第81話 初クエスト
ブクマ、感想ありがとうございます。
待ち人である『風の牙』パーティーも、数日は帰ってこないというから、即日で終わるクエストなら受けても大丈夫だろう。
ライセンス申し込みのカウンターで見せられたのは一つの表。縦には項目数がつ、横には項目数4。縦の項目数はクエストの種類、横の項目数はそのクエストに振られたそれぞれの番号、クエストの名前、その単価、証拠となる部位、注意事項が表される。
番号 内容 報酬 証明部位 備考
No.1 ゴブリン討伐 一体当たり1銅貨 証明部位は右耳 途中で切れている物はカウントしない。
No.2 薬草採取 薬草にも種類があるため別の資料を確認のこと。
No.3 森林伐採 一本当たり銅貨4枚 太さは20㎝以上、長さは2m以上でなければならない。別の資料確認のこと。
No.4 水路の掃除 結果に応じて支払われる。
No.5 道路清掃 結果に応じて支払われる。
No.6 鼠駆除 一匹当たり銅貨3枚 一体丸ごと渡す 病気を媒介する種も存在するので注意。
コスト(命)にくらべてリターン(報酬)が安すぎる。意外とこんなものなのだろうか。
「想像以上に安いだろ?」
頷くと、詳しい説明を始めてくれる。
「こればっかりは、緊急性が伴わないし、誰にでもできることだからなあ。ランクが上がれば、より割のいいクエストを紹介できる」
ランクを上げることはすなわちレベルを上げることを意味するため、まあまあキツイ条件だ。
進化してからというもの、なかなかレベルは上がらない。
半ば娯楽の様なものだし、それでいいか。
それにしても、急に態度が良くなっていないか?
不審だとは思うが、その裏を取りつつしばらくは乗せられてやろうか。
「わかった。とりあえず、No.1のをこなしたいんだが、どれ位まで狩りつくしていいんだ?」
別にソレを、倒してしまっても構わんのだろう?
「どれくらいっつっても、どれだけ狩っても文字通り湧いて出てくるからなあ。」
じゃあ、字義通りの殲滅をしてもいいということか。
「ところで、クエストの猶予期間は決まっているのか?」
「猶予期間?ああ、準備期間のことか?」
準備期間?なんだそれは。
「クエストを受領してから終わったことを報告するまでの時間は決まっているのか、ということだ。」
「ああ、期限のことか。それはクエストによりまちまちだが、常設クエストのNo.1なら、期限はないな。」
それは僥倖。
お礼を言い、カウンターを離れ、扉へと向かう。
すると背後から、「おい、これ忘れてるぞ!」
カードがフリスビーよろしく空を舞う。
「サンクス。」指先だけで摘んで受け取り、その足で街を出る。
向かう先は郊外の林。ぼろい服だが汚れるのを防ぐため脱いできれいに畳み、代わりに襤褸いマントを被ってその中へとそろりそろり、入り込む。魔力感知ではここにとりあえず魔物の反応があった。
魔力感知というのは蓋然性から考えて、反応がある限り反応を発する何かしらはあるわけだ。それが何であるかはさておき、反応があるのなら調べてしかるべきである。
ビンゴ。
はぐれなのか、目視圏内には一体のみ。
背後から強襲、上から踏みつけて一撃で踏み潰す。
超重量級の重量そのままだ、通常型、狩りもそこそこ行われてレベルの平均が抑えられているのに耐えられるわけがない。
脳天から直下に体重をかけたため逆にその荷重から逃れることができたその腕をおもむろに拾い、林の奥に投げ込む。
上がった苦鳴の元に駆けつけ、水属性魔法で命を刈り取っていく。
山火事などのリスクを考える際に必要な、湿度なんかを把握するノウハウはまだ蓄えられておらず、必然的に火を起こしうる魔法は避けておいてあまり損はない。
討伐の証明部位である右耳を切り落とし、そこらに生えている木の皮を剥いで利用し、縛っていく。素人なのであまり上手くはないが、かといって毛髪にくくりつけるのも常識に反することぐらいは知っている。
その作業を行いながらゴブリン肉を頬張っていると、ふと泣き声が聞こえた。
人間の鳴き声にしては歪、ノイズが混じっている。人間ではないものか。
答えはその姿を認めた瞬間に分かった。異様に小さいその体は頭とのバランスから子供だとわかる。
それは、ゴブリンの赤子だった。
だがそれは殺戮の手をゆるめることには繋がらない。
頸部に手をかけ、一息ににぎりつぶす。
苦鳴を上げる暇もなく絶命したそれのかなり小さい右耳も同様に切り落とした。これも同じ価格で売れるんだろうか。とりあえず持っておこう。
最近魔力反応の違いからある程度、あくまでも感覚的にだが種の違いがつかめてきたおかげでかなり効率の良い狩猟が可能となってきている。それはこれからの狩において発揮されることだろう。
森に入って狩りを始めてからここまでで15分程度掛かった。もっと早く、能率よくできるはず。
次の狩場だ。服に着替えてから移動する。変質者と思われたくない。
小藪の中を適度に速度を抑えて進む。
魔力消費を抑えた結果こうなったのだから今度は魔法を適度に使ってみようか。
作り出すのは氷属性魔法で作った徹甲弾。炎属性魔法とのコンボによる爆砕は使わない。それ故に魔力消費も抑えられ、制御が細かくできる。
そして、、、魔力探知による同時・遠隔ターゲッティング。あくまでも木々の間を縫い、その頭蓋、中心を狙う。
・・・・・・今。
音もなく発射された氷の弾丸が、ゴブリンの眉間に吸い込まれる・・・ことはなく、微妙にズレて顎関節のあたりを貫いて木々の向こうへと去った。
締まらない。もちろん即死はさせたので結果オーライなのだが。
今度は、魔銃をためしてみる。
発砲音や威力の調節などに融通が利かないが、一回撃てば、そこから即座に弾道計算する演算能力くらいは持ち合わせている。またこの距離ならば自転によるコリオリの力なんて考慮に入れる必要もない。
まずは弾道だ。
鞄から取り出した魔銃を右腕だけで構え、当てずっぽうに弾丸を放つ。
パウッ
多少気の抜けた音が鳴るが、弾速も十分ある。弾体は魔法なぞとは比較にならないほど小さい。
うん、これなら、うん。弾数も少々心もとないが、最悪魔法で仕留めればいいのだから。
スリングを肩に吊りなおし、足裏を完全に地面に合わせて変形させて歩く。射程が魔法よりも幾分低いからだ。むしろあの保存状態でちゃんと発射できるくらいには銃身が曲がってないのが不思議なレベルだ。今回の報酬で修理してもらおう。足りるかな。
見てる人はいないだろうから、草木を避けるのに邪魔となる衣類も脱ぎ捨てる。
衣類はもともと身体を保護する目的もあったはずなのだが、衣類よりも肉体のほうが丈夫では身体を隠すとか寒さ対策ぐらいの意味合いしかない。
後で取りに戻ればいいだろう。
ゴブリンの反応が固まっている場所を目指す。
表形式が難しい・・・
100キロくらいの体重があれば、ゴブリンの頭なんて踏み潰せるさ!!




