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魔界の少女  作者: YossiDragon
第三章:六月~七月 体育祭『変態軍団アスメフコーフェッグVS体育祭実行委員会』編
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第四十八話「体育祭準備完了」・4

「ふあ~、何かいい夢見た気がしたんだけど忘れちゃった~」


 と、何やら独り言を言いながら台所へとやってこようとしている人物の声が聞こえてきた。その声の主が誰なのかに気づいたらしく、霖が顔面蒼白になって涙を潤ませ主の方を向いた後、助けを求める様に俺に訴えるような視線を向けてくる。


――うっ、そんな瞳で見つめないでくれ!! ぬぉぉぉ、心がピュアに侵されるぅぅぅぅ! って、別にそれはいいことか?



「くそ!」


 俺はすぐさま動いて、その主の侵入を阻もうと扉を閉めた。同時――。


「ふにゅ!?」


 珍妙な声を出してその何者かが扉に顔面を強打する。


「ら、られよ! ひゅうに扉をひめたのはっ!! おかげで顔面思いっきりぶつけひゃったひゃない!!」


「す、すみません露さん! 少しドアの立て付けが悪いみたいで……」


 あまりにも嘘の言い訳を口にする。そう、入ってこようとしていたのは露さんだったのだ。よりにもよって女の子なら年齢、血縁関係なく変態行為を働くこの人がやってこようとは。しかも、そんな人に霖の今の格好を見せたりしたら大変なことになるのは間違いない。

 まぁ、とにかく結果オーライだ。


「霖、今のうちに……」


「あ、ありがとうお兄ちゃん」


 そう言って霖はテテテと別方向から逃げていった。


「ふぅ……あ、ドア直ったんでもう大丈夫ですよ?」


 俺がそう合図すると、ゆっくりと扉が開き――怒り心頭の露さんが姿を現した。珍しい、この人がこんなに怒ってるなんて。


「す、すみません急に扉閉めちゃって……」


「それはもういいの!」


「え? じゃあ、何に怒ってるんです?」


「今、霖ちゃんを逃がしたでしょ? 何でそんなことしたの!?」


――え、そっち!?



 予想外の方に怒っている露さんだった。




「いただきます♪」


 瑠璃が笑顔で手を叩き、いただきますの掛け声をかけると皆も同時に同じ動きをとった。


「響史、どうしたのだその顔は?」


「あぁ、ちょっと鼻をな……」


 霄がお箸で御飯を掬い口元に運びながら、俺の顔のとある部分を見て疑問を口にする。原因は俺の鼻の状態にあった。ティッシュを丸めて鼻の穴に突っ込んでいた。理由は単純。霰に殴られた時の鼻血を止めるためだ。


「大丈夫、響史? 私が治してあげよっか?」


 首を傾げながら猫耳をピクリと動かす霊。あぁ、その何気ない仕草だけで癒される。


「あぁ、心配すんな。それに……隣のやつの般若(はんにゃ)に殺されそうだから」


 そう言って俺が顔面蒼白で隣に目をやると、そこには殺気めいた眼差しを俺に向ける霰の姿があった。その背景には漆黒の中に不気味に光る怪しい二つの赤い双眸――般若が!?


「お姉様~、こんな“変態”なんかではなく、私に治癒を施しくださいっ! あ、別にちゅ~でもよろしいんですのよ?」


「い、嫌だよ! ちょっと、やめて顔近づけないでよ~!!」


――「治癒」と「ちゅー」をかけたのか……上手い! といいたいところだが。



「おい、じゃれてねぇで早く食べろ! 急がねぇとまた遅刻ギリギリになるぞ?」


 俺が言うと、さっきまで目を爛々と輝かせていた霰が急に冷めたような表情になって半眼の眼差しで俺に言った。


「あら、朝方の件……殴っただけで許してあげたのですから感謝してほしいくらいですわ!」


「へいへい」


「えっ!? 朝方の件ってなになに!? お姉ちゃんにも聞かせて♪」


「お姉様にはぜっ――――――――たいに教えませんわ!」


 ぷいっと顔を背ける霰。すると、その態度に露さんはガーンとショックを引き起こして箸を落とした。


「あぁ、もうお箸落とさないでくださいよ……」


 そう言って俺がやれやれと椅子から降りて四つん這いになり、食卓の下に落ちた箸を探していると、ふと目の前――というか視界に何とも艶かしい色白の足がたくさん広がっていた。


――なっ、こ……これは!? あ、改めてこんな間近で見たけど……こいつら、こんなに綺麗な足してやがったのか!?



 新たな発見に度肝を抜かす俺。


――い、いかん……箸探さねぇと。いつまでもこうしてたらまた大変な目に……あ、箸あった。



 ようやく箸を見つけ俺はそれを手にとって戻ろうとした。と、そこでふと頭をあげて視線を上にあげると――。


――ぶふっ!? ぱ、パパパパパパパパパパ……ッ!?



 盛大に顔が真っ赤になり耳まで熱くなる。


「ん? 何やってるのお兄ちゃん?」


 最悪だった。よりにもよってこの中で一番最年少である雪に俺のとんでもない姿を見られた。


「お、お兄ちゃん……なんで霙お姉ちゃんのパンツ見てるの?」


 それは、もう死亡フラグ確定だった。よりにもよって霙だったのか。霙といえば――。


「何ぃっ!? き、響史てんめぇええええ!! なにアタシの……見てやがんだぁああ!!!」


 そう言って霙は俺を机の下から引っ張りだしたかと思うと、ガシッと俺の腰に両腕を回してがっちしホールドした。


――うっ、背中あたりに胸が……。



 と、浮かれているのも束の間――。


「どぅおりゃぁああああああああああ!!!」


「んぐぉッ!?」


 ジャーマンスープレックスを決められた。今、俺の脳内にはカンカンカンとゴングが鳴り響いていることだろう。


「……ったく、姉貴に負けず劣らずの変態野郎だなてめぇは」


 そう吐き捨てて手をパンパンと叩き食卓の席に戻る霙。


「ちょっと、霙ちゃん! 私は妹のパンツ見たりしないよ? むしろ、被りたいっ!!」


「なお悪いわっ!!!」


 ビシッと決めポーズをしてそう爆弾発言する露さんに、顔を真っ赤にした霙が声を荒げる。


「大丈夫響史?」


 そんな俺の変わり果てた姿を見て、瑠璃がツンツンと俺をつつく。てか、そうやって俺の顔の前でしゃがんだらスカートだからぱ、パンツが見えてるんですけど……。仮にもあなたお姫様ですよね? お姫様がそんなに無防備っていいんですか!?


「ん?」


 俺がパンツに視線を注いでいるというのに、大して気にする様子もない。


「ちょっと、お姉様。あまり近づいたら変態が感染るわよ?」


 まるでゴミを見るような眼差しで麗魅が言う。


――てか、仰向けの状態でそんな近くに立たれたらパ――。



「ふんごッ!!?」


 突如顔面を誰かに思いっきり踏まれる俺。


「へ、変態! あんた今私のパ――し、下着見たでしょ!?」


「し、しょれは……お前が近くに立ったからで――」


「問答無用!!」


「ぎゃああああああああああ!!!」


――ホント、俺体育祭出れるかな?



 と、俺は悲惨な朝を迎えて朝食の時間を終えた。




「じゃあ、出発するか」


 俺は通学バッグの紐を肩にかけて玄関の鍵を閉めると踵を返して学校へ向かう道へ歩を進めた。

 そして、あっという間に学校へ――。


「おはよう」


「あ、おはよう響史くん!」


 朝一から明るい挨拶を返してくれたのは幼馴染でありこの一年二組の学級委員でもある雛下だった。


「瑠璃ちゃん達もおはよ♪」


「うん、おはよう琴音ちゃん!」


 雛下に合わせるように瑠璃も明るい挨拶をし返してハイタッチなんかする。すると、今度は何者かが俺の背中をドンと突いてきた。


「おっと……亮太郎か」


「おい、んだよその反応は!」


「いや、相変わらずだな……ってな」


 俺は半眼で悪友の亮太郎に言った。今回はこいつとは敵対関係にある。まぁ、一応同じ白ブロックなんだが、こいつら変態軍団は黒ブロックを勝たせないといけないからな。なので、実質この一年二組の男子大半というか、殆どは敵と見て間違いないだろう。


「へんッ、裏切り者め! いいか? 勝つのは俺たち変態軍団だからな!」


「ヘッヘッヘ、そうだぜ神童! 七つの贖罪に出場する女子が種目をクリアすることなどまずありえん!! そこで、黒ブロックを確実に勝利へと導くッ!!」


「そうだゼ! オレたちが考案した種目もそう簡単にはクリアできねぇから覚悟しといた方がいいゼ? そんじゃな」


 そう言って亮太郎と日暮里と鶴吉が教室をあとにする。


――てか、もう着替えてんのか? 気合入りすぎだろ。



「なぁ、響史。私たちも着替えなくてよいのか?」


「ああ、そうだな……そろそろ着替えるか」


 霄に言われて時計の時刻を確認する。それから俺はポケットから携帯電話を取り出した。


「あ、悪い。少し電話する相手がいるから後で合流な?」


「ええ」


 麗魅が少し訝しげに返事をしたが、気にせず俺は教室を出て行く。そして、歩きながら電話した。


「あ、もしもし爺ちゃん?」


〈なんじゃ、響史。すまんが、わしはこれから奈緒と出かけるとこがあるんじゃ!〉


「体育祭だろ」


〈な――!? なぜ分かった!? も、もしやお主……エスパーか!?〉


「んなわけねぇだろ! てか、そもそもついこの間見に来るって言ってただろ!!」


〈そうじゃったな! まぁ、軽いジジイジョークじゃ〉


――何だよ、ジジイジョークって。



 と、俺は半ば呆れ返りながらあることを訊いた。


「それで、設営はできてるのか?」


〈うむ、奈緒と二人ではないしの〉


「え?」


〈ホントはあいつらも誘ったんじゃが、実の娘だというのに父親の誘いをガン無視で遊び惚けとる。ったく、しょうがない子じゃ……〉


 爺ちゃんが言っているのは恐らく伯母さん達のことだろう。つまり、俺の親父の姉と妹のことだ。誘ってたのか。まぁ、来てたら来てたでまたとんでもないことになりそうだからいいけど。


「で、結局誰と来てるんだ?」


〈奈緒と執事のものとな〉


「ふ~ん。じゃあ、心配なさそうだな。それで、保護者枠の種目で何か出るのか?」


〈うむ、孫娘と楽しみたいのはジジイとしては当たり前じゃからのぅ。「親子でスナイパー」と「綱引き」じゃよ〉


 前者はともかく、後者に俺は驚愕した。もう歳なのに、よりにもよって綱引きだぞ!? 絶対に腰を痛めるだろ!!



「大丈夫か? そんなのに出て」


〈何心配せんでもよい。冗談じゃ〉


――クッソジジイィィィィィィィィィィ!!



「はぁ、で……奈緒は何に出るって?」


〈うむ、確か一つはわしと同じ「親子でスナイパー」で、もう一つは何か長ったらしい種目じゃったぞ?〉


 その言葉に俺はこめかみから冷や汗を流した。まさか――。


「なぁ、それってもしかして『懇願要求、童顔女子の借り物競走』じゃ……ねえよな?」


〈おぉ、それじゃそれじゃ! それに出るいうとったぞ?〉


――Oh,Noooooooooooooooooooooo!!!



 俺は頭を抱えてしまった。そうだった。すっかり霖と雪のことで頭がいっぱいになってたが、奈緒の事も考慮に入れておくんだった。


「今からでも遅くない、奈緒にやめさせるように――」


〈あー、さっきエントリーに行ってしまったぞい?〉


――止めてくれよぉォォォォ!!!



 壁に頭をつけて絶望する。


――まずい、あの純真無垢な奈緒が変態軍団の毒牙にかかるだと!? そんなの許されるわけがない!



「……分かった。じゃあ、とりあえず奈緒に気をつけるよう言っといてくれ」


〈うむ。分かったぞい〉


 そう言って役立たずジジイは電話を切った。はぁ、前途多難だ。


「あ、神童くん?」


 その聞き覚えのある声に俺が振り返ると、そこには星空先輩がいた。


「せ、先輩……」


「体育祭、楽しみね」


「そ、そうですね」


「少し話があるのだけど、時間いいかしら?」


「はい」


 少し立て込んだ様子だ。何かあったのだろうか? まぁいい。どちらにせよ、俺は協力者なんだ。この人をちゃんと変態軍団(あいつら)から守らないといけない義務がある。だったら、どこまでも協力しようじゃねぇか!

 そう意気込んでガッツポーズした俺は、星空先輩の後についていった。

 と、角を曲がったところで俺は誰かとぶつかってしまった。普通ならここで俺は転倒するはずだった。が――。


「うきゅ!」


 何とも珍妙な声を出して転倒した誰か。そこに視線を向けてみると、そこには随分と小さな――まるで小学生くらい、そう霖くらいの年齢の少女が……バニーガールの格好で涙目になっていた。

 どうなっている。この学園に何故に小学生がいてバニーガール? まさか迷子? などと困惑する。俺は目の前にいる謎の女の子に疑問符を浮かべ呆然とするのだった……。

というわけで、朝からどんちゃん騒ぎでしたね。しかし、馬鹿と変態とジジイの会話は凄まじいものです。まぁ、それにしても瑠璃は無防備すぎますね。普通のお姫様なら麗魅くらいの反応を示すはずです。まぁ、これも天然のなせる技?

と、まぁこんな感じで毎回話を書きながら笑っている自分ですが、この四十八話が終わる頃にはなんと、百部に達してました。ここまででみなさん、何回笑いましたかね?

まぁ、今後も笑わせるようなネタを盛っていきたいかと。

そして!ラストに登場した謎のバニーガール小学生? 果たしてその正体とは――!!!

次回のお知らせ。体育祭やります!←当然。

で、更新日は…………気分と学校次第。まぁ、書くスピードは多分早いのでそんなにかかることはない?

では、お楽しみに。

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