第四十四話「体育祭実行委員長の追跡」・3
変態軍団の全貌が顕になります。変態発言しまくりなので、ご注意ください。
――しかし、燈達まで体育祭に参加だと? 去年は出なかったクセに、なんで今年は出んだよ! しかも、よりにもよって今年は亮太郎が変態軍団のトップなんだぞ!? そんな状態での体育祭……何かよからぬことが巻き起こるに決まってる! 経験でわかる! 何とか阻止したいが、ジジイの言う感じだともう止められねぇっぽいし……。
嘆息して、ポリポリと頭をかいた。
――ったく、露さんにも何か裸見られた上に殴られたし、今日厄日だな俺。
そんなことを考え、仕方なく話を進めた。
「分かった、んじゃあ当日体育祭来るんだな? 話すことはそれだけ? なら切るぞ?」
〈待て待て……そう急くな。一つ確認したいことがあるんじゃが……響史、ぬし今どういう格好しとる?〉
「え? あぁ、バスタオル一枚腰に巻いてるだけだけど?」
それがどうかしたのかと、俺は不思議な顔をしてそう告げる。すると、受話器の向こう側でジジイが何やら口をパクパクさせて絶句しているようだった。一体何がどうしたというのだろうか?
〈響史……それともう一つよいか? さっき電話に出た子は、誰じゃ?〉
――し、しまったぁああああああああああ! そうだった、忘れてた。この電話、最初に霖が出たんだった!!
「え、り、霖が何か言ってたのか?」
〈……そうか、霖というのか先ほどの娘は。コホン、響史よ……。この際じゃから言わせてもらうぞい? 人はそれぞれ個性があるから面白い……じゃから、そういう趣向に走るのも悪いわけではないのじゃが、さすがに……彼女に“おにいちゃん”と呼ばせるのは、いささか如何なものかと思うんじゃよ〉
――違ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 何を盛大に勘違いしてくれてんの、このクソジジイはッ!! 霖はただの居候! しかも、彼女でもなんでもないし、まず第一に十代前半だからッ!!
しかし、それを堂々と告げるわけにはいかなかった。そうなれば、今度はジジイにこう勘違いされるだろう。
『なッ!? き、響史よ……ま、まさかお主――ロリコンに目覚めてしまいおったのか!? と、ということは先程の娘は……誘拐!?』
と、こうなるかもしれない。すると、その後の俺の人生は――。
ロリコンの変態→幼女誘拐→自宅にて調教→血の繋がらない自分をお兄ちゃんと呼ばせる→幼女に変態行為を働く→近所の住民に知られる→通報→ピーポーピーポー→お縄頂戴→俺の人生BAD END。
――NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!! そんなのダメダメダメダメェェェェッ! この齢で牢屋とか、笑えない冗談にも程があるッ!! これは急いで誤解を解かねばッ! だがどうやって?
俺は思考回路をグルグルと必死にフル回転させながら考えた。頭からジュゥ~ッと湯気が立ち上るがそんなのどうでもいい。今は目の前の状況を回避しなければ! 何としてでもあの白黒怪物から出てくるポリスにだけは捕まるわけにはいかんッ!!
「じ、爺ちゃん。あ、あのな? あいつは友達の妹なんだよ! 実は体育祭の練習でちょっと一緒になってさ? 親がまだ帰ってきてないっていうから一緒にごはん食べて、帰ってくるまで家で待ってたんだよ。それで、俺が風呂入ってたから妹が出たんだよ!!」
〈ホントかのぅ~? 怪しい、怪しいぞい。まぁよい……そこまで言うなら文句はない。まぁ、家に来とる友達が女の子で、劣情抱いて取り返しのつかない事を引き起こすことだけは、勘弁してほしいものじゃ。そういうわけじゃから、これで〉
ブツッ! ツーツー。
そこで通話は切れた。しかし、そうか……茜従姉ちゃんや姫歌従姉ちゃん、そして燈まで体育祭に参加するとは……。
――これはますます大変なことになりそうだぞ? しかも、変態軍団が動きだしてる。確か、明日は何か変態会議を開くとか、七つのなんとかがどうとか言ってたし。
俺は受話器を置いてリビングに戻り、晩御飯を食べ始めながらそんなことを考えていた。
全ては明日から動き出す。本格的に動き出すのはそれからだ。種目決めはほぼ終わっていた。確かに黒板に何やら怪しい種目がいくつか記されてはいたが、別段気にすることは特にない……と思う。
「うぅ~ん」
「どうかしたのか、響史?」
唸り声をあげながらごはんを食っている俺に、霄が訝しんで声をかけた。
「あ、ああ。ちょっとな……」
「ご、ごめん。も、もしかして美味しくなかった? お兄ちゃん」
もしかするとごはんの硬さとかが俺の好みに合っていないのかもと危惧したのだろう。その丸くて青い瞳を潤ませて、霖が俺に謝ってきた。その姿に俺は慌てて弁明した。
「ち、違う違う! 美味しい、美味しいよ! すんごく美味しい! そうじゃなくて、ちょっと家庭の事情というか、学校の事情というか……な」
頬をかきながら言う俺の言葉に、皆はお互いの顔を見ては首を傾げていた。
結局、その後も俺は一言も会話を交わすことなく晩御飯を済ませ、それから二階にあがって自分の部屋でベッドに寝そべり、天井を見上げて物思いに耽っていた。
「でも、何でまた突然、今年に限って体育祭に参加する気になったんだろ。女心ってのは分かんねぇな~。ふわぁ~あ、まぁいいや。別に明日からじゃねぇけど体育祭の練習も始まるわけだし、今日の内に休んでおくか」
そう言って俺は、早めに就寝することにした。
――☆★☆――
次の日、場所は光影学園のとある一室。まるで会議室のような場所ではあるが、照明はついておらず、スクリーンに大々的にある写真が投影されていた。この場には、ただでさえ多いハズの女子が一人もおらず、根暗な雰囲気がプンプン漂う、むさくるしい男の集団がいた。丸く囲まれた台に十一人の男達が鎮座し、その後ろ側を囲むように多くの男子生徒達が立っていた。
「ふぅ、こうして会議を開くのもいつ以来のことか……」
そう言って一人の男が口を開く。その男は机に肘をつき、手を組んでそこに顔を近づけた状態でニヤついていた。まるで変態的な笑みである。すると、男子生徒の言葉に別の男子生徒が口を開いた。
「ヘッヘッヘ、恐らく入学式の時の美少女調査以来ではねぇかと」
下卑た笑い声をあげる男子生徒の坊主頭に、スクリーンから発せられる光が当たってポウッと淡く光る。
「確かに、いやぁあの時の調査はワクワクしてたまらなかったよ、ホント! 歩く度にブレザーを押し上げる女子がいてさ~、もぉ~鼻血を抑えるのに必死だった」
少しツンツンとした髪の毛をした男子生徒が人差し指を立て、入学式の時に見たとある女子生徒の事を語りだす。
「チッチッチッ、やっぱり女子といえばあのしなやかな指でしょ! そこらへん分かってないですね~先輩。あの時見た女子のしなやかな指の長さ……たまりませんね」
少しフワッとした髪の毛をした男子生徒が、指をメトロノームのように左右に揺らしながら熱弁する。
「いやでも、最近入ってきた高等部の一年生は結構有望なのが多いよ。オレもこの間準備運動してる高等部の一年生見ててさ、あのそそる脇がたまらなかったぜ! いやぁ、やっぱり脇は素晴らしいッ!」
長髪にそこそこ美形の男子生徒が、あまりにも見た目とはギャップが激しい変態発言をして、自身の脇を見せるように両腕をあげ頭の後ろで手を組む。
「でも、やっぱり素晴らしいのはお尻だと思うんだヨ。あの美しい曲線……張り、いやはやあの臀部をずっと眺めていたいヨ。よく洋服屋に置いてあるマネキンとかも、最近はよく凝っててサ。お尻の大きさはそれぞれ個性だからこだわらないけど、それでもやっぱり一番好ましいのは安産型かナ。うんうん……みんなもそう思うよネ?」
体型も耳も鼻も目も顎も眼鏡も、全てが丸いシルエットをしている男子生徒が、手でその綺麗な丸みのあるカーブをジェスチャーする。
「いやァ、でも……やっぱり僕は貧乳かなァ。ほら、ジャンプしても揺れることのないあの絶壁……あれこそ境地だねェ。なんていうのかなァ、ロリっ子にはそこまで興味はないんだけどォ、あの触れても効果音が“むにゅん”とかじゃなくて“ぴたっ”っていうのがいいんだよ、これがァ。分かるゥ?」
少し掠れた声音で貧乳の良さを語る男子生徒。その目に光は灯っておらず、顔もゲッソリしていて顔色も真っ青、腕には十字架のブレスレットをつけていた。髪の毛の十本があちこちにハネている。
「何言ってるんだい、童顔女子こそ最高さ。幼女が最高峰なのは揺るぎないけど、年齢を重ねてもいつまでも見た目の大きく変わる事のない彼女達にも、まだまだ数えられないほどの未知の魅力がたっぷり詰まっているんだ」
ふわふわの綿菓子のようなアフロヘアの低身長の男子生徒が、自身の童顔の顔貌をだらしなく蕩けさせ、ニヤついた笑みを浮かべて語る。
「いや、うへへへ。やっぱSな女の子がいいよ! あの強気で相手を見下すような眼差しなんて、睨まれただけで足腰立たなくなっちゃうよ。あぁ、中等部にいた頃に高等部三年の先輩にビシバシ扱かれた時に味わったアレは、もう天にも昇る快感だったね。うへへへ、いけない……想像しただけでよだれが――じゅるり。あぁ、またあの時みたいに、イケナイ僕を足で踏んでグリグリしてくれないかなぁ~、うふふふふふ」
などと、少し危ない匂いを漂わせながらそんなことを口にする男子生徒。その口の端からは涎が垂れていて、どこか恍惚な表情を浮かべて身を捩りながら自分自分を抱きしめ、髪の毛の旋毛辺りからぴょこんとハネている二本のアホ毛を、ぴょこぴょこと動かしている。
「でも、やっぱ全て総合したら微乳にいきつくゼ? だって、あの美しいとはいかないまでも、あの貧乳でも普乳でもない、微妙な位置にある判定不能のあの大きさが、なんとも言えないんだゼ」
ツンツン頭にデコが広い男子生徒が、特長的な語尾でそう言う。
「にゅるぅふふふふふふ! みなさん分かっていませんねぇ~、そうやって自身の趣向に走るのも大いによろしいですが、やはり拙者は女体そのものを激写することに誠心誠意をかけております故。あまりそう言った考えは持てないのですぞ。女体――それ即ち芸術ナリ……ですからして」
独特な笑い声をあげ、手を大きく広げた巨躯の持ち主がそう豪語する。その六角形の眼鏡をかけた太っちょの男子生徒は、ムフフン!とドヤ顔でキメてみせた。
刹那――暗がりの一室に、低い歓声が轟いた。
『おぉぉぉぉぉ! さすがは“ぽっくん”だぁあああああああああああ!!!』
男子生徒達の歓声の中、ぽっくんと呼ばれる巨躯の男子生徒は六角メガネをきらりと光らせ、手を重ねたままシェイクしながらありがとうありがとうと周囲にお礼を言った。
すると、そのいつまでも止まない男子達の声に何を思ったのか、手を組んでいた男子生徒が目の前のマイクを手に取り、スピーカーを通して一つ咳払いをした。
『おっほんッ!!』
『……』
その咳払いに、一気に男子生徒が静まり返り、元の直立不動に戻る。立ち上がっていた巨躯の男子生徒も、口の端を緩ませながら椅子にどっしりと座る。
「……浮かれるのは大変よいことだ。だが、忘れたわけではあるまい? 俺達にはもう時間がない。しかも、今年は去年の雪辱を払わなければならないんだ。そのための努力は惜しまないが、多くの犠牲が必要になることだろう。しかぁぁぁぁぁしッ!! 俺達は仲間だ! 同士だ!! そんな俺達の今回の目的は、にっくき生徒会の体育祭実行委員長を打ち倒し、屈辱を味わわせてやることにあぁぁぁぁぁぁるッ! そのためにも、去年のボスの無念となってしまった『七つの贖罪』――これをやる他ないッ!! 封印されてしまったあの競技を、今年こそ女子達にやらせるのだッ!! だからこそ、これはこの光影学園の全男子生徒の協力が必要となるッ!! 既に中等部の方にも刺客が送り込んである。有能なアイツに任せておけば問題はない。各クラス報告をッ!!」
明らかにこの男子生徒集団のトップと思われる口ぶりで話す男子生徒は、先程咳払いの時には使用したマイクを敢えて使用せず、声を張り上げ口頭で説明した。
男子生徒の命令に、即座に男子たちが動く。
そして、次々と各クラスの現状と、体育祭実行委員についての連絡を報告した。
「そうか……手はず通り、今年は全クラス、体育祭実行委員の男子に俺たちの仲間が入ったか。これで体育祭実行委員会を内側から攻めていくことが出来るッ! ここまでは計画通りだ。この調子で進攻を続けるぞ! 狙うは体育祭実行委員会の頭――体育祭実行委員長、星空叶愛ただ一人だッ!! 去年の頭だった『星空 叶亞』は当時高等部三年生だったため、哀しい事に卒業して学園にいないが、当時委員会の首だった妹の叶愛が残っている! ヤツを倒せば、俺達を育て上げてくれた変態軍団――あらゆる少女を愛で、エロい変態行為を行うフェチ英傑の軍団、略して『アスメフコーフェッグ』の元ボス、『江口 久熊』先輩の無念を晴らすことが出来るんだッ!! そして、念願だった七つの贖罪を成功させることが出来れば、その時俺達は、まさに至高の体育祭をこの目に、網膜に――そして脳内メモリーに永久保存することが出来るのだッ!! まだ初々しい中等部一年生や高等部から編入してきた一年生のあられもない姿を見られるのは、この時を逃して他にないッ!! 全力をもって戦えッ!! 我々の永遠なる敵――生徒会なんかには負けねぇぞッ!! やる気のあるやつは拳をあげろ! 意思表明して俺について来いッ!!」
『おぉぉぉぉッ!! アスメフコーフェッグ万歳ッ! 藍川亮太郎万歳ッ!!』
活気づく大勢の男子生徒達。円形に囲われた机の椅子から他の十人も立ち上がり、この一室にいる全員が、変態軍団の現在ボス――藍川亮太郎を、アスメフコーフェッグを讃えた。
「ナ~ッハッハッハッハッハ! そうだ、もっと称えろ! 俺を称えろ! 待ってろよ、星空叶愛ッ! お前の屈辱して涙して俺に情けない姿を見せるその時をッ!! クックック、こっちには秘策があるんだ……必ずや、必ずや封印を解いてみせる! それまで待っていろ、七つの贖罪よッ!!」
変態を超越した邪悪な笑みを浮かべた亮太郎は、そう言ってラスボスの様な悪辣な笑みを浮かべてくつくつと笑い続けた。
――☆★☆――
「なんですって!?」
「間違いありません。変態軍団がその数を増しているとの情報が」
「くっ! 中等部は? 中等部の男子たちにまではさすがに――」
「いえ、そちらにも既に手が回されていまして……残念ながら」
星空叶愛は参っていた。廊下で体育祭実行委員会の女子生徒と歩いていたのだが、突如変態軍団が大きな動きを始めたことを聞いて焦燥感に駆られていたのだ。去年に比べてあまりにも今年は動きが速すぎる。いつもノロノロとまさしく亀の様に動いていたというのに、どうして今年はこんなにも早いのだろう。
「……こちらの被害は?」
「はい、朝方も一人……お尻を触られたと」
「その生徒は?」
「保健室で唸ってます。相当卑猥な触り方だったらしく……」
その報告を受けて、ますます叶愛は焦った。こめかみ付近を冷や汗が流れる。悔しいが先手を打たれたことに変わりはない。こちらはまだ幹部の情報さえも掴んでいないというのに。しかも、被害を受けた生徒に情報を聞ければ幸いなのだが、どの生徒も皆気絶してしまって意識不明か、もしくは被害にあったショックのあまり、襲った生徒の顔を覚えていないのだ。一体何をすればそんなことに陥れさせられるのか、叶愛には謎でしかなかった。
「それで、麗先輩の言っていた例の生徒は?」
「えと、神童……響史君でしたっけ?」
「そうよ! その子はまだ見つけられないの!?」
ついには一緒に歩いていた女子生徒に当たってしまった。別に彼女が悪いわけでも何でもない。ただ自分の不甲斐なさに苛立ちを覚え、ついつい当たってしまったのだ。
「も、申し訳ありません! なにぶんこの学園は広い上に、生徒も多いので……」
「一年二組所属でしょ? どうして見つけられないの?」
「そ、それが……何度も訪れるんですが、いないんです」
女子生徒はもう既に涙目だった。今にも泣きだしそうな表情を浮かべ、必死に下唇を噛み締めて耐えている。
「くっ! だったら今から行くわよっ!」
「で、ですが、星空委員長自身が行かれるんですか?」
「あなたに任せていたってどうにもならないわ! 自分で行って確かめるだけのことよ!」
そう言って叶愛は、少し歩幅を広くして、早足で一年二組の教室へと向かった。
――☆★☆――
「ん?」
「どうかした、響史?」
俺は教室にいた。でも、何だろう。威圧感じゃないが、何やら誰かに狙われている感覚がした。そんな俺の様子を訝しんだ瑠璃に訊かれ、首を振って答える。
「いや……。何か、誰かに狙われてる気がして」
「む、まさか……新たな護衛役か?」
「何!? 最後の一人が!?」
霄の言葉に、俺は机に寝そべっていた体を勢いよく起こす。
「それはないんじゃない? だって、魔力なんて何も感じないし……最後の一人ってあの子でしょ? あの子結構平和主義だし、学校があってる時に堂々と襲撃しにきたりなんてしないと思うわ」
麗魅がそう説明をくれる。なるほど、最後の一人は平和主義か。なら勝負事にはならないかも。でも分からないぞ? 悪魔の心境なんて人間の俺には分からない。もしかしたら何かのキッカケで変わるかもしれない。油断は禁物だ。でも、悪魔でないとしたら一体これは何なんだ?
「響史響史! そう言えば昨日、二年生の女子生徒が響史を訪ねに来てたよ?」
「俺を?」
霊の言葉に、ふと自身を指さして首を傾げる。二年ということは先輩だ。ふとある変態が脳裏をよぎるが、それなら姉妹である霊が分からないはずがない。とすると、別の人……。一体誰だ? まさか姫歌従姉ちゃん?
「なぁ霊……その女子生徒の特徴とかって分かるか?」
「えと、あぁそうそう! なんかね? 体育祭の実行委員がどうとか……」
顎に人差し指をあてがい、視線を上に向けながらそう口にする霊。同時、俺はその組織名を聞いてビクッと体を震わせた。
体育祭実行委員……。俺が反対する体育祭を実行しようとする委員会の名前。そしてそれは、亮太郎が入っているところでもある。そういえば、瑠璃もやってたな。とまぁそれはさておき、ということはもしかすると、亮太郎が自分ではダメだと踏んで二年の先輩に頼んだのかもしれない。俺に変態軍団に入れと……。だが、その考えはすぐさま払拭された。
まず第一に、女子が俺を変態軍団に入れたがるわけがない。そんなことをすれば、ますます敵が増えるはずだからだ。確か、体育祭実行委員会と亮太郎達変態軍団は敵対関係にあるはず。去年も何か戦ってたみたいだし……。
じゃあ一体、何で俺を訪ねに?
と、そんなことを思っていた矢先――。
「神童響史くんっ!!」
咄嗟に何者かに名前を呼ばれた。聞き覚えのない声。聞くからに女子生徒のものであることは理解出来た。そして、今俺の思考回路内で話題になっていた事柄――体育祭実行委員会。その存在に、今名前を呼んだ人物……。その二つはすぐさま脳内で合致し、俺の名前を呼んだ人物が委員会の人間だということに気付く。
俺は即座に机の物陰に隠れ、教室の外へと逃げ出した。無論、教室にいた生徒に怪しまれて声をかけられる危険性も孕んでいたが、先ほど俺の名前を呼んだ生徒の声に皆が視線を向けていたため、そこらへんは回避できた。そこだけは委員会の女子生徒に感謝である。
俺は逃げ出し際にふと後ろを振り返り、訪ねてきた人物を確認した。片方は、付き添いっぽい感じの紅色混じりの茶髪の女子生徒。その左目は長い前髪で隠されている。もう片方は、生徒会の金城先輩に似たプラチナブロンドの金髪を靡かせ、星柄をあしらった黒いニーソックスを履いている結構巨乳の女子生徒だった。その胸元に押し上げられた緑色のリボンの色等から、高等部三年生だろう。
とにかく今は見つかるわけにはいかないため、気配を消しつつ廊下にいた生徒を壁代わりに、俺はその二人組から逃げ出した。
というわけで、変態軍団の全貌が顕になりましたね。九人の幹部とボス。円状の机に座って、円卓会議ならぬ変態会議ですが、ここでアスメフコーフェッグの意味も分かりましたね。あれはローマ字表記をしたやつの一部を取ってるんです。ちなみにローマ字表記でするとASMEHKOFEGとなります。
さて、サブタイの追跡ですが、結構後半からです。このサブタイ何にしようか結構悩みましたがまぁ追跡が面白いかな?と思ってこのサブタイにしました。




