1.トントン爆誕
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> トントンテイル! <
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皆さんはトントンという擬音から何を想像するだろうか?大工さんが作業してトントンと金槌で叩く音?お母さんがご飯を作る時の包丁の音?子供がおもちゃの太鼓を叩いて遊んでいる音?お母さんがぐずる子供の背中を優しく叩きあやす音?
それとも誰かが扉をノックする音?
はたまた
イライラしている男の人が指で机を叩く音か。なかなか来ない待ち人にじれて靴先を地面に打ち鳴らす音か。
色々な“トントン”がある。
これは、一匹の豚型魔獣“トントン”になってしまったある女の子の物語である。
辺りを見回すと暗い森の中、此処はどこ?誰か居ないの?不安に駆られて走り出す。地面に溜まった水が跳ね、脚と腹が濡れる、しかしすぐにその足は止められた。
振り返ると目の前には綺麗な泉、吸い寄せられるように近づいて、泉のほとりに座り込む。キラキラと月明かりを反射させる水面を覗き込むと、優しい薄桃色が自分と合わせて動いた。
「これが……私………………?」
「じゃなぃわよ!!!!!!!」
ドバッシャァァァァァ……!!夜の泉にどデカイ水飛沫が立つ、月の光に煌くそれは周りの草や木々を濡らして一層泉の周りを美しく飾った。
その真ん中でぴこぴこと耳を激しく動かし、しっとりと濡れたピンク色の鼻をぷひぷひと鳴らしながらぴぎー!!と鳴き声を上げる。
「なんで豚!?何故ブタ!!?WHY pig!!!!?」
───ブタ。
失敬、豚型魔獣。くりんと巻かれた尻尾がチャームポイントの豚型魔獣(幼体)は淡い色の蹄をカコカコと近くの岩にぶつけながら引き続き鳴き叫んだ。
「いやいやいやいやいや!?何で豚!?私ナンデナンデェェェェエ!!?夢!夢かそうか夢なら早く醒めさめない!!!!」
両頰を蹄で引っ張っても残念ながら夢からは醒めなかったらしい、小さな丸い身体で器用にブリッジを決め、ぷきょー!!と一際大きく鳴く子豚。
「女の子だよ仮にも女子!もっとなんかあったでしょエルフとかマーメイドとか一億歩譲ってスライムとかね!!?ぶた!!?ぶたなの!!?」
───豚である、現実は無情だ。
「どぉしてぇぇぇぇぇえ!!?!?」
トントンテイル。これは、ある豚型魔獣“トントン”に転生した女の子の物語。
続くかどうかは神様の気分次第だ。