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それは不幸の回想で。③


「それと、彼女らについても、覚えていてもらいたい」


 そう言うと、アシュタルテは一枚の紙をフェイに差し出した。

 そこには、『リリー・カルテット』と煌びやかに書かれた文字と、その下に、4人の少女の写真と名前、年齢、所属する学級が表記されていた。


「リリー・カルテット……?」

「他で言う、生徒会のような組織をここではそう呼んでいる」

「学園最強の4人だけがなれる、学園生憧れの組織さっ!」


 ここ、聖アンゲロス学園は都市一つを丸ごと使った学園であるがために、その学園生も千人規模に達する。その中でのトップ4というのだから、相当の法力とその制御力を持っているのだろう。卒業した後もエリート街道を突き進む人達であることは間違いない。恐らくは、彼女らにキャリアを積ませる意味でも、このリリー・カルテットという制度が採用されているのだろう。

 ロキエ達に向けていた視線を、資料に再び戻す。



 『ダイヤ・フォル=ラッチモンド』


 艶やかな黒髪と、綺麗な紅色の瞳が印象的な女の子だ。どこかトゲトゲしいものの、理知的な雰囲気があり、どことなく心惹かれる。これがカリスマ性だろうか。ミドルネームや、その高貴なたたずまいから、王族関係者であるのではないかと予想できる。


 『マリア・フォル=クリソベリル』


 こちらは、先ほどのダイヤとは正反対の印象を受ける。ふわふわとした優しい女の子なのだろうと想像できる、柔らかなオーラを感じた。あふれ出る包容力、とでもいうのだろうか。この女の子も、違ったベクトルでのカリスマ性があるように思う。また、こちらも王族関係者だろうか、特徴的なミドルネームだ。


 『サーシャ・フローライト』


 ツインテールにした透明感のある白い髪と、銀色の瞳、褐色の肌が特徴的だ。おそらく、異国の出身なのだろう。おっとり、というか、ぼーっとしている印象を受ける女の子だ。額に描かれた赤い文様は宗教的なものなのだろうか。


 『リリィ・クンツァイト』


 勝気な印象を受ける女の子だ。肩にかからない程度の、切りそろえられた髪を内側にカールさせている髪型と、それによく似合う小柄な顔が愛らしいのに、なぜか我儘っ子な感じを受ける。少し吊り上がった目の形が原因だろうか。



「彼女たちとは関わる機会が多いと思う。覚えていておいて損はないだろう」

「ありがとうございます」

「うむ。それでは、これからよろしく頼む」

「はい!」


 ――こうして。フェイ・オブシディアの不幸は、始まっていくのであった。

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