表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちら闇野コールセンターです。  作者: なのなのに
2/2

(( 2 )) 園垣京介

 園垣京介(そのがききょうすけ)19歳

闇野コールセンターでは、1 番若い。過去に殺人歴がある。人を殺して感じたのは”快感”だった。京介のことを世間は見放した。家族でさえ見放した。だがここは見放さない。”復讐”をするのにもってこいの人材でもあった。女の子になかなかできない依頼は、京介に回されることが多かった。特に、依頼者の復讐相手に直接的に何かをする依頼は、京介がほぼ担当した。

 闇野は今日も京介にそんな依頼を任せるつもりだ。


「京介!今日の依頼は1件だ。少々面倒な依頼だが頼んだぞ。」


「わっかりましたー♪」


 京介は楽しそうな声で返事をし、資料を読み進めた。

今回の依頼は、

【自分の車に当て逃げをした犯人をやっと見つけたが、警察では取り合ってくれない。だから、ここで復讐したい。犯人の車を廃車にしてから、あとは金も奪ってきて欲しい】

という依頼だった。京介は不満そうに呟いた。


「な〜んだ、面白くない。早く終わらして、昨日買ったゲームの続きしよっと!行ってきまーす!」


 闇野も呆れるほどの、いつも通りの元気な京介に闇野は言う。


「相変わらず元気だな。気をつけてな。」


「はーい!あ、そこにあるゲーム、消さないでくださいね!すぐ後でやるんで!!!」


 もうゲームなんてできないなんて知らずに、いつも通り、会社を出た。




 京介はイヤホンを耳に入れ、大きな音で音楽を聴きながら仕事をするのが好きだ。京介にとって、依頼者たちが依頼する仕事はつまらないと感じるものが多かった。それらの仕事中に音楽を聞いた時、思ったよりも気分を上げて仕事をこなすことができた。そこから、音楽を聴くスタイルは定着した。


「なーんかやる気出ないんだよなぁー。」


 京介はそう言いながらいつも以上に音量を上げる。それと同時に携帯にメールが入った。

【今日の依頼の場所が変わった。少し狭い道だがそこに復讐相手が18:00頃に、赤い車に乗って来る。復習の仕方はお前に任せた】

送り主は分からないがきっと依頼主からだろう。京介はその指示に従い、場所に向かった。


 予定より少し早い時間にその場所に着いた。そこは車が全然止まっていない地下駐車場。少し君が悪かった。まだ時間がある。復讐相手に見つからぬように物陰に隠れた。


「どうやって復讐しようかな?車壊して、金も奪わなきゃだもんな〜。...殺していいのかな?へへへ」


 京介が気持ち悪い笑みを浮かべる。その顔は殺人を犯した時と同じ顔だった。

その時。


“ カランッ”


突然どこかで物音がなり、その音が駐車場内に響いた。京介の心臓の鼓動は早くなった。


「何だよ....気味悪りぃな...」


 さすがの京介も驚いた様子だった。

18:00 予定の時間だ。あの音以来、音がしない。本当に来るのか。それも不安だった。その時だった。遠くの方で車のエンジン音がする。そしてそれは近づいて来る。


「キタキタキタ...!!!!!」


 京介の心臓はまた早くなる。興奮しているのだ。久しぶりに暴れれる。わくわくする。そんな京介を誰も止められないのだ。まだかまだかとその時を待ちわびている。京介は素早く柱の陰に隠れた。車がきたら飛び出して前から立ち向かう気でいる。

 京介の柱の横が車のヘッドライトで照らされた。いよいよ復讐の時間だ。エンジン音が近づいて来る。


「今だっ!」


 そう言って満面の笑みで勢いよく車の前に飛び出る。


" キキイィィィイイイイイッッッッ "


車は高い音を鳴らしながら急ブレーキ。その途端、素早くバックして行ったのだ。それもものすごい勢いで。京介は驚いた。しばらくその場に立ち止まってしまったのだが、すぐ我に帰り、急いで車を追いかけようとする。だが足が思ったように動かない。


「あ...あれ? なんか...い...痛っ....」


その場でうつ伏せで倒れこむ京介。


「何で...な....まだ....俺...は........」


 力が入らない。痛い。目が霞む。耳鳴りがなる。その耳に、遠くから近づいて来るヒールの音が入って来る。誰かがこっちに来ているようだ。


「助けてくれ」


頭の中で助けを求めた。声が出ない。


「だめだ。俺、死ぬんだ。短かったけど楽しい人生だった。でもまだまだだったのにな。俺、地獄に行くのかな?」


目から一筋の涙が流れる。気が遠くなる。そんな京介が最後に聞いたのは、聞き覚えのある女の人の声だった。



「き...京介....?何で......」





 




 




 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ