大輔の包茎手術
父の呼ぶ声を聞いた大輔は自分の部屋を出て階下へと向かった。自宅の1階は両親が営む小さな町医者である。医師は院長の父1人、看護士兼受付の母のほかは看護士1人・受付1人という小さな病院だが、地元密着の病院ということで朝から晩まで患者がたえない。夜7時まで診察していること、急患なら時間を問わず診察してくれることから近所でも評判が良い。大輔は自宅玄関から連絡口を通って病室の中へと入った。時計を見ると12時を過ぎたところだった。午前診療がもう少しで終わるが、この時間に大輔が呼び出されるということは、昼食の準備に入る母に変わって受付を手伝えということだと考えた。大輔も休みの日にはできるだけ家の仕事を手伝うようにしていた。
ところが病室に入ると雰囲気がちょっと違った。まさに手術の準備が出来ているといった状態だった。戸惑う大輔に対し、父は「今から手術するからズボンとパンツ脱いで台にあがれ」と言った。その瞬間、大輔は今から何が起きるのか、全てを把握した。そういえばそんな話があったと思い出した。
小学校6年生のある夜、父は大輔に告げた。「中学生になったらちんちんの先の皮を切ろう。先っぽの皮だけの部分は汚れがたまりやすいから病気になる危険性があるからな」
そのときは怖いな、嫌だなと思った大輔だったが、そこまで本気に考えていなかった。そしてしばらくそんなことは忘れていた。その恐怖が今、目前に迫っている。本当は逃げ出したいと思った。しかし既に手術の準備は出来ている。それに逃げたところでどうせは捕まり、後日手術されてしまうことは明かだ。父の考え方が変わらない限り、手術は避けられない。全てを観念した大輔は震える手で下半身裸になり、ベッドの上へと昇った。
父はまだ毛の生えていない息子の性器をつまみ、皮の先を引っ張った。消毒をして麻酔の注射を打つ。我慢できないほどではないが注射が敏感な場所に突き刺さり、大輔は苦悶の表情を浮かべた。数十分後、大輔の性器はピンク色の亀頭が完全に露出していた。頭をあげた大輔は自分の性器が先程までとは大きく変わってしまった様子にうろたえた。母が慣れた手つきで、皮を切ったばかりの性器に消毒をして包帯を巻いた。母に性器をさわられたのは物心がついてから恐らく初めてだろう。
包皮が切られていく間、大輔は考えていた。夏の林間学校でクラスメイトとお風呂に入り、15人ほどの性器を目にしたが、誰ひとりむけているひとはいなかった。全員が皮だけの部分が余っている包茎状態だった。あの中でひとりむけていたら相当浮いてしまうだろう。冬のスキー合宿はどうしようか、何とか一時的に被せられないだろうか、色々と思案していた。
こうして大輔はある日の昼下がり、通過儀礼を終えて一歩大人に近づいたのであった。