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第四話 ロベリア国の歴史

文章が稚拙なのでちょいちょい改稿します。

 次の日、もしかしたらと期待をしつつアルメリアはいつもの待ち合わせの場所に向かった。しかし、やはり四人とも来ていなかった。

 どうしても、もう一度彼らに会いたかったアルメリアは、孤児院の場所まで行こうと考えた。だが『アンジーは来ない方が良いから』と、四人とも孤児院の正確な場所を教えてくれなかったため、孤児院の正確な場所を知らず、探しはしたもののたどり着くことはできなかった。


 アルメリアは、知らなかったとはいえ彼らの存在の上に自分たち貴族がのさばっていて、自分の両親もそういったことに関わっているのではないだろうか? そう思い酷く落ち込み、何も手につかなくなくなり部屋に閉じ籠った。

 しばらくはそうして過ごしているうちに、知らなかった現実を知った今、もっとこの国のことを知って教会のやっていることを暴かなければいけない。そして、シルを探そう。そう考え直した。


 アルメリアは勉強嫌いだったし、女性なので勉強をする必要はないと言われつづけて育ったのもあり、今までずっと勉強をしてこなかった。

 だが、この日から図書室にこもり自分の国の歴史と政治について勉強し始めた。今のアルメリアでは無力すぎてそれしかできることがなかったのだ。




 アルメリアの住んでいるロベリア国は、昔は隣国のグロリサオ帝国の一部であった。

 起源は今から千六百年ほど前に遡る。当時、グロリサオ帝国は小国であった。周辺諸国とはいさかいが絶えず、ついに数多(あまた)の国々を巻き込んだ大戦となった。


 当時のグロリサオ帝国の皇帝アウグストゥスは頭の切れる人物で、地の理を生かした戦術が得意な人物だった。彼のお陰でグロリサオ帝国は華々しい戦果をおさめ、領地を拡大しついに大国となっていった。


 だが、その大戦は数十年ほど続き、帝国を弱体化させていた。


 大国になったとはいえ、いつ反乱が起こるかわからない状況の中、アウグストゥスは一計を案じた。戦友でもあり、自分を何度も窮地から救ってくれたロベリア騎士隊長に娘を嫁がせ、未開拓で防衛の要であった、現在ロベリア国のあるこの土地に住まわせることにした。

 そして、他国から容易に帝国へ侵入できないように防衛拠点を作らせ、反乱分子がいないか目を光らせる組織をそこに置いた。


 それが今のロベリア国の始まりだった。


 ロベリアがこの土地を統治するようになると、その土地はロベリア騎士隊長から名をとり、ロベリア地方と呼ばれるようになった。

 百年ほどその状態が続くと防衛と言う名の元、ロベリアの子孫であり、上級騎士として騎士団を統ていたイキシアという優れた騎士により、イキシア国境騎士団という帝国の監視下にない独立機関が設立される。

 そうして、帝国の監視を離れたロベリア地方には、グロリサオ帝国とは違った独自の文化が生まれた。


 特に大きく違うのは宗教文化であった。ロベリア国は雨の少ない土地なのだが、あるとき災害とも呼べる豪雨に見舞われた。洪水の対策を全く取っていなかったロベリア地方は、その洪水により大きな被害を出した。川の氾濫が随所であり、人家や作物は流され大飢饉に見舞われたのだ。


 そのとき現れたのがチューベローズという人物だった。彼は人々に洪水の対策や、災害にあった土地を歩き、人々を励まし自らが教祖として活動しているチューベローズ教の布教をしてまわった。


 結果、災害によって心の拠り所を求めた庶民らは、チューベローズ教に傾倒していき、チューベローズ教はロベリア地方最大の教派となっていったと言われている。

 そして、イキシア国境騎士団とも密接な関係を築くようになったチューベローズ教は、イキシア騎士団にも影響を及ぼすようになった。


 こうして独自の文化、宗教、政府機関ができると、自然に帝国からの独立を叫ぶ者が現れた。次第にその声が大きくなると帝国は当初、鎮圧の方向に動いた。

 だがイキシア国境騎士団は特に抵抗を見せず、ずっとそれを話し合う場を作り、説得した。


 最終的に帝国側が折れる形となり、有事の際には帝国を必ず守ることを約束し、帝国と和平協定を結び、国として独立することを認められるに至った。これが今から八百年前の出来事である。


 ロベリア国ではロベリア騎士隊長の子孫がイキシア国境騎士団を統率して納めていたため、そのままロベリアの子孫が国王という立場で国を統治することになった。


 その後、長い歴史の中、貴族制度ができ貴族たちが領地を納めるようになっていった。

 現在騎士の階級も貴族階級へと姿を変えつつあるが、ロベリア国では、貴族は騎士でもあり騎士は貴族でもある。という幾分ややこしい制度になってしまっている。


 そういった状況で騎士団のトップに君臨するのは貴族たちであり、叩き上げで騎士(ナイト)の称号を持つものも少なからずはいるが、ごく稀だった。

 その上、実際に戦に出るのは騎士団所属の兵士で貴族ではない。



 図書室で知ることができる歴史はここまでだった。

 と、ここまで歴史を読み解くうちにアルメリアは妙な既視感を覚えた。


 昔、乳母が寝物語でそんな話をしてくれたのかな? でもいくらなんでも子供に寝物語としてこんな話をするわけないし……。なんでそんな感じがするのかしら?


 そう思って思考を巡らせていると、突然霧が晴れるように、アルメリアの頭の中に前世での記憶が鮮明に呼び起こされた。

 そうして、過去の世界や自分を思いだし驚愕しているうちに、ロベリア国は自分が前世でやった乙女ゲームの世界に出てくる国であり、おそらくは自分が転生してしまっていることに気づいた。


 そのゲームは前世で特にお気に入りのゲームだった。お金はないが、時間をもて余していた学生の頃、幾度となく攻略したものだった。


 このゲームは乙女ゲームというジャンルが確立する先駆けのゲームで、内容はこうだ。


 中世から近世にかけての世界が舞台となっており、主人公のダチュラは孤児だった。だがある日、父親と名乗るジニア・ファン・クインシー男爵が、奉公に出ていたダチュラの元を訪ねてくることから話が始まる。


 ジニアはダチュラになぜダチュラが孤児院に入ったのか、わけを話して聞かせた。

 昔クインシー男爵家にアイシアと言うメイドがいた。ジニアはアイシアと深い関係になり、アイシアは子供を身ごもる。その子供がダチュラだ。

 二人は結婚する約束をしていたが、それがジニアの父親にばれてしまい、ジニアの父親はアイシアに大金を渡して屋敷から追い出してしまう。


 親族のいなかったアイシアは、教会に身を寄せなんとかダチュラを生んだが、大金を狙った強盗に殺されてしまった。そのままダチュラは、孤児院に預けられた。


 ジニアは長年、アイシアに捨てられたと思っていた。ところが父親が死の床でジニアを呼ぶと、真実を打ち明けダチュラの居場所を伝えた。

 そうしてジニアは愛する人との娘、ダチュラを迎えにきたのだった。

誤字脱字報告ありがとうございます。

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