第二十五話「緑の髪の不審者」・2
「悪い…それどころじゃなくなった!」
「…どういうことだ?」
急いで弁当を口の中にかきこんでいる今の俺には、霄の質問が聞こえていなかった。
そして、弁当を包みカバンの中に入れると急いで少女の後を追った。しかし、一足遅かったのか、彼女の姿はどこにもない。
俺は階段近くまでやってきた。周囲360度全てを見回すもののどこにも緑色の髪の毛の少女はいない。一体どこに消えたのだろうか…。
と、その時、シュンッと何かが俺に向かって飛んできた。俺は反射的に身を屈めそれを躱した。すると、壁に何かが突き刺さる音が聞こえた。ゆっくり上を見上げると、そこには矢の羽根の部分に文がくくりつけられていた。
――こいつ、一体何時代の人間だよ!!
というツッコミをしながらもその紙を広げると、そこには“屋上にて待つ”との文字が記されてあった。
「屋上か…」
俺はすぐそばの階段から一番上の最上階へと上がり、そこから屋上へとつながる道へと進んで突き当りのドアの前に立つと、ドアノブをゆっくり回し屋上へと出た。
左右を確認しそれから前を見ると、目の前に…例の少女が金網のフェンスに背中をもたれ腕組みをして俺のことを待ち構えていた。
「あんたか? この文を射たのは…」
「ええ…そうよ。人間界の人達がどんな手段で情報を伝えるのかは知っていたけれど、携帯アドレスを聞き出すってほどヤボなことしたくはないし…そうなると、これしかないかな~と思ってね」
少女はフェンスから背中を離すと、ゆっくりと俺の近くに歩み寄ってきた。
「くっ!」
俺は今朝のこともあり、少し彼女に対して警戒心を抱いていた。
「そんなにビクビクしなくても何もしないわよ…」
「じゃあ、どうしてあの時…俺にキスしたんだ?」
「あの時? …ああ今朝の…。あれは、あなたの力を試したかっただけ…」
「力?」
「そう、力…。私には自分の力を相手の体内に流し込むことで相手の力などの明確な情報を知ることが出来る力があるの…。この力はすごく神経を使うものだから、しばらくは派手に動けなかった。だから、あなたの前に現れるのがこんなにも遅れることになったのよ…理解してもらえたかしら?」
少女に訳の分からない話をされて、俺はさらに疑問が増えた。
「じゃあ、あの時のキスは俺の力を知るために?」
「そういうこと…。ようやく分かってきたみたいね」
「お前、一体誰なんだ?」
「…名前を教えてほしかったら、まずは年上に対する口調をどうにかすることね? 神童 響史くん…」
「なぜ、俺の名前を?」
俺は少し驚いた。確かに彼女は相手の明確な情報を手に入れることが出来るとは言ってたものの、まさか名前まで知る力があるのかという可能性については考えなかったからだ。
「あなたは、魔界では有名だからね~」
「魔界…って、やっぱりお前悪魔だったのか!?」
「あら…バレてたの?」
「今朝……早朝も俺の家の前にいたんだろ?」
「そこまで気付いてたのは驚きね。……霄ちゃんに訊いたの?」
「なぜ霄のことを!?」
「そう…」
彼女は一体何者なのだろうか…。だんだんと俺は不吉な予感を感じ始めていた。
俺は相手の正体がますます気になり始め、とりあえず彼女に敬語で訊ねてみた。
「すいません…。あの、あなたは一体誰なんですか?」
その言葉を聞いて彼女は小さく笑うと、笑顔で俺にこう言った。
「やればできるんじゃない…。いいわ、ご褒美に教えてあげる。私の名前は『水連寺 露』…。護衛役よ!」
「す…水連寺一族!?」
俺はそれだけは絶対にないと思っていた。何しろ、今までのやつらの特徴…そして話に聞いて来た条件とは、彼女は全く一致していなかったからだ。しかし、それが相手の策だということに俺はすぐに気付いた。
「私は変装を得意としていて、情報を手に入れるスパイなどの役割を主にしているの…。だから、変装するのはお手の物…。まぁ、変装以外にもいろいろな格好したりもするけどね…」
「えっ?」
「ふぅ~、にしてもこの変装にも難点があるのよね~。水の力を使って対象物の着ぐるみのような物を創り出すんだけど、結構これが髪の毛が蒸れて困るのよね~。はぁ、あっつい、あっつい!」
少女――露はそう言って、まるで変装の名人ことル○○三○の様に変装を解くと、蒼て長い綺麗な髪の毛が姿を現した。
「や、やっぱり…水連寺一族」
俺は護衛役のその髪の毛を見て確信した。だが、まだ気にかかる部分がある。そう、目だ。目はまだ緑色のままだった。目はさすがに変装の時に変えられないようだ。
「その目はどう説明するんですか?」
「あ~これ? これは、カラーコンタクト入れてるだけ…」
下を向き、目からカラーコンタクトを取り出した相手の少し潤んだ瞳を見ると、確かに水色だった。
「ほ、本当だ…」
俺は相手を尊敬した。ここまで完璧に変装をこなす人物を生で見るのは初めてだったからだ。
「ところで、ここに来たあなたの本当の目的は何なんですか?」
「やっぱり…気になる? 気になるわよね? でも、分かってるんじゃない? 今までの時と同じよ…。姫様達を返して!!」
露は単刀直入に言った。確かに目的は今までのやつらと同じようだ。だが、俺には相手がそれが本心ではないように思えた。
「どうしたんですか? 随分と何か思い詰めてますけど…」
俺が相手に訊くと、彼女は少し意外に思ったのか少し驚いたようにして俺に言った。
「へぇ…意外ね。人間にも分かるんだ…悪魔の心情…まぁ無理もないか。第一、悪魔と言っても純粋な悪魔じゃなく、人間の血も4分の1は入ってるクォーターだからね…」
少し気になる言葉を口にしながら相手は話を進めた。
「私の本当の目的は別にあるの…。本当の目的は、姫様達よりも妹達を返して欲しいの…」
「妹達?」
「ええ…」
「どうして?」
俺は理由が気になり相手に訊ねた。すると、その口から出た答えはとんでもないものだった。
「………きだから」
「えっ…、あのよく聞こえなかったんですけど…」
「うぅ…、妹達が好きだからよっ!!」
ヒュゥウウ~。
夏だというのに、なぜかその時ムワッとする熱気ではなく、冷気が吹きつけたような気がした。
「あの~、妹達が好き…って…、要するに…シスコンですか?」
「ち、違うわよ? 私は別に…そんなんじゃ、もちろん澪ちゃんだって好きなんだから」
俺はその時とんでもない新事実を発見してしまった。水連寺露…。彼女は、とんでもない変態だということを…。
「それはあまりにも……あの、あれですね…」
「なっ! そ、そそそんなの私の勝手でしょ? あなたには関係ないじゃない! あなたに人の趣味をとやかく言われる筋合いはないわよ! あなただってかわいい妹達に囲まれてハーレムになって嬉しいんでしょ?」
「べっ、別に俺はそんなことは…」
急に俺についての話題を相手が振ってきたため、俺は思わず焦って顔を背けてしまった。すると、その隙を狙って護衛役である露が槍の様な物で攻撃してきた。
「うわっと!」
「くっ…、さすがに今まで数人の護衛役と相手しただけあって反射スピードはなかなかのものね…。でも、それだけじゃこの私の攻撃を全て防ぎきることはできないわ!」
露は、武器を上空に掲げ勢いよく回しだした。高速回転する槍はだんだんと円形に見え、それはまるで円輪の刃のようになった。そして、それを思い切り俺に向かって振り下ろした。
俺はギリギリのところで避けたが、ついさっきまで俺がいた場所の足元はまるで抉るかのように削られていた。
その光景に思わずゴクリと息を飲んだ。
「ふふっ…どう? 驚いた?」
「ふんっ…これぐらいのことは今まで何人もの護衛役を相手にしてきましたから何ともありませんよ!」
俺はわざと強がって見せた。確かに俺は、霄や霙など恐ろしいほど力のあるやつらと戦ってきた。霙とは戦ったわけではないが…。雫もそうだ。
――そういえば、最近あいつ見ないな…。
などと思いながら、俺は相手の様子を窺った。すると、露は武器を持ってそれを空間を裂くように思い切り横に振るった。
「これでもくらえぇぇぇぇ!」
そう言って露の武器から出現したのは、水が鋭く尖り、鋭利な刃のような状態になった衝撃波だった。
俺はさすがに躱すことは不可能だと直感で感じとり急いで夜月刀を取り出した。
「そ、それは…まさか、妖刀『夜月刀』!? どうしてあなたがそれを…」
露はすごく驚いた顔をしていた。
「これは瑠璃にもらったんです…。俺もはっきり言って最初の時は驚きましたよ。でも、それももう慣れました。さぁ、まだ…やりますか?」
「ええ…まだ、あなたの実力がいかほどのものか見極めていないからねぇ♪」
露さんは和やかに微笑みかけながら武器を構え、魔力を放出し始めた。その量は異常で、さすが霄の姉というだけのことはあるなと思った。
「行くわよ!」
「くっ!」
俺は相手の攻撃を夜月刀で防いだ。しかし、露はそれを予想していたかのように一歩身を引き、そこから武器の槍の先端に魔力を集中させ、
「千連水操!!」
と言って連続突きを繰り出してきた。その威力は凄まじいものだったが、俺は負けじと夜月刀でその突きを全て防いだ。
すると、俺のその様子を見た露はビックリしていた。無理もない。俺は、自分でも驚くほど早いスピードで繰り出されている相手の攻撃を全て同じスピードで防いでいたからだ。
「……こ、これはどうなってるの? おかしい…人間にこんな力はないはず。そもそも、妖刀をどうして人間に扱うことが出来るの? そんな話、前例にないわ…。ふふっ、ますます興味が出てきたわ…神童響史くん! おもしろい…霄でも防ぎきれなかったこの技を防ぎきって見せなさい!!」
露は俺の僅かな隙の部分に入り込み、そこから突きを繰り出してきた。
――取った!!
さすがにこれは俺も防ぎようがない…そう思っていたが、その時、夜月刀を握っている方の手が勝手に動き自動的に露の攻撃を刀身で防ぎ切った。
「う、ウソ!?」
信じられないという声で露は首を僅かに左右に振りながら後ずさりした。悪魔が人間を怖がる決定的瞬間、俺はそう頭の中に思い浮かべた。
「はぁはぁ…まだやりますか?」
「くぅ…まだ……よ!」
疲れ切った声で必死にガクガク震える足を立たせると、真剣な目で足を踏み込み一気に俺に向かって突っ込んできた。
――今だ!
俺はジャストタイミングで武器を振るった。すると、その斬撃は露の顔の数ミリ前をかすめた。そして、露が手に持つ武器が弾き飛ばされ宙を舞うと、俺の後ろに落ちた。
「…ふぅ、終わりです。これ以上戦う訳にはいかないので…」
「ふふっ……、あははは! やっぱり君面白いねぇ……最高だよ、響史くん! でも、妹達をここに残すわけにはいかないわ!」
露は笑ったかと思うと、またしても冷静な表情になり護衛役である妹達の話をした。だんだんとその話にも飽き飽きしていた俺は、思わずとんでもないことを口走ってしまった。
「……んなに、…そんなにあいつらと一緒に居たいなら、人間界に居ればいいじゃないですか!! ここは、露さん達を追い払ったりなんて野暮なことをしたりしません!! 好きに居ていいんです! 霄や霊達と一緒に居たいなら、俺の家に来ればいいじゃないですか!!」
「えっ…でも、…いいの?」
「もう何人もいるんです! …それに、俺の家は…そんなに人がいるわけでもないのに、違和感があるくらいデカかったんで、それくらい人数がいたほうが逆に自然なんです…。それに、あいつらも喜ぶと思いますよ? さぁ、どうします? 悪い話じゃないと思いますけど?」
まぁ、露が妹達をあらぬ方向に向かって溺愛していることに対しては目をつぶり、俺は相手に手を差し伸べた。露はその場にペタンと座り込み下を向いて俯いていたが、ゆっくりと顔を上げると目に小さな涙を浮かべて俺を見つめた。
俺は一瞬目をそらし、頬を人差し指でかいた。
ガチャッ!
屋上の扉が開く音が聞こえふっと後ろを振り返ると、そこには霄が息を切らしながら扉に手をついていた。どうやら、必死に俺の行方を探して走り回っていたようだ。
「どうかしたのか?」
「ん…、はぁはぁ…き、響史! 今、朝方のやつの正体が分かっ…――」
霄は途中で話を止めた。目の前に座り込んでいる露の姿が目に入ったからだ。
「露――やはり姉者だったか…」
「…ら」
「ん?」
「そぉぉぉぉらぁぁぁぁあああ!!」
露はさっきまでとは一変して、急に一歳年の離れた霄に抱き着こうとした。しかし、そのギリギリのところで霄は冷静にサッと身を躱した。そのため、露さんはそのまま地面に墜落した。
「うぐぅ…イタタ。痛いよ~」
「ふん…自業自得だ! まったく…姉者がここに何をしに来たのか――は大体想像がつくが…」
「え~? なになに? 私がここに来た目的、…霄ちゃんは分かってるの~?」
露――いや、露さんは満面の笑みでイライラしている霄の顔を覗き込みながら言った。
「くっ…うるさい! 近づくな!!」
「あれ~、そういえば…しばらく見ない間にまた胸大きくなった?」
妹に抱きついたままイヤらしい笑みを浮かべる露さんのその一言に、ついに堪忍袋の緒が切れたのか、霄は剣を鞘から抜き取り掲げた。
「待て待て霄! いくら露さんが変態だからって、実の姉を殺しちゃダメだろ?」
「くっ! ……今回…、だけだからな…」
「!? …あの霄ちゃんが、あっさり言うことを聞いた? …ふふっ、やっぱりあなたは面白いわ、響史くん…」
そう言って露さんは口の端を吊り上げて、何かを企むかのような笑みを浮かべていた。
――☆★☆――
現在時刻は5時10分…。
午後の課外も終わり、響史達は家路を歩いていた。その後ろ姿を何かを企んでいるかのように見つめる謎の男子生徒と女子生徒…。その二人は彼らが家へと入って行くのを見届けると、すぐ横の交差点からどこかへと向かっていった。
――☆★☆――
家に帰りついた俺は
「ただいま~」
と、疲れた声で言った。すると、そんな俺を迎えてくれたのはルナーだった。
「おかえり…どうだった? 今日もまた何かあった?」
「まるで、何かあるのが当たり前みたいな言い方だな…」
「いい加減、私に対するその口調…学んでくれないかしら?」
「ダメだ! 俺はどうもお前にだけは敬語で喋れない…。多分、その見た目がダメなんだよ…」
俺はルナーの体を指さして言った。何度も言うが、ルナーは身長も低いし体も小柄。その上、顔も幼さがどことなく残っている。それでいてなぜか胸だけは普通にあった。少なくとも麗魅よりかは――。
「あん?」
「うっ!」
俺はなぜ、心の中で思っていることを読み取れるのかと不思議に思いながら、靴を脱いでリビングへと向かった。
バックを丸テーブルの近くに置きテレビのスイッチを押す。
「そういえば、瑠璃の様子はどうなんだ?」
「大分よくなったけど、それでもまだ栄養失調のせいか、なかなか体力まで回復しないのよね…。熱は引いたから大丈夫だけど…、学校に行くための体力がちょっと…」
ルナーの説明に、俺はいいアイデアを思い付いた。
「そうだ、お粥だよ!」
「“おかゆ”? 何それ…」
初めて聞く言葉に興味津々のご様子のルナー……。
「おかゆってのは、ご飯を少しベチャッとした感じのやつだよ……」
「よく分からない…」
「響史は説明ヘタクソだもんね~!」
霊がフォローに回ったのだろうが、その一言が俺にトドメをさした。
「うっ…ええい! だったら実物見せてやるから少し待ってろ!」
俺はその場に立ちあがり台所へと向かった。すると、その時、ルナーの目線が最悪にも久し振りに妹達にあえて幸せ気分を満喫中である露さんと合った。
「わあ~! かぅわぁいいいぃぃぃぃぃぃいいいいい!!!」
露さんは目を輝かせながらルナーに抱き着いた。突然のことにルナーは霄のように躱すことが出来なかった。
「はぁ~♪ 頬もスベスベで気持ちいいわ! あなた名前は?」
「えっ? ちょっ…る、ルナーよっ!!」
ルナーは少し迷惑そうに露さんの顔をどかそうと両手で押し返すが、なぜか力負けしていた。まぁ、一応露さんは瑠璃と麗魅の叔母さんだが、二人とあまり年が変わらないからな。ちなみに、年齢は確か17か18だったと思う。
「少し悔しいのがこの胸……。こんな幼い顔してるのに…どうしてこんなに大きいの? もはやこれは兵器よ、兵器!!」
そう言ってルナーの胸をジト目で凝視する露さん。
「えっ…ちょっ、やだ…離してよ! 何なのこいつ~!! ちょっとあなた達、こいつ離しなさいよぉぉぉぉ!!」
「……」
皆、露を厄介払い出来てありがたく思っていたため、誰も気づかぬふりをしていた。
「だ、誰か助けてぇぇぇぇぇぇえええええ! いやぁぁぁぁぁあああ!!!」
結局、それからしばらくの間、ルナーは露のおもちゃにされた。
「ふぅ…出来た! お~い、ルナー! ほら、これがおかゆだよ…って、どうしたんだ?そんなに汗かいて…」
「はぁはぁ…ちょっと、ね…」
ルナーは乱れた服を整えながら言った。露は満足そうに頬を染めて、両手を組んで天を仰ぎ見て一人だけ別世界に旅立っていた。いっそのこと、そのまま一度転生してきてくれないかと、俺は思った。
「こ、これが…おかゆ?」
「ああ…。これを食べて、その後たくさん汗をかいて、後は……栄養ドリンクとか飲んどけばなんとかなるだろ!」
俺は今まで自分が風邪を引いたときの対処法を懸命に思い出しながら言った。ルナーは分からない言葉だらけで困惑している様子だったが、俺にはちゃんと分かっているのでそのまま話を進めた。
「それで、瑠璃はどこにいるんだ?」
「一応、あなたのお姉さんの部屋に寝かせてるけど?」
部屋の場所を確認した俺は、おかゆをお盆に乗せ、それを瑠璃の元まで運んだ。
二階に上がり、扉を開けると俺は姉ちゃんの部屋に入った。
そこには、掛け布団をかぶり、顔だけひょっこり出している瑠璃の姿があった。確かに顔の火照りも機能と比べて大分熱と共に引いているみたいだが、やはり体力がついてないのか、少し元気がなかった。熱さまシートも既に冷たさを失っていた。
「大丈夫か?」
「う…うん。ごめんね…響史。迷惑……かけちゃって」
「いいってそんなこと! …俺が怪我した時もお前が必死に看病してくれたんだろ? だったら、これは俺がお前にしてやれる一番の恩返しだと思うんだ」
「ふっ、響史は優しいね……」
「そう……かな」
俺は少し照れくさそうに鼻を触った。
「後、これ……おかゆだ」
「おかゆ?」
「ああ…。俺の世界で言うまぁ薬みたいなものかな? まぁ、苦いってわけじゃないからとにかくふぅふぅして食べてくれ!」
「……食べさせて?」
「えっ――」
「お願い……あ~ん…」
俺は、これも瑠璃に対する恩返しの一環だと思って、瑠璃の小さな口に自分の口で冷ましたおかゆをレンゲにいっぱい乗せて入れた。それを瑠璃はモグモグと味わいながら飲み込んだ。
「どうだ? 美味しいか?」
「うん! ありがとう響史! 何だか、気のせいかもしれないけど元気出てきた……!」
「そうか、それはよかった!」
こうして一日が過ぎ、俺の家はまた賑やかになった。これで護衛役も残り数人…。果たして次にくる護衛役とは誰なのか? 最近、太陽系の守護者を探したりしていないが、一体どこにいるのか…俺はそんなことを想いながら、今日も美少女に囲まれて狭苦しい中就寝した……。
というわけで、新たな護衛役こと、水連寺露の登場です。妹や姉を溺愛する変態さんです。同じ姉妹である霄や霊達も相当手を役人物で、一応三女なのに、バカばかりやっているので、年下のように扱われます。ちなみに武器は今回の話の中でも出た槍で、必殺技が『千連水操』です。
後半は、瑠璃に体力をつけさせるためにお粥などを食べさせてあげました。確かに、風邪の時にはお粥はよく食べますよね。
次回は、今回の話の最後辺りに出てきた二人の生徒が行動を開始します!




