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魔界の少女  作者: YossiDragon
第二章:六月~七月 護衛役『現れし青髪の脅威(後)』編
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第四十話「大掃除」・1

 今日は三連休の一日目。

 今日は、今日こそは平和に過ごそう――そう思っていた……。だが、人生そう上手くはいかないのである。

 全ては、とあるおバカツインテチビ発明家に作られた一つの試作品から始まった……。

 三連休でもあり夏休み前ということも踏まえて、俺――神童響史は一人寂しくコツコツと大掃除をしていた。親もおらず、姉も弟もいない天涯孤独(と言っても家族全員死んではいないが)の身である俺は、一人で誰も使用していない空き部屋(物置として使用)を掃除していた。というのも、廃品回収などでいらない不必要な物を片してしまおうと考えていたのだ。

 そして、いる物いらない物に分別中に、俺はついに事件の発端と出会ってしまった……。それはなかなか大きな一つの段ボール箱だった。その段ボールの表面には、なぜか謎の札がペタペタと貼られてあり、怪し気な雰囲気プンプンだった。――まるで、開けてはならないパンドラの箱であるとでも諭しているかのように……。

 しかし、俺はあろうことかほんの少しの好奇心と興味にそそのかされ、その段ボール箱にベッタリ貼り付けられたテープをベリベリッ! と剥がした。そして、中身を確認する……。その中にあったのは、何ともいえない機械? だった。頼んだ記憶もない代物。一目見て、それはルナーが作った物だと理解出来た。


――とすると、無闇やたらに触れない方が身のためだな。



 と、自分自身に言い聞かせ、俺はそれを床にゆっくり丁寧に下ろした。割と重いため、ゴトンという鈍い音が鳴る。その機械には少し大きめのダイヤルや、怪しげなレバーがいくつもついており、さらにはレーザー光線っぽいものが不気味にこちらに標準を合わせていた。


「まさか、何も操作していないのに急に撃ったり――なんてことはないよな?」


 などと独り言を呟いた俺は、少し警戒した後ずっとそれを続けるのがだんだんとアホらしくなり、警戒を解いた。そして、踵を返し空き部屋から出ようとドアノブに手を掛ける。

 と、その時だった。


キュィイイイイイイインッ!!


 という機械の音が聞こえた。まるでその音は何かを一点に溜め、発射する準備を整える音のように俺には聞こえた。しかし、あろうことかその推測は十中八九当たっていた。蛇足すると、一点に溜めていたのはレーザー光線の様なものではなく、何かしらの光の様なものだった。決してその光をレーザーのように発射するつもりは、見た感じなさそうだ。となると、これは一体何をしようとしているのだろうか? という不安に駆られる。さらに言えば、どうしてこの機械は作動しているのだという疑問……。ただ単に俺は地面に――地面に置いただけだ! それがなぜこのような事態を引き起こすのか、俺にはミステリアスでならなかった。

 そんなことを俺が心の中で呟いて、背中を空き部屋のドアにこすり付けていた時だった。

 刹那――眩い光が俺と空き部屋を包み込む。同時に、俺の視界は光に奪われてしまった……。


「うわああああああああああああああああああああッ!!!!」




 気が付くと俺は床に伏せていた。ムクッと体をゆっくり起こす。とそこで、俺はある違和感に気付く。そう、視点がいつもの視点と違うのだ。若干低く感じる……。それよりも、なぜに俺の手はこんなにプニプニで小さいのだ? これではまるで、幼くなってしまったかのような――ッ!!!?

 俺は気づいてしまった。側の壁に設置された鏡に思わず目を釘付けにし、暫しの硬直状態に陥る。

 身長は大体並の机くらい。銀髪の特徴的なツンツン頭にエメラルド色の丸く大きな双眸。さらに、サイズが大幅に合ってないだろうと言わんばかりのずんだれた服……それを身に纏う小人のような少年が、その鏡には映っていた。即ち――俺である。

 すると、ダダダダダダッ! と誰かが大きな足音を立たせながら二階に上がってきた。家族は誰もいないため、必然的に考えられるのは護衛役の誰かか、二人の姫君のどちらか。正解は、二人の姫君のどちらか――ではなく、二人ともだった。


「今の声何? 響史、どうかしたの?」


 俺のことには気付かず部屋の中に飛び込んでくる瑠璃。俺のことは全く眼中にないようで、視線を下に下ろすこともしない。


「ん? あっ、えっ……ちょっ! お、お姉さま! そ、それ……」


 震える声を何とか喉の奥から振り絞り、双子の姉である瑠璃に伝える麗魅。同じく震える指でさしていたのは、幼くなってしまった俺だった。


「な、なんだよ!」


「うええええ~っ! うっそぉ~、超かわいいっ♪」


 急に俺の体を掴み、自身の胸に抱き寄せる瑠璃。俺はまるで人形の如く荒しく抱きしめられた。瑠璃のやたら大きめの胸が俺の顔に密着し、窒息しそうになる。


「ちょっ……ムググ! く、苦ちっ! ち、ちぬ!! ちんじまうって!!」


「あっ、ごめん!」


 本当に苦しそうな声を出す俺に気づいたのか、慌てて俺を離す瑠璃。


「――ぷは~っ!! マジちぬかと思ったぁ~」


 俺は床に手をつき呼吸を整えながら自身の安全を確認する。


「ていうか、きょ、響史……なの?」


 オロオロした感じで俺に問う瑠璃。


――分かってなくて抱き着いてきたのか?



 と、今更ながら呆れる俺。


「ああそうだよ」


「どうしてそんなプリティーな姿になってくれたの?」


 爛々と目を輝かせながらそう尋ねる瑠璃に、俺はムッとして小さな手で指差しながら文句を言った。


「おい、そこは心配しゅるとこだろ!」


「わぁ~、台詞噛んでる~♪」


 頬を染め、愛くるしい物を見るような眼差しで俺を見つめてくる瑠璃。俺は思わず麗魅に助けを求めようとそちらに視線を向けた。


挿絵(By みてみん)


「お、おい麗魅。た、たちゅけて!」


「――ぁ、……その」


――どうしたんだ? なんか、いつもと違う雰囲気が。



 魚のように口をパクパク動かしながら少々頬を赤らめている様子の麗魅。その心境が俺にはよく理解出来なかった。すると、堪らなくなったのか、熱の篭った感じの声で麗魅が口を開いた。


「お、お姉さま……次私、いいかな?」


「うんいいよ♪」


 何かしらの順番を俺をほったらかしにして決める瑠璃と麗魅。はて、一体何の順番だろうか?

 刹那――俺は瑠璃とは異なり、ほんのり柔らかい感じの暖かな二つの何かに包み込まれた。


「ほんとかわいい! も、もうダメ……我慢できないっ!!」


「ぬごぉぉぉぉぉ!! や、やめりょ……やめてくりぇ~!!」


 そう、瑠璃と同様、あろうことかあの麗魅までもが俺に頬を摺り寄せ抱き着いてきたのだ。もう何が何だか俺の思考回路では理解できなかった。一つだけ分かる事……それは、麗魅も可愛い物には目がないということだ。




 三十分後……。

 俺はなんやかんやで話をまとめ終え、小さくなった原因とその犯人と(おぼ)しき人物を伝えた。しかし、二人とも俺の話なんか完全無視で、ずっと頬を赤く染めっぱなしでこちらを温かい眼差しで見つめ続けている。


「だ、だからしょの……ルナーを探ちて欲ちいんだ!!」


「「かわいいぃぃぃっ☆」」


 二人の声はほぼ同時だった。さらにそこへ、天井の一角が開きそこからルナーが相変わらず逆さ状態での登場を果たす。


「やっほ~!」


「やっほ~! ぢゃねぇよっ! 早くおりぇの体を戻ぢやがれ!!」


「あはは、あんた何? 女体化の次は幼児化? 何それ、超ウケるんだけど!」


 ルナーはシュタッと忍者の様に回転しながら床へと着地し、同時に俺の姿を見るなり腹を抱えて笑い出した。


「そもそも、それ封印しておいたはずなんだけど。どうして開けたりしたの?」


「封印ちてた? 嘘つけ! 普通に札かにゃんかが貼ってあっただけだったじょ!!」


 俺は言葉がカミカミなのも気にせずルナーに食ってかかる。すると、さすがにそれは(こた)えたのかムッとなって俺に言い返してきた。


「耳元で叫ばないで!! 私のせいじゃなくてそれは瑠璃のせいでしょ?」


「えっ? 私そんなの覚えてないけど……」


 突然自分の名前を呼ばれてきょとんとなる瑠璃。それに対し、ルナーは呆れ顔で額に手をやり言い返す。


「何言ってるの? 数か月前に渡したでしょ? えっと、ほら……あの水滝? とかいう娘と戦ってた時」


「……ん~、あっ! あの時かぁ~!!」


 思い出したように曇った表情を一気にパワ~ッと明るくする瑠璃。


「しょれはもう今更いいから、早くおりぇを元に戻ちてくりぇ!! このままぢゃ、大手を振って外を歩けない~!!」


 俺は涙目でルナーに訴えた。本当は泣くつもりなど毛頭なかった。しかし、幼い姿になってしまっているせいだろう。俺は泣きやすい体質に戻ってしまっていた。

 元々小さい頃は泣き虫だったからな……。それも女である雛下以上に……。


「分かった、分かったから! もう泣かないでよ~! 何だか私が苛めてるみたいじゃないっ!!」


 手を前に出し、まぁまぁと泣いている俺を制するルナー。付近で座っていた瑠璃と麗魅の、何か言いたげなムスッと口をへの字にしている姿を見て罪悪感を感じたのだろう。

 結局俺はその五分後、元の姿に戻ることが出来た。

 何でもこの機械は、ルナーが作った発明品の一つで『老若変換機』という物らしい……。名前からも怪しさ満点な代物だが、ある意味これは上手く使うと結構役に立ったりする代物でもあった。

 俺が触らないように気を付けていた大きなダイヤル……。あれは、そこにふってある数字にダイヤルを合わせ、レバーを倒すことで年齢を変えるパーツだったのだ。

 例えば数字を八の部分に設定したら八才児に。九十に設定したら九十歳になるというわけだ。

 タイムマシーンなどでは、本来自分自身が未来に行ったり過去に行ったりすることでその周囲の景色を見る事が出来る代物だが、この場合、自分自身が満足するというよりかは、過去の姿にしたり未来の姿にしたいという相手が満足する代物である。要は、幼馴染などは古くから一緒に付き合っているため、成長の姿もちょくちょく目にしている。しかし、高校生で友達になったりして、そいつの昔の姿が実際に見てみたいな~、なんて思っても実際には無理。そこでこれを使うと、そいつの昔の姿を見てこんなやつだったのかなどという赤裸々な過去が知れてしまう……という、使った人物は満足、使われた人物は不満という何ともいえない発明品なのだ。

 だが、ここでよく考えてもらいたい。これを作ったのはあくまでもルナーなのだ。

 ルナーといえば、欠陥欠陥欠陥と、とにかく欠陥の文字が横並びになる人物だ。即ち、この発明品にも無論欠陥があるわけで、そのデメリット部分というのが、過去の姿になったり未来の姿になっても現在の時間を生きている自分の意志が残ることだ。

 えっ? でもそれって別にいいんじゃないの? なんて思う人物もいるかもしれない。しかし、それでは過去の姿を見てどんなやつだったのか――などということを確認することが出来ない。何せ、意志があるのだから、零才に戻したとしても「バブバブ!」とかではなく「えっ、何?」と普通に喋るというわけだ。これでは意味が無い。

 しかし、これはこれで相手は不満でも自分は満足なのだ。つまり、さっきとは逆になるというわけだ。何せ、意思は今のままなので、体――即ち外見だけが変わることとなり、中身は変わらないので、自分の姿を見て楽しむなどということが出来るというわけだ。

 これらのことから、この老若変換機は結構役に立ったり立たなかったりする代物なのだ……。

 そして、それから話は進んで行き、さらに事件は展開することとなる。

というわけで、四十話に来てなぜか幼児化。しかも今回の話少し長いです。

発端はルナーが初登場した時に瑠璃に渡した荷物が問題。そう、あれフラグだったんです。ここでフラグ回収です。

そして八歳児になってしまった響史。さてさて、これからどうなるのか。

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