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第6話 ゴミ処理局での奔走のはじまり

 リーゼン国中央ゴミ処理局にて。


 局長室に職員が入室してくる。

「局長、7番ゴミ処理槽にてスライムの反応が減少しています。魔素散布の許可をお願いします。」

 職員は許可書と書かれた紙を差し出す。

 局長と呼ばれた男、アルトはさっさと許可書にハンコを押す。

「また毒にスライムがやられたか。あのスライムたちにも抵抗力をつけてもらわねばならんな」

 アルトはため息を漏らす。

「ご冗談を。そんな抵抗力がついてしまえば私達はあれらを制御できないでしょうに」

 職員が咎める。

「そう言えばそうだったな。すっかり忘れていたよ」

「それでは、魔素散布を開始します」

 礼をし、職員が退出する。


 


ここまでが、予定調和。国内に7つあるゴミ処理局のうちのひとつ、中央ゴミ処理局において、本来ゴミの処理により増えるはずのスライムが減った時の、いつものやりとりだ。


 魔素だまりからスライムが自然発生することを利用し、スライムを特定の場所で発生させる技術が確立し、ゴミ処理局にてゴミ処理に利用され始めてから早10年。アルトはその技術が初めて導入されたその時から局長として局にいた。


 導入直前まではゴミを処理するスライムに変種が生まれ、ゴミ処理槽からでてくる個体も現れるのではないか、と国民から非難囂々だったが、蓋を開けてみれば、変種などほとんど現れず、現れても初級魔法で殲滅できるレベル。悪用しようにも、スライムが脆弱にすぎるので、安全かつ完全にゴミを処理できる方法として今では国外に輸出すらしている。


 危険はないとはいうものの、7年前に一度だけ、スライムイーターという、スライムのみを捕食するスライムの変種が現れて、スライムが生まれた端から食われ、ゴミ処理が停滞するという非常事態も起こった。


しかし、スライムが異常増殖した時に備えて作られた人造魔物、“WBC”を大量にゴミ処理槽に投下することによりなんとか駆除することに成功した。

 こんなことまで考慮に入れて、ゴミ処理槽を設計したことを考えると、全く、賢者様には頭が上がらない。あの方は未来をどこまで見通しておられるのやら。


その他には問題も特に起きず、暇をしていたその三日後。

職員が息急き切って現れた。

「局長!スライムが発生した端から反応が消失しています!スライムイーターの可能性があります!」



局長は7年前の緊張を思い出しつつ、部下に対して余裕を漂わせる声音で答える。

「“WBC”投下だ」

「はい!」職員は普段の礼も忘れて慌ただしく局長室を出て行った。

アルトはかなり帰りが遅くなることに、ため息を漏らさざるを得なかった。

「早く帰りたい…」

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