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魔界の少女  作者: YossiDragon
第三章:六月~七月 体育祭『変態軍団アスメフコーフェッグVS体育祭実行委員会』編
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第四十八話「体育祭準備完了」・3

「……おい、神童」


「ん? 何だ?」


「何故、お前は膝の上に雪を乗せているッ!! それは本来俺の役目だろう!!」


「いや、知らねぇし!! てか、俺が乗せてるんじゃなくて、雪が乗ってるんだよ!!」


――やべぇ、どんだけ俺に嫉妬してんのこの兄貴。



「なぁ、せっかくだし……霖と雪も何か競技に出たらどうだ?」


 俺の提案に、二人は再び考え出す。


「でも……料理の準備とかあるし」


「それなら俺達も手伝うしさ!」


「うむ、私も全力で腕を振るうぞ?」


「いや、霄はいい」


「む! 何故だ!?」


――言えるわけねぇだろ、汚物処理班呼ぶことになるなんて!!



 俺が霄に手伝わせないようにすると、他の護衛役も安堵している様子だった。そりゃそうだろうな。


「……そこまで言うなら、出てみよう……かな?」


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


――やべぇ、今度はめっちゃ架空の炎を滾らせてるよ。



「雪は?」


「ボクはお兄ちゃんがどうしてもって言うなら……」


 少ししょうがないなみたいな雰囲気を出している雪。


「じゃあ、何に出る? 一応、いくつも出れるけど」


 俺がそう言って二人にパンフレットを見せると、二人が一斉に指を指したのは「親子でスナイパー」と「懇願要求、童顔女子の借り物競走」だった。


――おいおい、よりにもよって七つの贖罪の一つを選んじゃったよ!! 大丈夫か、これ。



 ちょっと心配な部分もあるが、多分何とかなるだろうと……思う。


「おい、神童! 俺もその競技に出れんのか!?」


 そう言って雫が俺の胸ぐらを掴んで問い詰めてきたのは、「懇願要求、童顔女子の借り物競走」だった。


「残念だが、これは女子しか出れないんだよ」


「納得いかん!!」


「それじゃあそれじゃあ、女装して行けばいいんじゃない?」


 そう提案するのは雫に黒歴史を作った一人でもある露さんだった。


「せやな、それやったらバレへん限り大丈夫やで!!」


「なるほど! よし、それでいこうッ! ……って、それはできん!!」


「チッ、あと一歩で兄さんを女装させるチャンスだったのに……!」


「残念やったな~」


 雫が危機一髪踏みとどまってノリツッコミをかますだけで済んだのに対し、霞さんと露さんの姉二人コンビが「惜しい!」というリアクションを取る。


「ていうかそもそも参加条件ありますからね?」


「参加条件?」


「はい、これ童顔もしくは幼女じゃないとダメらしいです」


「じゃあ、伯母さんが出れるね!!」


 ポンと手を叩いてそう言う瑠璃。


「何でそうなるのよ! あと、叔母さん言うなっ!!」


 プンスカ怒り頬を膨らませるルナー。まぁ、無理もない。身長も低いし、この童顔を見ればな……。


「とにかく嫌よ! しかも、明らかにこの競技名が気に入らないわ! なによ、懇願要求って!! 誰が懇願なんかするもんですか!!」


 確かにその競技名には俺も首を傾げるものがあった。てか、よく霖と雪はこれに出ようと思ったな。

 そうこうして、全員の出場競技が決まったところで改めて体育祭の本番に向けて練習を再開した。




 体育祭前日の夜――。

 俺は電話していた。


「も、もしもし……」


〈あら~響ちゃん、久しぶりねぇ。どうして最近電話くれなかったのぉ? お姉ちゃん、物凄く寂しかったのよぉ?〉


 その甘ったるいようなおっとりとした喋り方をする女の人の声。それは俺の従姉妹の一人である茜従姉ちゃんのものだった。


「あー、ごめん。てか、従姉ちゃん。そんなしゃべりだったっけ?」


〈そう? じゃあ、戻した方がいいかしら? まぁ、私的にはそれでもいいのだけれど〉


「じゃあ、戻す方向で……。そういえば、爺ちゃんから聞いたけど従姉ちゃん達も体育祭出るって?」


 さっさと本題に移ろうと俺はそう単刀直入に訊いた。すると、茜従姉ちゃんは「ええ」と答えた。


〈まぁ、今年になって全く学園に顔を出していなかったから丁度いい機会かと思ってね〉


 なるほど、と納得した。確かに三大行事の一つであるこの体育祭に参加するのは久しぶりの登校にはちょうどいいかもな。


〈それで、今燈ちゃんや姫歌ちゃんも練習してるのよ? 練習中の声、聴いてみる?〉


「え? ああ、うん」


 何で聴かせる必要があるのかは分からなかったが、せっかく聞かせてくれるというのであれば聞いておこう。

 すると、受話器の向こうから聞こえてきたのは何とも誤解を生んでしまいそうな声だった。


〈んっ、ち、ちょっと燈? あなた、少し強くしすぎじゃありませんこと? これじゃあ一方的に棒が――あんっ! 痛いじゃありませんの! 急に引っ張らないでくださいまし!〉


〈はぁ? 姫歌が遅いからっしょ? 悔しかったら私に勝ってみ――ひゃんっ! 急に持ち上げないでよ! 擦れちゃうじゃん!!〉


〈ね? 二人共頑張っているでしょう? 私もこれから練習しないといけないから、そろそろ切るわね?〉


「あ、うん」


 ほぼ一方的だったが、向こうに先に電話を切られてしまったので、爺ちゃんと会話することは出来なかった。まぁ、あのクソジジイのことだし多分――ていうか絶対来るだろう。恐らく、奈緒を連れてきて……。


「はぁ、そろそろ寝るか。明日はいよいよ体育祭だ!」


 そう言って俺は二階にあがって部屋の扉を開けた。そして絶句した。

 俺のベッドは既に満員状態にあった。これでも大工の木ノ下――親方にデカくしてもらったんだが、それでも俺の寝れるスペースが十分に存在していない。

 それでも俺は頑張って僅かな隙間に入り込み、枕に頭を置き軽くタオルをお腹に乗せて寝ることにした……。


――……アツイ。




――☆★☆――


 時間軸は少し前に遡る……。


「皆の衆! 今までよく頑張ってくれた!! ついに、ついに我ら『あらゆる少女を愛でエロい変態行為を行うフェチ英傑の軍団』――略して『アスメフコーフェッグ』の念願が叶う時が来たッ!! そう! ついに七つの贖罪がビッグイベンドの一つ、体育祭で行われるのだ!! この日をどれほどまでに待ち望んできたか……。練りに練られた計画を実行する時はとうとう明日になった。作戦は既に伝えてある通りだ。抜かりなくやれ! いいか? 変態軍団アスメフコーフェッグに容赦の二文字はないッ!! やるなら徹底的だ!! 女子のあられもない姿をこの眼球から網膜を伝い、脳内メモリーへと永久保存するのだ!!」


『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』


 とある暗がりの一室にてボス――藍川亮太郎の大演説が繰り広げられていた。そして、ここぞという場面で亮太郎が拳を高々と掲げると同時に変態軍団一員の野太い掛け声があがる。

 期は熟した……積年の恨みが、果たせるのだ。


「思えば長かったよ。でも、ついにあの競技が行われるかと思うと夜も眠れないな! あのジャンプする度に揺れる胸が……ムフフフ!」


 『巨乳の(ビッグバスト)評論家(・レビュアー)』――巨郷(きょごう)揺宗(ゆれむね)が口の端からよだれを垂らしながらそう口にする。その脳内は既にお花畑状態にある。


「ちゃんとクジに細工したおかげで、七つの贖罪に出る出場選手の女子生徒もオレ達の希望通りだしな!」


脇に求めし(ジ・サイド)理想郷(・ユートピア)』――柿谷(かきたに)脇衛門(わきえもん)がうんうん頷きながら一枚の紙切れを眺める。そこには七つの贖罪に出場する女子生徒の名前が書いてあった。


「しかし、よくあのクジに引っかかりませんでしたよね女子……。普通なら怪しむと思うんですけど」


 片目を瞑り、人差し指を立てながら『神より(ゴッド)授与されし(・ピュア・)美手(フィンガー)』――『指腹(さしばら) 永敏(ながとし)』が言う。


「おヨ? だけど、七つの贖罪には男子も出るんだよネ? どーするのかナ?」


 ふと思った疑問を口にする『曲線の(カーブ・)軌跡を(ヒップ)描きし双臀(・ローカス)』――『尻鳥(しりとり) 丸太朗(まるたろう)』。すると、それに答えるように顔をげっそりさせた少年が口を開いた。


「恐らくそこはァ、僕達変態軍団の……力の見せ所、じゃないかなァ? それにィ、そこも作戦は既に立案済みのはずだよォ」


 掠れた様な声音で髪の毛をあちこちに十本ほどハネさせた『不微動の(ノット・トレ)貧困者(モア・プアー)』――『困河(こんかわ) 貧十(ひんと)』が言う。


「ぼく的にはあの競技を保護者枠にもしてもらえたことが嬉しかったかな。これで思う存分、ロリっ子の懇願する姿が拝めるんだからね、ふふ」


 アフロヘアにショタ顔をしている割に、なかなか変態チックな思考をお持ちの『永久不滅の(エターナル・)愛玩対象(プリティ・オーナー)』――綿頭(わたがしら)甘受郎(かんじゅろう)


「ああもぅ! 早く体育祭やりてぇよ! もう我慢できねぇ、ちょっと女子更衣室覗いてボコられてくるッ!!」


「ちょっとコンビニで飯買ってくる的感覚で行くんじゃない!」


 そう亮太郎に叱られる『罵詈雑言を(アビューズ・)吐かれし観念者(コンセプター)』――霧能(むのう)瑛足(えいた)


「そういや、そろそ種目順番が決まる頃だゼ? さぁて、どういう順番になることやら……ま、どれでもいーゼ? 既にメンツ見ただけで満足はしてるシ」


 頭の後ろで手を組み揺り篭の様に足を使って椅子を揺らす『微乳を愛でし者(つるるん・ラブ)』――鶴吉(つるよし)敏郎(としろう)


「ヘッヘッヘ、あの体操服なら結構ピチッとしてるし、大きさとかもモロ分かりだなぁ! そうだ、ボス! 例のヌルット用意できやした?」


 『美乳の愛好家(ぷるるん・ラヴ)』――日暮里(にっぽり)吉朗(よしろう)がボウズ頭を映写機の光で光らせながらボスの亮太郎に尋ねる。


「ああ、そのことなら『全異性の芸術的激写オール・ガールズ・テイカー』に頼み込んである、どうだ?」


 亮太郎がぽっくん――土田(つちだ)(たけし)に尋ねる。


「ご心配なく! 既に仕込みは万全でありますぞ! 後は本番の体育祭を楽しみに待つだけですからして!! 拙者もこの通り、おニューのカメラを購入ですぞ!! これで激写して目指すは――無限(エターナル)ですぞ!!」


 太い親指を突き出し、メガネを妖しく光らせる武。その意気込みに団員が声を張り上げる。


『いいぞーぽっくん、その意気だあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!』


 相も変わらず彼ら(へんたい)は元気であった……。


――☆★☆――


 次の日――。

 いよいよ今日は体育祭当日だ! よし、今までの練習の成果を発揮する時ッ! そして、今日は何が何でも負けるわけにはいかない。そう、体育祭実行委員会の星空先輩と丑凱先輩と七星先輩を変態軍団のやつらから守らなければならないのだ。そのためには何としてでも優勝しなければならない、俺たち――白ブロックがッ!!


「おい、起きろ皆! 体育祭の日だぞ!!」


 俺が体を揺さぶり皆に声をかけると、ようやく皆が起きた。


「ふぁ~あ、おはよー響史。えと、何の日だっけ? 祝日?」


「ちっがぁあああああああう! 今日は体育祭だろうが!!」


「あ、そうだったそうだった! 思い出したよ、えと……着替えなきゃ!」


「今から体操服に着替えてどうすんだ!! 体操服に着替えるのは学園で!! 後俺がいるのに急に脱ぎ出すんじゃねぇ!!」


 顔を赤らめて俺が両手を目の前に持ってきて見えないようにする。


「おっと、そうだね。寝ぼけてたよー、えへへ」


「霖、ほら早く起きろ。昨晩遅くまで料理作って疲れてるとこ悪いんだけどよ……」


 少し申し訳なく霖に声をかける。

 一方の霖は、コクリコクリ頭を垂れ、目を虚ろにさせていた。思わずその表情にドキッとしてしまうが、頬を叩いて意識をしっかりさせる。


「んっ、ふあ~。んにゃ? あり、体育祭もー始まった?」


「もう始まるって! ほら、早く起きて着替えろ!」


 寝ぼけて猫の様な声をあげる霊に俺が頭をかきながら言う。すると、瑠璃同様またもやパジャマのボタンを寝ぼけたまま外し出す霊。


「だからここで着替えんな! 自分の部屋あるだろ? 何のために自室用意したと思ってんだ! そもそも毎日毎日ここで寝るなよッ!!」


「……朝から騒がしいわね、あんた」


 大半が眠り眼の中、麗魅はちゃんと起きている様子だった。また、相も変わらず冷めた様な冷徹な視線を俺に浴びせてくれる。


「こいつらにツッコんでるせいだっつの。お前も着替えろ」


「へ、変態! 脱げって言うの!?」


「違うわ! 制服に着替えろって言ってんの!! 今日が体育祭だってわかってるだろ!?」


「ええ、分かってるわよ。ちょっとからかってみたくなっただけ」


「そんな暇あるなら着替えてくれ……」


 体育祭が始まる前から体力を根こそぎ持って行かれそうな気分になる。はぁ、早く朝食済まさねえと。

 俺はモタモタしている魔界のやつらをほっぽいて、一足早く一階に降りて食卓に朝食を並べていた。いつも霖に任せていたため、最近料理をやっていなかったので少し腕が落ちてやしないかと危惧したが、味見したところそうでもなかった。どうやら、体がちゃんと覚えているらしい。


「さてと……そうだ。顔洗ってこよう」


 ふと鏡を見てまだ寝起きの顔になっていることに気づいた俺は、慌てて洗面所兼脱衣所に向かった。

ガチャ。


「へ――」


「なっ、変態! 性懲りもなく覗きに来ましたわねっ!?」


「ふがッ!? な、なんれあらりぇがここに!?」


 顔面を殴られて鼻から血を垂らしながら顔を真っ赤にする俺。洗面所に向かおうとして脱衣所の扉開けたら、さっきまで二階で霊とくんずほぐれつしてやがったはずの霰が一階にいた。瞬間移動とは思わないが、どうやら朝食準備している間に制服に着替えようと一階に来ていたらしい。てか、ここで着替えずに自室で着替えろっつの。


「は、早く出て行ってくださいません!? 着替えられませんわ!!」


「わ、分かったよ!」


 仕方なく俺は台所の水で顔を洗うことにした。いかん、体育祭を前にして怪我とかたまったもんじゃねぇぞ。

 手鏡を見て鼻の状態を確認する。うん、どうやら鼻血出てるだけで鼻の骨が折れるまではいってなかった。ったく、魔界の人間のパンチ力は女であろうと油断ならないからな。現に、まだ力加減を覚えていなかった頃の瑠璃とかやんちゃで凄まじいものだったからな。


「ご、ごめんお兄ちゃん! すぐに朝食の準備するから待ってて?」


 突然慌てた様子で台所に駆け込んできたのは、霖だった。

 が――。


「ぶふっ!? り、霖……お前その格好――」


「へ? ひゃああああああああああ!? お、お兄ちゃん、だ、だめぇ見ないでぇぇ!!」


 自分の姿を確認して顔をリンゴの様に真っ赤にさせた霖がその場にしゃがむ。というのも、理由は霖がとんでもない格好でここに来ていたからだ。エプロンはしている。多分料理を作ろうとしたのだろう。問題は、何故か服を着ていなかった。即ち――裸エプロンだったのだ。いや、ん? よく見ると裸――ではなく、下着の上にエプロンをしていた。


――てか、パジャマ脱いでそのまま服着らずにエプロンつけてきたのかよ!! たく、危なっかしいやつだな。まぁ、子供らしいっちゃ子供らしい……のか? まぁ、よかったよ。この場に雫と露さんがいなくて。



 と、その時だった。

というわけで、途中で何やら変態共の会話がありましたが、それよりも体育祭当日のバタバタ。相も変わらず夜の住人? 的立ち位置にいる彼女達は朝がとても弱いみたいですね。寝ぼけてその場でパジャマ脱ぎ出す始末です。そして、寝ぼけるあまり下着姿のままエプロンを――いや、普通はありえません。まぁ、悪魔だから?

とりあえず、四部構成なんで後一部あります。

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