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理系スライムは汚物の海から這い上がる  作者: 愚痴氏
第二章 現地種族との接触
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第84話 魔銃の価値

ブクマありがとうございます。

扉を潜った正面にはカウンター、そこに店長と思しきおっさんが一人いるきりだ。

おっさんの裾を見る視線を無視しつつ魔銃を下ろし、おっさんに手渡す。

「この銃の弾丸はあるか?」

「はっはーん、こりゃ相当な骨董品持ってきたネェ」

「そこまでのものなのか?」

「こりゃロットからしても、最初期に生産されたものだと見て間違いないだろう」


「古いのか?」

「ああ、もうこの魔銃の弾は扱ってないからネェ。何世代も前のものだから、仕方ないけど。」

信じられない、という顔だったのか、続ける。

「マギクラフト社は9年前の初代の発売から大体3ヶ月ごとに新しい魔銃が発売してるんだが、それぞれの魔銃で、弾の互換性はないんだ。基本的には一発あたりの威力はほぼ変わらず、装弾数、新しい機能や弾詰まり(ジャム)の起こりにくさなんかを改善していってるらしいが、正直ついていくのがやっとだよ。」

どこかのアイ〇ォーンみたいな感じだな。しかもそれに加えて一番よく使うであろう弾は魔銃と一対一対応とか。

ただのぼったくりじゃないか。


「じゃ、この銃を修理してもらったところで撃つ弾がないんだな?なら何世代前までなら弾を取り扱ってるんだい?」

「一応7世代前までなら揃えてるよ。」

オッケー、オッケー。じゃ、約36世代前の骨董品は全く使えないってことか。

ありがとう、そう伝え、カウンターの上の魔銃をひったくるようにして店を出ようとする。

「魔砲なら魔石さえあればいいんだよ!お得だよ!」

が、そう後ろから声がかかる。


・・・なに?

あれは弾ではなくて魔石を込めて撃つものだったのか。

「お?お姉さん食いついてきたネェ」

努めて無視だ。

「ゴブリンどもが持ってた魔砲ならあるんだが、それの修理から撃ち方の指導まででいくらかかる?」

「んー、そだネェ、最低でもこれくらいかな?」

そう言って指を三本出してくる。


ということは・・・

「たった30レイでいいのか?」

「馬鹿、桁が3つ違うわ。30000レイだ。」

おおう。

「内訳を教えてもらっても?」

「大体修理代にひとまず25000、教えるのは講習があるからそれで5000ってとこだ。修理代はさらに上がるかもしれないが」

修理代高いな。

現時点での持ち金は、2500レイと銅貨が数枚程度だ。


「わかった、また貯めてこっちに寄るよ。ところで「魔銃の買い取りだね?」」

正解。どうも単純な思考をしているせいか、思考を他人に読まれやすいらしい。



「いくらだ?」

「うーん、これならほぼ材料費ぐらいにしかならないネェ。1000レイだネェ」

もったいない気がしなくもないが、そもそも銃なんて弾丸がなければ意味がない。

「じゃあそれで」

肩のスリングを下ろし、主人に渡し、4枚の銀色硬貨を受け取る。


「あ、そうだ、魔法に依らない丈夫な武器とか売ってる場所、知ってる?」

「魔法に依らない、とは?」

そこからか。

「大体の刀剣類なんかは魔法が付与されてるよね?それがしっくりこないから、さ」

その言葉を発した瞬間、店主の眉間がピクリ、と動いた。

「・・・相場が100000からだ。もっと稼いでから出直してくるんだな」

突然口調が変わった。


それはおいといてもそこまで高いか。

「・・・そう、なら付与されてる方なら?」

「15000からだな。」

それでも高いわ。

他にまた興味をひくようなものはなさそうなので、今度こそお暇させてもらう。


店を出て通りをぶらつきながらどこが一番狩りに適しているか考える。

ゴブリンは体術もへったくれもあったものではなく、倒すだけなら住処にそのまま近づいてしまえばいいだけの話だ。なんの強化も施さずとも、素のステータスがゴブリンを上回るのだ。頭蓋をより簡単に手加減して砕いたり、解体するためにほしいのが、ナイフと鈍器なのだが、この様子だとどうしても足が出るのかもしれない。


どうせ片すならもっと一箇所に集まっているか、もしくはもっとレベルが高くて食べがいのあるやつぐらいがいいのだが、もちろんそんな都合のいい狩り場が探知圏域にあればもう行っているわけで。

一旦ここを出るべきか。だとしても探知圏域外のことを知らない以上、何かしらの手掛かりを得てから出発したいものだ。


そうすると、おそらくもっともこの町で情報が集まっている探索者組合にまた顔を出さねばならないということになるのだが、そのついでにとりあえずは安物のナイフを持っておいた方がいいか。

いつかは解体作業を必要とする場面は出てくるだろうから、それの練習のためだ。


あとは、買い取ってもらうときにも変な目で見られていたようだし、他の古着でも買ったほうがいいのかもしれない。


前回の店員さんに話を聞いてみようか。


まずは前回の古着店に足を運ぶことにした。




扉を開けると、前回と同じ店員さんが相手をしてくれた。

奥に人はいないようだし、一人で切り盛りしているらしい。


「いらっしゃいませ、って前の服が何か不備でもありましたか?」

少々不機嫌そうな顔で相手をしてくれた。

「ああ、いや服自体に満足している。問題なのはこれでも人の目を引いてしまっていることなんだ」


そういうと、さらに不機嫌度が高まったらしい。

「目立たない服装を選んでもらうことは、できるか?」

「ええと、予算はどれだけの金額でですか?」

そうか、金額か。ひとまず小さい銀色の硬貨を2枚。それで十分だろう。


礬貨(ばんか)2枚でいいですか?」

なるほど、礬貨(ばんか)というのか。

「それで頼みます」

「わかりました。ではこれを」

そう言って差し出してきたのは大きめの外套(マント)だ。


・・・・・・


「根本的解決になっていないのだが」

「最大限の解決策はこれだけですけど。あとは靴を探してください」

話が通じていないようだ。


「すまないのだが、何が原因だと考えているんだ?」

「・・・何それ。嫌味ですか?」

まともな返答がいただけないようで。


そういえば、人目の付かない時間を選んで動いていたせいで、わざわざ人目に触れることは組合内くらいでしか起こっていないのか。しかも問題しか起こしていないせいで、それも服装に由来するものなのか判別できない、と。



うむ、こちらに落ち度があったのかもしれない。

御釣りはないようだし、挨拶もそこそこに、店を立ち去ることにした。さらに機嫌を損ねないうちに。

魔法が付与されないもので強度を出すためには、素材や、職人の腕が必要となりますからね。

当然高くなる。


あと、礬貨という名前ですが、かなり適当です。由来はいずれ・・・出しますとも。

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