第1話:異世界の朝
世界は、永遠に変わらないと思っていた。
魔王がいて、戦いがあり、死があった。
だが、俺は知った——力は死すらも超えることができると。
この物語は、無敵の力を手にした一人の少年が、
世界と自分自身の意味を問いながら歩いた旅の記録である。
そして、これはまだ終わらない——終わりなき世界の物語だ。
朝の光が、見知らぬ大地を照らしていた。
草の匂い、遠くで囁く川のせせらぎ、鳥の声——すべてが、俺の知っている世界とは違った。
「ここ……どこだ?」
身体を起こすと、手に握った感覚も違う。硬く、温かく、血の匂いはない——そう、俺は生きていた。
しかし周囲には見慣れぬ村の建物、人影もまばらで、平和そうな空気が漂っている。
そのとき、遠くから物音がした。
小さな悲鳴と、何かを引きずるような音。俺の目が自然と音の方を向く。
茂みから現れたのは、ゴブリンの群れ。
緑色の皮膚、鋭い牙。見た目は醜悪で、しかしその目は異様に生き生きとしていた。
「なんだ…奴ら……?」
俺はとっさに剣を抜き、身を構えた。
だが、群れのうちの一体が鋭い刃で腕をかすめる。痛みが走った——はずだった。
しかし、次の瞬間にはその痛みは消え、傷口は小さなかさぶたのように塞がっていた。
「……え?」
驚きが、身体の奥で小さく響く。俺はもう一度、わざと刃を受けてみた。
やはり傷は消える。痛みも、血も、何もかも。
「……俺…普通じゃない…?」
ゴブリンは襲いかかる。
だが、俺は恐れることなく立ち向かう。
まだ能力の全貌は分からない。しかし、この力があれば、戦える——そう、確信した。
勝利の余韻も束の間、遠くで小さな村人の悲鳴が響いた。
俺はその声に心を引かれ、次の一歩を踏み出す——この世界で生きるために、そして力を試すために。




