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プロローグ

ここはミュージックワールド。音楽でできてる世界。朝も夜もないそんな世界。空の中からは音楽が聞こえる。そんな世界。不便なことももちろんあるけどその分いい所もたくさんある。



ここはとある会場。今日はあるライブが行われる、そうこの会場はプロの歌手の中でもトップ以上にならないとステージで歌うことが出来ないと言われている「ミュージックアリーナ」。今日そこでついに私たちのライブが始まる。もう、ライブは一時間前。五千万もある席はもうほぼうまっていて、残る席は百あるかないか。それでも、会場の外にはまだいた長い列が。会場にみんなが入れるかはわからない、こんなことは前代未聞だ。もちろん、テレビのスタッフやカメラマンも沢山いる。会場内はもう間もなく満員になる。

そんな中、ステージ裏のスタッフさんたちがみんなが見て冷静とステージの控え室に座っているのは美音(みおん)怜音(れな)。少し癖がある髪は控え室のライトにあたり少しオレンジぽく、肩まで伸び、日焼けを少ししていて薄い茶色の肌。青色をした瞳はいつもと違ってほんの少し輝いている。そんな彼女は普段はクールだがかなり動揺してるらしい。何回もステージと観客席の様子を見れるモニターをチラチラと見ている。そして、その隣から何度も立ったり座ったりしている子がいた。その子こそ、今回のライブの主役レイ。艶がよく薄い黄緑のツインテールに結わえてあり、真っ白な素肌。何度もエメナルドグリーンの瞳を揺らしていた様子から酷く緊張しているように感じた。けどその分キラキラと瞳が輝いている。その瞳で何度も怜音を見ている、何かを言いたげに。もじもじとして、怜音を見て口を開いたと思ったらまたうつむいて口を閉じて。それでもまた怜音を見る。何回も繰り返してる。それだけでかれこれ十五分はたった。そしてようやく意をきめたのか普段は真っ白な頬を赤く染めながら口を開き、怜音の服をちょこんと掴みながら

「れ、怜音。あのね、いつもありがとう」

まるで、蚊が鳴いてるくらいの小さな声。本人に聞こえてるかわからないほど小さくてとても機械音とは思えないほど綺麗で透き通った声だった。そして顔は完熟した林檎のように真っ赤だった。けどレイが口を閉じることはなかった。

「そういうのはライブ終わってから言うんじゃないの?」

その声は、堂々としていて力強くでもどこか優しくて傍で声を聞いているだけでものすごい安心感を与えてくれる、そんな声。

「で、でももっとたくさんありがとう言いたい」

「じゃあ、ライブ終わったらたくさん聞かせてよ」

今思えばよくここまでこれたなと思う。最初は名前すら存在すら知られてない、全くの無名からのスタートだった。でも、レイは諦めたことは一度もなかった。だからきっと大丈夫。

「…レイ」

「なに?」

「曲順決めた?」

「うん…」

普段は曲順を二人で決めるけど今回はレイが一人で決めた。これはレイのライブ。レイの目標だった場所でのライブ。ずっと、頑張ってたのを私は知ってる。だから、レイだけに曲順を決めて欲しかった。もちろん、最初はレイに一緒に決めようと言われてたけど私が頑固にレイが一人で決めてと、言ったから。これは私なんかが決めていいものなんかじゃない。私が決めるのはダメだと思った。レイは大丈夫。

「…でも、最後の曲決まらないの」

「…え?」

あのレイが与えられた仕事を締切までに終えなかったことは今まで一度もなかった。普段から真剣に決めていた。そのレイが終わっていないと言った。

「だからね、私、最後の曲は怜音に今までのありがとうが伝わるように歌いながら考えたいと思ってるの、だから最後の曲聞いてくれる?怜音」

なんて、いいながらファンにも見せたことないくらいのとびりきの笑顔で私に言ってきた。最後の曲は普通ファンの為に決めるでしょ?わざわざ自分のライブに来てくれた、ファンたちに。なのに、五千万以上もいるファンじゃなくて、たった一人の為にレイは歌うと言った。その一人は怜音と、言ってくれた。

「だから、聞いてくれる?怜音」

こんなのずるくない?答えなんて聞かれる前から決まっている。だって決める必要なんてない。たくさんのファンの中から選んでくれた、私を。だったら断る理由なんて一つもない。答えは一つ。

「うん、楽しみにしてるから」

聞くに決まってる。元々、全部聞くつもりだった。でも、そこまで言われるなら最後はもっと気合を入れて聞かないと。

「本当?じゃあ約束!」

「うん、約束」

「じゃあ、私凄く頑張る!最初も最後も、全部!一曲一曲丁寧に気持ちをこめて歌う!いつも以上に!」

ものすごくキラキラと瞳が輝いている。さっきの倍に。そして、とっても綺麗な笑顔で。そういう顔はファンにするものでしょ?

「怜音は私の初めてのファンだから!」

私の心の声が聞こえたのかあるいは読めたのか知らないけどレイはそういった。そう、レイに会ったときから私はファンになった。だから、どのファンより早くファンになった。レイが活動するもっとずっと前からファンだった。

「あたりまえ。私はレイのファン第一号よ?」

「うんうん、そうだよね!だから私は頑張れる!近くにファンがいるから」

「近くに頑張ってる人がいるから」

『私達は頑張れる』

そうだ、レイが強いのは理由がある。

そうだ、怜音が強いのには理由がある

-お互いの為に頑張り合うから、お互いが大切だから-

さぁ、ライブまで残り時間はもう十分。会場のステージ裏まで移動する。ステージの裏ファンたちの声がとても聞こえてくる。まだ、始まってってすらないのに。ファンたちの声が。みんなが待ってる、レイのことを。レイは固まってる。でも、顔だけはとても笑顔。

ここまでくるのはかなり先が長かった。決して楽だったとは言いきれない。けど、レイのおかげで私は変わることができた。だから、私が出来ることはただ一つ。もらってばかりだった愛をレイに。たくさん返したい。貰った分だけ。いや、貰った以上の「愛」ってものを。まだ私には愛がわからない。けど、わからなくても自分なりの愛を返したい。レイが困るほど大きくて抱えきれないくらいの愛を。

レイがステージに上がるまで残り五分。

ここまでこれたのは一年前の出来事。

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