表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔界の少女  作者: YossiDragon
第三章:六月~七月 体育祭『変態軍団アスメフコーフェッグVS体育祭実行委員会』編
91/267

第四十六話「響史に秘められし能力」・3




 場所は変わって体育祭実行委員会が集まる一室。何故ここに来たのか。それは無論星空先輩に変態軍団の内情を報告するため。だが、それだけではない。ここへ来たのは変態軍団に内情を報告……するためでもある。はぁ、はっきり言って嫌なんだけどなあの人たちを騙すみたいで。しかも、バレた時の北斗七星の二人からの仕打ちが想像しただけで怖気を感じてしまう。


「はぁ、ええい知ったことか! なるようになるしかないんだよ!!」


 俺はそう言ってノックした。あれ、返事がない。入っていいのかな? 女子の声はするし……。

ガラララ。

 ゆっくりと扉を開ける俺。


「失礼します」


 そう言って室内に入る俺。そして、室内に視線を向けると同時、俺は室内に入ったことを酷く後悔した。いや、一部の人間からしてみればむしろ入りたいと思うかもしれない。そこには桃源郷が広がっていた。十数人の女子が体操服に着替えている最中で、その多くが下着姿を晒して着替える途中の格好で硬直状態に陥っていた。そして、全員が俺の方に視線を向け、顔を紅潮させていた。無理もない、まさに今のこの部屋は女子の更衣室状態になっていたのだから。そこに男子生徒という名の異性がいれば硬直状態に陥るのも無理からぬことなのだ。

 そして、その次に発せられる声は大体予想がつく。


『いやぁああああああああああああああああああああああああ!!!』


 予想通りだった。

 俺は室内から逃げ出そうとしたが、扉に手をかけたところで女子に肩を掴まれグイッと引き戻されてしまった。それから俺は床に正座させられた。


「何でここに男子生徒がいるわけ? そもそもあなた誰なの!?」


 明らかに怒っている。現に俺の頬には綺麗な紅葉が出来上がっていた。しばらくは消えないだろう。だが、これも恐らく先程の変態軍団の一人にはご褒美と思えるのだろう。


「お、俺はその……体育祭実行委員会に協力している者でして」


 何故か口調が丁寧になってしまう。すると、その言葉に一人の女子生徒が声をあげた。


「もしかしてこの人が例の協力してくれている男子?」


「あ、そうそうそれです!」


「待って! 仮にそうだとして、名前は? もしかしたら嘘ついてるかもしれないし!!」


――酷く疑われてるな俺。



「えと、神童響史です」


「神童……くん。そんな名前だったっけ?」


「え?」


 名前を聞いた女子の反応に思わず俺はきょとんとなる。いやいや、名前知っていてもらわないと困るんですけど!


「怪しいわね……本当にあなたが協力者? 変態軍団の一味なんじゃないの? さっきだって私達の着替え覗いてたし!」


「覗いてたっていうか、モロなんですけど……」


「言い訳しないで!」


「はいッ!」


 思わずピンッと背筋を伸ばす俺。はぁ、何でこんなことに……。こんなことだったら先に星空先輩に連絡入れとくんだった。


「星空先輩に用があってきたの?」


「そうです……ここって、体育祭実行委員会の部屋ですよね?」


「そうだけど?」


 何だか不思議そうな顔してる。なぜかは分からない。


「もしも本当にあなたが体育祭実行委員会に協力していて星空先輩の事を知っているというなら、あなたと星空先輩しか知らない情報を言ってみなさいよ!」


「ええッ!?」


 それは少し無理難題のような気がする。第一、俺そんなに星空先輩のこと知ってるわけじゃないし。知っているといえば、泣きじゃくったりして感情が昂ぶっている時、何故か俺に抱きついて「パパ」とか言ってくることか、急に脱ぎだして俺に下着姿を晒したくらい? だが、これ言ったらそれこそ俺変態軍団扱いされるだろ!!


「……ええと」


「やっぱりないのね」


「てことは、やっぱり変態軍団の一味?」


「カメラとか持ってるんじゃないでしょうね!?」


「こ、怖い」


――マズイ、早く言わないとどんどん勘違いの度合いが増していく!!



 そう危惧した俺は、思わず焦ってよく考えて選択肢を選んでいなかった。


「今日の星空先輩の下着の色は白だッ!!!」


『……』


 一気に静まり返る場。

 刹那――ザザザッと女子達が腕で胸を庇い後ずさりして部屋の端に逃げた。


「あ、あの……」


「へ、変態っ! う、嘘だとしてもそんなこと許されないわ!!」


「い、いやホントなんだって!!」


「ほ、ホントだとしたらもっと変態だわ!」


「そ、そうよ! そもそもどうして星空委員長の下着の色を知っているわけ?」


「そうだよ! ふつうパンツの色なんて知らないはずだよね?」


「そ、それは……」


 顔を真っ赤にして俺に詰問する女子達。マズイ……これはやっぱりもう一つの方を言った方がよかったか? でも、それはそれで大変なことになりそうな気が……。

 と、その時だった。

ガララララ……。

 突然開かれる扉。振り向くとそこには金色の髪の毛を靡かせる美少女の姿が。足を漆黒のニーソックスに引き締められ、出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでいるその美しい体。そして、引き込まれるようなその綺麗な碧眼の双眸。

 そう、体育祭実行委員長、星空叶愛先輩だ。


「ほ、星空先輩」


「あら、神童くん? これは……どういう状況なのかしら?」


 入室するや否や、今の俺の状況に困惑する星空先輩。だが、それも無理からぬことだ。何せ、女子は部屋の端に移動し、俺は正座させられているのだから。

 俺は事のあらましを説明した。それを聴き終えると、星空先輩は少し恥ずかしそうにしながら納得の声をあげていた。無論、下着の話はまだしていない。


「じゃあ、神童くんがこうなっているのは不可抗力で体育祭実行委員会の部屋に入ったからということね?」


「はい、まさか女子が体操服に着替えているとは思わず……」


「ノックはしたのよね?」


「はい。でも、もしかしたらノックが聞こえていなかったのかもしれませんし……やっぱり非は俺にあると思います」


 俺は素直にそう説明した。すると、星空先輩は怒るどころか申し訳なさそうな表情を浮かべてこう言った。


「ごめんなさい、神童くん。こうなったのも全ては私の責任だわ」


「え? どうしてですか?」


 目を丸くして首を傾げる俺。すると、星空先輩が説明しだした。話によると、元々はこの場所で話し合いをする予定だったらしいのだが、何でも体育祭実行委員会の一部の女子達が体育祭の準備や練習のためにと体操服に着替える際、部屋を使用させてもらいたいと頼み込んできたらしい。頼まれると断れない先輩は、快くそれを承諾したらしいのだが、それを俺に伝える機会を逃してしまったらしい。何ともドジなことで……。

 とまぁ、そういうわけで俺はこうなったそうだ。まぁ、悪気があったんじゃないだろうし、そこまで俺も責めはしない。


「本当にごめんなさい」


「もういいですから、そんなに謝らないでください」


 俺は涙目になっている星空先輩に顔をあげるように言った。先輩はゆっくりと顔をあげて俺にその泣きべそを書いている表情を見せた。思わずドキッとしてしまうが、慌てて顔を横に振って邪な考えを払拭する。すると、端に逃げていた女子の一人がここでとんでもない発言をした。


「先輩! 正直に答えてください!」


「え? ええ……」


 嫌な予感がした。慌てて止めにかかろうとしたが、愛憎と間に合わず――。


「今日のパンツの色、白ですか!?」


「ふえっ!?」


 何とも可愛らしい驚きの声をあげる星空先輩。そして、その質問内容を脳内で繰り返し再生して確認したのだろう。どんどん顔が真っ赤になっていき、俯いてしまった。


「ど、どうなんですか!?」


 質問している女子も恥ずかしそうに顔を赤くしていた。

 それから数秒後、星空先輩が口を開いた。


「そ、そうよ……白よ」


 消え入りそうな声音で、星空先輩はそう告げた。確かに聞き取りにくはあったが、確信は得た。間違いなく星空先輩は今自分で白とそう口にした。それを聞いた女子達は唖然としたかと思うと、一斉に俺へ下劣な者を見るような視線を向けてきた。


――ですよね~。



「し、信じられないわ! 何であなたが星空委員長のぱ、パンツを!?」


「ま、まさかスカートめくりとか? それとももっと卑劣なことを!?」


「ち、違うって!! これには色々あって……!」


「ますます怪しいわ!」


 はぁ、どうにも信じてもらえそうにない。


「ごめんなさい」


 そう口にしたのは俺――ではなく、星空先輩だった。先輩はぺたんとその場に座り込んで、足の間に手をつき、顔を俯かせて肩を震わせていた。


――ま、まさか……。



 再び俺に旋律が走る。あの暗がりの部屋での出来事の再来……か?


「どうしたんですか、星空委員長?」


「ぐすっ……わ、私がイケナイの……うぐっ、何とかして神童くんに協力、してもらいたくて……ひぐっ、だから、それで、それでぇ……」


 嗚咽をあげて、どんどん声が涙声になっていく星空先輩。それを聞いて他の女子達も狼狽しはじめた。


「え? あ、あのす、すみません! 度が過ぎました! すみません、少し気になっただけで! この男が本当に協力者か確認したかっただけなんです! 気に障ったのなら謝ります!!」


「うぐっ……うぇ~ん!!」


――あぁ、ついに泣き出しちゃったよ。こうなるともう抑えられないんだよな。てか、このままだと……。



「ほ、星空先輩! ここで泣いちゃダメですって! バレちゃいますから!!」


 必死に(なだ)めてあの秘密がバレないように努力しているつもりだったが、俺が近づいたのが不味かった。なぜなら、泣いている時の先輩の俺の呼び方は――。


「うわぁ~ん、パパぁ~!!」


――しまったぁあああああああああああああああ!!! 言っちゃったよ、パパって!!



「え……ぱ、パパ?」


 一人の女子がきょとんとなって俺を見る。やばい、バレた。


「あ、あのこれは……その」


「あなた、星空委員長とどういう関係なの?」


 また別の女子がそう質問する。


「まさか、そう呼ばせてるとか?」


「うわぁ、何それ……ヤバい人じゃん」


「い、いやだからこれは!」


 俺は事細かに説明しようとして彼女たちに歩み寄った。

 刹那――。


「こ、来ないで変態っ!」


「やだ、私たちまで取り込むつもり?」


「うぇえええ!? いや、これは――」


「星空委員長を元に戻しなさいよ!!」


 完全に俺が悪者だった。俺はただの被害者なんですけど……。すると、そんな俺と女子生徒との間に星空先輩が割り込んだ。


「やめて! パパをいじめないで!! パパは私を愛してくれてるの! 優しく抱きしめてくれるの!!」


「きゃあああああああ! やっぱり変態よ! 愛すだの抱きしめるだの、明らかに変態だわ!!」


 明らかに誤解してらっしゃいますよ、あなた方……。


「ええい、これ以上話をこじらせるわけにはいかねぇ!!」


 俺はやけになって後ろからガバッと星空先輩を抱きしめた。泣きじゃくって精神が幼児化してしまっている今の先輩を元に戻すのはこれが最適だというのは前回の体験で経験済みだ。


「ぱ、パパ?」


 きょとんとなって俺の腕を掴んでくる星空先輩。そして、声が聞こえなくなる。最初は罵声を浴びせていた女子達もその異様な雰囲気に黙り込む。

 そして数分後――。


「あ、あら? ち、ちょっと神童くん!? 何で急に抱きついてるの!?」


「あ、す、すみません!!」


 俺は慌てて星空先輩から離れた。どうやら、精神が幼児化している時の記憶は曖昧なようだ。

 すると、女子生徒の一人が声をあげた。


「い、委員長……今の何ですか? 今確かにその男のこと……パパって言いましたよね?」


「忘れなさいっ!! いい? 今すぐ忘れるのよ!? あなた達は何も見なかった聞かなかった! 以上!! いいわね? もしも他言したらどうなるか、わかっているでしょうね?」


『は、はいっ!』


 その矢継ぎ早に飛び出す星空先輩の荒げた声に気圧されたのだろう。女子生徒は全員そう返事してそれ以上は何も言わなくなった。


「来てっ!」


 そう言って星空先輩は俺の手を半ば強引に引くと、荒々しく部屋の扉を開けて廊下へ飛び出しどこかへと連行した。




 俺と星空先輩はとある扉の前にやってきていた。


「はぁはぁ、いきなり走り出して……どこなんですか、ここ?」


 呼吸を整えながら俺が質問すると、星空先輩も同様に膝に手を付き息を乱しながら説明した。


「入れば、わかるわ……」


 そう言って扉をノックする。すると、部屋の中から誰かの声が聞こえてきた。


「どうぞ」


 許可をもらい、星空先輩が扉を開ける。先に入るように促されて先に室内へ。そこは初めて見る景色。少し広めの一室に応接間のような感じでテーブルと漆黒の椅子が置かれ、端には金属製の棚が置かれてそこにたくさんの書類やファイルが並べられて収納されていた。壁には絵画と時計が提げられており、目の前には物凄く印象深い出で立ちの机と、椅子、そしてとある一人の女子生徒が見受けられた。

 はて、この部屋は一体?


「とりあえず、そこにかけて?」


「はい」


 ふかふかの椅子に座るように言われ、俺は星空先輩に言われたとおりにする。すごい、座ると沈み込むような感じが俺の臀部(でんぶ)から伝わる。


「お茶をもらえるかしら?」


「はぁ~い」


 星空先輩の頼みに新たな女子の声。少し軽快な口調だ。明るい感じが凄く感じられる。

 俺は少し緊張が強くなってきて、ずっと俯いている状態にあった。すると、俺の視界に誰かの手が伸び、紅茶がテーブルに置かれた。

というわけで、叶愛に会うために体育祭実行委員会の部屋へとやってきた響史でしたが、そこには体操服に着替えている女子の姿が! いやしかし、亮太郎の言ったとおり、案の定響史は怒られるだけで済みましたね。これが不思議な力のおかげなのか。それはさておき、叶愛にも不思議?な力があります。泣き出すと精神が幼児化して子供になってしまうことです。それの解除法はパパと呼び慕われている響史がハグすること。傍から見たらもう変態にしか見えませんけどね。しかも、二人しか知らない事柄がパンツの色というのはいかがなものかと。

てなわけで、四部目はお久しぶりのあの人たちと、叶愛のお姉ちゃんが出ます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ