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第64話 地上生物の狩り方on土壌

結局、捕食した。

この世界の人間がどれだけの回復力を持っているのかは知らないが、魔物たちと同等だとは到底思えない。

後悔はない。


まとめられるだけ肉塊を抱えて、あとは食べる。そろそろサキュバスたちの集団が自活できるように何とかしたほうがよさそうだ。


~~~~~~~~


それから約6日。

昼夜問わずオークを狩っていると、さすがに要領もよくなる。


これまでは体の動かし方を覚えるという目的があったため直接攻撃にこだわっていたが、

慣れてきたせいで本来のステータスを出せるようになり、オークの行動が読めてきたせいで言うなればヌルゲー、と化してしまってはもう意味がない。


そうなると、本来不定形のスライムが人型にこだわる必要は全くない。

スキルを活用して、存在を気付かれる前に宙で串刺しなり全身の骨を圧し折るなりしてしまえばいい。先手必勝。


特に最近5回ほどは串刺しを好んで使っている。固い地盤では使えないという制約はあるものの、オークの繁殖するこの地方では洞窟などに住むよりも森を切り拓いて住まう方がよっぽど群れの数も多く、十分な群れを無抵抗で仕留めることが可能だ。


変形させたスライム達による、地下からの串刺し。魔力感知によるオールラウンドな把握能力を使わずとも自力で誘導させることができるため事実上の命中率100%を誇る。

さて、23回目。真下から串刺しにされ、死ぬ直前の態勢で固定されたオーク達。人型生物も一緒に止めはさしてある。


心臓から全身の血管まで張り巡らせた棘から血抜きも済んである。

その棘を基点として腐りやすい内臓や眼球などを溶かしこんで食べてしまう。人型生物は丸ごと、骨も残さず。

皮膚を残したまま腹部などが少し凹んだ百数十体分の肉。スライムの軟体としての性質を生かし、全身の筋肉にしみこませてある。

肉塊たちはひとりでに起き上がり、その四肢を組み合わせて奇っ怪なオブジェを組み上げる。無理な姿勢に骨が折れる音が時折響く。


そう、自力で運べないのなら、自分で動いてもらえばいいのだ。身体強化を重ね掛けすることによるステータス疑似増強は不可能を可能にしうる。


そうして一度に2ヶ所回ってしまう。

森の中にある群れをほぼ殲滅した結果、肉も余り始めている。薄切りにした後水分を相当量飛ばしてやれば日持ちもするはず。本当は塩漬けなりなんなりしたいのだがいかんせん森の中。その材料がない。


そのままオークの肉塊二つのうちの一つに乗り、帰途に就く。

まるで多足類のように蠢くその足は、きわめて滑らかにその重心を移動させ振動も少ない。

その踏みつけた地面には、ちょうどオークの足跡の形に凹みが出来る。同じ足の大きさでもそこにかかる重量が違うのだ。


足跡を重ねるようにして、その奇怪な歩行を少しでもまともなオークのものに似せておく。

あの再生能力を備えた魔物の仲間がいる限り、こういった注意なしに安心して狩る事はできそうにない。

『雲散霧消』による攻撃の無効化があるとはいえ、知覚に引っかからないという性質の対策ができるまでは積極的な攻勢に出にくいのが実情だ。いつかは攻勢をかけたいと思うのだが、それには聴覚や触覚を中心とした十分な探知のノウハウがなさすぎる。


そうこうしているうちに洞窟へとたどり着いた。洞窟はいつの間にか通気口がいくつか新たに作られ、居住性に優れた立地になっていた。水道やら排泄物の処理とか、色々足りないものはあるが。


奇怪なオブジェの形状を解除し、洞窟に入るサイズにまで小さくしてから入れていく。

洞窟内には新しくベッドが造られていた。マットレスもなく簡素なものだが、人数分用意されているらしい。自分は乗れないし、そも寝転がって眠る必要もないわけだが。


それぞれのオークを丁寧に横たえ、全身の骨格、靭帯を溶かしたのちに出来るだけ外気や地面に触れないよう注意を払いつつ切り分けていく。リブ(肋骨)周りは内臓にも近く、調べると寄生虫が当然のように埋まっていた。背骨周りや四肢の肉は寄生虫も見当たらなかったため、こちらを主に食用としている。ショウガで臭みを取ってスペアリブとかするのは結構好物だったのだが。


切り分けた後は、サキュバスどもに処理を任せる。火属性魔法も使えるとのことで、薄く切った肉を加熱とともに水分を飛ばす程度にはスキルレベルも高いらしい。さすがにある程度は自立してもらわなければ、将来的に面倒なことに巻き込まれることを考えると、困る。




今度向かうオークの群れは以前とは大きく異なり、かなり遠い場所だ。洞窟内に作られているもののため、逃げ道も狭く、袋小路に近い。逆に言うとそうなっても押し返せるだけの戦力を備えているということで、これまでのように楽にはいかないと考えて差し支えない。


それだからこそ、いい練習(・・)になるだろう。


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