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魔界の少女  作者: YossiDragon
第二章:六月~七月 護衛役『現れし青髪の脅威(後)』編
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第三十六話「身体測定」・2

「お、おい。今のって……」


「言うな! 俺達は何も見てない! 見てないんだ!!」


「そ、そうだよ……な。うん何も見てない! 何も見てない!!」


 亮太郎に言われ、俺も致し方なく頷いた。これ以上追及すると、本当に今の何かについて調査しなくてはならなくなりそうだったからだ。


「どうする?」


「よしっ! 隣のロッカーに入ろう!」


「そうだな」


 そう言って俺は隣のロッカーに手を伸ばし扉を開けた。そして、中に入ろうとしたまさにその時である。突然亮太郎に右肩をガシッと掴まれ引き戻された。


「ぬわぁっ! な、なんだよ!!」


 首を傾げどうかしたのかと言った顔をする俺。すると、亮太郎は半眼で俺を見つめ言った。


「な~に人の場所を横取りしてんだてめぇは!」


「はっ!? 何言ってんだ!? 俺が開けたんだからここは俺の場所だろ!? 第一他に後四つ――じゃなくて三つあるんだから、そこ使えばいいだろうが!!」


「っざけんな! 俺がこの場所を提供したんだぞ、俺の場所だ!!」


 俺と亮太郎は互いに言い争った。

 と、その時、保健室の外――即ち廊下から女子の声がした。確か、俺の記憶が正しければ三年→二年→一年という順番だったため、三年の女子だろう。


「まずいぞ、女子が来た!!」


 亮太郎に慌てて告げる俺。


「落ち着け同志よ!」


「誰が同志だ! って、そんなこと言ってる暇はねぇ!!」


 そう言って俺と亮太郎は互いに奪い合いを繰り広げながらロッカーに入りこみ、扉をガタンッ! と激しい音を出させながら閉めた。同時にガララと扉が音を立てながら開き、保健室に大量の女子が群れとなって入ってくる。


「あっぶねぇ~」


 声を極力小さくし、小声で喋りかけてくる亮太郎。

 俺達二人は速まっている心臓の鼓動を落ち着かせた。手を口に押し当てはぁはぁと吐息が洩れるのを押さえる。なるほど確かにロッカーから眺める保健室の光景は素晴らしい物だった。ロッカーの扉には、俺くらいの身長なら目線が丁度くらいの位置に横に三本穴が開けられているのだ。本来ここは閉め切った際の空気の入れ替えのような役目を果たしているのだろうが、実際の所はよく分からない。しかし、今のこの細い穴は亮太郎の様な変態にはうってつけの代物に変貌してしまっていた。


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ! 素晴らしい、これは素晴らしいッ!!」


 小声で声を荒げる亮太郎。というか、こうやって密着しているとすごく暑いし男同士の抱き合いなど気持ち悪いだけなのだが。しかも今の季節は夏。こう閉め切った場所に入っていると、体力的にも限界があった。すると、ロッカーの外でも進展があった。俺の予想通り女子達は全員三年生だったのだが、その彼女達が整列を完了させて体操座りをしていたのだ。

 と、そこへ、保険医の美川先生がどこからともなく現れる。


――!? バカな! 扉を開けて入ってきていないということは、ここに既にいたのか? だが、そうだとするとどうして俺達は先生にいるのがバレなかったんだ!?



 と俺は疑問に思った。

 そうこうしているうちに先生は話を済まし、女子達はわーきゃー騒ぎながら身長やら体重やら座高やらを測り出した。しかし、俺達――もとい亮太郎の目的はあくまでもそれではなく、発育測定という名の物だった。この身体測定は身体測定などと言っているが、実際のところそれだけを行うわけではない。身体測定、発育測定、健康診断の三つを兼ね備えた代物なのだ。そのため、亮太郎はその三種の中の二つ目、発育測定を楽しみにしているのである。

 そして、待ち望んでいた発育測定の順番が回ってきた。そこで亮太郎が一層目を輝かせる。というのも、発育測定では下着姿になる。その光景を脳内保存しようと試みているのだ。俺は昔ならば亮太郎と同様のことをしていただろうが、今となってはその必要もなくなってしまった。そのため、横目で亮太郎の姿を観察している方が思いのほか楽しかった。


「おい見ろよ神童! あの子、すんごく胸が大きいぜ!? く~っ、生きててよかったぁああ!!」


 亮太郎はすぐ隣にいる俺を手招きし、美川先生に胸部を測定されている女子を指さした。


「あ、ああ……そうだな」


 俺はああそうだね、と言った風にその手招きを軽くあしらった。


「ったくお前はいいよな! 一つ屋根の下で瑠璃ちゃんや麗魅ちゃん達と暮らしてるんだからよ! く~っ! 俺もお前みたいに美少女な妹キャラを肩に抱いてウハハハな気分を味わってみたかったぜ!」


「あのなぁ……。第一、お前んとこだって妹いるだろ? ほら雪菜ちゃんとか」


 隣で悔し涙を浮かべている亮太郎に、俺は雪菜ちゃんのことを話した。すると、急に真面目な顔になり、キリリッと眉毛を釣り上げこう言った。


「あー、あいつはダメだ! あいつにはこう、グッと来るような萌え~! な感じが足りない!!」


「そうなのか?」


「そうなんだよ! それに比べて瑠璃ちゃんや麗魅ちゃんのことを想像してみろ! まずは瑠璃ちゃん! あのツインテールにあの胸の大きさはまさしく萌えだろ?」


「そうか?」


 俺はう~んと首を少し傾げた。


「分っかんないかなぁ~。例えば考えてみろ……瑠璃ちゃんがお前の部屋で裸Yシャツでペタンとお姉さん座りしている光景を!」


――ッ!?



 俺は思わず鼻血を出しそうになった。本当にその様な光景を頭の中に想像――いや妄想してしまったのである。すると、さらに亮太郎は続ける。


「次に麗魅ちゃん! 彼女はツインテールではないが、あの持ち前の性格がある! あのツンデレ感、たまんないだろぉ~? あんなので健気にもお弁当作ってくれて『べっ、別にあんたの為に作ったんじゃないんだからねっ!?』なんて言葉を繰り出されてみろ! 俺は一発で昇天して天国行きだ!!」


 熱く俺にそのような事を語り続ける亮太郎。俺はう~んと考え込みながら本当にそのような現象が起こりうるのかどうか考えていた。

 と、その時、亮太郎がまたしても俺の横でおぉ~っ!! と歓喜の声を小声で上げた。また、あまりにもその目の前の光景が素晴らしかったためか、身を乗り出し過ぎて思わずロッカーの扉に手が当たってしまった。


バンッ!!


 ロッカーの扉の音が響き渡る。騒がしかった保健室が一気に静まり返り、同時に女子達の視線が一気に五つのロッカーに向けられる。


――ゴクリッ!!



 俺達二人は同時に息を呑んだ。ここでバレたら俺までひどい目に遭わせられるのは必然的だ。ここはどうあってでもバレないようにする必要がある。

と、その時、ロッカーの前に一人の少女が仁王立ちした。長い黒髪の頭にカチューシャを着けており、さらに髪の毛はウェーブがかっていた。


「おおっ! あれは生徒会長の『神王寺(しんおうじ) 天祢(あまね)』先輩!!」


 亮太郎がさらに小さな声で俺に言った。


「生徒会長!? あの人が?」


「お前知らないのか? あの人の美貌、それはそれは美しいと評判なんだぞ?」


「そうなのか」


 俺は全くその事を知らなかった。興味がないと言った方が妥当かもしれない。


「あの体つき、たまんねぇ~!」


 亮太郎は今の状況がピンチであるにも関わらず、鼻の下を伸ばしていた。すると、その生徒会長とやらの隣にもう一人女子が姿を現した。それが誰なのかはさすがの俺も分かった。青髪に青眼ではあるが、護衛役の人間ではない。髪の毛をポニーテールにしており、目が少しクリッとなっている美少女。それは、以前俺が光影中央公園で戦った相手――水滝麗さんだった。


――あの人、この学園の生徒だったのか。しかも生徒会。やっぱり生徒会にはなぜか太陽系の守護者がたくさんいるよな。まさか、あの生徒会長も!? ……まさかな。



 俺はそう高を括って、未だピンチに変わりない目の前の状況を心臓の鼓動を高鳴らせながら見ていた。


「会長、どうかしたんですか?」


 麗先輩が、生徒会長の神王寺先輩に訊く。


挿絵(By みてみん)


「いえ。ただ、このロッカーから変な音がしたものですから」


――やっぱり聞こえてた!?



「そうですか。それは確かに怪しいですね」


 そう言って麗先輩は俺達のいるロッカーに近づいてきた。


「ま、まずいっ!!」


 俺は目を見開き絶体絶命を覚悟した。

 刹那――麗先輩は足をつまづかせ、俺達――の隣に設置されているロッカーの扉にガタンッ! と顔を思いっきりぶつけてしまった。


「いったたたた……」


 反動で後ろに下がり、ペタンとその場に座り込んだその時である。


ギィィィィ……。


 と、音を立てて扉が開いた。そして、ロッカーの中にある――いや、いるものを見た瞬間、鼻を押さえたまま顔を上げた麗先輩や神王寺先輩、及び周囲の三年女子が目を見開きその口をめいっぱい開けて声を張り上げる。


「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」


 口々に悲鳴を上げる高等部三年女子。

 なぜなら、そこにいたのはカメラを構え、黒縁の四角い形をしたメガネをかけた、鼻の下を盛大に延ばしているあの中年太りのメタボ男だったからだ。

 三年の女子達は一斉にそのメタボ男を取り囲んだ。顔を真っ赤にして、胸や下半身に手を当てて隠している。そして、口をへの字に曲げて眉毛を釣り上げ相手を睨み付けていた。当の本人はと言うと、よほどの変態なのか、睨まれているのに一向にニヤついた顔つきをやめない。

 結局その男は女子達にボコ殴りにされて保健室の外へと放り出された。というよりかは、蹴り出されたという方が妥当か。


――ゴクリ! 俺達ももしかしたらああいうことになってたかもしれない。



 そう思うと、冷や汗がこめかみから流れていくのが理解できた。生唾を呑みこみ、横目で亮太郎を見ると、さっきまでニヤニヤしていたが、今の騒動で顔つきが通常モードになり、さらにその表情を強張らせていた。


「あ、危なかったぁ~!」


 と表情を強張らせたまま胸を撫で下ろし、安堵のため息をつく亮太郎。内心では俺もこいつと同様に胸を撫で下ろしていた。いっそのこと、三年女子が身体測定やら発育測定やらを終えたら、むさ苦しい会議室に帰ろうかとも思っているくらいだ。しかし、懲りないのかそれとも自分はあんなヘマはしない! という絶対的な自信を思っているのか、亮太郎は次の二年生の身体測定にも出席するようだ。


――ホントこいつは生粋の変態だな。まるで露さんみたいだ。



 そう俺が思っていた時、ふとある嫌な予感が俺の脳裏に駆け巡った。


――そう言えば、二年って確か露さんだった……よな? あの人は可愛い女子なら誰でもいいと来てる。例えそれが人間であったとしても。となると――大変なことになりそうだ。



 隣で未だに興奮している亮太郎を横目で見ながら俺は無言でそんなことを考えていた。




 そして、三年の女子の身体測定などが終わり、二年の女子がやってきた。本当は俺も隙を見て帰ろうと思ったさ。だが、そう上手くもいかなかった。なんと、さっきの騒動で時間が少し延びてしまったせいか、三年の女子と入れ替わりになるように二年の女子が入れ違いで保健室に入ってきたのだ。


――う、ウソだあああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!



 声に出して叫びたかったところだが、生憎とそういうわけにもいかなかった。まぁこんな状況だ、仕方ない。

 二年の女子達は、三年生と比べてやはり少し幼い雰囲気の残っている女子が多く、亮太郎も俺と同じ意見なのか隣で同じようなことを呟いていた。しかし、亮太郎はそれだけでは飽き足らず、いたらぬことも呟いていた。


「やっぱ、三年と比べて二年はまだまだ発育途中のやつが結構いるなぁ~!!」


 この一言。隣にいるのが俺ならまだしも、今の発言を他の女子が聞いていたら即座に亮太郎は血祭りに上げられていただろう。


「神童もそう思わないか?」


 俺に同意を求めてくる亮太郎。


「そうか? 中には胸の大きい女子もいるみたいだが」


「まぁそれはそれだ。割合的には小さい子が多いだろ?」


「まぁ、確かに言われてみればそうだが……」


 そう俺が呟いていたその時、近くを青髪の少女が横切った。――露さんだ。相変わらず長い髪の毛を耳の少し上の部分で一つにして束ねている露さん。しかし、結んでいて尚この長さ。結ばずにいたら地面に髪の毛がつくということだろうか。それはある意味見てみたい気もするが、今はそんなことを考えている暇はない。


「おぉっ!? おい神童、あの人は誰だ?」


 亮太郎が指さす方を見てみる。それはさっきから俺が見ていた相手――露さんだった。

というわけで、ついに始まった身体測定並びに発育測定などなど。変態二人もとい、三人の目の前で肌を晒していく三年生女子。が、そこで一名がリタイアです。いやはや、女子怖いですね。とまぁ、それはさておき、こんなところで初登場の生徒会長。この人も今後絡みます。そして、お久しぶりのご登場、水滝麗生徒会副会長。初登場時、響史のことを知っていたのでなぜなのかというフラグがここで回収されたわけです。しかし響史は生徒会長も副会長も知らないってどんだけ話聞いてないんですかね。

そして、二年生の番になって登場した露。ここで亮太郎がまたしても興奮気味に。仮にこの二人が協力しあったら凄まじい変態コンビが誕生しそうです。てなわけで、三部目で今回の話も終わりです。

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