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理系スライムは汚物の海から這い上がる  作者: 愚痴氏
第二章 現地種族との接触
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第75話 賢者は歴史に学ぶ

書いてるうちに全く違うものになってしまった・・・

どうしてこうなった。

操作していた特殊スライム、GWBCが同時に一瞬で殺されるという異常事態が生じたものの、そう広くない会議室に作られた作戦本部で動揺に陥ることはなかった。

それは、そもそも恐怖を感じるはずの操縦者がその疑似体験した衝撃により気絶したことにより、全滅という情報を直接受け取ることがなかったためと、50年ほど前の戦でも味方との連絡が途切れたことは何度もあったためだ。


総指揮を任される羽目になったマチルダはブレーンとして現状を把握し、策を練らなければならない。


突然何者かによる強襲を受け、全滅した。人死にが出たわけでもなし、これはまだよい。

問題は、その徴候を探知することが全くできなかったことだ。

観測機器を持たせてすらいなかったのも含めて、見通しが甘かったといえよう。


こんな前代未聞の状況に対して確実な対策などというのは用意されていない。

やはりというべきか、地下鉱山での落盤事故よろしく、簡単に圧殺されてしまったスライム変異体GWBCはもはや使えない。そもそも作られていた穴がふさがっているというのにわざわざ地下を捜索する道を選ぶわけもない。


新人訓練ですら使わないあの雑魚にてこずらせられるとは。

いや、発想を変えてみよう。ここまでてこずらせられるというのは地下という特殊空間であることを加味しても異常だ。なにか、特別な何か。

例えば、スライムが、何か別のモノと接触したという可能性はどうだろう。

スライムごとき下等生物に罠を張り巡らせるという知能があるとは考えられない。

では、誰が?また、どうやってその何某とを引き離すというのか。


引き離さない限りは捕らえるのは難しいだろう。ある程度の知能はあるはずなので、交渉は成立しうる。

だが、その交渉材料が見当がつかないのだ。放っておいても生えてくるのに、わざわざ保護する意味が思いつかない。


思考が堂々巡りになっていることを自覚し、気分を落ち着けるべく手元のワインを飲み干す。


因みに完全に勤務時間内である。


あのスライムがほぼ間違いなく異常個体であるということを認めなければいけない・・・誠に残念ながら。

異常個体というのは特異体とも言い、その種の一般からは大きく外れるため積極的な討伐が推奨される---実際にいくつかの国が滅んだ逸話がある。

ひとまず、目標となるスライムαと仮想する保護者β、合わせてαβとしよう。


では、どうやって位置を捕捉するか。

「方針転換しかない、か」

消去法的に地上からの探索を選ぶしかないだろう。幸い、最後に反応があった場所はマッピング済みだ。

地下に仕掛けた罠で自分も崩落に巻き込まれているというセンもなくはないが・・・罠を仕掛けるのが初めてだとか考えるとあり得る話か。

不明瞭ながら、岩盤掘削と罠設置のスキル・技術を持ち合わせていることになる。


当然地上を探索する上で召喚術師(サモナー)を使えば空中からの捜索により罠を回避することができるが、一般的な軍の召喚術師では地下にいる場合に見つける手段を持たない。

地下に潜行されたままの可能性もある以上、罠の存在する可能性のある地上に貴重な魔力探知のスキルを持つ戦力を差し向けなければならない。

軍の人間は出兵する場合、特別手当がつくのだが、貴重なスキルを保持する戦力、ともなればその額は決して馬鹿にできない。


もちろん相当人を使うのだから、その総額はポケットマネーではとても立て替えられない。---するつもりは元から毛頭無いが。



「ひとまず報告書に上げよう」

事態が想定よりも大きくなり、現在の資金では手に余る。

近年大きくなる一方、行政の改革が追いついていないこの国だが、偶然にも不祥事により優先的にこの件は処理したいはずだから、かなり早い対応がなされるだろう。


その間に。

現予算で確実に実行可能な、召喚術(サモン)による地上探索と、地図と最終確認地点、行動半径との照合から動いた方向を予測する作業、そして地竜を討伐した際の古い報告書を元にした討伐手段の立案の同時並行。


操作していたGWBCを破壊(・・)された結果、のびている高ランクの魔力探知持ちを何とか言いくるめよう。


酒臭い息を抑えるために清涼剤を噛み砕き、かつて鬼教官とも恐れられたその振る舞いで、叩き起こすことにした。

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