第82話 ゴブリン掃討
ブクマありがとうございます。
書き溜めたのが早速尽きそう。
あと、ギルド登録の話で、登録の際に金銭を渡す描写を追加しました。大筋には全く変わりはないので無視していただいても・・・
鞄から魔銃を取り出しスリングを肩にかけて速度を重視した態勢で接近する。
40mほど、木々の間から岩場の陰で休んでいるゴブリン数体を見かけたので、スリングを下ろし、安全装置を外して右手で構え、引き金を引く。
結果を確認する暇を惜しんでリロード、構えて次の獲物。
こめかみを貫通した弾はそのまま後ろの岩にあたり、跳ね返った。
発射音に気づいたのだろう、ゴブリンがこちらを向いたかと思えば眉間に風穴があいた。
近づくゴブリン達にビビることなく、リロード、照準、発射を繰り返すこと3回。
骸と化したゴブリンたちの耳を切り落とし、収納しようと思ったが、そもそも服を着ていないことに気づく。
・・・すっかりポケットの存在を忘れてた。
仕方ないので尖った耳の先を咥えながら次へと進む。
現状、近距離での命中精度はまあまあ、悪くはない。
残弾は10そこそこなので、これ以上無駄遣いすることはできないだろう。
より深くにいくと、二十数体のゴブリンの集落、その中心近くにゴブリンではあるものの、少々見た目が綺麗な個体を見かけた。
私がいつも着ている襤褸よりよっぽど生地も良さそうな服を着ている。あとで殺す時には服が汚れないようにしないと奪っても意味がないな。
なにやらゴブリンの子供が大人にじゃれついている光景を目にする。微笑ましいのだろう、ゴブリンからすれば。私から見ても微笑ましい。
容赦などしないが。
本で見た限り、この世界において通常の生殖方法においてすらゴブリンは鼠算式に際限なく増えるため、一匹でも残すことが禁忌とされるらしい。魔物の発生には親も必要ないため、種の保存など考える必要もない、というわけだ。
ひとまずは。
直近の、遊んでいる子供を撃つ。
骨が衝撃に耐えきれなかったのか、頭蓋を撃ちぬくはずが頭が弾ける。
それを感知で見ながらリロード、上から群れに襲いかかる。
もちろんゴブリンから見てかなりの巨体が上から降ってくるのだ、蜘蛛の子を散らすように逃げ始めるが、いかんせん足が遅い。コンパスが短いためだ。
それゆえ大した距離も稼げずに空中から狙撃、地面とキスしたまま現世とお別れさせられる。
続いて着地と同時にひざで衝撃を吸収し、体が沈み込む。それでも残った衝撃で起こる地響きが、残った彼らの動きを阻害する。
近接していては、むしろ銃を使わないほうが速い。手近にいた、逃げきれなかったゴブリンをひっ掴み、投げ飛ばし、もう一体にぶつける。ぶつかったことで勢いは弱まるも、そのまま2体一緒に飛んでいき骨は樹の幹に激突する。加減はした。骨は折れ、中身はぐしゃっとなっているかもしれないが、原形はとどめているはずだ。生死は知らない。
更に急加速をかけてゴブリンどもを追い抜き、同時に貫手で即座に絶命させていく。
どんどん貫かれたゴブリン達の死骸がバーベキューの串のように腕に刺さっていくが、動き自体には差しさわりない。
ぎゃーぎゃー何か言っているが、まるっと無視して殺戮に励む。
途中で死体が腕に刺さりすぎて、手の先までゴブリンでおおわれてしまったため、蹴りへと動きを切り替える。
耳を切り取るために、あくまでも頭部は狙わず、首元を狙い、頚椎を離断させる。
あくまでもイメージであり、実際には勢い余って、などもあるのだがそれはそれ。精進が必要か。
きっちり血や肉片すらも身なりのいいゴブリンにかけないよう注意しながら、魔銃も活用しつつその他のゴブリンどもを殲滅する。この間5分。
とうとう逃げきれないこと察したらしいゴブリンが錆びた鉈を振りかぶり襲ってくるが、その動きは緩慢。魔銃の弾丸は数発ながら残っている。膝下の動きだけで足元を刈り取り、逆さに吊るしたのちに眉間に一発ずつ、即死。手で粉砕するよりかは綺麗な死体ができた。
死んだのを確認したのち木に吊るして十分血抜きをし、その間にゴブリンどもの耳を切り落としてしまう。
ステータス的に下手に血で汚さないようさくさく衣服を剥がそうとすると、破いてしまう恐れが高いため、血抜きをしたあとゆっくり剥がす。
さらに小さすぎるため剥がした衣服を布地に分解し、同時に発生した糸を用いて稚拙ながらも布地を縫い合わせて貫頭衣を作る。
が、ゴブリン数体分では布地もたかが知れていて、大した大きさの布になることなく、完全に腹から下が見えてしまっている。
少し逡巡したのちに、捨てることにする。さすがに小さく、縫製も滅茶苦茶、では。
見た目を度外視したとしても、さすがに酷い。
余った糸を使って奪ったゴブリンの耳を数珠状に連ねる。
先に銃弾などの備品を揃えてから、古着屋とかに寄って、もうちょっとマシな服を一式揃えよう、懐があったかければ。
そう心に決めて、襤褸を取りにもどり、身に着ける。服があると多少落ち着く。裸族ではないのだ。
手に入れたゴブリンの耳は80あまり。
単価は安いのだがこの数で多少はカバーできるだろうか。銃弾一発分がゴブリン一匹分よりも安いと余裕があるのだが。
街に戻ると、門のところで衛兵の彼が受付をしていた。
こちらに気づいたか、受付を同僚に任せて近づいてくる。
手を振り、応える。
「調子は?」
「まあまあ、ってところかな。ゴブリン退治の常設を受けてるとこさ。」
「そうか・・・」
言い淀む。何かあったのだろうか。
「何か?」
「ああ、いや、その・・・ちょっとゴブリン退治の後耳とか水洗いしたのか?」
・・・、あ。
「血まみれのままだな。服も森の中に入ったときから替えてない。」
「実はちょっと…臭うぞ」
並んでいる人たちから避けられるわけだ。
「どこか、水を使える場所はないか?」
「ここらは井戸水か、川、ほら、街のはずれにある、ぐらいしかないかなあ。」
「わかった。で、あとどれくらいで門は締まるんだ?」
「すぐ入り終わるだろ?それまで開けといてやるさ。」
・・・(都合の)ええ奴だ。
「すまない、また今度何か軽食でも奢ろう。」
「おう。」
列を抜け、川へ。場所は感知ですでに知っている。
流れる川は幅1mほどで底も浅く、水量も多くない。街の人口を支えるのはどう考えても無理だ。
周囲の目がないのを確認する。見られることに対する羞恥心なんて持ち合わせていないが、服から見えない部分についてはかなり簡略化して作った模擬人体だ。見られると変であることが簡単にばれる。
水属性魔法でその水を操り、宙に浮かべ、戦利品を放り込む。
ゆっくり潰さないように注意しながらゴブリンの耳を、血を絞るようにして洗う。垢も落ちていく。
どれだけ汚いんだ。
水を替えて3回目までやってようやく汚れが納得いくまで落ちたところで、襤褸を脱ぎ、同様に洗っていく。付いた表面的な汚れは簡単に落ちるが服の繊維にこびりついている血の汚れは…どうしようもない。
1回の水替えで納得いくまでに汚れが落ちたので妥協して、その残り水を頭からかぶり、水流で体表の汚れを落としていく。
こんなにも汚れがあったのか。そう思ってしまうほどにドロドロに汚れていた。主に裸足の足先などの汚れだったが、跳ね返った泥などが髪などにもついていたらしい。
2回ほど洗ったのちに、模擬人体のほうは火属性魔法で炙って一瞬で乾かし、服の方は燃えるのが怖いのでそのまま着てしまう。
大体時間にして30分。それでもかなり暗くなってきている。
門に戻ると、門は閉ざされていたのだが、そのすぐ脇、人が少しかがんでくぐれる程度の大きさの扉は開いていた。
扉の奥から彼が気づいたのか、手招きしておいでおいでしてくる。
黄昏の語源が誰そ彼れ、という説もあながち間違いではないかと思えるほど周りは暗いのに、こちらが認識できているらしい。何らかのスキルだろうか。
詮索はプライバシーの侵害とその疑念をすぐ振り払い、扉を駆け足でくぐる。
扉をくぐるとそこはすぐ街の中、というわけではなく、石造りの小部屋だった。
「魔物が無理やりこの扉を突破してこないとも限らないからね。」
興味深そうに見ていたのか、彼が心中を察したように教えてくれる。
「いいのか?一般人にこんな抜け道教えて。」
「いつもはここに土嚢とか積んであるからね。」
「そう。」
更にその奥にある扉をくぐり、街の中へと出る。
「それじゃ、また話でもしよう。」
「ああ、またな。」
そう言って別れ。組合へと向かう。もう夜になっているというのに窓からは明かりが見え、歩くのにあまり不自由はしない。
感知では、地階の受付には全く人はおらず、奥にデスクワークをしていると思しき人がいるのみ。
扉を開ければ酒場のほうにだけ人がいる。
営業時間外、といったところか。
宿に泊まるにもそのベッドで眠る必要はなく、ベッドが体重を支え切れるか怪しい。
そしてそもそも金銭がほとんどない。
仕方ない。野宿と決め込む。
街の中心から少し外れ生えている木々の下にどっかりと座り込み、意識を外界ではなく自分の内面、適切な魔法の使用についてのイメトレに励む。
ファンタジーではあまり描写されにくいことってあるよね




