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魔界の少女  作者: YossiDragon
第三章:六月~七月 体育祭『変態軍団アスメフコーフェッグVS体育祭実行委員会』編
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第四十九話「体育祭(前編)」・4

 戻って神王寺はというと、自身の胸を変態的眼差しで見られているとは露知らず、口でパンを咥え、後ろから迫る零から必死に逃れてようやくゴールテープを切っていた。


〈ゴールで~す! 神王寺選手が、今年も一位です! いやしかし、水連寺選手も高等部の小豆と光贋(ヘタレコンビ)に負けることなく二位でゴールとはすごいですね~! どうですか、解説の牡蒲校長?〉


〈もう一人の男子生徒はどうしたのかしら?〉


〈あ、いましたね……そんなの〉


 実況の扱いはともかく、当人は――。


「はぁ、疲れた……」


 全ての障害が先を進んだ零に破壊されつくしていたため、トボトボと何の障害を越えることもなく、クリアしていた。


「ふぇふぇ(ねぇねぇ)」


「はい?」


 肩を叩かれて振り返ると、そこにはモグモグとパンを口に咥えている海璃がいた。零がこちらを向くと、口からパンを離しそれを食べながら零に訊いた。


「握手、してくれない?」


「……は、はぁ」


 手を差し伸べられて、ふと訝しむ零だったが、仕方なく握手をすることにした。


――ん? この感覚……やっぱり、この子。



 何かを確信した海璃。すると、そこへ零の姉である露がやってきた。


「コラぁ! うちの零ちゃんに何してんの!? 早く手、放しなさいよ!」


「あぁ、ごめんね? ん? あなたはこの子のお姉ちゃん?」


「ええ、そうよ!」


 自信満々にえっへんと胸を張る露。すると、海璃は、そんな露のある部位を見て顎に手をやり渋い顔になった。


「な、何よ!」


「いやぁ~お姉ちゃんにしては胸小っちゃいな~って! それに、あなた……あたしと同い歳でしょ? それなら少なくとも、これくらいないとね~!」

 

 そう言って自分の胸を掴んで自慢気にアピールする海璃。


「……うぬぬぬ、よくも私が気にしていることを~! もう我慢ならないっ! ちょっと揉ませなさいよ!!」


「ちょっ、何やってんですか露さん!」


 そこに現れる響史。彼は相も変わらず変態行為を働いている露を止めに来たのだ。


「放して、邪魔しないでよ響史くん!! 私は今、この女の子の胸を揉まなければならないのよ!!」


「何でちょっと使命っぽく言ってんですか!」


 と、再びツッコミを入れる響史。

 そうこうしているうちに、次の走者が走り始めていた。そのメンバーの中には例のバニーガール幼女――羽鷺の姿も見受けられた。


「あっ、あれは……さっきの――」


〈さぁ、今選手がスタートしました!〉


 丁度響史のセリフが実況のセリフに遮られてしまう。

 競技は途中まで順調だった。だが、問題はここで起きた。


「んっ、んっ!」


 その場でジャンプする羽鷺美夕。だが、何度ジャンプしてもその吊り下げられたパンに届かないのだ。無理もない、身長が小学生サイズなのだから。

 だが、一方でそんな彼女の姿を一部の人間は楽しんでいた。


「くぅ~、やっぱり羽鷺ちゃんは俺達のためにいるようなもんだよな~! あのジャンプする度に揺れるあの胸! くぅ~!! たまらんッ!!」


「まぁ、それには同情しかねるけど、あの真剣に頑張る度に目尻に浮かぶ涙がたまらないね。あの悔しそうにしている童顔、そそるよ」


 と、変態がうんうん頷きながら美夕の頑張る姿を眺める。

 しばらくして――。


「うぅ……ひぐっ」


 とうとうぐずりだしてしまった。

 刹那――。


「どうぞ」


 そう言って美夕にパンを差し出したのは鵜飼大翔だった。


「うぅ、あ、ありがと……」


 美夕は溢れる涙を手の甲で拭いながらその場に立ち上がった。それから懸命に走り、麻袋を履いてぴょんこぴょんこ跳ねてゴールを目指す。しかし、バニーガールでのこの動きはまさに――。


――ホントに兎みたいだな。



 と、響史はジト目でそう内心で口にしたのだった。

 そうこうして、パン食い競走も無事に終了を迎えた。


●弄り当てろ! 何がインてるでショー!


 ついに来てしまった。この競技が。

 俺は頭を抱えていた。この種目に出る選手はほぼ女子生徒。そして、その中には霰もいた。


「大丈夫か、霰?」


「ふんっ、心配いりませんわ!」


 少し気遣ってやったというのに、なんか軽くあしらわれた?


「ねぇ、響史。霰は何をやるの?」


「ああ、この競技はどうやら箱の中に入っているものを当てる競技みたいだな」


 確か、新たに入った情報によると、これを立案したのは、『神より授与されし(ゴット・ピュア・)美手(フィンガー)』という二つ名を与えられている指腹永敏らしい。指フェチをお持ちのあの少年は、どうやらこの競技でも女子の指の感触を味わうためにこの競技を立案したと言っていたが……ん? 待てよ? この競技でどうやって指の感触を味わうつもりだ?

 などと思っていると、アナウンスが聞こえてきた。


〈それでは第四種目を始めたいと思いま~す! 選手は入場ゲートに集合で~す!〉


 度々思うが、このアナウンス……少しチャラく感じるのは俺だけだろうか?


「お姉様! 私、一生懸命頑張ってきますわ!!」


「う、うん……ま、まぁ頑張ってね?」


 そう言って、少しぎこちない動きで霊に見送られた霰は、気合十分に入場ゲートをくぐって競技を行いに向かった。

 俺はふとある人物を目視で探していた。そう、指腹だ。あの指フェチ野郎が一体どこでお楽しみなのか確認しようとしたのだ。だが、どこにもその姿が見受けられない。やはり七つの贖罪の一つということで出場する女子メンバーは皆見ただけで分かるほど嫌悪感を示しているが、一方で男子陣は、呆れかえるほどニヤついていた。もうそれはヤバい程に。

あのぽっくんと呼ばれているデブ男子生徒もカメラを横向きにしたりして色々しながら今か今かとシャッターチャンスを待っていた。


「なぁ、亮太郎。指腹はどこに行ったんだ?」


「ん? あぁ、やつならば今頃……ムフフフフフ」


 あ、どうやら既にスタンばっているらしい。どこかは、分からないが。

 と、そんなこんなで始まる競技。嫌な空気が立ち込めるが、まぁ……多分なんとか――。


「きゃあああああ!」


 ……ならないかもしれない。

 突然悲鳴が聞こえた方に顔を向けてみれば、そこには何とも怪しい匂いを放つ箱にあらかじめ用意された穴に手を突っ込み、顔面蒼白でその感触を確かめている様子の女子生徒の姿があった。どうやら、あの中に入ってる物を答えるものらしいが、これって……競技なのか?


〈え~、この競技が本当に体育祭でやるものなのか? というお思いの人もいるでしょうから、ここで説明したいと思いま~す!〉


――何で俺の心がわかったんだよ!!



〈この競技は、一つの大きな箱に手を突っ込み、その感触から物を想定してほんのちょっとばかり離れた位置に設置されてある解答ボタンまでダッシュして答えてもらいます。ちなみに、間違えたら……あぁ、何か降ってくるらしいよ〉


――何で最後投げやりなの!!



「うっ、何これ? ひゃっ、何か舐められた!?」


「何これ? なんか、髪の毛っぽいんだけど……」


「てか、これ人じゃないよね?」


「……ん? あれ、感触変わった? ねぇ、これって途中で中身変わったりとかしてないよね~?」


 係りの人に尋ねる女子生徒。ん? 待てよ? 今、髪の毛みたいな感触とか言ってたよな? ま、まさか――。


――☆★☆――


 一方、競技を立案した当人はというと――。


――ふふ、う~ん、この女子生徒の指は素晴らしいですね。この滑らかな指……真っ暗で色まではわからないのが残念ですが、食感――もとい触感はまんざらでもないし。う~ん、少ししょっぱいですかね? おっと、いけないいけない。あまりのめり込んだらバレてしまう……。ここいらで――っと。これに差し替えて……ふふふ。



 指フェチ――指腹永敏は真っ暗な箱の中にいた。そして、伸びてくるたくさんの指を堪能していた。が、鼻血が吹き出てきたのを合図にすぐさま物を差し替えていた。そうやって女子にバレるのを防いでいたのだ。


――ふふっ、僕をこんな状態にしたあの女子生徒を見つける! さぁ、楽しみますよ~!! ふふふふ。



 そう言って永敏は不敵な笑みを浮かべて次の選手の指を待つのだった……。


――☆★☆――


「はい! タワシ!!」


〈正解で~す! すごいです、今のところ解答者は全員一発で当てております! てかおい、女子ぃ~!! 少しは間違えろよ! サービスしろよ~!! そこんとこ、どうですかね解説の牡蒲校長!!〉


〈あら、あたしとしては別に女子に興味はないからどーでもいいわね〉


――はぁ、アナウンスもあれだが、あのオカマ野郎も解説しろよ!



 と、俺はツッコミしながら呆れていた。しかし、ここまでは確かに被害はそこまでないな。七つの贖罪とか言ってたからもっと悲鳴木霊しまくりだと思ったんだが、実はそうでもないのか?

 七つの贖罪の一つにしてはインパクトが足りないなと思いつつ、俺は次の選手を見ていた。


「お、次は霰の番みたいだな。おい、お前らも応援しろよ」


「うん」


 霊が少し嫌そうにしながらその場に立ち上がる。さっきまで物凄くクラスのやつら応援してたのに何で霰の番になってこんなテンションに……。確かに理解できるが、少しは妹のために応援してやってもいいのでは?


「頑張って~霰ちゃ~ん!!」


 露さんが懸命に応援しているが、この人が応援してもあんまり霰は喜ばないからな。まぁ、応援しているのはいいことだろう。


「ん? てか、露さん。どうしてここに? 二年生の応援席はここじゃないですよね?」


「ん? あー、まぁ気にしない気にしない!」


「いや気にしますよ!! 急いで戻ってください!!」


「ぶぅ~!」


 不満な声をもらす露さん。はぁ、ホントこの人には大人として振る舞えないものだろうか? いや確かに大人っぽく振る舞い過ぎて物凄くエロく見えてしまうこともあるけどさ。まぁ、それに比べれば今の方がいい……のか?

 と、そうしてる内に霰が既に手を箱の中に突っ込んでいた。


「ん? なんですの、この生暖かい感触は……」


『んぐッ!?』


「ひぃっ!? な、なんですの? い、今明らかに箱が動きましたわよ!? 今、私……何を引っ張ったんですの?」


〈お~っと、どうやら水連寺選手、中に入っている何かを引っ張ってしまったようです! これはアクシデントか~?〉


「ていうか、生き物が何で入っているのよ!」


「そ、そうよ!! き、気にすることないわ水連寺さん」


「そ、そうですわよね!」


 気を取り直した様子の霰。てか、これで確信得たわ。うん、指腹……それはお前の自業自得だろう。


――☆★☆――


――っつ~。何なんですか、今の女子は。油断しました、まさか舌を引っ張ってくるとは思いませんでしたよ。危うく千切れるかと思いました。ふぅ……そろそろ、お題と差し替えないと!



 指腹は、涙目で自分の舌を押さえていた。そう、先程霰が指を突っ込んで何かを引っ張った際に箱の中から聞こえてきた苦悶の声は、指腹のものだったのだ。


――☆★☆――


「ソーセージですわ」


〈はい違いま~す!〉


「へ? そ、そんなはず――」


〈は~い、間違えたので罰ゲームで~す!!〉


 刹那――。


バシャァァァンッ!


「きゃあぁああああ!!」


「ひゃあああ、何で私達までぇ~?」


 なるほど、こういうことだったのか。間違えたら罰ゲームとしてどこからか水が降ってきてずぶ濡れになる。でも、これっていいのか? 第一、間違えたのは霰だけだろ?


「ひ、卑怯ですわよ! 間違えたのは私だけですのにっ!!」


〈まぁ、連帯責任……ってことらし~んで!! それに、文句は私ではなくこの競技を立案した人に申し付けくださ~い!〉


――やはりこのアナウンスも繋がっていたか……。



 最初から怪しいと思ってたんだ。やけにこのアナウンスの口調が怪しかった。しかし、これで合点が行った。


「にゅるぅふふふふ! この瞬間を今か今かと待っておりましたぞぉぉぉぉぉ!!!」


 と、何やら訳の分からない笑い声をあげてデカいシルエットが現れる。そう、「ぽっくん」とか呼ばれる人物だ。


「――百枚目(ワンハンドレッド)ッ!!」


――既にそんなに撮ってたんかいッ!!



 思わずツッコミが炸裂してしまうが、まだ四種目めだぞ? 今までにそんなにサービスシーンあったか?

というわけで、響史のツッコミで切れてしまいましたが、まだ続きます。本来ならここで終わるんですけどね。今回は前編と後編で分けているので、四十九話は体育祭の種目を十個やらなければ終わらないのです!

そして、ここでいよいよ七つの贖罪も出てきましたね。指腹は女子になんて変態行為を働いているんだ! と文句もあるでしょうが、そこは霰にこらしめてもらったのでなんとか。

で、ここで実況が変態軍団につながっている?という可能性が出てきました。果たしてこの実況は敵か味方か? それとも面白半分でやっているだけなのか……と。

また、今回ジジイ――もとい、爺ちゃんが見に来てます、奈緒と一緒に。

で、本来は誘おうとしていた四人の娘。まぁ、本当は五人子供がいるんですが、まぁその残り一人というのが既に名前も出てきている通り、響祐です。残念ながら響史の伯母を出した上に父親を初登場させてしまうといよいよ尺足りないんで今回は出番……なし!ということにさせてもらいました。まぁ、まだ機会はあると思うので。一応過去編もありますし。

てなわけで引き続き五部目をお楽しみに。

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