「【第8話】ラブって何ですか?僕まだ5歳なんですが!」
今回はアデルの夢に、あの女神ルミエールが再登場!
しかも、なぜか仏頂面……?
さらに翌朝、公爵から衝撃のひと言が告げられます。
果たして“出会い”とは一体……!?
夢の中に、まばゆい光と共に現れたのは――キラキラのステージ衣装をまとった、やたらアイドル風の女神ルミエールだった。
だが、その表情は仏頂面。腕を組み、こちらをじろりとにらんでいる。
「……久しぶりぃ、ヨウスケ君。ずっと空から見てたよ~」
声こそ甘いが、明らかにご機嫌ナナメだ。
僕は思わず背筋を伸ばした。
「あ、ありがとうございます?あの……もしかして怒ってますか?」
するとルミエールは、ぷくっと頬をふくらませて言った。
「んもぅっ!ヨウスケ君はちゃんとやってる!偉い!マジメ!そこは満点!でもね……ラブがないのよ、ラブが!」
「……ラブ?」
頭に大きなハテナが浮かぶ。
ルミエールは腰に手を当て、胸を張った。
「そう!ラブ!私、一応“愛の女神”でもあるんだから!世界改革とかもいいけど、もっとドキドキとかトキメキとかしてほしいの♡ 今のヨウスケ君なら選り取り見取りじゃない!?」
……いや、意味がわからない。
「あの……僕の使命は、この男尊女卑の世界を正しく導くことですよね?それにアデルはまだ五歳ですし……」
必死に反論する僕に、ルミエールは大げさに肩を落とした。
「え~~~!?でもさぁ、アリスちゃんとか、他の女の子にちょっとくらい興味ないの?見てるこっちがつまんないんだよぉ~(´;ω;`)」
わざとらしく涙ぐむ女神。
……なんだこの茶番。
「あの……なんか、ご期待に添えずすみません?」
素直に謝った僕に、ルミエールはぱっと顔を輝かせた。
「もぅっ!ヨウスケ君は何も悪くないんだよぉ!……わかった!私が出会い導いてあげるね!期待しててね☆」
勝手に納得し、キラキラポーズを決めるルミエール。
「えぇ……」
完全に置いてけぼりの僕。ラブって何だ。余裕なんて全然ないんだけど。
そんな思いが渦巻くうちに、女神は「じゃあ、またねぇ~☆」と手を振り、光と共に消えてしまった。
――夢から覚めた瞬間。
館内は、やけに騒がしかった。
朝の支度をしていると、ドアが勢いよく開き、公爵である父が現れる。
「アデル。お前の婚約者を決めた。今日、顔合わせがあるから授業のあと応接間に来なさい」
「…………は?」
あまりに突然すぎて、思考がフリーズする。
「アデル様!?大丈夫ですか!」
心配そうに駆け寄るアリス。
「う、うん……大丈夫。ありがとう」
笑みを返しはしたものの、頭の中は完全にパニックだった。
――女神様!出会いって……こういうことですか!?
僕は心の中で全力で叫んだ。
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女神様、いきなり「ラブがない!」って言い出すし、勝手に“出会いを導く宣言”までしちゃいましたね(笑)
そして翌朝、まさかの婚約話が降ってくるという急展開……!
次回は、いよいよ顔合わせのシーンです✨
どんな相手が現れるのか、お楽しみに!