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魔界の少女  作者: YossiDragon
第三章:六月~七月 体育祭『変態軍団アスメフコーフェッグVS体育祭実行委員会』編
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第四十三話「体育祭に向けて」・3

「亮太郎……。さっき聞きたかったことなんだが、三大交際行事って何なんだ?」


 その言葉に、亮太郎を含めた変態軍団の幹部が互いの顔を見つめ合い、俺の方に視線を向け直すと含み笑いした。明らかにこれはバカにしている。

 俺はムッとなった。


「ぷぷっ……神童、お前知らないのか? なら教えてやる。三大交際行事っていうのはな、いわば俺達モテない組のメンバーがメンツを揃えてお楽しみをするというものだ」


「なんじゃそりゃ……」


 俺は呆れ顔でそう呟いた。

 何でも三大交際行事で亮太郎率いる変態軍団は、準備を施した後に女子の動く姿を目に焼き付けるらしいのだが、俺にはどうもそんなことをしたところでアホらしいとしか思えない。


「何だぁ、神童? その、お前ら高一にもなってバカじゃねぇの? みたいな顔は!!」


「いや、そんなことは思っちゃいないが、恥ずかしくないのか?」


 腰に手を添えて、俺はそんな言葉を投げかける。しかし、亮太郎は鼻を鳴らすだけだった。


「ふんっ、そんなこと俺達はこれっぽちも思っちゃいねぇ!! 俺達はこの三大交際行事に誇りを持ってるんだ!!」


「真剣顔で言う事か、それ」


 半眼で俺は落胆しながら亮太郎に言った。


「うるさい! お前もすぐにわかる事さ、神童。変態軍団の下っ端になったお前に“にげる”というコマンドはないぞ?」


 と言って、亮太郎は俺の顔を指さした。俺は面倒くさいのでさっさと流そうと手を振った。


「あ~はいはい――って、ぬわぁあああにいぃいいいい!? 俺がいつ変態軍団に入団したんだよ!! てか、下っ端ってなんだよ!!」


 聞き流そうとしかけて、亮太郎が口走った下っ端というワードに引っかかり、俺は声を荒げて文句を言った。当たり前だ。いきなりお前は下っ端だったんだとか激白されても困惑ものである。

 すると、亮太郎は腕組みをしてうんうん頷きながら説明を始めた。


「主に雑用をする。俺達の秘密基地を掃除し、食材やお宝本などを購入してきてもらう担当だ」


「本当に下っ端らしい仕事だな――って、そうじゃなくて、何で俺が変態軍団に入ってんだよ!!」


 俺は少々感心しながらも、やはり納得がいかず、再び文句を言った。


「チッチッチッ、分かってねぇな~神童は!」


 指を立ててメトロノームの様に左右に揺らしながら、亮太郎は首を振って呆れ顔になった。


「何だよ……」


「下っ端って言っても、ちゃんと勤めを果たせばどんどん位は上がっていくんだぞ?」


「そうなのか? ――って、だから俺は入らねぇって!!」


「何故だ!! 何が不満なんだ!? むさ苦しい男集団だからか!? 当たり前だ、それがモテない男というものだ!!」


 訳の分からないことをベラベラと口走る亮太郎だったが、冗談のようにも思えない。それほどまでに、俺を変態軍団に入団させたいのか。だが、ここは是が非でもそれを防がねばならない。さもなければ、俺は体育祭でこいつらと一緒に女子軍に滅多打ちにされてしまうだろう。しかも、向こうには悪魔である瑠璃達や護衛役がいる。こればかりは避けなければ!


「とにかく、俺は家事とかで忙しいんだ!!」


「そんなに遅くはかからないだろ! それに、お前の家にはお前と瑠璃ちゃんと麗魅ちゃんだけしかいないだろ? 三人分くらいの料理など然程時間はかからんだろう? それとも何か? お前にはまだ、俺達に隠して一緒に暮らしている飛び切り美少女がいるとでもいうのか、ああん?」


「いや、それは……」


――はい、います! とは言えないしなぁ~。弱ったなぁ。



 俺が頭をかいて困惑していると、雛下が突然猛ダッシュで俺をかっさらっていった。




――☆★☆――




「あっ、いいんちょー! くっそ~、神童が攫われちまった。ちっ、まあいい……。神童の勧誘はまた今度行えばいい。今はそれよりも準備の方が先決だ。現状は?」


 亮太郎のキリッとした顔と言葉に、幹部の一人である鶴吉が敬礼する。


「ハッ! 只今部下の者達がカメラの調達及び、場所の確保を行っています。我々が考案した変態七種目――『七つの贖罪』が通るかは分かりませんが、ボスの伝達通り各クラスに散らばった部下たちが、進んで体育祭実行委員に立候補したそうです!」


「そうか……。ご苦労だった、鶴吉。くっくっく、神童……俺は諦めねぇぞ。三大交際行事の一つ――体育祭。これで俺達は桃源郷を見るのだ! ぐはははははははははははは!!!」


 腕を組んで高笑いする亮太郎。すると、その姿を見て周囲の女子がざわついた。


「ねぇねぇ何あれ?」


「また変態藍川のいつものやつが始まったんじゃない?」


「あははは……」


 女子の一人の言葉に、別の女子が苦笑いする。


「ボス、笑われてやすぜ……」


「ほっとけ! な~っはっはっはっは!!!」


 日暮里がそう声をかけるのも構わず、亮太郎はなおも高笑いを続けた。




――☆★☆――




「はぁはぁ……。助かったぜ雛下。でも、何で俺をさらったんだ?」


「響史くんが困ってるようだったから助けただけだよ? ねぇねぇ、それよりも……やっと二人きりになれたね?」


「えっ、な……何をするつもりだ?」


「そりゃあ、二人きりになってすることって言ったら一つでしょ!」


 そう言って雛下は俺の口元に自分の口を近づけてきた。俺は逃げようとも思ったが、どうも動ける状態になかった。というか、俺は壁に背中を押しつけた状態で、雛下が俺の頭の両横に両手を置いている状態のために横にも前にも動くことが出来ず、四面楚歌状態だったのだ。

 そして、二人の唇が重なろうとした刹那――突然雛下が鼻をつまんでせき込んだ。


「ゴホゴホッ! くっさ~い、響史くん納豆食べたでしょ~?」


「あ~、そういえば朝納豆ごはん食べたな……」


 ふと思い出したことを雛下に告げる。すると、カッと目を見開いて再び雛下がせき込んだ。


「も~、ムードが台無しだよ! まぁいいや、また次の機会にする」


「……二度とやらないでくれ」


「そうはいかないよ、じゃあね~響史くん!」


 雛下は満面の笑みで大きく手を振りながらどこかへと走って行った。


「はぁ……前途多難だ」


「どうかしたの?」


 そう言って俺に話しかけてきたのは、相変わらず顔が瑠璃に酷似している麗魅だった。


「いや、その……雛下が」


「琴音さんがどうかしたの? まさか、あんたまた何かいやらしいことしでかしたんじゃないでしょうね?」


 腕組みして俺の顔を覗き込むようにする麗魅に、俺は手を前に突き出して「ち、違うって!!」と首を振って否定した。


「そう……。なら、いいのよ」


 納得したのか、踵を返して教室に戻ろうとする麗魅に、俺はあることを思って話しかけた。


「おい麗魅!」


「ん、何?」


 顔だけをこちらに向けて早くしてよねと言う顔をする麗魅。その顔を見て、俺は一瞬やっぱり話すのをよそうと思ったが、どうせ呼び止めたのだから言ったほうがいいと思い、口を開いた。


「護衛役って、後一人なんだよな?」


「ええ、そうだけど?」


 だから何? と言った感じに首を傾げて麗魅は俺に訊いた。


「少し気になっただけだ。この間の雪のように、もしも最後の護衛役も幼かったら、俺が霄達を攫ったとか言って襲い掛かってきそうでさ……」


「平気よ。最後の一人は確かに幼いけど、あんたが思ってるほど怖くはないわ」


「そうか……。後、お前は体育祭やりたいのか?」


「そうねぇ~、まぁはっきり言ってどっちでもいいんだけど、お姉様がやりたいって言ってるから、やってみようと思ってるだけ。どうして?」


 今度は向こうから質問された。俺は少し顔を俯かせてその質問に答えた。


「俺は正直、体育祭なんかやりたくないんだ」


「ふ~ん、変わってるわね、あんた」


 さっきまで俺に背を向けていた麗魅が、こちらに体を向き直し呟く。


「そうか?」


 俺は首を捻った。確かによく俺は変わり者だと言われるが、自分ではそうは思わない。まぁ、自分では分からないだけなのかもしれないが。


「もういい? 私お姉様に用があるから……」


「ああ、悪い」


 そして俺は、麗魅との会話を終わらせると屋上へと向かった。

 階段を一段一段上がり屋上へ繋がる扉を開くと、そこには既に先客がいた。長く青い髪の毛を一つに束ね、それを左耳の上で結っている少女。その少女は、屋上から生徒が落ちないようにと作ってあるフェンス越しに、外の景色を眺めていた。


「どうかしたんですか、露さん?」


 俺は後姿を見て露さんだろうと思い、声をかけた。


「あら響史くん、どうかしたの?」


「それはこっちのセリフですよ! こんなところでどうしたんですか?」


「ほら、そろそろ体育祭? とかいうのが始まるじゃない」


 顔はこちらに向けず、声だけを返す露さん。


「ああ、そうですね……。露さんは体育祭やりたいんですか?」


 他愛もない質問を投げかけた。露さんはそんな俺の質問にこう答えた。


「そうねぇ~。まぁ、女子が出るからやってもいいかなぁ~? だって、中等部も高等部も全部揃ってやるんでしょ? だったら、その時にいいポジションから眺めれば、可愛い女子をたくさん見つけられるじゃない!」


――ダメだ。やはり考え方というか、思考回路がほぼ亮太郎とマッチしてやがる!!



「何でそんなに女の子が好きなんですか?」


「だって、可愛いじゃない……♪」


 頬に手を当て、ポッと頬を赤く染めて露さんは答えた。


「は、はぁ……」


「響史くんは女の子……好きじゃないの?」


「えっ!?」


 俺は突然窮地に追い詰められた。なぜなら、どう答えればいいのか分からなかったからだ。もちろん好きですよ。と答えれば、へぇ~そうなんだ~。と言って、露さんのことだからそれをネタにして俺をからかいかねない。かと言って、嫌いです。と答えれば、なんだ嫌いなんだ。じゃあ私のことも嫌いなのね、残念……。とか何とか言って一生口を聞いてくれなくなるどころか、家での付き合いが悪くなり雰囲気も悪くなってしまうかもしれない。


――くそ~、一体どう答えればいいんだ。



「あはははは! もう、ホントに響史くんってば面白すぎ! いや~、反応が毎回毎回楽しくて飽きないわね! 訊かなくても、男の子なんだから女の子が好きなのは当たり前よね?」


「いや、その……」


「うんうん分かってる分かってる。じゃあ、そろそろ戻らないといけないから、じゃあね~♪」


 急に笑い出した露さんは、一人でうんうん頷いて納得すると、時間を確認して屋上を後にした。


「どうやら危機的状況は脱したようだ。とりあえず、俺もしばらくしてから戻るか」


 俺はフェンス越しに外の景色を見て、しばし黄昏ることにした。




――☆★☆――




「はぁ~……」


「どうかしたのお兄ちゃん?」


 エプロン姿の霖が、両手にハンバーグを乗せた皿を持って俺の顔を覗き込んできた。


「うわっ! びっくりしたぁ、いや……その、実は体育祭が近々あってさ……」


「あ~、そのことだね? それなら心配しないで?」


「えっ?」


 謎の笑みを見せる霖に、俺は疑問符を浮かべた。すると、霖はテーブルにハンバーグの皿を置きながら言った。


「体育祭の時の料理も、ちゃ~んとわたしが人数分作るから! だから、安心して体育祭の練習頑張ってね、お兄ちゃん!」


 その満面の笑みを見ては、俺も無粋に体育祭やりたくないから休みたい、とは言いだせなかった。

 結果俺は、体育祭を本当にやることになってしまったのだった……。

というわけで、ストックが全て消化されました。今後は頭の中から直接引き出して書くことになります。なので、今後はもしかすると更新スピードが遅れるかもしれません。まぁ、夏休みも終わるので。

と、ここで次回予告を大まかなあらすじとして載せておくと、生徒会が出ます。多分。あと、変態軍団の幹部が出ます。多分。そんなわけで更新スピードはハイからロウになるでしょうが挿絵は少しずつ入れてくつもりなので、今後も魔界の少女をおねがいしまーす!

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