第47話 ビーム兵器
武器が大量に詰められている場所があったので、武器を漁る。四肢をねじ切ったオークに武器の説明をさせつつ。
「イダイ・・・イダイ・・・だスげッ!!!あがあアああッ!」
「だマれよ。いツ私語をユルしたよ?」
死にたいのだろうか、こいつは。死にたいのなら早く言ってくれればいいのに。
オークの説明によると、大方攫ってきた女性陣のものらしい。一応襲ってきた討伐隊(男)の分もある。どちらにせよ、サイズ合うはずないのに、何で持ってんだろう。貧乏性かな?
魔法付与された武器は一つだけあるけれど、それは王サマが持ってるらしい。ちょっと楽しみではある。
中でも一番状態の良い革鎧を選び、着方が分からないながらも、留め具を千切って無理やり着る。まだ手先が十分器用でないのだ。男物だったのか、胸元は真っ平らだが、全く問題ない。疑似人体も真っ平らなので。サイズが合わず、胴がちゃんと防護できてないけれど、とりあえず試しに着て見るだけで、機能面には期待してない。
「だすゲっ・・・」ぐしゃり。オークの頭を踏み潰し、次の部屋を探す。早くしないとバリケードの氷が溶けてしまう。
さあさ、オークの王とやらの顔を拝みに行こう。
その部屋はこれまでの部屋とは段違いに広く、またいるオークの数も少なかった。代わりにひときわ存在感を放つ、注意が向いてしまうオークがいたり、また全体的にオーク達の装備は良くなっている。棍棒から剣や大剣、槍へ。奇しくも大部屋位でしか使えなさそうな、大きな武器だ。それにしても、あれだけ音たててたのに気が付かないなんて、警戒心薄れすぎでしょ。
なのにいる女性の数は部屋の大きさに比例するように、多い。見目もまあ、顔の左右のバランスが整っていて、そんなに体表は傷つけられてないから、整っているとみていいのではないだろうか。やっぱり人の美醜は難しいわ。日本人の平安時代と平成の顔の好みの差から考えると、人の美醜を考えるのが馬鹿らしく思えてきてしまう。民族的にはほぼ変わってないのにね。
もちろんというべきか、両足ともに足首できれいに折られているけど、それの傷口もまだ真新しい。ほんと嬌声あげて、元気だねえ。やはりオークも元気があるほうが好きなんだろうなあと、走り寄る子供のオークを見ながら思う。まだ子供過ぎて、そういう行為はできないからその行為を見ていたんだろう。それで入り口に突っ立っていて、オークではないモノを見つけたから近寄ったと。情操教育悪っ。
悪いが、オークに対する嫌悪は、成体オークだけではなく、種族全体にまで及んでいる。
膝上くらいまでの子オーク。足で蹴り飛ばす。正面の壁に血の花が咲いた。わーお、きれーい。
同時にその音で気が付いたらしい成体オークと子オーク達。情事に混ざっていたらしい子オークも、イチモツを引き抜き、声を上げて参戦せんとする。装備を整える動作結構早いね。さっさと潰そうと思っていたのに。
背の小さい子オークどもは蹴り飛ばして成体オークにぶつける。
成体オークは自分の子供かもしれないのにかばう様子は全くなく、持っていた剣で切り飛ばした。
ああそうか、彼らにとっては自分の子であるかどうかもわかるのかもしれない。
一斉にとびかかりはせず、均等な距離を置きつつ、包囲してくる。
これは、結構難敵かもしれない。そういう戦術とか教えてくれる先生教えろください。フォーマットは凡人であるから、そういうのを急に思いつけやしないんだよ。
洞穴という性質のために、無関係な人間がいる現状、【圧力魔法】を応用した大量破壊兵器や、オゾンが発生しうる雷撃系、振動系、燃焼系は使えない。氷属性魔法も自粛だ。大部屋を殲滅するほどとなると、確実に人間だけ避けられるとは限らない。また今度、地上で虫系の奴現れた時に使おう。
とりあえずま、正面に足を一歩踏み出す。すると正面のオークは一歩下がる。距離を一定に保つようにちゃんと考えているようだ。
ではこういうのはどうだろう。
足を全力で振り下ろし、その反作用で前進する。地面が少し割れる。足首の骨にひびが入るのが走る音でわかる。また、筋肉が悲鳴を上げ、構成しているスライムの分身体達が文句を垂れる。痛いじゃないか。労働基本法に反してる!訴えてやる!
ここでは労働基準法も何もあったもんじゃないでしょう。ある種の冗談を受け流し、正面のオークに突っ込む。体構造が分かっても、鎧の構造まで十全にわかるとは言えない。速度が自制できないために狙いも付けられない。まっすぐ進む自分にできるのは、ただ、突進。つまり、体当たり。
インパクトの瞬間、オークの肋骨がきれいに折れ、胴が内臓ごと完全につぶれる音がした気がした。自分の方には何も起こらない。ひびが入っていることは無視して、立位と足と胴の位置関係は変えないまま、右足で地面を削る。すると、重心は軸足の左にあるわけだから当然時計回りに回転。腕も使ってぶつかったオークを投げ飛ばした。隣にぶつかり、面白いように吹っ飛んでいき、壁にまた花を咲かせた。今度はそんなに色が濃くない。うーん、ぶつかられたほう、あれは脳いったかな?額から上をなくし、人相がまるで変ってしまった。同時にぶつかったオークも動かない。これはヤったか確証がないからまたとどめ刺さないとな。
流石に予想されていなかったのか、硬直するオーク達。後ろに控えているなんか注意を寄せてしまうオークもこればっかりは驚きの表情と思わしきものを浮かべている。
壊れかけの足首を緊急整備しながら考える。近づいた現在、何ができる?肉弾戦というには遠いこの間合い、いかにして詰める?
結局考え付いたのは一つ。近寄って光線で削っていく。足首よ保ってくれ。緩急つけながら走り出す。
眼球に仕込んでおいた、ピンポイント攻撃が可能な光線兵器。文字通りの「目からビーム」状態だ。直進する性質上、射線上に人をいさせるわけにいかない。しかし、この数、またオークが立ち上がり、女性はぶっ倒れている状態。ならば、光線の貫通力を試す良い場となる。
まずは一匹。全力ではなく、次第に威力を増していく形で攻撃する。
「ぎゃああああああアアアァァァぁぁぁ・・・」
きれいに頭部がオーブンで焼いたお肉のように焼けた。絶命は、してるのかな?威力を強めて、頭部を撃ち抜く。
二匹。自分が動いて、二匹が並んでいる状態にさせる。「「ぎゃっ」」絶命。まだ出力は高められる。次。三匹。二匹の時と同様だが、それでも完全に並ぶはずもなく、的の大きい胴体を狙う。
走り回るついでに後方に唯一控えている変なオークにもビーム。すると、身をかがめて避けられた。ノーモーションで撃てることが売りのこの武器を避けられたので少なからずびっくり。
その様子を見ていたオーク達はなぜか奮起して、活発に動き出した。止まっていてくれりゃ楽なのに。
おし、そろった。ビーム。
「「「あがああああ!」」」もがいている。うるさい。次。
四匹。三匹の時と同様にして貫通させる。なかなか一列にそろってくれない。イライラする。ちっ、全て掠るだけにとどまった。「「「「ぐうっ」」」」これが現在の命中率での限界か。
そこまでしても攻撃を仕掛けてこない変なオーク。常に視界に入れつつも残った六体の掃討。
単発のビームで丁寧に倒し、倒れてもがいているオーク四体に足でとどめをさす。
そこまでしてもまだ怒らない。こいつにはオークという種族に対する帰属意識がないのだろうか。どちらにせよ、殺すことには変わりないが。
そう考えていると、その変なオークは口を開いた。
「よくもやってくれたな、小娘。だが同時に、よくやってくれた」
「は、はあ」
「貴様には本当にありがたいと思っている。吾輩の成長を止める輩を殺してくれたのだからな」
なんか言葉流暢ですね。
「あやつらが勝手に崇めてくるからな、狩りにも行けぬ。」
あっそう、
「ありがたいと思ってくれてるのなら、とりあえず死んで。」なんか言葉が流暢だしヤバそう。そんな雰囲気が流れている。
ビームでもう一度やって、かたをつける。そう思っていたのだが。
スッと頭をかしげることで、簡単に躱された。
面と向かって避けられたことに、本気で動揺する。
「では、こちらのばんだな。」
なぜか視界の外からそんな声が聞こえて。振り向いた時には。
「吾輩の栄養源となれ、小娘」
拳が眼前に迫っていて。
そのまま吹っ飛ばされた。
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