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魔界の少女  作者: YossiDragon
第四章:七月 現在『欠けた一部と空白の四年間の記憶』編
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第五十三話「七日間大舞台準備」・1

四年前の事件後、七日間にかけて響史が目を醒ますまでの再現をするのですが、その前に五十二話で響史の親族に台本とDVDを提供した人物の正体と魔界の少女に触れます。

※注)変態成分多し

 時は少し遡って関係者が病院にいる頃、エメラルド色の長い髪の毛を耳の上で束ね左右に垂らした、白衣姿の小さな女の子が路地を歩いていた。サイズが合っていないのか、裾は地面すれすれで、下手をすればその裾を踏んづけてずっこけてしまいそうだった。そのくせ胸は体に対してアンバランスにもデカく、クリーム色のセーターを大きく押しあげ、一歩歩く度にたゆんたゆん揺れている。まるで、そこだけが別の生き物の様に。

 その少女は白衣のポケットに手を突っ込み、ふと病院のある方を見た。


「はぁ、ったく……少しはいいところ見せとかないと、年上の威厳ってものがないからね。それに、あなたは鏡界(むこう)での、私の退屈しのぎだったわけだし。でも、ちょっと大変だったからチャラってのはダメね。まぁ、今回は貸しよ、神童響史。この借りは……そうね、響子として返してもらおうかしら? うふふ♪ そうとなれば、さっそく計画(プラン)を練らなければならないわね」


 踵を返して口の端をつりあげると、何かを企んでいるかのような笑みを見せて、少女は歩き出した。


「にしても、不審に思って改めて調べてみたけど……あの一家――いや、あの一族……結構複雑な関係にあるのね。発明家としてもだけど、研究者としても探求心くすぐられまくりな案件だわ。まぁ、だからこそ手を貸したんだけど。タイムリミットは七月二十一日。それまでに神童響史をなんとかしないといけない。それまで、私はあの子達を言いくるめとかないとね」


 一見幼い少女――ルナーは、一人夜の路地を歩きながら独りごちた。


「そもそも何か違和感を感じてた。あの神童響史の身辺、両親は共に出稼ぎとかで隣町に出てたらしいけど、そこがまず変だった。第一、父親が社長なんだから、お金を借りるくらいは出来るはずだし。それに、それを拒んでいたとしても、そこまでお金に困る程やりくりが大変ってわけでもなかった。あいつが学校に行っている間にいろいろ食材だとか生活用品調べさせてもらったけど、そこまで必需品が足りなくはなかったし。だとすれば、理由は別にある。だから、以前作ったタイムマシンでタイムスリップした。そして、驚くべき真実を知った。それで納得したわ。両親は出稼ぎで家に息子を残したんじゃない。その息子から身を置くために――いいえ、距離を置くために……逃げ出すために息子を残したんだと。そもそも、最初に家を出たのは姉だった。そう、あの鬼っ! あいつは弟のために、そして自分のために距離を置こうと、彼氏と暮らしているとか嘘まで()いて両親の用意した家に独り暮らししてた。挙句の果てには、何の事情も知らない弟を巻き込ませるわけにはいかないと、両親の計らいで、一番仲の良かった弟の友達がいる雛下家に事情を説明して預けさせた。名目上は泊まりとして」


 長い台詞を淡々と口にして、踏切前で立ち止まる。遮断機が下りているのだ。

 電車を待ちながら、夜空を見上げてルナーは再び口を開く。


「惨めなものよね。それであいつは独り寂しく暮らして、私達が現れるまでずっと寝食を一人でしていたんだから。さぞ辛かったでしょうよ……なにせ、家に帰っても会話をする人が誰もいないんだもの。話し相手を無理に作るなら、鏡に映った自分かしら。だから、その鏡に声をかけている時、鏡界にも声が聞こえてた。無論、鏡界には私一人しかいないから、声なんて普通はするはずがない。まあそれでも、鏡を見ながら独り言している時とかは聞こえるけどね。でも、話しかける……なんてことはありえない。すぐに見つけられたわ、あんたが喋ってる姿をね。ただ、どうしようもなかった。だって、鏡から出てきてこんにちはなんて出来るはずないでしょ? でも、そこにあの子達――瑠璃達が現れた。それが彼を変えた。以前に比べて随分と顔つきは良くなったし、健康状態も良好だった」


 ルナーは、独り暮らしを始めて間もない頃の響史を知っていた。それは、彼が独りぼっちで孤独な気分を紛らわすために鏡に向かって喋っていたからだ。

 鏡は、鏡界の入口であり出口だ。つまり、鏡界に同じく一人天涯孤独に住んでいる支配者のルナーには、その声が届くのだ。確かに鏡が近くにあれば声は聞こえる。ただ、明らかにこの声だけは別物――まるで鏡の向こうにいる誰かに話しかけているように声がしたのだ。無論、話しかけられる声なんてするはずもない空間に誰かから話しかけられる声がすれば何者かと探す。それはルナーも同じで、声のする方へ近づいて辿り着いたのが、鏡界に存在する響史の家だった。

 洗面所の鏡に向かって喋っている響史を見て思った。少なからずの話し相手が目の前にいると。ただ、鏡界を支配する以上、この世界を部外者に知られる訳にもいかず、話し相手がいるのに話す事も出来ずにルナーはもどかしい気持ちで響史の話を聞いていた。

 その内それが日課となり、彼の身辺を探るようになった。

 最初はただの興味だった。響史があまりにも辛そうに家族の事を話すので、調べたのだ。そして、過去へと行く内に知った響史の身に起きた悲劇。

 ルナーは同情どころかこの男の子を助けたいと思った。でも出来ない。何かの役に立つかもと、思わず意識が覚醒するまでの七日間のビデオを撮っていたが、それも何故かは今思えば不思議だ。第一、普通ならば、相手が苦しんで親族が悲しんでいるのに、それを映像で録画するだなんて不謹慎すぎる。非道にも程があるというものだ。だが、それが結果的に功を奏した。実際、タイムマシンはその時以降使えなくなった。いや、使うのが恐くなったというのが正直なところである。

 他人の過去を暴いて嫌な思いをする。すべてがそうとは限らないかもしれないが、当時十三歳だったルナーの心にはすごく堪えたのだ。


「はぁ……。鏡界なんて、一人でいるもんじゃないわね」


 嘆息してルナーは遮断機が上がった踏切を歩いて行く。

 四年が経とうとしている事件の全貌を知る数少ない人間の一人であるルナーは、瑠璃が魔界から家出をしたことも知っていた。意外と鏡界に一人でいても、情報網はあるのである。そして、姪である瑠璃が響史に出逢ったことも知った。最初は運命のいたずらかとも思った。ただ、偶然にしては出来過ぎているものの、これを利用しない手はなかった。

 それからは、面白いように瑠璃を魔界へ連れ帰るために護衛役が人間界へとやってきて、響史と戦ったり対話して、取り込まれるように響史の家に住み着いた。そして、あの血生臭い古の一族だった水連寺一族の面々が、どんどんその(うみ)を取り除かれたように柔らかい顔つきになって、響史と会話している。それを見てルナーは、響史は響史なりに努力をしているのだと思った。もう我慢できない……彼を、失われた記憶と忌まわしき事件という名の呪縛から助けたいと思った。

 そんな時、瑠璃が五界の存在を響史に伝えた。後遺症を負った響史は、もしかするとその話もいつか忘れてしまう恐れがあったが、この機会を見逃すわけにはいかないと思った。

 そして、太陽系の守護者の話があって彼らとも接触するようになって、数日後。

 響史が水星の守護者である水滝麗と戦ってピンチに陥った際、ルナーはついに我慢出来なくなって彼の前に姿を見せた。そこからはもうなし崩し的に響史の家に居候し、悪態を突く事はあるものの、気づけば仲良く(?)なっていた。無論、年上に対する礼儀というものが欠けている事に関しての文句は否めないが、それでも接触は果たした。後は、響史の記憶を戻すキッカケを作るのみ。

 そこで、体育祭という話を知った。そうだ、ここだ。ここで響史の親族が多く集まる。もうここしかチャンスはないと、ルナーは悟った。

 そして、案の定響史は四年が経とうとしている時に心揺らぎ、その欠けた記憶が戻りかけた。ただ、一つ失敗があった。それは、体育祭での敗北だ。

響史と星空叶愛が体育祭の勝利を約束していたなんて露知らずのルナーは、そのことを後で知って絶句した。失敗した。発明も幾度となく失敗している自分だが、こればかりは笑いごとでは済まされない。自分のせいだ……自分がこの機会を利用しようとしたから、そんな上手い事いくかい! という感じで天罰が下ったのだろう。そのせいで、今現在響史は意識不明の状態だ。

 こうなればヤケだと、ルナーが病院へ向かい、随分前に用意していた計画を医師に命令――もとい、伝えて今に至るというわけだ。

 この、一度聞いたセリフをもう一度聞くという滅多にない現象が、どう響史の体に影響するかは定かではない。もしかすると、また失敗するかもしれない。本当にリスクの大きい賭けなのだ。だが、自分はここまでしかできない。なにせ、自分は親族ではない。後は、本当の親族に託すしかないのだ。

 相手には知られていないものの、たった一人しかいない響史の独り言の聞き手。自分が響史を見ていた事を知られようが知られまいがどうでもいい。ただ目覚めてくれればそれでいいのだ。本音を言えば、こんな賭けみたいな事をするなら記憶なんて戻ろうが戻るまいがどうでもいい。ただ、死なないでいてくれたら、忘れないでいてくれたらいいのだ。

 そんなことをずっと考え、時折ボソボソと口に出している内に、現在居候している響史の家へとやってくる。


「一見、お金持ちの孫の家だとは……とてもじゃないけど、思えないわよね。ん?」


 と、そこで、何やら人の気配を感じたのでルナーは視線を向ける。すると、そこには約十人ほどの少女たちの姿があった。


「あら、あなた達……全然姿を見ないと思ったら、ここにいたの?」


「うぅ~、お、ば……ぁ、さん」


「ちょっと待ちなさい! 今あんた、さりげなくお婆さんって言ったでしょ!? ふざけないで、まだ孫を持った覚えはないわよ!!」


「お、お腹が減って力が出ないよ~」


 ぐぅぐぅと空腹を訴える瑠璃のお腹の音に、ルナーは半眼になる。


「家に入ればいいじゃない」


 腰に手を添えてやれやれという風にルナーが言う。しかし、麗魅が首を横に振る。


「ダメ、家には入れないわ。霖が響史に鍵を預けているらしいの」


「うん、れみ姫さまの言うとおり。お兄ちゃんが防犯上のために鍵を持ってるって言ってたから、それで……」


 今こうして閉め出しみたいな状況に陥っているのは自分のせいだろうと、自身を責め立てるような霖の言い方に、露が声をあげる。


「心配しなくても大丈夫だよ、霖ちゃん! いざとなったら、雫お兄ちゃんの家にいけばいいんだから!」


 人差し指を立て、ルンルン気分でそう口にする彼女は、どさくさに紛れて霖の幼い肢体に抱き着こうとした。


「こらっ! せやからアカン言うてるやろうが!!」


「いたっ! もうっ、痛いわよ霞お姉ちゃん!」


 手刀で脳天にチョップをキメられ、涙目で露は訴える。これでは、露より下の妹達には姉としての威厳など、露には微塵も感じられないことだろう。


「全く……血で血を争ってきた古の一族が、こんな情けない姿を見せているとはね……。あいつに会って相当牙を抜かれたようじゃない?」


 水連寺兄妹達のふれあいを見ていたルナーが、嘆息混じりにそう言う。すると、霄がその言葉に反応を示した。


「ん? 響史の事か? 無論すべての牙を抜かれたというわけではないのだが、やはり……響史に出逢って、私達も変わったとは思っている」


 思えば、響史に一番最初に感化されたのは霄だった。魔界では、同性ならまだしも異性ならば、その身に触れただけで斬り殺されると言われるくらいだった。まぁ、それは今もあまり改善されていないが。そんな霄も、だいぶ短気な部分を克服している。そのため、イラッと来ても即座には抜刀しなくなった。ただし、怒りが一定量を超えると抜刀してしまうのがたまにキズではある。


「ま、確かに響史は他の人間とは違う部分があるよねー。私達みたいに、なにか重たい過去でも背負ってるよーな……」


 霊の言葉に思わずビクッと肩を震わせるルナー。当然だ、狙っていないとはいえ、霊の言葉は事実だからだ。響史は重たい過去を背負っている。そして、その重たい過去に立ち向かおうと親族一同病院にて奮闘しているのだ。


「お姉様の言うとおり、私もここ最近あの男が不穏な動きを見せているのを見かけてますのよね……」


 霊に同調するように、ふと響史について気に留めた事を口にする霰。


「え、どういうこと!?」


「へ? あっ……えと、ここ最近やたらと頭を押さえているんですの。まるで、何かに苛まれているように……」


 それを聴いて、ルナーは内心納得していた。間違いない、後遺症の影響だ。四年が経ち、もうそろそろ枷が取れるのだ。その枷が、最後の抵抗とばかりに響史の脳にダメージを与えているのだろう。つくづく厄介な障害である。


「ね、ねぇ、それは後回しにして、家の中に入ろうよ」


 瑠璃がやたらもじもじ体をくねらせて皆に催促する。すると、それを少し訝しんだ霙が疑問に思った事を口にした。


「どしたんだ、瑠璃ヒメ? あっ、もしかしてトイレ?」


「ひゃあああああっ! あぁん、言わないでよぉ~! ね、ねぇ早く家入ろ? さ、さっきから我慢してるんだよぉ~。うぅ、早くしないと漏れちゃうぅ~!!」


 身じろぎする度に膝小僧を擦り合わせる瑠璃。すると、その瑠璃の言葉に一人が興奮し出す。


「ルリ姫ちゃんがお漏らし!? なにそれ、なんてフラグよ! 高貴な身分であるお姫様がそんな羞恥に陥るだなんて!! はぁ、ハァ――あ、れ? あれ、響史くんのツッコミがない……」


 興奮して鼻血を垂らしかける露だったが、寸前で冷静になってキョロキョロとツッコミ役の姿を探す。


「おねえちゃん、人の話訊いてた? お兄ちゃんは今いないんだって。だから、ツッコミ役は霞おねえちゃんしかいないよ?」


「そ、そんなぁ~!」


 嘆息して言う霖の言葉に、露はまるで絶望の様な顔でその場にガックシと四つん這いになって項垂れた。

 ルナーは、姪の情けない姿を見下ろして提案しようと声をあげた。


「トイレなら、近くのコンビニとか公園に行ってしてくればいいじゃない」


「だ、ダメだよ~! だ、だって……響史言ってたもん、夜の公園とかは危ないから近寄ったらダメだって」


 必死に尿意を堪え、健気に響史の言いつけを守っている瑠璃。


「じゃあ、コンビニは?」


「……何の買い物もせずにただトイレ借りに来ただけって、店員さんに嫌な目で見られそうで……」


 普段は天真爛漫で天然っ気を爆発させている瑠璃だが、意外にもそういう部分は気にするようだ。


「はぁ……ここの近くに鏡のような物はないし。公園まで行ってたら……漏らしちゃいそうだしね」


 瑠璃はもう限界が近いのか、その場に座り込んでしまっていた。


「しょうがない、私が家の鍵開けるから、あんた達そこで待ってなさい?」


「え? 叔母さま、家の鍵持ってるの?」


 不思議そうに麗魅が疑問の声をあげる。


「叔母さま言うな! もうっ、私が誰なのか忘れたんじゃないでしょうね麗魅? 私は五界を統べる支配者の一人よ?」


 そう言うと、腰のポーチから一つのブロックを取り出した。大きさは角砂糖一つ分。それを親指と人差し指で挟むと、それが眩く光り出す。光が消える頃には、淡く光を放つ一つの正方形の鏡が現れた。(ふち)は幻想的な装飾が施されており、最低でも人一人は入れそうな大きさだった。


「夜とはいえ人目につくかもしれないから、なるべく大きさは控えめにしたわ。さ・て・と、準備は出来たから行ってくるわね?」


 そう言ってルナーは鏡に片手を触れた。その触れた部分から一気にズブズブと体が入り込み沈んでいく。鏡面はまるで水面のように波紋を広げ、消えて行く。

 そして、完全にルナーの姿が鏡の中に入り込んだ。同時、その鏡がグニャリと空間を歪めて消えた。


「あ、改めて見るとスゴイなぁ、ルナはんの力……」


 あまりにもの凄さに驚きを隠せず、感嘆の声をあげる霞。

 数分後、ガチャッ! と神童家の玄関ドアの鍵が音を立て、扉が開いた。


「ほら、急ぎなさい瑠璃。その年でお漏らしなんて、お姫様のプライドとしても、私の姪としても許さないわよ?」


 そう言って瑠璃を慎重にその場に立たせるルナー。


「あっ、んっ……ちょっ、おばさん……あまり動かさないで、よぉ。も、漏れちゃうぅ……!」


「仮にもお姫様なんだから、漏れちゃうとか言わないのっ! ほら、麗魅も手伝いなさい! 妹でしょ?」


 何故か半ば叱るように言われ、麗魅は少々気圧されながらも手を貸した。

護衛役達は先にリビングへと移動して電気を点ける。

 一方で、ルナーと麗魅の手を借りてトイレへとやって来た瑠璃は、便器の蓋を開けて急いでそこに座った。


「あ、あの……扉、閉めて?」


「あぁ、ごめんなさい?」


「リビングで待ってるわね、お姉さま」


 そう言って二人は、瑠璃をトイレに残してリビングへと向かった。

 リビングでは、既に雪がテレビの電源を入れてバラエティ番組を見ていた。その姿を背後からニヤニヤしながら微笑ましそうに露が見ている。体育祭で疲れたためか、霊はマルテーブルにぐだぁ~っと寝そべり、その姿を霰が間近で温かい目をして見守る。

 霄は、庭へと出て木刀――ではなく、妖刀『斬空刀』で素振りをしていた。いつものように、胸にはサラシを巻いている。下は光影学園のスカートを穿いている。

 霖と零は台所にて、少し遅めの晩御飯の支度をしていた。兄妹の中で一番料理が出来る霖が来る前までは、響史から習った料理技術を駆使して料理担当もしていた零のおかげで、思いのほか早く料理は完成した。

 一応霖の方が妹ではあるものの、料理上手な妹から「お姉ちゃんのおかげで美味しく出来たよ、ありがとう♪」と満面の笑みでお礼を言われ、表情を滅多に変化させない零は思わず笑んだ。


「は~い、ごはん出来たよ~! あっ! もうっ、霊お姉ちゃん寝そべってたらご飯置けないでしょ?」


「うぅ~ん、ムニャムニャ……」


 相当疲れているのだろう。口をモゴモゴ動かしながら猫耳をピョコピョコ動かす。すると、それを目にした露と霰が互いに抱き合って、「きゃ~♪ 癒されるぅ~♪」と架空のハートを周囲にまき散らしながら黄色い歓声を上げた。


「はぁ、ホンマこいつらの変態癖は誰に似たんやろな?」


「も~ぅ、料理置けないってば~! タマちゃん?」


 たまらず霖は、小さい頃に呼んでいた愛称で姉を呼んだ。すると、寝ぼけた様子の霊が涎を食いながらムクリと起き上がった。

というわけで、ルナーが何故親族に提供したのかが分かりました。また、響史の辛い過去も徐々に晒されることに。

その一方で、全くぶれない魔界の少女達。本来の家主ではなく、居候組だけが家にいるというのはどうかと。

ちなみに、雫は家に帰っていません。恐らく、ゲーセン行っているかコンビニです。

響史がいないので、代わりのツッコミ役は霞さんです。まぁ、関西人でもないのに関西弁喋ってるので。

そして、瑠璃に訪れるちょっとした危機。やっぱ麗魅もなかなかの苦労人です。

では引き続き二部をお楽しみに。

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