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魔界の少女  作者: YossiDragon
第三章:六月~七月 体育祭『変態軍団アスメフコーフェッグVS体育祭実行委員会』編
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第四十三話「体育祭に向けて」・2

「あ、後ですね神童君? 先生は神童さんのことを言ったのですが」


「へ?」


 俺は目が点になった。そして、全てを理解して俺の顔が真っ赤になる。そう、俺は早とちりして俺だと勘違いしてしまったのだ。苗字が神童なのだから仕方がない。


「えと、神童さんってことはわたし?」


「それとも、私のこと?」


 瑠璃と麗魅の二人も、どちらのことを指してるのか困惑している様子だった。まぁ、無理もない。すると、そこに亮太郎が自慢げに口を開く。


「無論、瑠璃ちゃんだ!」


「わ、わたし!?」


 少し驚いたような顔をする瑠璃。そういえば、今を思えば体育祭実行委員って男子一人、女子一人って言ってたじゃん。ああ、余計恥ずかしくなってきた!

 結局、俺はそれ以降まともに顔をあげることが出来ず、瑠璃は何かの委員に選ばれたことが嬉しいのか、笑みをこぼしていた。


「えへへ……これでわたしも琴音と同じ委員って責任を負っちゃった!」


 そう言って瑠璃が満面の笑みで嬉しそうに俺と雛下を見ていたことは言うまでもない。

 そんなこんなで体育祭実行委員となった瑠璃と亮太郎は、一時間目の開始のチャイムが鳴るのと同時に席を立ちあがり、教卓の場所まで歩いて行った。

 先生は、パイプイスに座って自分の作業だ。どうやら種目決めはほぼ生徒の自由と見ていいらしい。にしても、種目――何にするんだろうか。俺が半ばワクワクしていると亮太郎がさっさと話を先に進め始めていた。


「んじゃま、とりあえずいいんちょー挨拶よろしく!」


「は、はいっ! きりーつ! れーい! お願いしまーす!!」


 雛下の仕切りで皆が動き、着席する。


「はい、もくそーう!」


 その号令に皆が目を瞑る。その間、俺は小声で亮太郎を招いて訊いた。


「おい、亮太郎! どういうつもりだよ、種目決めって!! しかも、体育祭実行委員に瑠璃って!! お前何を考えてんだ!? てか、そもそも俺体育祭嫌いなのに瑠璃が入ったら何も知らないあいつに俺が教える羽目になって、結局俺が協力することになんじゃん!」


「何ぃ? 神童、お前体育祭が嫌いだとぉ!? 本気でんなこと抜かしてんのか!?」


「お、おう……。何か文句でもあるのか?」


 体育祭が嫌いと言っただけで急に眼がマジになる亮太郎に、俺は少し凄んでしまった。


「大有りだぜ! 体育祭ほど俺達変態軍団に持って来いの行事はない!! ちなみに俺達変態軍団にとっての最高の行事は順に、体育祭、修学旅行、文化祭だ!! その三大交際行事の中の一つを嫌いとは、男の風上にもおけんやつだ!! どこか頭でも打ったんじゃねぇのか?」


 三大交際行事? なんだそれは? と、俺は亮太郎に訊きたかったが、そんなにも長く語っていると黙想が終わってしまう。とりあえず、それらについては後で訊くことにする。


「やめ!」


 俺が亮太郎の言葉に言い返そうとしたところで、雛下の言葉が割り込む。亮太郎はいつの間にか教卓の方に戻っていた。


藍川(ボス)。それで何を話し合うんだ?」


 亮太郎と同じく変態軍団の一人にして幹部の座に君臨している美乳の愛好家(ぷるるん・ラヴ)という異名を持つ男――『日暮里 吉郎』が挙手をして質問した。


「おう、そうだな……。やはり、まずはクラスメイトがどんな種目をやりたいのかを聴いておく必要があるなぁ~」


――あれ? 意外とまともだな……。ふぅ、どうやら三大交際行事がどうたらこうたら言ってたが、真面目にやるつもりのようだ。



 いつ何時何をしでかすか分からない災害児の亮太郎は、先生達にも色々と警戒視されている。特に女教師からは女子のことを心配して特に――だ。


「亮太郎……。まずは大抵レギュラーっぽい感じの百M、千Mとかの競争系は必須なんじゃないか? 後、ムカデ競争とか……」


 顎に手を添えて俺は考え、お決まりの幾つかを亮太郎に挙手で提案した。


「う~ん、そうだな……。確かに女子を走らせることで胸がゴニョゴニョ――」


「え? 最後の部分なんだって?」


「いや、気にするな。こちらの話だ、ふっふっふ……。いや待てよ? ムカデ競争かぁ~……先頭のやつが止まれば後ろにいる女子の胸が、むふふふ――」


 含み笑いをして明らかに何かを企んでいる様子の亮太郎。しかも、またしても最後の部分が上手く聞き取れず、俺は聞き耳を立てるようにして亮太郎に質問した。


「今度は何だって?」


「いや、気にするな……、くっくっく。神童、俺はますます体育祭当日が楽しみになってきたぞ?」


「俺は不安でいっぱいだよ」


 嘆息しながら俺はそう言った。


「あの~、大縄跳びとかはどうかな?」


 恐る恐る手をあげた霊が、猫耳をピクピクと動かしながら提案した。


「お~霊ちゃん、それはなかなかいいアイデアだ!!」


 とりあえず俺は、まだ書き馴れていない文字を書く羽目になった瑠璃に頼まれて、提案された競技を白チョークで黒板に次々と書き留めていった。




――☆★☆――




 それから数十分が経過し、黒板が白い文字でぎっしりと埋まった。白い部分よりもむしろ緑色の部分が少ない方だ。と言っても、たくさん種目が出たわけではなく、ただ単に俺が文字を少しデカく書きすぎて、途中に編集などを施しながら行った末路なのだが――。


「う~ん、とりあえず考えられる種目は全て出し切ったか?」


「パフォーマンスなどはどうするつもりなのだ?」


 珍しく話し合いに参加していた霄が、全く無関心で興味なさそうな言葉を用いて訊いてきた。はっきり言って俺も、霄の口からパフォーマンスという言葉が出るとは思ってもみなかったため、驚愕している。


「パフォーマンス係は既に別の担当がいるから平気だ。質問サンキューな霄ちゃん!」


 グーサインを向けてニカッと白い歯を見せる亮太郎の顔が少し癪に障ったのか、霄は無言で顔の影を強くし、妖刀である斬空刀の鍔に手をかけた――が、さすがに理性が働いたのか、すぐに手を放した。


――ふぅ、危なかった。危うく一年二組が血の海と化すところだったぜ……。そればかりは何としてでも阻止せねばならない。まぁ、そんなことしなくても、亮太郎の鼻血で血の海――ってことも無きにしも非ずかもな。何せ、パフォーマンスの練習とかが入り出したら、男女関わりなく体操服に着替えるのだから。亮太郎も女子の体操服姿に萌え死ぬことだろう。



 と、俺は心の中で思いながらナンマンダブ、ナンマンダブと手を合わせて亮太郎に一礼した。


「ん、どうした神童? やっぱ、本当に頭打ったのか? 体育祭やりたくないなんて、女子じゃあるまいし……」


 その女子という言葉に俺は異常に反応した。どうも、ルナーの奴に幾度も女子にされているせいか、自身が神崎響子となっている時の姿形がなかなか頭から離れないのだ。おまけに亮太郎には、一度響子となっている時の姿を見られてしまっているため、余計厄介なのだ。本来なら記憶を消し去って神崎響子のこと自体も忘れ去ってもらいたいところだが、生憎とそんな好都合な機械はない。まぁルナーに頼めば創ってはもらえるだろうが、その元手が何になるかが問題だ。下手すればまたしても女体化することになる。それだけは勘弁だ。何よりも、クラスのやつらに響子の姿を見られること自体が一番の恥だ。


「それじゃまぁ、今黒板に挙がっている種目の案の中から絞っていくぞ。まずは徒競走系は必須だからいるとして――。あっ先生、そう言えばクラスで幾つ種目の案を出せばいいんですかね?」


 亮太郎が少し申し訳なさそうにしながら、下倉先生に質問した。


「そうですね~。……大体三十個から四十個くらいではないでしょうか?」


「え~っと今出ている案が六十個だから、この中から二十個引き抜けばいいわけだ!」


 黒板に並んだ種目の案数を数えた亮太郎がそう口にした。


「では、引き抜いていきまーす!!」


 ほぼ亮太郎が司会及び進行役を務め、俺は黒板に文字を書いていく系の裏方の係を務めた。それからまた数分が過ぎ、一時間目が終了した。そして十分間の休憩時間。俺は自分の席に戻り、椅子に座ろうとした。しかし、そこに瑠璃が割り込んで来て俺の席を占領した。


「あっおい! ちょっ、何やってんだよ瑠璃」


「響史大変そうだね~! でも、何だかんだで体育祭楽しみにしてるっぽくて良かったよ!」


「いや、あれは楽しんでるんじゃねぇんだよ!! てか、そもそもお前が係だろ? でも、お前が文字書けないっていうから仕方なく――」


「うんうん、分かってる分かってる。要は響史は本当のことが言えないツンデレさんなんだね?」


「いやいや全然分かってねぇよ!! 理解の理の字もねぇよ!! 少しは人の話を聴いてくれ!!」


 全く、瑠璃の天然さにはいつも呆れさせられるが、今回はそれ以上のものだった。

 とりあえず俺は、バッグから水筒を取り出し、お茶をゴクゴクと飲んで一息ついた。




――☆★☆――




 二時間目が始まった。雛下の号令で挨拶を済ませ、話し合いの続きを行った。

 種目は何とか四十個に収まったが、これが本決まりというわけではない。これからさらに種目を絞って行くのだ。何せ、クラスは他にもたくさんある。俺達のクラスだけで種目が決まるわけではないのだ。それぞれのクラスから出された種目案を元に、体育祭実行委員が集まって互いに相談し合い、種目を四十種目決めるのだ。なので、二時間目はそれ以外のこと――即ち、体育祭に向けての会場作りなどの係決めをしなければならなかった。そして、それには班で分けるのが一番手っ取り早かった。俺達のクラスは全員で四十人いるため、一つの班に五人で八班作るのが最もいい。そうして分けられた八つの班は、それぞれ役割分担を決め、それぞれ指示された場所の飾り付けなどを行う。と言っても今日ではない。あくまでも今日はその手前の役割などを決めること。まぁ、それはあっという間に終わった。ちなみに俺の班は八班で、班員は俺と雛下と阿部と霙と飯島だ。


「役割分担どうする?」


「そりゃあやっぱり、私と響史くんでケーキ作りですかね?」


「は? おい、雛下。お前何の話してんだ?」


「あっ、すいません……気にしないでください!!」


 顔を真っ赤にした雛下はペコリ一礼すると、気を取り直して場を仕切り出した。さすがは学級委員といったところか。


「それでは私は、体育祭の看板の飾り付けを手伝う係をしますね」


 一枚の紙に書かれた係分担を確認して、それぞれ指をさして係を選んでいく。


「それじゃあ、俺はこの綱引きの綱を運ぶ係で」


 俺はマシな係がなかったので、まぁ運ぶだけならいいかということで綱を運ぶ係にした。するとそこで、護衛役の一人で女とは思えない程の怪力の持ち主である霙が口を開いた。


「おっ、それ面白そうだなぁ~! んじゃ、あたしもそれで」


 と、俺と同じ係に入ってきた。


「ちょっ霙! 係は一人一つずつだって!!」


「そんなルールあんのかよ~。でもここ見てみろよ響史」


 霙に言われて、俺は指さす部分を見てみた。そこには×2と書かれた文字が――。これが何を意味するのかは俺にもよく分かった。即ち、この綱運び係は一人ではなく二人だったということだ。


「マジかよ」


 あまりにも意外すぎて俺は呆気に取られてしまった。と、そこで、雛下が待ったをかける。


「ちょっとそんなのズルいですよ! 私も響史くんと同じ係がよかったのにぃ~」


「おい雛下、委員長モード委員長モード!」


 幼馴染の雛下になっていたところにすかさず俺は指摘する。


「はっ、そうでした!!」


 ハッとなって、ピチピチと自分の頬を叩く雛下。これでどうやら気合を入れ直すらしい。


「よし!」


 気合十分とばかりに脇を締めて握り拳を作る雛下を見て、俺は少し昔のことを思い出した。いつも、何かする時には先程の動きを取るのだ。

 そして係決めも終わり、体育祭実行委員である瑠璃と亮太郎が班の班長からその係を決めた紙を受け取る。それを下倉に渡すと、二人も互いに席についた。

 と、そこで、下倉が集めた紙をトントンと教卓の上で整え口を開いた。


「とりあえず、サクサクと話し合いも進んで行き、種目も何とか四十種目提案することが出来ました。後は、この種目の内の幾つが選ばれるかですね……。体育祭に使うグラウンドの飾り付けや小道具の準備などの係決めも終わりましたので、これからは自習時間とします。喋るのも構いませんが、なるべく小声でお願いします。それでは、私はこの紙を職員室に持っていきますので」


 と言って下倉は教室を後にした。俺はふぅと疲れた感丸出しで背もたれにもたれかかった。

 すると、雛下が上から俺の顔を覗き込んできた。


「ぬわぁ!!」


「えへへ、響史くん。種目、いいのが選ばれるといいねぇ~」


「あっ、ああ……そうだな」


「もう何、そのそっけない言い方」


 そういう口調になるのも仕方がない。何せ俺は体育祭には反対なのだから。そのことを昨日も家で瑠璃達悪魔に再三説明したが、どうもあいつらは初めて聞く体育祭という言葉にワクワクを感じているらしい。その証拠に、今も瑠璃がはしゃぎ声をあげてそれを双子の妹である麗魅が必死に(いさ)めている。姉がダメだと妹がしっかりするというのもこれを見て納得できる。

 俺は雛下を振り切って、亮太郎の元へと向かった。

というわけで、亮太郎が暴走しだしました。体育祭実行委員に自ら志願。果たしてその目的とは!?さらに、女子は神童くんではなく神童さんということで、麗魅――ではなく、瑠璃に決まりました。うぅ~ん、この組み合わせはどうかと。しかし、体育祭編になってどうやら雛下委員長の様子がおかしいですね。どうやら、軽くプールの時に目覚めかけてしまっているようです。

まぁ、無論響史は気づいてません。

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