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魔界の少女  作者: YossiDragon
第三章:六月~七月 体育祭『変態軍団アスメフコーフェッグVS体育祭実行委員会』編
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第四十八話「体育祭準備完了」・2

「なぁ、響史……もしかして霄が言うてんのはこれのことやないか?」


 そう言われてその種目名を確認すると、そこには「仮装バトンリレー」と書かれていた。


――あぁ、なるほど仮装→火葬、バトン→罵倒、リレー→礼ね。って、最後強引にも程があるだろ!! 何だよ、リレーから礼って!! てか、どんな聞き間違いしてんだ!!



「霄……その種目は、仮装した状態でバトンを持って走って次の仮装した選手に繋げてゴールまで走る競技なんだよ」


「仮装とは何だ?」


「まぁ、簡単にいえばコスプレだよ」


「コスプレとは何だ?」


 首を傾げて唸る霄。すると、俺が答えるよりも早く露さんが変態的な眼差しで口を開いた。


「こするプレイのことよね!」


「あんたは黙っててくださいッ!! ……コスチュームプレーのことだよ。要はいろんな衣装を着た状態でリレーをするんだ。まぁ、着やすい衣装とか着にくい衣装とかあるから衣装選ぶ時は一生懸命に考えないとな!」


「ふむ……コスプレか」


 顎に手をやり何か考え出す霄。それが何かは分からないが、一応理解はしてもらえたらしい。少なくとも誰かさんのせいでいらぬ誤解を与えなくてよかった。


「私はこの『弄り当てろ! 何がインしてるでショー!』に出ますわ!!」


 まさかの霰がここに来て三つ目の七つの贖罪!? マジか……。この種目内容もあまりわからない。


「どういう競技ですの?」


「ええと、う~ん……多分種目名から察するに中に何が入っているのかを当てるやつみたいだが」


「変なものが入ったりとかしていませんわよね!?」


 何やら挙動不審になり出す霰。


「いや、そんなの俺に聞かれても……。俺主催者じゃねぇから何を出すのか知らないし……」


「……役立たず」


「んだとてめぇえええええええええええええええええええ!!!」


「まぁまぁ、落ち着いて響史くん! それよりも、私には聞いてくれないの~? ねぇ~」


 やけに色っぽい声音で俺の胸板に細長い人差し指で「の」の字を書く露さん。


「あぁ、はいはい! 露さんは何に出るんですか?」


 やけくそ気味になりながらも、俺が質問すると満面の笑みで露さんは答えてくれた。


「えへへ~、私はね二人三脚に出るんだよ?」


「やけに嬉しそうなのは何でですか?」


 何やら嫌な予感がする俺に、惜しみ無くにこう口にした。


「女の子と密着出来るからだよっ!」


 即答だった。あぁ、ダメだこの人。


「……そうですか」


 抑揚のない声音で俺はそう返した。


「ああん、もう! そんな羨望の眼差しを向けないで? 感じちゃう!」


「羨望じゃなくて軽蔑ですッ!! 後変な声出さないでくださいッ!! ここにいるのはあなたみたいな変態だけじゃないんですからね!?」


「ひっど~い、まるで自分が変態じゃないみたいじゃない!」


 ぶ~っと納得いかないという顔をする露さんに、俺は当たり前だと言わんばかりに言った。


「俺のどこが変態なんですか! 少なくともあなたよりはマシです!」


「ふんっだ!」


――はぁ、相も変わらずこの人は拗ねると子供っぽくなるんだから。



 額に手をつき、やれやれと首を振りながら呆れる俺。

 その後も悪魔の住人である彼女達から出場する競技を聞いた所、まとめるとこんな感じになった。

 全員参加種目である「綱引き」と「○×クイズ」と「お宝探し」は抜きにして、俺が「親子でスナイパー」と「ムカデ競走」。瑠璃が「抱き合い進め! ヌルットの滝」と「跳ねろ、弾め! 巨大縄跳び!」。麗魅が「抱き合い進め! ヌルットの滝」と「ウネる変な道を御足で進め! 七転び八起き!」。露さんが「不快な感触を乗り切れ! 匍匐前進!」と「二人三脚」。霄が「仮装バトンリレー」と「美脚レース」。霊が「大玉転がし」と「UFO」。霙が「天を掴め! 雲梯のサイドツアー」と「ピコピコ戦争」。霰が「弄り当てろ! 何がインてるでショー!」と「ウネる変な道を御足で進め! 七転び八起き!」。零が「棒引き」と「パン食い競走」だ。

 予想外だったのは、七つの贖罪にこいつらが全員参加はしていないということだった。まぁ、よかったといえばよかったのだが……。ただ、瑠璃よりも霄の方が胸が大きいはずなのに、どうして霄を入れなかったのだろう? まぁ、競技は自主制じゃなくてくじだからな。七つの贖罪に選ばれた女子は明らかに狙っているとしか思えないメンツだったが。

 クジにどう細工したのかは俺が知る由もない。


「とりあえず、練習出来るのだけ練習しとこう。えっと、七つの贖罪の競技は内容よく分かんねぇし、練習のしようがないな。後は……二人三脚とか?」


「え! 練習してくれるの!?」


「あ、やっぱやめとくか……」


「えぇ~、付き合ってよぉ~お願~い♪」


 手を交差させて、ない胸を寄せるようなポーズでアプローチしてくる露さん。


「……練習に、ですよね?」


「うん、もちろん♪」


 明らかに何か企んでいるとしか思えない笑顔に俺は半眼になるが、嘆息すると同時にお手上げとなった。


「○×クイズってどーゆーのが出るの?」


 それは瑠璃の唐突な質問だった。そういえば、クイズ大会で出すものなんじゃないか? と思うような競技があったな。


「多分、○と×の床があってそこに全員ないし半分くらいが集まって問題に答えて、最後まで残るか規定人数に達するまで続けて勝敗を決めるんじゃないか?」


「内容は?」


「さぁ……。どんなジャンル出すなんて知らないし」


 肩を竦ませて俺はそう答えた。嘘をつくわけにもいかないしな。


「ふぅ~ん」


 やはり納得のいっていない風に瑠璃が応え、庭からリビングへあがるデッキに腰掛ける。


「あっ、そうだった。霞さん!」


「ん? なんや?」


 あることを思い出して名前を呼ぶと、霞さんがせんべいを手に取りながらこちらに顔を向けた。


「体育祭、来るんですよね?」


「せやな……昼ごはん、食いに行かなあかんやろし。霖がめいっぱい力入れた弁当食えるんやろ? そげなもん行かんと損やんけ! 雨が降ろうが槍が降ろうが爆撃機が墜落して来ようが絶対に行くで?」


「いやいや、さすがに爆撃機は墜落しないでしょ! ここドコだと思ってんですか!!」


「相も変わらずナイスツッコミやで!!」


 なんか、グーサインをもらってしまった。


「それで、何の競技に出るんですか?」


「? 競技? なんや、ウチ学園生ちゃうで?」


「あぁ……保護者枠があってですね? 保護者参加の出来る競技があるんですよ。確か、『綱引き』と『親子でスナイパー』の二つが」


 俺が説明すると、霞さんが無理無理と言わんばかりに笑いながらこう言った。


「すまんけど、ウチ銃は使えへんねん」


「だから実際にスナイプするんじゃないんですって!! あくまで競技名ですから! 実際には水鉄砲か何かを使うと思いますから、本物じゃないんで大丈夫ですよ!」


 霄と似たような誤解をしている霞さんに、俺が説明するとようやく納得してくれたようで再び考え出した。


「せやな~、ほんじゃあ……『綱引き』でええわ」


 どうやら霞さんは「綱引き」に決めたようだ。実は、この保護者枠なのだが、……あと一つ参加出来る種目がある。それは、よりにもよって七つの贖罪の一つでもある「懇願要求、童顔女子の借り物競走」だ。ただし、これには条件があり、子供しか参加できない。なので、これに当てはまるのは――。


「は~い、みんなお待たせ~。おやつの時間だよ~♪」


 そう言って俺達にお菓子を持ってきてくれたのは、護衛役の一人でもある霖だった。確かに十二歳という小学六年生――JSなわけだが、俺に負けず劣らずの料理上手で、おまけに家事も出来るホント、よく出来た女の子なわけだ。で、そんな霖を見ているとどうにも時折年下には見えなくなってしまうのだが、その顔をマジマジと見ているとやはり幼さの抜けない童顔が目に留まるわけで……。

 あのロリシス野郎も興奮しまくりなのだ。まぁ、今日は来ていないようだが。

 んで、もう一人が――。


「なぁ、そこに座るのは別に悪いとは言わないけどよ……お菓子、食べづらいんだが」


「ボクは困らないから大丈夫」


 相変わらずのボクっ娘――雪が、俺の膝の上に座りながら棒付きキャンディーを舐める。そう、この雪が条件に該当する二人目だ。まぁ、霖よりも一つ年下だしな。


「どうかした、お兄ちゃん?」


「いや……それで、そこからどいて――はくれないよな」


「うん。でも、そんなにお菓子が食べたいなら……ボクが食べさせてあげる」


 そう言って雪はクッキーを一つ手に取ると、俺の口に近づけてきた。


「あ~ん」


「あ、あ~ん……」


 少し戸惑いながらもそれを口にする俺。何故か少し冷たかった。


「あら、随分賑やかじゃない。何? 近々イベントでもあるワケ?」


 突如リビングに姿を現すや否や、お菓子の袋に手を伸ばしながら質問してきたのは、この家の屋根裏部屋に居着いている居候の発明家――ルナーだった。瑠璃と麗魅の伯母であり、五界の内の一つ、鏡界を治める人物だ。ちなみに、伯母と言っても十代後半である。


「ん! これ結構美味しいわね」


 初めて食べるお菓子があったのか、その味に満足そうな表情を浮かべるルナー。そういえば、こいつは体育祭どうするのだろう?


「お前は来るのか?」


「る・な・ぁ!」


「はいはい……」


「何よ、その態度! あんた、人にさんざん迷惑かけといてそれはないんじゃないの?」


「いや、迷惑かけてんのお前だろ。で、どうすんだ?」


「体育祭だっけ?」


 むすっとした表情で俺にそう確認をとってくる。


「何だ、知ってんじゃないか」


「あんたたちの会話は屋根裏部屋まで聞こえてくるの。まぁ、面白そうな事やってるみたいだし、参加してあげてもいいけど……何に参加出来るの?」


 テーブルに置かれたパンフレットを覗き込もうと身を乗り出すルナー。同時、二の腕に挟まれて体格に釣り合わない大きな胸が強調され俺の視界に入ってきた。思わず釘付けになるが、ブンブンと首を激しく左右に振って邪な思考をシャットアウトする。


「……今見てたでしょ」


「見てねぇって!!」


 顔を真っ赤にして視線をそらす俺に、ジト目で見てくるルナー。いかん、ホントあの胸なんとかしてほしい。


「で、何に出るんだよ」


「そうね、この親子でスナイパーなんて面白そうじゃない?」


「意外だな……身長足りないんじゃねぇの?」


「んなっ! そ、そんなことないわよっ!! 失礼しちゃうわね!」


 俺の嫌味にバンッとテーブルを叩いて文句を言うルナー。やはりこいつはかからかい甲斐がある。


「まぁ、一応肩車するんだけどな!」


「きぃ~っ! ふんだっ! 別に出なくてもいいし!!」


「へいへい……」


 こうは言っているが、こいつの性格は最近分かる様になってきている。この言い方は確実に出る。


「後は……あいつか」


 体育祭に絶対に来るであろう人物を脳裏に思い浮かべ嘆息する俺。すると、それに反応したかの如く、ピンポーン♪とインターホンが鳴り響く。

 そして、俺が出迎えに行こうと立ち上がると同時に、まだ玄関ドアを開けてもいないのに勝手に玄関ドアを開け放って侵入してくる何者かがいた。

 そう、それは――。


「久しぶりだな、神童響史ッ!! 呼ばれた気がしたのでわざわざ来てやったぞ!!」


「あー、呼んでないから帰ってくれ」


「何ッ!? 確かに聞こえたんだぞ、『後は……あいつか』と!!」


「お前は盗聴でもしてんのかッ!!」


 頬杖をついて軽く流そうとしていた俺だが、思わずその言葉にツッコんでしまう。


「それで、俺の出る種目だが――」


「勝手に選び出してんじゃねぇ」


「やはり、ここは親子でスナイパーが妥当だろう」


「いや、誰と出るんだ?」


「無論、妹と出るに決まっている!!」


「……あのな、これ“親子”って書いてあるだろ?」


「ああ」


 腕組をしてコクリ首肯する雫。


「お前今誰と出るって?」


「妹とだ」


「親子じゃねぇじゃねぇか!!」


「しまった!! ……まぁ、案ずるな。時に人は、妹という垣根を越えて親子という関係にだな……」


「ならねぇよッ!!」


 いかん、久しぶりに会ったと思ったらこいつのボケの威力が格段にアップしてやがる。おかげさまで俺のツッコミもレベルアップしないといけなくなったじゃねぇか。


「……くっ、何とかならないものだろうか?」


「親子関係じゃなくても出れるけどな」


「な、貴様ッ! よくもこの俺をハメてくれたな!? そこに直れ、転生するまでぶん殴ってやるッ!!」


「おい、俺既に死んでんぞ」


「まぁいい。とにかく、出れるのだな? それで、霖と雪は何に出るのだ?」


――何か急に真剣な顔つきになったぞこいつ。やだ、この変態(ロリシス)兄貴。



「ボクは出ないよ?」


「私も……料理作らないといけないから」


 雪は平然と、霖はやや申し訳なさそうに頬をかきながら答えた。

 刹那――。


「……ノオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」


――ええええええええええ!?



 俺が内心でドン引くほど、雫のリアクションは半端なかった。床にグーにした拳を打ち付けて信じられないという反応をしている。そんなに妹と出られないのがショックなのか?

というわけで、相変わらずはっちゃけている変態二名――はともかく、今回の話は登場人数が多いということもある上にボケやツッコミが多いためにセリフ多めとなっておるかと。

てなわけで、そんな絡みはまだ続きます。

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