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魔界の少女  作者: YossiDragon
第三章:六月~七月 体育祭『変態軍団アスメフコーフェッグVS体育祭実行委員会』編
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第五十話「体育祭(後編)」・6

「くっ、乗り越えてやるんだから!」


 手のひらで涙を拭い、一歩足を進める麗魅。


「うっ、何この感触! 気持ち悪っ! しかも、妙に生暖かいし……でも、何かしら? 少し、気持ちいい?」


――いかん! 麗魅がいけない扉を開こうとしてやがるッ!?



 麗魅が少々頬を赤らめ、口の端を歪める姿を見て俺は焦り出す。このまま目覚めてしまったら、絶対にその矛先は俺に決まってる。アイツがストレス発散する対象は、何故か俺だからだ。


「麗魅、早くゴールしろ! 後ろから他の選手が迫ってる!!」


「わ、分かってるわよっ!」


 俺に声をかけられてハッとなった麗魅は、頭を左右に激しく振って真剣な面持ちとなる。同時、彼女の蜜柑色の髪の毛が風に靡いた。


「……ゴールしたら覚えてなさい?」


 何やら呟いているようだが、うつむいていたのでよく聞こえなかった。何だろう、何だか身の危険を感じたのだが。

 てなわけで、その後は麗魅も何度か尻餅をついたり前に倒れたりしていろいろ大変そうだったが、何とかゴールしていた。何かゴールを断念しそうになる度、自身に言い聞かせるように何かを呟きながら。

 問題は、コケる度に例の激写をされていたことだ。その度に錯乱して泣きそうになるものだから、少し哀れだった。


●親子でスナイパー


 第十九種目はこれだ。七つの贖罪の最後の一つがよりにもよって最後に来るとは予想外だったが、二連続というのもあれなので、まぁよしとする。んで、これは親子で参加なので保護者も参加できる。んで、これに出るのは俺と霖と雪と雫、後爺ちゃんと従妹の奈緒だ。


「おい、準備出来てるか?」


「うん、OKだよ、お兄ちゃん♪」


 何か凄く上機嫌で霖が返事をしてくる。で、一方の最年少幼女である雪はというと――。


「むすっ」


――いや、それ普通擬音でいうものであって台詞でいうものではないぞ。


 

 と軽くモノローグでツッコミつつ雫を見ると、その表情は凄まじかった。鼻の下を盛大に伸ばしてだらしない表情を浮かべている。うん、年上の威厳とかそういうのはガン無視らしい。


「いいか? 絶対に暴走すんなよ?」


「ふんッ、貴様は俺をバカにしているのか? 霙ではないのだから、力の扱い方など心得ているッ!」


「妹に叱られたいからって町一つ滅ぼそうとしたやつはどこの誰だよッ!!」


「はて、誰のことか分からんな」


「お前だよッ!!」


 なんて白々しい言い方をしやがるんだこいつはと思いつつ、俺は嘆息して入場ゲートに向かう。すると、そこには爺ちゃんと奈緒が既に立っていた。


「あ、お兄た~ん♪」


――な、んだと!?



 俺が驚いたのは突然奈緒が抱き着いてきたのもあるが、何よりも俺の呼び方が変化していることにあった。


「おい、奈緒……その呼び方どうしたんだ?」


「え? 茜お姉たんがこの呼び方の方がお兄たんがよろこぶって言うから」


――なんてことしてくれてんのあの人ぉぉぉぉぉぉぉ!!



 途方に暮れる俺。すると、真後ろにいた霖と雪が何か言いだした。


「お兄ちゃんが、お兄ちゃんよりもお兄たんの方が嬉しいだなんて」


「これは、ボク達も負けてられない」


 何だか霖と雪が闘士の炎を燃やしている気がするが、気のせいだろうか?


「お、お兄たん……あの二人がなおの事にらんでくるよぉ~」


 涙声でさらにヒシッと俺にしがみついてくる奈緒。


「あ、ああ……おい二人ともあまり睨むなって。な? 仲良くしてやってくれよ」


「う、うん……お、お兄た――ちゃんがそう言うなら」


「仕方ないから、ボクもそうする」


――ん? なんか、一瞬霖の俺を呼ぶ時の呼称が違ったような……気のせいか?



 と、俺が困惑して首を傾げたその時だった。


「うぉぉぉい、神童貴様ッ! 誰だその小さな女の子はッ!! 俺にも紹介しやがれッ!!」


――いかん、変態兄貴(ロリシス)が湧いて出やがった。こいつは、ロリっ子なら誰でもいいのか? まずい、こいつを奈緒に近づけたら大変な事になる!



「お、俺の従妹だよ。い、いいか? 変なことするなよ?」


「あ、安心しろ。如何(いかが)わしいことはしない、(かぐわ)しいくらいだ!」


「どういう意味だよッ! てか、何匂い嗅いでやがんだ!!」


 可愛い従妹の体臭を嗅がれるというとんでもない事態に、俺は激しく動揺してツッコんだ。


「お、お兄たん……この人たち、だれ?」


「あ、ああ……まぁ、俺の知り合いみたいなもんだ。それよりも、爺ちゃんと出るんだろ? 親子でスナイパー」


「うん! なお、がんばるからね?」


「おう、頑張れよ?」


 そう言って俺は少し身を屈めて膝に片手をつき、もう片方の手で奈緒の小さな頭を優しく撫でてあげた。


「えへへ、ありがと、お兄たん♪」


 物凄く満足そうに頬を赤くした奈緒は、それからテテテと爺ちゃんの所に戻って行った。

 と、その時だった。


「お、お兄ちゃん……酷い、私というものがありながら」


「ボク達にはなでなでしてくれないのに」


「え? ど、どうしたんだよ二人とも。何でそんな不機嫌そうなんだ? 何か気に障ったか? だったら謝るぞ?」


「てめぇ神童ゴルァ! よくも俺の可愛い可愛い妹を不機嫌にしてくれやがったな? ぶっ殺してやる!」


「そんなんで殺されたら俺何度殺されることになるんだよ!」


 たまらずツッコミをかます俺。そりゃそうだろ、何でそんなことで俺が殺されにゃならんのだ。


「雪、そんなに頭をなでなでしてほしいなら俺が――」


「雫兄ちゃんはいらない」


「えっ――じ、冗談だよな? 俺は、いらない? そんな……俺は実のお兄ちゃんで――」


「だって暑苦しいもん。ボク、暑苦しいの嫌いなんだ。わからないの? 実のお兄ちゃんなのに?」


――何だろう、さすがにこればかりは雫が可哀想な気がしないわけでもない。だって、実の妹にいらないだぜ? 俺なら精神崩壊(メンタルブレイク)しそうだ。



 何だか少し同情してしまう俺だが、そんなことをしている間に競技が開始された。この親子でスナイパーは親が子を肩車して、子が水鉄砲を使って紙の的を射るという単純な競技だった。ただ、問題はペアなのだが……。


「やだやだ、なんでボクが雫お兄ちゃんとペアなの?」


「いや、俺に言われても……ジャンケンで決めたんだろ?」


「そう……だけど。やっぱ、やだ」


「ぐはッ!」


 何だろう、雪が嫌がる度にどんどん雫の精神が削がれていき、顔もどんどんやつれていっているような気がするのは。まるで、栄養失調か何かで肉がガリガリになっているような感じだ。干からびるとでも言おうか。


「な、なぁそこまでにしといてくれよ雪。お前の兄貴が本当に死にそうだ」


「別に死んでもいい」


「今何と!?」


 あまりにも恐ろしい単語が聞こえたんで、さすがに雪を止めにかかる。


「な、なぁ……どうしたら雫とやってくれる?」


「……ボクを肩車して」


「う、う~ん……じゃあ家に帰ってな?」


「ぜったい?」


「あ、ああ絶対だ」


「わかった、仕方ないから雫お兄ちゃんでガマンする」


――雫、お前どんだけ妹に嫌われてるんだよ。てか、小さい時に二人にどんな接し方すればこんなに嫌がられるの?



 などと俺は少し水連寺家の過去が気になるのであった。

 んで、問題は他にもあった。


「おじいちゃん、もう少したかくっ!」


「そ、そうは言うてもな奈緒や……、わしの身長ではここまでが限界じゃて」


 そう、ジジ――もとい、爺ちゃんは身長が低い。それも十歳くらいの奈緒と大して変わらないくらい。なので、このペアが肩車しても俺の身長にも満たない。それは何を意味するか……的に届かないのである。

 さらに緊急事態が祖父に訪れる。


「もうっ、おじいちゃん大きくなってよ!」


「む、無茶じゃ! ああこれ、あんまり暴れるでな――はぅあッ!?」


 ゴキッ! という嫌な音が聞こえたような気がした。そう、奈緒が肩の上で暴れるあまり、上手くバランスを取ろうと失敗して腰をやっちまったのである。

 それにより――。


「はわぁうあぁああぁぅぬぅうぅぅうぁ……」


 と、何とも言えない声を発するのであった。そこへ――。


「大丈夫ですか、社長!」


「しっかりなさってください、社長!」


 と、執事と秘書の二人が社長――爺ちゃんの身を案ずるように駆け寄った。


「だ、ダメじゃ……わしはもう長くない、早く……早ぅ病院へぇええええッ!」


 顔面蒼白となった爺ちゃんは、か細い、掠れたような声音で執事の腕をガッシと掴んだ。


「し、招致しました! 弦鐘、後は頼みましたよ?」


「は、はい分かりました。で、ですが……お嬢様はいかがいたしましょう?」


「社長、いかがいたします?」


「うぬぬ、悔しいが弦鐘……わしの代わりに奈緒を……頼むぅッ!!」


 まるで今際(いまわ)(きわ)とも言わんばかりの言い方である。高々腰を痛めただけだろうに。まぁ、腰痛とか堪らないっていうしな。

 ちなみにこの二人だが、執事長の『管野(かんの) 鍵之助(かぎのすけ)』さんと秘書の『弦鐘(つるかね) 箏鈴(ことり)』さんという名前である。言わずもがな、バブルドリーム・カンパニーの社長である俺の祖父――神童豪佑の御付の人だ。ちなみに、後一人メイド長の『打節(だぶし) 邦恵(くにえ)』さんも合わせて三人揃って『管弦打の三重奏(トリオ・オーケストラ)』などとも呼ばれているが、意味合いがあっているかはよく分からん。

 まぁ、今回はメイド長はお留守番のようだ。ちなみに、今を思えば俺の身内及び、その周辺には音楽に関する言葉が多い気がするのは気のせい――ではないような気がする。まぁ、その点についてはまだ触れない事にする。

 今はそれよりも目の前の事について真剣に考えなければ。


「爺ちゃん、大丈夫か?」


「おぉ、響史……すまんのぅ、まさかこんな肝心な時に腰をやってしまうとは」


「まぁ、無理すんなって……それよりも奈緒はどうするんだ?」


「お坊ちゃま、ご心配には及びません、不肖ながらこの弦鐘箏鈴、肩車には少々自信があります! お任せくださいっ!」


――肩車如きが何の自慢になるのかよく分からないけど、まぁ頑張ってくれるならよしとするか。ていうか、相も変わらずそのお坊ちゃまという呼ばれ方は少しこそばゆい。まぁ、真実っちゃあ真実かもしれないが、本当のお坊ちゃまは俺の父さんでは?



 とまぁ、そんなツッコミはさておき、俺は奈緒の方を見据える。少し申し訳なさそうに爺ちゃんを見ているが、その反面早く肩車をしてもらって水鉄砲を放ちたくてうずうずしているようでもある。


「じゃあ、奈緒のことは任せますね。管野さんは爺ちゃんを病院へ?」


「はい、医師の方に電話で連絡しておきましたので。係り付けの医師がいて助かりましたよ。ひと段落つき次第こちらへ舞い戻ってまいりますので」


――うん、舞い戻ってくる必要はないような気がするが、張り切っているのでそっとしておこう。



 少しばかりアクシデントもあったが、それは生憎と日常化しているので然程驚きはしない。てな感じで、親子でスナイパーが再開するわけだが、霖を担いで肩車して改めて思った事、うん幼女でこんなに軽いんだ。


「お兄ちゃん、しっかり足持っててね? 放しちゃだめだよ?」


「お、おう!」


 どうやら高い位置は少し怖いようで、少し涙声でそう訴えかける霖。ここでバランス崩して転倒させようものなら、高所恐怖症を植え付けてしまうのは十中八九間違いないだろう。ここは細心の注意を払わねば。まず、雫に何をされるか分かったもんじゃない。


「よし、的を狙うんだ霖!」


「う、うん!」


 俺の指示で霖が水鉄砲を構えて発射する。そういや、水連寺一族はみんなそれぞれ武器を与えられる的な事を言ってたが、霖の武器は何なのだろう? 少し気になるな。雪は魔力の問題があって使い魔を使うことで武器無しになってるが。

 と、俺が脳内で考え事をしている間に、霖が放った水が紙の的を射る。的は紙なので少し強めの勢いで放たれた水によって破かれる。


「やった、やったよお兄ちゃん! 当たったっ!」


「よし、その調子でどんどん的を射るんだッ!!」


「うんっ♪」


 嬉しそうにキャッキャッと楽しみながら水鉄砲を放つ霖の姿は、とても楽しそうで笑顔が凄く輝いていた。ものすごく嫌される。

 一方、ちょっと横目に雫達の方を見ると、傍目からでもわかるくらいだらしない笑みを浮かべる雫と、サブイボが今にも大量発生しそうな顔面蒼白の顔をしている雪が、まるで憂さ晴らしの様な感じに水鉄砲を放っていた。

 そして、何故だかその勢いが他の選手に比べるとやや強めだった。


――威力あがってないか? まさか、水属性だからって水圧あげたりとかできるんじゃ……。



 とか思いつつ、俺はくわばらくわばらと再び自分のペアの腕前が少しずつあがっていくのを見守る。


――にしても、何でこう霖の肌はこんなにスベスベなんだ? 雪もほっぺたとかすんげぇ餅みたいにモチモチだったし、女の子は不思議だ。男なんて肌もガサガサだし、頬を触ってもモチモチしないぞ?



 などと男と女の違いについて改めて思いつつ、水鉄砲に夢中になり過ぎた霖が、どんどん身を乗り出し、柔かいふわふわの太ももで俺の顔を挟んだりするのにドギマギしながら、後頭部周辺に感じる何かに必死に耐えつつ、早く終わることを祈るのだった。

 その後、何とか競技は終わりを迎え、勝者は雪と雫のペアだった。

 ちなみに、弦鐘さんと奈緒は二位に輝いたという。俺と霖は三位だった。と、そこで俺は四位にルから始まるとある人物の名前が呼ばれるのを聞いて、やはり出ていたかと思うのだった……。


●懇願要求、童顔女子の借り物競争


 第二十種目はこれだ。今年の体育祭を締め括る最終種目、それがまさか七つの贖罪の最後の一つとなるとは。しかも、これには護衛役の二人――霖と雪。また、俺の従妹である奈緒が出るのだ。


「なぁ、二人とも……ホントに出るのか?」


「うん♪ だってもうエントリーしちゃったし」


「指示された通りに動けばいいんだよね? 大丈夫、ボクたちなら出来る」


 先程あんなに不機嫌だった雪も、一位に輝いたことには嬉しかったらしく不機嫌ではなくなっていた。んで、雫はというと――。


「どうか指示の内容が俺でありますようにッ!」


 と、念仏のように唱えているのだった。


――うん、この兄貴はどこを目指しているのだろうか?



 ますますこいつの将来が心配になる。


〈では、出場選手は入場ゲートに集まってください〉


 実況の言葉に俺は二人を見送る。二人は、笑顔で俺に手を振りかえしていた。

 後は――。


「奈緒、大丈夫か? いいか? 気をつけろよ?」


「? なにが?」


「いや、なんでもない」


 物凄く心配なのだが、出場者(童顔の女の子)しか出れないので仕方がない。


――そういえば、童顔と言えばあの人を思い出すな……。そうそう、丁度あれくらいの身長で、その割に胸とか出るトコ出ててさ……しかも、あんな感じでバニーガールのコスプレしてて――って、モノホンじゃねぇか!!



 ふと俺の視界に当人が映ったので、そのままその人の容姿を口にしていたら、本当に当人だったのだ。


――てか、やっぱりウサギちゃ――羽鷺先輩も出てたのか。うん、相も変わらずの童顔だな、しかもキョロキョロしたりオドオドしたりする度に揺れるあのウサ耳がキュートだ。てか、この最後の競技だけ年齢層おかしくないか? 全員童顔のせいか、最早幼稚園みたいになってんじゃねぇか! いや、最悪でも小学生くらいか?



 と、そんな感想をモノローグで言っている間に種目開始の声がかかる。

 出場選手は各々白い箱からお題となる紙を一枚手に取る。

 一番最初に引いたのは霖だった。そして、パァッと輝かせたかと思うと、急にこちらへ歩いてくる。


――もしかして、俺らの内の誰かなのか?



 などと思っていると――。


「霊お姉ちゃん、ちょっと一緒に着いてきて!」


 と、いきなり霊の手を引いてきた。


「え、なになに!?」


 相も変わらずどっから持ってきたか分からない焼き魚をハムハムと()んでいた霊が、きょとんという不思議そうな顔で、疑問符を浮かべながら霊に引っ張っていかれた。

 そして、ゴールテープを切る。戻って来た霖にその紙を見せてもらうと、そこには


『猫を連れてくる』


 と書かれていた。


――猫じゃねぇよ! いや、確かに猫化すれば猫だけどもッ!!



 激しく審査員に抗議したいところだったが、猫耳と猫の尻尾と、たまたま(別に霊とたまたまをかけたわけではない)魚をくわえていたのが功を奏して、認められていた。……なんでやねん。

 次にこちらへやってきたのは雪だった。またしてもこちらに用があるのか?


「えぇと、露おねえちゃん、雫お兄ちゃん……あと、霰お姉ちゃん、ついてきて……お願い」


 そう雪が口にした次の瞬間――。


「雪ちゃぁああああああん♪」「雪ぃぃぃぃぃぃぃぃッ!」


 と、変態二人の声が重なる。歓喜の声を洩らし、激しく興奮気味のお二人さん。うん、やっぱ重傷だわ。

 だが、何故この三人なのだろうか?

 と不思議に思っている間に三人をつれた雪がゴールテープを切る。


「なぁ、お題は何だったんだ?」


 そう俺が訊ねると、雪がお題の紙切れをこちらに見せてきた。そこには――


『身内から変態を連れてくる』


 と書かれていた。


――うん、正解だよ。まぁ、霰だけは霊限定だが。



「ねぇねぇ響史くん、お題は何て書いてあったの? もしかして、優しいお姉さんとか? それとも美人のお姉さん? あっ、もしかして可愛いお姉さんとか? きゃっ、そんな嬉しい♪」


「いや、何自分で言って嬉しがってんですか、全然違いますよ」


「じゃあ何?」


「え? それは……」


――いかん、何て言おう。ここで本当の事を言ったらアレだよな。よし、ここは例のセリフで……!



「あ、姉の中で一番胸が小さい人です」


「がぁぁぁぁんっ! うぅぅ、ひどい、私だって別に好き好んで小っちゃいんじゃないもんっ! あれ? でも、それだと雫お兄ちゃんと霰ちゃんも一緒だったのはどうして?」


「あ――そうでしたね」


――完全に失念していた。策士、策に溺れるとはこのことだ。



「酷い、酷いよ響史くん! 私はきみをそんな風に育てた覚えはないよ?」


「いつ育てたんですか! 俺を育てたのは俺の両親だけです!」


「おいッ、では何と書かれていたのだ? やはりあれだろう、頼りになる兄とかだろう?」


「それは絶対にない。後それだと露さんと霰が選ばれるわけないだろ?」


「むっ、ならば一体何なのだ?」


 いかん、いよいよ答えられなくなってきた。と、俺が困り果てていると――。


「……見てて面白い人だよ」


――なるほど、確かに当たってるっちゃあ、当たってるな。



 俺は雪の言葉に納得していた。その台詞に三人も納得している様子だった。まぁ、霰は少し訝しんでいたが。

 んで、問題は奈緒だった。

 こちらに近づいてきてはいたのだが、明らかに俺以外にも誰かを探している様子だ。どうしたんだろう?


「なぁ、奈緒……どうかしたのか? お題、何て書いてあったんだ?」


「お、お兄たん……実は――」


 そう言って奈緒が今にも泣きだしそうな顔で俺に紙を見せてきた。そこに書かれていた内容は――。


『身内で従兄に抱っこしてもらい、従兄が実の姉をおんぶして連れてくる』


 というものだった。

ということで、Sに目覚めかける麗魅ですが、ギリギリセーフ?で終わりました。また、次の親子でスナイパーでは少し雫が残念でしたね。まぁ、変態だから仕方ない? のかもしれません。そして、爺ちゃんがここで腰をやられリタイア。そこに駆け寄る執事と秘書。ここでも新キャラです。ホントキャラ多いぜ。結局奈緒は爺ちゃんとではなく、秘書の弦鐘さんとやりました。爺ちゃんは病院かな? また、お分かり頂けただろうか? そう、奈緒の響史を呼ぶ呼称が変わっていることに。まぁ、十中八九茜さんたちの仕業です。そして、そんな奈緒に対してなんかライバル心燃やしだす霖と雪。

また、書いてて思った事なんか、最後二つが幼女多しになってしまいました。まぁ、最後の一つを最後に持ってきたのには理由があるんですが。多分、読めば分かる……かと。

借り物競争は、雪が兄妹に対してちょっと意外な発言をしました。

そして、六部の最後そこに書かれてあったお題を見た響史が取る行動とは?

引き続き第七部をお楽しみに。

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