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短冊にさようなら  作者: 齋藤 リョウスケ
5/12

〜一章 満・美優編 4〜

どうも、齋藤です!

なんとか書くことが出来ました!


やっとなんかホラー(?)っぽくなりました。

最後までお読み頂けると幸いです。

では、どうぞ。

 1:27 1階廊下 保健室前


  保健室を出た(みちる)美優(みゆう)は、


「えっと、美術室は3階だっけ?」

「うん、そうだよ」

「それじゃ、行きましょうか」


  そう言って、二人は階段を上り始めた。





 1:28 1階階段〜3階階段


  階段を上っている途中、満はある事を思い出し、(おもむろ)にポケットを弄り始めスマホを取り出した。


「うーん…やっぱりダメか…」


  何かを確認した満は顔をしかめていた。


「満、どうしたの?」

「いや、あのノートを使わなくてもスマホで連絡を取り合えないかな、と思ったんだけど…」


  満は自分のスマホの画面を美優に見せた。


「やっぱり、電波は無いみたい…」


  満のスマホの電波は圏外になっていた。


「まぁ、そうでしょうね。こんな異空間な場所じゃ電波なんて無いわよ」


  満は心の中で何かがグサッと刺さった。


「で、もし電波が繋がってたらどうしてたの?」

「うん、お姉ちゃんも七不思議を解決しようとしてるのか訊こうと思って」

「なるほど、確かに訊き忘れたわね…」


  そんな会話をしながら、二人は3階まで上っていた。





 1:31 3階廊下


  3階に着いた二人は3階特別棟の一番奥へ歩き始めた。

  歩いてる途中、いきなり廊下の窓がガタガタと震え始めた。


「うわぁぁぁ!!」


  満は手を頭に乗せ、しゃがみ込んでしまった。

  それを見た美優は呆れながら一言言った。


「満…何やってるの?」


  満はしゃがみ込みながら、


「いや、いきなり窓が震え出したら怖いじゃん!」


  と、ヘタレな発言をした。

  それを聞いた美優は「はぁー」と一つ大きな溜息を吐いて、


「大丈夫よ、ただ窓が震えただけよ。確かにガタガタ言ってたけど、割れるような震え方じゃなかったわ。ただの風よ。」


  と冷静に分析をして満を安心させた。

  それを聞いた満は安堵を漏らした。


「よ、良かった…。窓を割って何かが入ってくると思っちゃったよ…」

「何言ってるの、ここは3階よ? 入ってくる訳ないじゃない」

「た、確かにそうだね、あははは…」


  満は無理矢理作り笑いをした。

  それを見た美優はボソッと言った。


「…なんだか、この先大変そう」

「えっ?な、何か言った?」

「なんでもないわ」


  そんな会話をし終えると、二人は示し合わせた訳でもなく、自然と美術室に歩みを進めた。






 1:36 美術室前


  満と美優の二人は美術室前に着いた。

  が、特にこれといった変化は無く、それが逆に不気味さを増していた。

  満は首筋から背中にかけて汗が流れ、美優は息を呑んだ。

  満が一言、


「…それじゃあ、開けるよ?」


  美優は無言で首を縦に振った。






 1:37 美術室


  美術室の扉をガラガラガラと大きな音を立てて、二人は美術室の中に入った。

  中は教室同様、窓から月明かりが照らしていて、静寂が支配していた。

  美術室には、木材で出来た大きな机が10個あり、その内の9個の机の下には、木材で出来た小さな椅子が6個ずつ置かれていた。

  壁には辺り一面に大小様々な絵画が飾られている。

  飾る事が出来なかったのか、壁にもたれたかかる様に置かれている絵画もあった。


「久しぶりに美術室に入ったわ」


  美優が独り言の様に呟いた。


「僕は美術を一回も取ってないから入った事ないね」


  満も美優の様に呟いた。

  暫く二人は美術室の中で変わった所が無いか探していると、美優が一つ気になる事を言った。


「…前にここに来た時、こんなに絵が飾ってあったかな?」

「前はこんなには飾ってなかったの?」

「うん、もっと少なかったと思う。1、20個くらいしか飾ってなかったと思う。」

「そしたら、これは多いとかの話じゃないね…」


  今美術室に飾られている絵画はザッと見た限り、100個近く飾られている。


「それに、机の上にも絵が置いてある。凄く変だわ」


  美優が机の上に置いてある一つの絵画を持ち上げようとしたが、埃が舞い上がってしまい、咳き込んでしまった。


「や、八十島(やそしま)さん、大丈夫!?」

「ゴホッゴホッ!…だ、大丈夫よ…ただ咳き込んだだけだから」

「無理はしないでね」


  そういって、二人は再び美術室を探索した。


隼人(はやと)さんの持ってきた本には、死神に札を貼るって言ってたけど、どれがその死神なのか分からないね…」

「そうね。確かに死神と言ってもいろんな死神がいるからね」


 そう、死神とはとても大きな括りなのだ。

 童話や宗教などによってその姿は様々である。

  そんな話をしている時、満にある一つの考えが浮かんだ。


「…ねぇ、八十島さん。もしかしたら、絵の中じゃなくて裏にいたりするんじゃない?」

「えっ…?」


  満の突拍子もない発言に美優の動きは止まった。

  それを見た満は、


「あっ、いやっ!もしかしたらだから!多分、そんな事は無いとーーー」

「いえ、多分それはあると思うわ」

「えっ?」


  美優が満の発言を肯定した事により、今度は満の動きが止まった。


「満、多分これは[隠れ鬼]の一種と思えば良いのよ」

「[隠れ鬼]?確か、かくれんぼと鬼ごっこを組み合わせた遊びだよね?」

「そうよ」


  すると、美優は絵画の裏を確認し始めた。


「死神が素直に表の絵の方に居る訳がないわ。だから裏を見るのよ」

「な、なるほどね!」


  満も絵画の裏を確認し始めた。






 1:52 美術室


  あれから暫く、二人は絵画の裏を確認したが、膨大な数の絵画が飾られている為、未だに死神を見つけることは出来ていない。

  そして、


「あー、疲れた!満、少し休まない」

「うーん、もう少しだけ頑張る」

「…相変わらず、満は頑張り屋さんね」

「えっ?何か言った?」

「ううん、言ってない」


  そんな会話をして、再び物をどかす音が鳴り始めた時、


「あった!」


 満が歓喜の声を上げた。


「み、満! 私にも見せて!」


 美優は満の所まで走って、どんな死神なのかを確認した。


「これが死神だったのね」


  美優が一言そう言った。

  そして、満はポケットから隼人に貰った図書カードもとい、お札を取り出し、裏に貼ってある両面テープのビニールを剥がした。


「それじゃあ、貼るよ」


  満がお札を貼ろうとしたその時、




  ガラガラガラドシャ‼︎




  という音が響き渡った。

  二人は一瞬、何の音か分からなかったが、その答えはすぐに分かった。

  美術室の扉が閉まったのだ。

  美優がすぐに扉の方に行き、扉を開けようとした。

  が、全く歯が立たなかったのだ。


「ぜ、全然開かない…。どうなってるの?」


  そして、異変は美術室の扉だけでは無かった。

  突然、美術室内に男性の不気味な笑い声が響き渡り始めたのだ。


  フハハハハハ、フハハハハハ!


「な、何この声!?」

「多分、これが死神の声よ!」


  二人は耳を塞いだが、全く意味が無かった。

  まるで、脳に直接笑いかけてるかの様なのである。


「み、満!早くお札を貼って!」


  満は美優に言われてハッとした。


「わ、分かった!」


  そして、満はお札をその死神に貼ろうとしたが、


「あ、あれ!?死神が…死神がいない!?」

「えっ!?う、嘘でしょ…!?」

「本当だよっ!」


  二人が目を離した一瞬、いつの間にか死神が消えていたのである。


「もしかして、この絵画の何処かに消えたのかも!?」

「もしそうなら大変よ!」


  二人は急いで絵画の裏をがむしゃらに探し始めた。




「いた!」「逃げた!」

「満、こっち!」「分かった!」「ダメ、また逃げた!」

「そっちは全部見た!」「それじゃあ、こっちを見る!」




  時間だけが虚しく経ち、二人には疲労と死神による睡魔が襲っていた。

  そして、遂に二人は床に座り込んでしまった。


「だ、ダメだ…全然見つけられない」

「私、だんだん眠くなってきたわ」

「僕もだよ…」


  美優は半分諦めかけていた。

  しかし、満は全く諦めていなかった。


(死神は今までどんな動きをしていた?思い出すんだ)


  満は頭の中で色んな考えを巡らせていた。

  そして、ある一つの仮説にたどり着いた。


(もしかして、伏せられてる絵には飛べないのかも)


  そう、机の上に置いてある絵に、死神は一度も移動した事が無かったのである。

  ということは、飾られている絵画をほぼ全て伏せた状態にすれば良いのだ。

  しかし、この美術室に飾られている絵を全て外すとなると、相当な時間が掛かる。


(考えろ、考えるんだ!もっと時間を短縮出来るはず!)


  すると突然、美優が口を開いた。


「満…もしかしたら…死神の飛ぶパターンは3パターンしかないのかも」

「えっ? どういうこと?」

「思い出してみて。死神が同じ壁に飾られてる絵画に飛んだ事ある?」

「…あっ!」


  確かに思い返してみると、そうなのである。

  同じ壁を探しても全く見つからない事が何回もあった。

  そして、満が口を開いた。


「……八十島さん、この死神の攻略、出来たかもしれない」

「ほ、本当…!?」

「うん。でも、その為には八十島さんの協力が必要なんだ」

「分かった、頑張るわ…」


  そして、満は自分が考えた攻略方法を、美優に教えた。


「いい?まず、黒板側、窓側、美術室出口側の絵を全て絵が見えない様に伏せて置くんだ」

「えっ、どうして?」

「死神は伏せてある絵には飛べないと思うんだ。」

「…なるほど、確かにそうかも」


  美優は半分眠りかけているが、脳を回転させて頑張って理解しようとしていた。


「辺り一面に絵が飾ってある所だけを残したのは、死神が他の所に飛べない様にする為ね」

「そう。それに、他3つはその壁と比べるとそこまで多くない。すぐに外せるはずなんだ」


  そう言って、満は無理矢理自分を立たせ、美優を立たせる為に手を差し伸べた。


「八十島さん、やってみよう!」

「…えぇ、やってみましょう!」


  美優は差し伸べられた手を掴み、自らの体を立たせた。





 2:06 美術室


  相変わらず、美術室内には男性の不気味な笑い声が響き渡っている。

  ずっと聴いていると、眠気よりも気がおかしくなるような笑い声である。

  しかし、その声を掻き消すかの様な、ダンッ、ガタンッという音も響き渡っていた。


「満!こっち全部外したよ!」

「ありがとう!こっちもあと少しだから、窓側をお願い!」

「分かったわ!」


  満と美優の二人は(せわ)しなく動いていた。

  壁に飾られている絵画を外しては机に置き、外しては机に置きを繰り返していた。

  おかげで机の上には絵画が積み重なっていた。

  そして、遂に3方向の絵画全てが外された。


「よしっ、これであとは死神を探すだけだ!」


  そう言って、満と美優は絵画の裏を一つ一つ確認していき、絵画が積み重なった机の上に伏せて置いた。

  ここまで順調に来ていたが、急にドサッという音が満の耳に入った。

  満が美優の方を見ると、美優が倒れていた。


「や、八十島さんっ!?」


  そう言って、満は美優に駆け寄った。


「八十島さん、しっかりして!眠っちゃいけない!」


  満かワナワナとしていると、


「み、ちる…あなたは早く…死神を封印しなさい…」

「で、でもっ!」

「私の事は良いから…早く…」


  満は少し考えたが、美優の言う通り死神の封印を優先した。


(死神…死神…!何処にいるんだ!?)


  満は焦った。

  このままでは美優が死神に連れていかれると考えてしまい、とても焦った。


「これじゃない…こっちも違う!何処にいるんだ!」



  フハハハハハ! フハハハハハ!



 笑い声はそれを嘲笑うかの様に笑っていた。

 そして、その笑い声が満を焦らせていた。


「ちくしょう!見つからないのか!……あっ!」


  満が諦めかけてた時、自分がとんでもない失態を犯していた事に気がついた。

 



 絵画の裏を確認する時、絵画を裏返す。

 という事は、一瞬ではあるが絵画の表同士が見合うのである。




  この事に気がついた満は、裏を確認せず、全ての絵画を机の上に伏せて置く様にした。

  そして、遂に死神の絵が描かれた絵画が現れた。

  満はポケットに手を突っ込み、お札を取り出した。


「これで、終わりだっ!」


  満はお札を死神の絵に重なるように勢いよく貼った。

  すると、さっきまでうるさかった笑い声が、どんどんと遠くに行くかのように小さくなった。

 そして、また静寂が部屋を支配し始めた。


  満は最後の力を振り絞って美優の所まで行こうとしたが、疲労と眠気がドッと襲い、辿り着く前に倒れ込んでしまった。




「や、そしま、さん…」

最後までお読み頂き、ありがとうございます!


また頑張って続きを書きますので、お待ちください。

では〜。

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