バイト勇者は楽して稼ぐ!
この頃はぶりがいいって?
ああ、ちょっと、おいしいバイトをしたのさ。
勇者ってやつさ。
なんだよ、その呆れたような顔は。
ほんとだぜ。ならどうして、うだつのあがらないオレが、借金全部返してのうのうと生きてられるんだ?
聞く気になったか。
まぁ、お前も知ってる通り、オレは怠惰で仕事もろくにせずクビになったカスだ。
で、貯金もなくなって、カードで借りられるだけ借りて、借りるところもなくなって、こわいにーちゃんが周りをちらちらして。
もう、なにもかもどうでもよくなって、あの廃マンションの屋上にいたわけよ。
ああ。あそこ、建設途中でとまったまんまの。
まぁ、そこで、飛び降りようとしたわけだ。10階だから死ぬ。
下を覗いたら、ぞっとしたね。頭がトマトみたいに割れた自分を想像しちまってがくぶるだ。
で、ためらってたら。
目の前に、ぴかんぴかん、っと光ってる奴があらわれたんだ。
かみさまらしいんだよ。このせかいの。
まぁ最後まできけよ。オレが今、借金もなく金もってるのはほんとうなんだからさ。
お前、よく知ってるだろ、オレは、無能で、どうしようもなくて、特技もないクズだって。
かといって犯罪をする度胸もないだろ。頭もわるいしな。
なのに金持ってる。だからそんなオレでも金がかせげたわけだ。どういう手段か知りたいだろ。
まぁそれで、死ぬ気があるなら、金稼がないかって言われたんだ。
オレの、寿命を10年分使うかわりに、金くれるって。
ああ、飛びついたよ。
なんせ、ぴかぴか光ってるやつだからな。まともじゃない。
かみさまはさ、オレに、びしっと指をつきつけて。はい、準備終わりと言ったんだ。
これでお前は勇者だ。
いや、そんな金にならなそうなものはいいんだ。金! それとも勇者ってのはすごい力だからそれで銀行でも襲えってか? と言ったらさ。
お前のような倫理が欠如した奴にちからをもたせるわけないだろう。っていわれたよ。とーぜんだな。
あくまで勇者っぽい波長を出すってだけなんだとよ。
じゃあ、どうするんだ、って聞いたら、お前はもうすぐ異世界に召喚されるから、そうしたらあとは勝手に進むってさ。
で、いきなり、オレの周りがぴかっと、光って。
で、すぐなんか異世界だかなんかにいたんだ。ほら、よくファンタジーででてくる中世っぽいせかい。
いわゆるなーろっぱだな。
足元を見りゃ、なんか白くてでっかい星形の模様の上に建ってたさ。
どうも異世界召喚ってやつらしい。
で、オレをえらそーな王様みたいな奴が、勇者サマっていいやがった。
頭の中で、確認、って声がひびいたら。
オレが大爆発したんだ。
そうしたらまわりが真っ白になって……元の屋上にいたんだ。
目の前にかみさまってやつがいた。
なにがおこったんだってきいたら。
オレは異世界に勇者として召喚されて、そこで寿命10年分のエネルギーを放出したんだと。
で、向こうの世界は壊滅。
どうも、こっちの世界の人間が、勇者召喚とかで何人もさらわれてるんで、勇者っぽい波動をどーでもいい人間にまとわせて、爆弾として送り込むんだってよ。
で、宝くじの券をもらった。一等があたるんだそうだ。というか、その番号が1等になるんだと。
明日が当選番号の発表日なんだそうだ。で、もし当たってたら、また来いってな。
で、あたったわけだ。1等が。
で、さっそくまた次の日屋上へ行ったら。またやるかって言われた。
やる。
召喚。
どかーんってなもんよ。
で、宝くじ。
そんで寿命を合計30年使ったさ。
さすがにそれでやめたけどな。
ははっ。宝くじを当てた自慢かって? まぁそうとりたきゃそうとりゃいいんじゃね?
だけど。もし、お前もやりたきゃ、あのアパートの屋上へ行けよ。そうしたら宝くじの1等がもらえるぜ。寿命10年と引き換えだけどな。
※ ※ ※
いったなあいつ。
くっくっく。寿命が1年もどってきたのを感じるぜ。
ひとり紹介すると、寿命が1年戻ってくるとは……結構、かみさまってサービスいいよな!
たくさんの作品の中から、本作をお読みいただきありがとうございました。
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別の物語も書いておりますので、もしよろしければ、そちらも覗いてみてください。




