表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/2

《第1話》龍牙とモコ






ピピッピピッ。


朝、いつもと同じ時間に目覚ましがなる。

東堂(とうどう)元子(もとこ)は眠い目を擦りながら、ベットから起き上がる。

カーテンを開けると、まだ少し薄暗かった。


「ふぁあああ~。」


大きな欠伸をした。


パジャマ代わりの、スウェットを脱ぎ、ワイシャツに袖を通す。制服のスカートを履き、ブレザーとスクールバックを持って、部屋を出る。

淡い水色を基調とした、可愛らしいデザインの制服は、他校の女生徒から羨ましがられることが多い。


高校生になり、行きたかった高校が県外なので、ひとり暮らしをはじめた。その話を聞いた親戚が、経営しているアパートの一室を格安で貸してくれて、仕送りと週2のバイトで上手く食いつなげている。


部屋を出てキッチン兼リビングに向かうと、


「おっせ~ぞ、モコ。」


真田(さなだ) 龍牙(りゅうが) が、携帯を弄りながら……


「ん?」


「ん!?!?」


「朝から大きい声だすんじゃねぇよ。」


「な、な、な、なんでいんの!?」


「あぁ? 朝だから。」


「いやいや、返答になっていません。」


「うるせぇな、俺がどこで何してたって、いいんだよ。」


「いや困るよ!」


「ほら、お前のカップラーメン作っといた。」


「もう意味わからん。」


私は、床にスクールバックとブレザーをおき、キッチンテーブルに向かいあわせで腰掛けた。

作ってくれたカップラーメンの蓋をとった。


(箸も用意してくれてるし、なんだんだ、いいやつかよ。)


橋で混ぜてから、口に入れると、私は顔をしかめた。


「これ、いつお湯入れた?」


お茶を流し込んでる龍牙に聞いた。龍牙の前には、食べ終えたカップラーメンが置いてあった。


「え?今。」


「嘘つけぇ!何この可哀想なカップラーメン。浸りすぎて、老化してるよ!」


「だから俺おっせーって忠告しただろ。」


「絶対わざとじゃん……まぁいいか。」


「モコってさぁ」


「ん?」


伸びに伸びきったラーメンを口に入れると、龍牙が頬杖をつきながら、マジマジと見てきた。


(えっ、な、ななに。//)


「アホの子。」


ニッタァと笑うその顔面に、カップラーメンを投げつけてやりたくなった。


この憎たらしい男は、高校で出会った。

同じプロヒーローを目指す学校で同じクラス、隣のアパートに一人暮らししている友達?友達……いや、なんだろう。


「ねぇ、私らってどんな関係?」


「あぁ?何だ急に。」


「なんとなく。」


「んなもん、俺が飼い主。お前は犬。」


「あんたに聞いた私がアホでした。」


「やっぱアホの子じゃん。」


(ぬぅおおおおお!!本当に、性悪!まじ性悪!それ以外表せない!!)


────


龍牙を、家から追い出し、準備をして、私も家を出た。


(はぁ、朝から災難な目にあった。)


「おっはよ~。」


学校につき、隣の席の、並試(なみだめ) 瑠姫(るき)が挨拶をしてきた。


「あ、瑠姫(るき)。おはよう。」


「てか、昨日大丈夫だった?」


「ん?なにが? 」


「モコの住んでる近くで、エネミーが目撃されたんだって!!」


「え!?そうなの?」


「うんうん。まだ、捕まってないらしいんだけど、若い女の子ばかり狙って、攻撃してくるらしいから、気をつけてね!ちゃんと鍵閉めるのよ!」


「うんうん。気をつけるよ。……はっ。」


(そういえば、昨日鍵閉めてなかった気がする……

だから、あの性悪が入ってこれたのかも。こわい。)


「はーい。席についてくださーい。」


始業のチャイムと共に、担任の松永が入ってきた。


ぴっちり整えた髪に、メガネという、The 真面目みたいな先生だが、意外に生徒から好かれている。


「えー、まず、一昨日、エネミーが目撃されました。目撃場所は、雷門駅東口を真っ直ぐ行った辺りです。被害者は、雷門高校2年女生徒。まだ、ショックで意識不明の重体です。」


(予想以上にやばいエネミーだな。遭遇したくないな。)



「そして、皆さんに重要事項。まず、エネミーをみたら逃げる。

その際、アースの仕様を許可します。ただし、真田くんちゃんと聞いててください。」


「あぁ?聞いてるよ!」


「戦闘は、決してしないこと。いいですか、真田くん」


「わぁってるっつーの。チッ」


クラスのみんながくすくすと笑う。


「逃げるためにアースを使う。身を守るために。

ただし、戦闘は、プロフェッショナル達に任せましょう。いいですね。」


先生は、凛々しく言うと、2、3個 連絡を伝え、1時間目の準備をしてください。といった。


「あっ、そうだ。理科のノート集めて、理科準備室に持ってきて欲しい。東堂頼みますね。」


今日の日直は私だ。だから、先生は私に頼んだ。


「はい。わかりました。」

────


私は物心ついた時には、アースを発動させていた。

それは、''電気''。

体に電気を帯電し、放出する。

子供の頃は、それでいじめられた。



''可愛くない''



''キモイ静電気女''



私はこの能力が嫌いだった。

でも、ある人と出会って変わった。



''「ヒーローに向いてるアースだね。」''



公園でクラスのガキ大将にいじめられている時に、助けてくれた同じ歳か少し上の男の子が、そう言って、私の頭を撫でて、


''「強くなろう。一緒に」''


そう言って、私が泣き終わるまで、頭を撫でていてくれた。

今は、もう顔すら思い出せない、その男の子の言葉で、私はヒーローになることを目指した。


「何ぼーっとしてんだ。ほら、理科のノート。」


「……あんたなんかと大違いだ。」


「んだ?俺は誰とも同じじゃねぇ、トップに経つ人間だぞ」


教卓の前で、ノートを集めると、真田が最後に持ってきた。


(よく平気でそんなことが言えますね~)


「チッ」


真田は、全部のノートを持つと、ズカズカと歩き出した。


「ちょ、ちょっと!」


「あ゛ぁ?あいつに用あんだよ。悪ぃか!」


「い、いや……」


「チッ」


真田は、また、ズカズカと歩き出した。遠くの方で、「どけおらぁ」と言ってるのが聞こえた。


「真田って以外に優しいんだね。」


「は、はぁ?優しくないよ。今日だって……」


今日の朝起きたことを、瑠姫に話すと、瑠姫はニコッと意味深な笑いを向け、面白いと言った。



────



龍牙「これから俺の活躍始まっからよ。下の星押しとけよ。な?」


モコ「そんな言い方良くないよ!」


龍牙「んだよ。じゃあ、」


龍牙「おせよゴラァああ!」


モコ「もう!龍牙!!!」


バチバチバチチチチ……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ