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第57話 脳筋とは良いものだ(白目)

ほぼ説明回です。

やっぱり複雑な構造を一人称から書くのは難しいです。

オーガという魔物は端的に言うなら、個体としてはゴブリンの完全上位互換である。

平のオーガですらゴブリンキングをAGIやSTRに始まる全てのパラメーターに加え、頭脳面でも上回り、言語を理解できる。


ただ、その個体としての能力が高すぎるため、集団としてはその個体としての強さに頼りすぎるきらいがある。

陣形や武術など工夫は凝らす。家もログハウスまがいを自力で組み立てる。しかし砦や盾といった防御を前提とした物は作らず、罠を作ることもしない。最終的には正面突破の脳筋戦法が基本である。


もちろん生半な罠では容易く判別できてしまうのだが、その脳筋戦略を逆手に取り、かつ十分な戦力があれば群れから引き離し、各個撃破することも可能な、どちらかといえばまだ、相手取りやすい魔物と言える。



ただ、それらを束ね、統括する存在がいる場合は別である。

例えば、キングが挙げられる。しかし、それが何であれ、極論上位存在であればなんでも良い。


例えそれがオーガをはじめ、血という概念が存在する生物の天敵、吸血鬼であったとしても、彼らは是も非もなく、ただ従うのだ。



魔境ベンドルムに群れで生息するこのオーガの群れに関しては状況がさらに複雑である。

すなわち、吸血鬼によるオーガキングの支配による二重支配。

さらにその吸血鬼は他のより高位な吸血鬼により支配されている、という複雑きわまる構造だ。


この構造が成立するのは、吸血鬼の増殖方法と生存条件による。

吸血鬼が血を分け与えた生物は吸血鬼と変化するのだが、変化した吸血鬼は元の血を分け与えた吸血鬼よりも吸血鬼としての能力は弱く、その吸血鬼を主として従うことになるのだ。

結果、吸血鬼の中でも血をあげた、もらったの上下関係が発生することになる。


また、吸血鬼という魔物は栄養源を全て血に頼るので、その安定した供給源として生物を操る術を経験則的、生得的に手に入れるのだ。

それは交渉術然り、催眠術然り。生得的に持っている魔法や変身、不死などの生存に有利なスキル群。それらに加えて魔素だまりからの発生や通常の生殖だけではない、血による増殖。


これらが吸血鬼の種族的な武器であり、さらに武術を修めている者やスキルを新たに習得したもの、または生まれつきそのスキル類の一部を持っていないものなど、その能力は千差万別で、個体としての強さというものを数値化するとその散らばり具合はヒトとは比べ物にはならないものとなるだろう。


その特性や日光に対する弱体化も相まって集団戦闘には向かず、実力、気の合う者達だけで組むのを除いては、個々に散らばって活動するわけだ。


当然、人間社会に紛れ込む者、吸血鬼であることを明かしつつ、それでも人間社会で共存する者、自然界で生活し続ける者などその生活スタイルから立ち位置まで様々である。



このオーガの群れを支配する吸血鬼たるヘルッコ、そのさらに上の吸血鬼ビアッジョは勇者による魔王討伐以降、融和を図るタイプに変わり、オーガキングの血、不可侵の約束と引き換えに人間に協力し、オーガキングを使役してオーク養殖や薬草栽培の妨げになる生物、魔物を物理的に排除する役割を得ていた。

言ってしまえば無農薬栽培で害虫の天敵を使うようなものである。


その群れの大きさから例えスキルが十分に育った吸血鬼ですら集落ではそのオーガの行動を監視しきれない。

そこで巨大な砦を作り、オーガキングを使役することになる。

とはいえ、監視塔なぞ建てたところで見張りができるオーガなどいやしない。罠を仕掛けてウサギを待つよりも、森を荒らしてウサギを追い出して捕まえるのが好きな生物だからだ。

必然、砦から見回り部隊を出して、巡回させることで対応する。




これまではその手法で事足りた。だが、これからも必ずその手法がうまくいくとは限らない。

前提として想定していたもの以上の存在がいれば、必ずしもそれが通じるとは限らないのは道理だ。


これは性質上仕方のないことだが、オーガというのは魔法やスキルを使える個体が皆無と言えるほど少ない。魔法やスキルが生えていても、伸ばそうとはしないせいもあるが、


そもそも肉体技能に特化した魔物であるからで、ましてや念話などの意思疎通スキルなど生やすこともなく、また弓などの遠距離攻撃系の武器など、砦という守りやすい構造の建造物であるにもかかわらず、製造技術技術がないというどうしようもない理由から、一つもない。ヘルッコに操られたオーガキングの指揮のもとだろうが、人間と特段交流があるわけでもなく、14年程度で全くのゼロから技術を発展させ、独自の、オーガのパワーを活かすことのできる弓を量産できるようにするのは無謀と言って間違いない。


また、指揮系統として最上位たるビアッジョは下位のヘルッコに砦の防衛に関して命令することは少なく、そもそも砦の中にいるかどうかも怪しい。


だから、いつもの速さからしてオーガよりも速く移動し、オーガより遥かに優れた単体戦力を持つものが攻撃を仕掛けたところで、砦に対する攻撃を止める術などないのは仕方のないことだ。

端的に、誤解を恐れず言うなら、見通しが甘かった。たとえその戦力振り分けが苦心して考え出され、これまでの状況と噛み合った最適解としてうまく魔物を狩ることができていたとしても。


たとえその近づいてくる魔力に散歩(・・)から戻ってきたビアッジョが気付いて、その速さから下手をすれば見回りが戻って来る前に決着がつきかねない、と砦内で防衛策を練りはじめたところで、音速クラスで投げ込まれたナニカ(・・・)が四散し、砦の門から壁まで表面の全てと、その投げ込まれた直線上のものが吹き飛ばされた門もろとも吹き飛ぶという異常事態は避けられなかったのだ。


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