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魔界の少女  作者: YossiDragon
第三章:六月~七月 体育祭『変態軍団アスメフコーフェッグVS体育祭実行委員会』編
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第四十九話「体育祭(前編)」・2

 と、そろそろ時間なので俺は体育祭実行委員会の部屋を後にして体操服に着替えてグラウンドへと向かった。


「あ、響史だ! 響史~!!」


 瑠璃が俺を発見して大きく手を振る。瑠璃は体操服の格好になっていた。いかん、生地が制服よりも薄い分、でかい胸が余計に揺れている。

 と、その時、俺の視界に何やら変態の気配が映った。そちらに目を向けてみれば、人ゴミに紛れて例の変態軍団の幹部がニヤついた笑みを浮かべて誰かに視線を注いでいた。どうやら、視線の方角から察するに瑠璃だろう。そして、それを見ているのは巨乳フェチの巨郷先輩と脇フェチの柿谷先輩と思われる。まぁ、瑠璃のあの揺れる巨乳と体操服の袖口から覗く脇が目的としか思えない。


「ったく、お前は少しは激しい動きを控えろよな」


「え? どーして?」


 小首を傾げて疑問符を浮かべる瑠璃。ちなみに、瑠璃の元へと駆けつけた俺の立ち位置は、丁度変態軍団(あいつら)から瑠璃が見えない――つまり、壁になる位置にいる。これで瑠璃の姿は見られないはずだ。

 チラとあちらを見れば、双眼鏡片手に歯噛みしたり、ハンカチをグイッとしてキィィィと喚いている野郎共の姿。哀れだ。


「これから体育祭が始まるのよね?」


 麗魅が腰に手を当てて俺に尋ねる。


「あぁ、そうだ。いいか? 絶対に白ブロックが優勝するように頑張るんだぞ?」


「うむ、無論だ。戦いともなれば、私達が負けるわけにはいかんからな」


 腕組をして霄がうんうん頷く。と、そこで俺はふとあることを思い出す。


「そういや、霖達は?」


「あぁ、霖達ならね~、応援席? から見てるって! 雫お兄ちゃん、最初はなんかブツブツ文句言ってたらしいんだけど、霖と雪にエールもらった途端、急に倍速で設営始めちゃって」


――はぁ、相も変わらずロリシスは顕在らしい。てか、その言い方だと霖と雪は既に(あいつ)が変態だって気づいてんじゃねぇのか?



 などと思いながら俺はさらに続けた。


「霞さんは?」


「あぁ、何か競技が始まるまで暇だから、学園の中冒険してくるって」


 霊が猫耳をピョコピョコ動かしながら笑顔で説明してくれる。この笑顔から察するに、余程体育祭でやる自分の競技が楽しみなんだろう。まぁ、玉転がしだしな。

 それから俺達は入場の時刻になったため、クラスごとに並んだ。と言っても、俺達全員同じクラスなんだけどな。まぁ、露さんは高等部二年で、零は中等部三年だから別行動だけど。あの人、大丈夫だろうか? 俺が見ていないことをいいことに、今頃可愛い女子を食いまくったりしてないだろうな……。

 などと俺が心配していると、入場行進のBGMが流れ出した。その音に合わせて俺達はその場で行進のために足踏みを始める。

 そして、ピーッ!というホイッスルの音を合図に高等部三年生の人達から入場行進が始まった。毎度思うがこの入場行進、昔から恥ずかしかったりする。だって、大勢の観客に腕と足を思いっきり振り上げている姿を見られるんだぞ? そりゃあたまらなく恥ずかしいに決まっている。

 お、そろそろ俺達の順番だ。


――そういや、訊きもしなかったけど母さんや父さんは来なくてよかったのだろうか? まぁ、俺が言わなくてもそれくらい知ってるはずだし、爺ちゃんの話から察するに家族全員に声かけしたみたいだから、父さんだけ仲間はずれ――ってことはないだろうし。いや、まぁあの女好きの変態ジジイならありえなくもないが……。



 と、内心で爺ちゃんをバカにしている内に、行進が進む。この進み始めるタイミングだが、これも結構合わせづらい。何度タイミングはずして前や後ろの男子に迷惑かけたことか。ちなみにこの並ぶ順番だが、滅茶苦茶である。何故かって? 知らん。


「えへへ~、行進楽しい~♪」


 どうやら瑠璃はこういうのが楽しいらしい。まぁ、確かに元気よくハイキング気分で腕や足を振ってるもんな。その笑顔は尋常じゃない。だって、こいつの周囲に明らかな幸せオーラが立ち込めてるし。ちなみに、瑠璃のいるのは俺の斜め前。真横は委員長であり俺の幼馴染である雛下だ。

 雛下はというと、瑠璃の元気っぷりに呆れて苦笑い。


「ごめんな、こいつ……今日が楽しみではしゃいでんだよ」


「ううん、いいよ。元気なのはいいことだし!」


 そう言って俺に対して首を振って笑みを浮かべる雛下。さすがは委員長、広大な心をお持ちだ。で、一方の麗魅はというと――。


「もぅ、お姉様ったらやめてよ。お姉様がはしゃいだら双子の妹である私にも視線が飛んでくるんだから!」


 と、恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている。まぁ、双子だし姉がこんなんなら妹はどんな様子なのだろうと気になるやつがいないとは限らないだろうな。こいつもなかなかの苦労人だ。

 で、亮太郎はというと――。


「ぐふふふ、女子の匂いが、女子の匂いが……ムフフフフ、くうぅぅぅぅ、体育祭さいこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 ボルテージが絶賛MAXだった。


「はぁ、ホント入場行進の時点でこれって……体育祭大丈夫だろうか?」


 今からだんだん心配になってきた。と、そこで俺はあるものが視界に入った。青髪が――。


「ま、まさか!?」


 こんな時に新たな護衛役か!? と、思ったが、よくよく考えてみれば霖や雪、それに霞さんと(バカ)が来ているのだから無理もない。

 しかし、一体誰が視界に入ったのだろうか? と軽く興味が湧いてそちらに視線を向けてみると――。


「うふふ、あなた……可愛らしい顔してるわねぇ。ねえ、お姉さんとイイコト……してみない?」


「え? あ、あの……私……」


――何やってんだ、あの変態はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!



 観客席にいた一般人のお姉さんをナンパしている露さんが視界に映る。いや、見て見ぬふりをしたいところではあったが、あのままではあの一般人のお姉さんが大変なことになる。

 と、改めてそちらに目を向けてみると――。


「何やってんねん、このアホ!」


「いたっ! ああん、霞お姉ちゃん何で邪魔するの!? もぉ~っ、後一息で堕ちるトコだったのにっ!」


――少し目離した隙にそこまで攻略してただと!? てか、霞さん、グッジョブです!



 俺は心の中で霞さんに親指を立てつつ、露さんの攻略速度に度肝を抜かしていた。そういえば、さっきまで嫌がっていたはずの一般人お姉さんもまんざら嫌そうではない表情を浮かべて少し頬を赤らめて、物欲しそうに露さんを見つめていた。


――てか、どんだけの威力誇ってんの!? やべぇよ、あの人!!



 改めて俺は露さんに秘められた怪しい力を危険視しつつ、行進を続けた。

 そうこうして入場行進は終わり、グラウンドの中央に俺達は整列した。ちなみに、露さんはあの後教師陣にバレることなく列に戻っている様子だった。ホント、何者だよあの人。まぁ、悪魔だけど。


〈前に~倣えっ!〉


 体育委員会の委員長である火元が朝礼台に立ち、スタンドマイクに向けてそう声を発する。そういや、火元は体育委員会の委員長で生徒会の一人だったなということを、その姿を見て改めて思い出す。いかん、ホント最近物忘れが尋常じゃないことになっている。てか、これって物忘れって言うのか?

 などと思いながら俺は前に倣えの格好を取る。

 と、その時だった。


「うにゃああああああ!?」


 何やら前方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。確認してみると、瑠璃の前の前にいた霰が、後ろから霊の脇の下に手を突っ込み、後ろから霊の胸を揉みしだく姿が見受けられた。


――てか、何やってんだあの変態はッ!!



 呆れてモノも言えなくなっていると、斜め前にいた瑠璃が何やら真剣にその光景を見てうんうん頷く姿があった。何をするつもりだこいつ、と思っていた矢先――。


「えいっ」


もみゅん。


「あんっ!」


 突然瑠璃が前に立っていた女子生徒――『九枝風(くえかぜ) 千春(ちはる)』の胸を揉みだしたのだ。


「おい、何やってんだ瑠璃!」


「え? だって前に倣えっていうから、前に倣ったんだよ?」


 と、笑みを向けてそう言ってくるが――。


「あんなもん真似すんな!! 悪いな、九枝風」


 俺は申し訳なく、両手を合わせて謝罪する。


「う、ううん気にしないで? そ、それに……」


「ん?」


「……い、いやじゃ、なかったし」


――え?



 何やらとんでもない発見をしてしまった気がしたが、気にしないことにした。

 そうこうして、選手宣誓なども終えてとうとう波乱になる予感のする体育祭が幕を開けたのである……。


――☆★☆――


●ムカデ競走


 第一種目はこれだ。まぁ、競技名通り普通のムカデ競走なのだが、問題は競技に出るメンバーだ。

 これに出るメンツは、響史と琴音と千春である。


「えと、何でこの順番なんだ?」


 準備をしながら響史は不思議がっていた。


「え? 何が? 別に何もおかしいことはないと思うけど」


 あごに人差し指を宛てがいながらう~んと唸る琴音。すると、千春が口を開いた。


「まぁ、いいんじゃない? それよりも、ほら、早く足に紐結ばないと」


 そう言って千春が垂れる横髪をかきあげながら、足首に紐を結びつける。響史と琴音の二人もその言葉に自分の足首に紐を結びつけた。

 準備が完了し、スタート位置につく。


「よっしゃ、頑張ろうぜ雛下、九枝風!」


「うん」


「ええ!」


 響史の掛け声に応える二人。ちなみに、先頭が千春、二番目が響史、その後ろが琴音、そしてさらに四番目と五番目に男子の飯島と池神がついた。


「よーい――」


 ピストルを天向けて構える係りの男子生徒。その言葉にスタート位置についた面々が真剣な面持ちになる。


「ドンッ!」


 同時にパンッ! とピストルが発射されて、響史達のムカデは走り始めた。他のクラスのムカデも少し遅れて走り始める。どうやら、スタートダッシュは一年二組が優勢のようだ。


〈お~っと、これは! 一年二組がスタートダッシュを取りました! これを見てどう思いますか、解説のオカマ校長!〉


〈だぁああああああれがオカマじゃゴルアアアァァァァァァァァ!!!〉


〈ひぃ、も、申し訳ありません!! え? てかオカマじゃなかったらなんと呼べば?〉


 アナウンスというか実況の生徒と校長がそんなやりとりをしている間も、走者達はコーンを曲がってゴールとなるスタート場所までダッシュしていた。


〈お~っと、ここで一年二組と一年五組が並びました! スタートは速かったようですが、どうやらコーンを曲がる際に追いつかれたようです。これはどうでしょうか? 牡蒲校長?〉


〈ええ、その呼び方でよろしく〉


〈いえ、呼称の話ではなく……〉


〈あら、料理の話だったかしら?〉


胡椒(こしょう)じゃなくて呼称つってんだろ!!〉


 などと、くだらないやりとりをしている間に――。


「やった、後少しでゴールだよ!」


「うっしゃ! 俺達が一番乗り――」


 と、その時だった。


「きゃっ!」


「ぬわッ!!」


 思わず千春の足が響史の足に絡まりそのまま体勢を崩した一年二組メンバーは、ゴール手前にしてコケてしまった。


「いっつつ……」


 頭をおさえながらゆっくりと体を持ち上げる響史。と、何やら柔らかい感触が――。


「ん? 何だ、この柔らかいけど、手にすっぽりはまる丁度いいサイズの物は――」


「ひゃっ、も、もう少し優しく……」


「へ?」


 と、そこで視線を下におろしてみると――。

 そこには九枝風千春が、恥ずかしそうに頬を赤らめて響史を見つめる姿が。響史は、仰向けになっている千春の上に馬乗りになっている状態にあった。


「あ、いやこれは……」


「こ、こんな公の場なんて……恥ずかしい。で、でも……悪くない、かも」


――いかん、何か九枝風のいけない扉を開けてしまった!?



「あ――っ! 響史くん、何やってるの!?」


「あ、いや雛下……これはだな」


「どうして、私じゃなくて千春ちゃんの胸触ってるの? 言ってくれたら、私のを好きなだけもみくちゃにしてくれてよかったのに!!」


「――って、何でそうなんだよ!!」


『神童~ッ!!!』


 と、そこで飯島と池神が羨望及び殺意の眼差しを向ける。


「あ、いやこれは――」


『問答無用!!』


「ぎゃぁああああああああああああ!!!」


 結果、ムカデ競走は一年二組での内部争いが繰り広げられたことによる遅れのために、最初は一位だったはずが最終的には最下位という結果に陥ってしまったのだった……。


――何で、こうなった……ガクッ。



というわけで二部目です。最初の種目はムカデ競走。と、その前に入場行進がありましたね。まぁみなさんよく知っているあれです。しかし、瑠璃はそれを楽しそうに行うという……。まぁ精神年齢がアレなんでしょうね。で、露はここでも暴走しまくりです。まぁ、霰も霊に対して暴走してますが。しかも、その悪影響が瑠璃に及び、九枝風さんが大変なことに。てか、九枝風さん初登場早々にとんでもないキャラとなっています。ガクブル。

てなわけで、こんな感じで種目を行っていきます。どうなることやら。

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