〜一章 満・美優編 1〜
どうも、齋藤です。
一章なのですが、かなり長くなるので○○編とナンバリングを付けることにしました。
多分、この先もこうなると思います。
ご了承ください。
0:00 ???
夜…月明かりが部屋を照らしているにも関わらず、辺りはとても暗く、静寂が支配している。
人っ子一人どころか、動物、虫1匹も居ないのかと錯覚する程、静寂である。
その部屋には机や椅子が十数個ずつ置いてあり、ロッカーも置いてある。
そして黒板、教卓といった、学校を連想させるような物も置いてある。
…そう、ここは教室なのである。
0:02 ?年?組教室内
「…うっ、うーん」
目を覚ました満は、まだ完全に開いていない眼を擦りながら立ち上がり、辺りを見回した。
「ここは…何処?なんだか、教室みたいだけど」
状況をまだ完全には飲み込めていないが、今自分が教室にいるということは判断出来た。
「なんだか、寒気がする…。なんでだろう?」
満の脳が段々と覚醒していく中、満の目に一人の女の子が映る。
「や、八十島さん!?」
美優は椅子に座り、両手を枕の代わりにして寝ていた。
満は急いで駆け寄り、肩を揺らして美優を起こした。
「八十島さん!八十島さん!起きて!」
「うーん…」
美優も頭を上げ、寝ぼけ眼を手で擦りながら大きな欠伸を一つして起きた。
「ん。あ、あれ? 満なんでここに…。というか、ここは何処?」
「八十島さん、多分だけどここは教室だと思う。でも、正確にはちょっとわからない。」
満は美優から離れ、部屋の中を調べてみる事にした。
黒板や時間割表、ロッカー、掃除用具入れ。
どれも特定するには不十分であったが、ふと窓に目を見やった時、満は目を大きく見開いた。
自分が通っている高校のグラウンドなのだ。
「もしかして、ここ久遠高校!?」
「えっ!?」
満の衝撃的な発言に美優も椅子から離れて窓に張り付いた。
「ほ、本当だ…。でも、なんで私たち高校にいるの…?」
「わ、わからないよ…」
満と美優がまた、というより更に状況が分からなくなってしまった。
その時、教室内に取り付けられているスピーカーから、酷いノイズと共に男とも女とも判別がつかない声が流れた。
ギギーーゴゴーーガーーゴゴーーンン
『ーーー2年A組、時田満君、八十島美優さん。
至急、図書室へ来て下さいーーー。』
ギーーゴゴーーガガガーーゴゴーーン
突然鳴り響いたチャイムと声に満はひどく怖がり、ヒィ!という声と共に目と耳を塞ぎ、今にも泣き出しそうであった。
美優もさすがに今起きた事に恐怖心を抱いた。
「い、今の何!?」
「わ、わからないわ…。でも、確かに図書室へ来て下さいって言ってたわ」
「…図書室に行くの?」
「うん、行ってみよう。何か分かるかも」
そう言い、美優が教室に出ようと歩き始めた。
「あ、ちょ、ちょっと待って!」
満も慌てて美優に付いて行こうと歩き始めた。
0:14 3階 3年生教室前 廊下
「もしかして、ここ、3階かしら?」
満達が廊下に出ると、見慣れない掲示板などがあり、加えてさっき窓から見た風景から、ここが3階の3年生の廊下であることが分かった。
図書室は2階であるから、二人は中央階段から降りる事にした。
図書室に向かう途中、満は身を縮こませて周りを警戒しながら歩いていた。
「ねぇ、そういえばなんで私たち高校にいるの?」
美優が思い出したかの様に当然の疑問を口にした。
「そ、そういえば分からないね…」
それはそうだ。
満の記憶が正しければ、自室のベッドで寝て、次の日を待っていたはずなのだ。
「…もしかして、おまじない…」
「えっ?」
「い、いやっ!な、なんでもないよ!さっ、図書室に向かいましょ!」
美優自身も自室で寝ていたのに、目を覚ますと高校にいたのだ。
明らかにおかしい、そう感じ取っていた。
そして、美優はもしかして自分がこの状況を作ってしまったのかと考えた。
「…」
満は美優の言動に違和感を感じた。
明らかに何か隠している。
これは幼馴染だからではなく、誰がどう見てもおかしかったからである。
だが、今は問い詰める場面では無いと思い、これ以上は探らない事にした。
0:18 2階 図書室前
図書室に着いた時、おかしい事に気が付いた。
なんと、扉に付いてるガラスから灯りが漏れているのだ。
二人は安堵するのと同時に不気味に感じた。
「…入ってみましょう」
そう言って、美優は図書室の扉を開けた。
0:19 図書室
図書室に入った時、何故だか不思議と今までの恐怖心が消え、安心感が溢れていた。
「どうしてここだけ灯りが付いてるんだろう?」
美優が最もな疑問を満に投げかける。
「分からない…。まさか誰かい…」
誰かいる、と言いかけた時、満は人の気配がし、美優の腕を掴んで本棚に隠れた。
「な、なに!?どうして隠れたの?」
「だ、誰かいる!」
「えっ?」
満が本棚から様子を伺うと、そこには人が一人、椅子に座って本を読んでいた。
顔はとても中性的で男なのか女なのかわからない。
が、服装が男性の学生服である事からして、男であることがわかった。
「男の人だ。どうしようか?」
「多分、あの人が私たちを呼んだ人よ。行ってみましょう」
そう言い、 二人は本棚から出てきて男の前に現れた。
そして男の横まで行き、
「もしかして、貴方が私たちを呼んだ人ですか?」
美優がそういうと、男は読んでいた本を閉じ、二人の方を向いた。
「はい、そうですよ」
男はそう言って笑みを浮かべ、
「初めましてになりますね。時田満さん、八十島美優さん」
最後までお読み頂き有り難うございました!
次回も頑張って、なるべく早く投稿出来るようにします。