17の誕生日
「シャロン、17歳のお誕生日おめでとう!」
「ありがとう〜!」
シャロンはロウソクの火をフゥ〜っと一息で消すと、目を輝かせて並べられた豪華な食事を嬉しそうに眺めた。
「あのシャロンが17歳ねぇ……」
「あら、やだ。あなた泣いてるの?」
涙ぐむトマル村長に皆が笑い声をあげた。
村のあちこちから聞こえる笑い声と楽しげな音楽、綺麗に着飾り踊る人々。村全体が今日の日を祝ってお祭りムード一色となっていた。
マコマ村では、17歳になる誕生日は他の歳と違い、特別な意味をもっている。
17歳になれば、大人達の仲間入りとされ、村の外に出ることも許されるからだ。
「おめでとう、シャロン」
「ジェード!どこに行ってたの?探したんだよ!」
「ごめんな?これを取りにいってたんだ」
「なあに?」
差し出された小さな小箱に、シャロンは不思議そうに手を伸ばす。
細かな装飾がされた小箱を開くと、赤い宝石のついたシルバーの小さなピアスが入っていた。
「…!」
「王都で買ったんだ。シャロンに似合うと思って」
気に入るかわかんないけど、と続けようとしたジェードに、ドンと小さな衝撃が走る。
「うれしい!ありがとうジェード!だいすき!」
ぎゅうっと腰のあたりに手を回して抱きつきながら、跳びはねるシャロンにジェードは表情を綻ばせた。
「大事にするね?絶対なくさないようにするねっ」
子供の少ないマコマ村で久しぶりに開かれる17歳を祝う誕生日とあって、皆がシャロンを心から祝い、温かな表情でみつめていた。
右耳の上に村の名産の淡いブルーの花をつけ、17歳になった娘だけが着ることが許される白いドレスをはためかせる。
シャロンは、誰もが振り返るほど綺麗な少女だった。