表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/33

1.プロローグ

 時はシュタインベルク王国第12代国王フリードリヒの治世。眉目秀麗な父親の国王に似た、見目麗しい王子が2人いた。


 兄王子マクシミリアンは17歳、金髪碧眼の容姿こそ美しいが女たらしで怠け者、何をやっても凡庸。


 弟王子ヴィルヘルムは14歳、兄に似ているが茶髪で灰色の目、文武両道でまじめかつ優秀。国王は優秀な弟王子に肩入れし、王妃は兄王子を溺愛していた。


 ある日、王子2人の剣術指導の時のこと――


「先生、兄上がまた逃げました。ご迷惑おかけして申し訳ありません。心当たりを探してみます」

「殿下が謝罪する必要はありません。殿下の責任ではないのですから。第一王子殿下は護衛に探させますので、このまま剣術訓練を始めましょう」


 今は王子2人の剣術指導の時間だが、いつものごとくマクシミリアンはどこかに消えていた。剣技だけに限らず、2、3年前から家庭教師の時間にもマクシミリアンはたいていふらっとどこかへ行ってしまう。そんな振舞いを国王は苦々しく思っていたが、王妃はいつもマクシミリアンをかばっていた。


 まだ王太子は選ばれていないが、普通なら第一王子が立太子される。しかしマクシミリアンの奇行と放蕩が知られるにつれて優秀なヴィルヘルムを立太子すべきだという声が日に日に大きくなっており、多くの有力貴族がヴィルヘルム派に鞍替えしつつあった。


 だが、王妃の実家ベルゲン侯爵家やコーブルク公爵家、マクシミリアンの婚約者ユリアのラウエンブルク公爵家がまだマクシミリアンについていた。


 兄弟は両方とも()()()()王妃の実子とされているが、王妃がヴィルヘルムの妊娠中、離宮に閉じこもって使用人も最低限に抑えていたので、教会が愛人を許さないのにかかわらずヴィルヘルムは実は妾腹という噂が社交界で絶えない。実は、噂は本当でヴィルヘルムの実母は王妃ディアナの元侍女だったが、その事実を知っているのは国王夫妻と王妃の長年の専属侍女ミリアム、当時の王宮付きの医師だけだった。


 マクシミリアンとヴィルヘルムは小さい頃は仲がよかったが、マクシミリアンは出来のよい弟に嫉妬してしまう上に、会えば弟に女癖のことで小言を言われるので、ここ数年は距離を置いている。母親の王妃は長男を溺愛していてマクシミリアン立太子を推している。


 マクシミリアンの婚約者ユリアは、同い年の幼馴染。彼女は宰相の娘で公爵令嬢、まじめで優秀でありながら、ブルネットのウェーブするロングヘアと緑色の瞳を持つ色白の美少女である。元々、マクシミリアンが立太子されたら2人が18歳で成人する年には結婚する予定だったが、マクシミリアンの出来と素行が悪くて立太子は保留、結婚も当分延期になった。


 マクシミリアンが幼い頃は、2歳上のユリアの兄オットーと3歳下のヴィルヘルムも交えて4人で王宮で遊んだものだった。その頃は、ユリアとマクシミリアンは大変仲がよく、周囲の大人も微笑ましく見守っていて、2人が婚約するのは当たり前のようにとらえられていた。当時はマクシミリアンも優秀でまじめに勉強や剣技に取り組んでいたのにいつのまにか今のようにこじれてしまったのだった。

『始まりはデキ婚から』(完結済)の少し前のお話です。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ