良いとはお世辞にも言えない感触を味わった。確かに死んだはず…。
それに手も動かせない、足もダメだ。
文字通り手も足も出ない。
声も……無理のようだ。
重大は事だがまぁとりあえず放置だ。
俺は状況把握に全力を注ぐ事にした。
これからの展開は神様にあったりして能力をを貰うのだろうか…。
ないな。ファンタジー過ぎる。
うん?待てよもしかしたら死んでいないかもしれない!
宇宙人の超科学で生き返っ…ないない、仮に生き返ったとしても奴らは何が目的で……。
SF過ぎる。
さっきから触れていないけどこのふわふわした真っ黒な空間は母親のお腹の中、実を言うと転生済み!そう考えると説明が……付かない!1ミクロンも付かない!
何故キノコ、タケノコ論争がこの世に存在するのかわからないほど説明が付かない。
どう考えてもリアリティに欠ける。
俺はただいま絶賛混乱中であった。出来ればこの奇奇怪怪な出来事を全国の後藤さんに無料お試しセット(返品不要)を送り届けたいくらいだ。
そんな俺の心情を不思議現象はまるで無視したようだった。
気付いたらそこにいた。豪華絢爛と言う言葉がぴったりなようで決して言いたくないほどの雰囲気を醸し出す謁見の間に。
成金趣味とファンシー感とメルヘンチックな感じが見事に混在。足を引っ張りあっている感じは今の日本の政治に似ている。
少しセンスを疑う……いや、よく考えなくても完全にアウトである。9回裏2アウトランナー満塁の状態で見逃し三振する打者以上にアウトである。
しかしこのおかげでさっきまで感じていた恐怖が完全になくなった。死んだと思ったら意識がある、謎空間で自分がどうなるか分からない、と思ったら世界遺産を魔改造しましたけど失敗しまししたという部屋に飛ばされた。
……最悪なセンスは生命の危機すら感じなくなるという無駄としか言えない教訓を得た。やったね!ではない。
形容し難いほど居心地が悪いのだ。
まだ恐怖に包まれていた方が良かったかも知れない。
そうであればこの死ぬより苦痛な感じを味わうことも無かったであろう。
俺は断言しよう。
この部屋の持ち主は性格が悪く頭が残念であることを。
これを見て欲しい。謁見の間に金とピンクのチープな蛙の彫刻だ。しかもゲコゲコ鳴いている。さっきからこいつを粗大ゴミに出してやりたいとひしひしと感じる。
思わず俺のはため息を漏らした。
そこで気付いたことがある。
呼吸をしているのだ。
そういえば手も足を動いている気がする。
ということは生きているという事だ。
声も出るはずと思い私は叫んで見た。
「すいませぇーん!さっきからゲコゲコ鳴いている金とピンクの蛙が金と水色の蛇に食べられかけて泣いてまぁーす!please! help me!」
というか生き物なの?
……声に反応したのかなんか俺の方に蛇がきたんだけど。
え!?
「1日に2度も死ぬのは御免だ!ましてや蛇に食べられるのだけは勘弁して!」
もう駄目だ。
本日3回目であるが未来のマイハニーへ。
私は蛇に食べられてしまうようです。
蛇がヌラリと近ずいてくるので俺は少し待ってもらうことにした。
「話せば分かr「シャァァァァァ」……OK少し待って!本日二回目の辞世の句を詠ませて!」
蛇太郎君(仮名)は私のウエストほどある体を縦に降って了承の意を示してくれた。
期待に応えて最期くらいはビシッと決めようではないか。
「未来のマイハニーへ!いないって分かってる!分かってるけど伝えて置きたいことがあるんだ!」
俺は必死である。何しろ死ぬのだから下手なことは言えない。
蛇太郎の瞳も心なしか潤んできたようだ。
あんた捕食者だろ……。
蛙の無駄なざわめきとも取れる声援を受けて俺は言葉を放った。
「蛇太郎のことは嫌いでも、俺のことは嫌いにならないでください!」
「「……」」
沈黙が訪れた。
空気がブリザードである。
蛇と蛙の息があった歴史的瞬間であった。
蛇太郎は「え?そこネタに走るん?というか蛇太郎って俺のこと?」という爬虫類顏をしている。
どうやら某アイドルのモノマネは滑ったようだ。
ゲロ蛙は場を盛り上げようと必死だ。
次に食べられるのはカエルだからである。
蛇太郎が口を大きな口を開けて俺を丸呑みにしようと近づいて来た。
「あ、忘れてた!噛まないでね!丸呑みでお願い!」
こうして俺は蛇太郎に丸呑みにされた。
全てが終わると思ったその時。
「ああーもう。今いいところなんだから静かにしないさい!9回裏2アウトランナー満塁これで打たなかったら負けるのよ!見逃したらどうしてくれるの!!」
高飛車な女の声が蛇太郎の外から聞こえて来た。
幻聴だろう。
俺はスルーすることに決めた。
最期くらいは静かに逝かせて欲しいものだ。
「打て!打て!……はぁー!見逃し三振するとかふざけてるの!」
……どうやらその打者はやらかしたようだ。
だが安心してほしいと俺は言いたい。
この部屋を見てくれと。
きっとその打者君の失敗は水に流されるだろう。
「あの打者っ!1日に一回は小指をタンスの角にぶつける天罰を……あら?蛇吉。貴方何食べてるの?」
どうやら気付いてくれたようだ。
「カエ君は……いるわね。おかしいわ?どこに食べる物が……ああっ!蛇吉!貴方それ人魂よ!ばっちいからぺしなさい!」
俺はばっちいらしい。
ツッコミたいところがいくつもあるが助けてくれるようなので今は黙っておこう。
「忘れてたわ。貴方の身元を聞くために私が呼んだんだった。感謝して敬いながら成仏しなさい」
謎が解けた。
どうやらこの女が呼んだらしい。
蛇太郎から吐き出された俺はまず声の主を特定することを優先しようとしたがその必要はないようだった。
さっき見た時にはいなかった人物がいたので高飛車女だとすぐにわかった。
そこには金色に輝く髪をした美少女がいた。
だが何故だろう。
神々しいと思うべきなのに思えない。
残念オーラと!頭弱いですよオーラを感じる。
今まで触れていないが貧乳である……おっと、凄まじい圧力を感じたので考えないようにしよう。
「初めまして。愛知県に住んでる後藤優希ですが自分はなぜここにいるのでしょうか?」
すると女は髪を弄りながら。
「後藤優希、ごとうゆうき、ゴトウユウキ、あっ!……面倒くさいからゴキで良いわね!」
とんでもないことをドヤ顔でほざいた。
「良くないわ!学生時代のあだ名を何故知ってる!!そもそも貴方は何者なんだ!?ここはどこだよ!?この趣味のおかしい空間はなんだ!?ペットの名前くらいちゃんとつけてやれよ!」
喉が枯れかけるくらい叫んだ。
「おかしな空間とは失礼ね。見なさい!スタイリッシュじゃない!あ、私はマリーよ女神やってるわ。マリー様と呼ぶことを許すわ!感謝しなさい!」
ちよっと待て女神?目が実の間違えじゃなくて?
しかし立て続けに起きていることを考えるとそれで説明がつかないこともない。
どうやら俺はリアルファタジーに巻き込まれたようだ。
「ペットの名前?そんなに変かしら?蘇る蛙のカエ君とアナコンダの蛇吉よ」
なんか適当につけた感半端ない。
しかも一匹はリアル生物…体色についてはツッコまない。
「マリー様ですか?あのあだ名は忘れていただけると「嫌よ!」……人魂ってどういうことですか?」
マリー様は、この質問に驚いたようだ。
「ゴキ。貴方自分の姿に違和感ないの?」
はて?声も出るし手も足も出る。
出来れば今すぐ自由のきく手でこの駄女神を張り倒したいところだがそんなことをしたらどうなるか目に見えている。
『良かったわね!本当のゴキブリになれて!おーほっほっほっ!」
笑えない。
少し思考が脱線した。おかしいことは何もない…はずだ。
「どこかおかしいでしょうか?」
呆れられている……は!まさかズボンのチャックが…。
「ゴキがここまで頭がゴキブリだとは思わなかったわ…まぁいいわ!手を自分の顔の前に持って来なさい」
全然良くないが言われた通りに手を顔の前にもっと来た。
視界に手が当然のように見えると思っていたが視界には相変わらず俺にはゴキブリよりうざいと感じる女がニヤニヤした状態がクリアな状況で見えるだけだ。
ここで俺は初めて実感した。
自分が人魂だということを。
「自分が人魂なのはわかりました。だが身元の確認?どういう事でしょうか?」
人魂なのはわかったが何故生前の感覚なのかは不明であるが…。
話を先に進めるため、放置され気味だった話題を振ってみることにした。
「それは貴方焼け死んだでしょう?死んだ魂を呼び寄せて身元を申告してほしい訳。」
あれ?おかしいぞ。
「自分は銃で撃たれて死んだはずですが…」
マリー様は唖然とした様子である。
「えっと性別、身元不明だから呼んだんだけど……ゴキはどうでも良いけど貴方の関係者に間接的に伝えるために呼んだんだけど…何かあったの?」
おやこの駄女神案外同情してくれているのか?
もしかしたら生き返らせてくれるかも!
俺は今日あった出来事を全て話した。
そして止めだ。
不安げな表情で、
「これから私はどうなるのでしょう」
これでマリー様は落ちた。
今では張り切って生き返らせる準備をしてくださっている。
人は(神だが)お互いを少し理解すると見捨てられないようになっているらしいが上手くいって良かった。
少々…いやかなりゲスいことを平然とやっているが本人が使命感に燃えている今、大義となった。
真実はいつも闇に葬られるものである(ゲス顏)
おっと、危ない危ない。
「心配しなくて良いわ!私がなんとかするから!」
チョロい。しかし心が痛む。
しかし俺が生き返るためだ。
蛇太郎改めて蛇吉は俺をゴキブリを見るような目で見ている。
失礼な奴だ。
カエ君はゲコゲコ鳴いて……あ、マリー様に潰された。
……カエ君は何故か嬉しそうだ
蛇吉はゴキブリ以下の物を見るような目でカエ君を見ており、あれを食べようとしたのかと後悔の念につつまれている。
俺は蛇吉を励ましてやることにした。
「まぁあれだ、失敗は成功のもとだ。友よこれから頑張ろうではないか」
蛇吉の肩?に手を置き撫ででやると友情が俺達の間に芽生えたのが確かにわかった。
アナコンダと人間(ゴキブリ並みの扱い)に友情が芽生えた歴史的瞬間であった。
本日二度目である。
「生き返らせる準備が出来たわ!」
どうやら出来たみたいだ。
よかった……これから平凡な日常を送るんだ。
せっかく友情が芽生えたのに寂しいがお別れみたいだ。
「ありがとうございます!このご恩は生き返ったらマリー様を信仰することで返させていただきます。」
マリー様は照れた様子で、
「そ、そうかしら?信仰はありがたく貰っておくわ。じゃあいくわよ!」
「お願いします。蛇吉!じゃあな!」
趣味の悪い部屋に光が満ちて……。
「あ、間違えた。まぁいいk「よくねぇよ!お前も道連れだぁーっ!」あっちょっとやめなさい!さっきまでの丁寧な口調はどこへいったの!?」
そんな物は蛇吉のお腹の中だ。
どんどん光が満ちていき俺達は趣味の悪い謁見の間から姿を消した。
……なんか今日はこの展開が2回目の気がする
しかし間違えたと駄女神は言った。
どこなんだ?
俺はそこで初めて暖かい風が吹いていることに気付き目を開けたら大草原が広がっていた。
遠くには山脈がありその下には森林が広がっている
あ、壁が見える。
門があるということは城壁だろう。
その門まで繋がる道がこの近くにあるので迷うことはなさそうである。
俺はそこで初めてよだれを垂らしグーすか寝ている駄女神を見つけた。
俺は踏んでやることに決めた。
ゴキと呼んだお礼参りと変な所に飛ばした報いである。
「ふべっ」
どうやら起きたようである。
「酷いじゃない!生き返らせてあげたのは誰よ!」
「それついては感謝している。だが意味不明な所に飛ばしたところに関しては別だ」
事実である。
生き返らせてくれたのには本当に感謝しているが失敗はいただけない。
「天罰を……あら?う、嘘、使えないじゃない!どういう事よ!?」
俺に聞かれても困る。
「これも駄目…あれも駄目……元の場所に戻れないじゃない!」
え!?
「それは困る!元の場所に戻してくれ!というかここはどこの国なんだ!ヨーロッパの田舎か!」
マリー様(もう様いらないや)は泣きながら、
「気付いてなかったの?ここはゴキからすれば異世界よ」
拝啓、蛇吉。いかにお過ごしでしょうか?
私は異世界にいます。
カエ君を食べたりしていませんか?
ご自愛ください 敬具
読んでいただきありがとうございます。
追記。作者は野球全くやりません。
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