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「このジュースあまくて、おいしい〜」
祭りは夜通し行われるのが習わしで、夜が更けても楽しい夜は続いた。
いつしか子供たちは寝静まり、大人たちだけの時間になると、星の輝く空のしたでキャンドルの光がチラチラと優しい光を届けていた。
「はじめてなのにちょっと飲みすぎじゃない?シャロン、大丈夫?」
「えへ、とってもいい気分なの」
4つ年上のリリアの肩にもたれながら、シャロンは初めてのその甘いあじわいに手にしたグラスを離そうとしなかった。
「シャロンちゃんは可愛いなぁ〜!これも飲む?ワインにあうチーズもあるよ」
「食べる〜!」
「ちょっとディオ!シャロンにこれ以上飲ませるの禁止!」
「えぇ〜?いいじゃん今日くらい!」
「ダメよ!シャロンこんな酔っ払ってるのに!」
「ねーシャロンちゃん?」
「ねー?」
こてん、とシャロンが首をかたむける。
デレデレと鼻の下をのばすディオに、リリアは冷たい視線をむけた。
リリアとディオは昔からの幼馴染で、2人とも歳はシャロンより4つも上のため、シャロンを自分達の妹のように可愛がっていた。
「もう!ジェードに怒られても知らないから」
ディオを睨みながらも、なんやかんやリリアだってシャロンにだけは甘かった。
「あれ、ジェード…ジェードどこ?」
「ジェードなら、あっちで村長達といるわよ」
「ジェードのとこ……いく」
「え〜!シャロンちゃん行っちゃうの〜?!」
「シャロン、転ばないようにね!気をつけるのよ!」
場を離れるシャロンを引きとめようとするディオの声も虚しく、シャロンは真っ赤な顔でジェードのもとへと足を進めた。
ふらふらと頼りない足で歩くシャロンの耳には数時間前にもらったばかりの赤いピアスが輝いていた。
ジェード、褒めてくれるかなぁ……。