第44話 対オーク戦(1体とは言ってない)
相当グロいです、それでもおっけーてかたは、どうぞ。
ブクマありがとうございます!
ようやく脊柱起立筋やら何やら駆使して体勢を崩さずに走ることができるようになったので、分身体達から打診を受けてオーク討伐をしてみることにした。
分身体達からすらもハブられるなんて・・・、同じ一つの個人なのに、とは思うけれど
経験のフィードバックを少なめにしているからある程度異なる個体に枝分かれしていっても不思議ではない。フィードバックをきつめにすると、分身体が受ける損害も誤情報として受け取られてしまい、本体の動きを妨げられるために抑えていたのだが、ちゃんと安全なところでまとめてフィードバックをかけるようにすればよいのだろうか。
閑話休題、オークを掃討しようか。
オークのスキルから見て、18禁とかそっち系に出てくるようなタイプなのだろう。
ということは見た目女性型にした方が巣にお持ち帰りされる可能性が大きく高まるわけだ。
擬似人体には生殖器などつけてないから何をされようとも問題ない。大体ボディの性能差から考えてそうそう負けることなどないし。
というわけで見た目を弄る。
と言っても、弄る箇所はあまりない。人工骨を作る際に参考にした骨はあまりに華奢で、肉をつけたところであまりその細さは変わりそうになかったからだ。もちろん人工骨を加工する際多少は太さや長さを弄ったが、その細さは変わらず、変えるところといえば、筋肉のつき方、脂肪のつき方、あと毛髪くらいだ。・・・意外と多いのかもしれない。
弄り終わったところで、オークの巣の近く、森の中まで行く。すると…見つけた。オークが腰巻一枚、棍棒装備、3体で移動していた。やっぱり背が高い。頭一つ分ほど自分より大きい。全く周りを警戒するそぶりもなくうろついている、といった風情だ。一応棍棒らしきものを持っているものの、本当に周りを警戒していないのだとすれば、3体で固まらずに分散すればいいのに、とか思うが、彼らには彼らの事情があるのでしょう。詳しいことは気にしていたらきりがない。まあとりあえず、近づいてみる。わざとパキン、と小枝を踏み抜いて。
おお、3体とも注意がこちらへ向いた。人型の魔物のくせに地面に顔を近づけて鼻をスンスンさせてるのが可笑しい。
おお、顔を見合わせてなんかやってる~。これはなんかカブト虫の観察のようで少し楽しい。
こちらに近づき、こちらと目を合わせるや否や、争うように「グへへ、メスだメスだぁ~!」突進、捕まえてひょい、と持ち上げられてしまった。前世が男子である生物から見ても、控えめに言って、キモイ。あと突進してきたときの身長、速度、形相とが相まって怖い。どんだけ飢えているのだろう。それと、偽装成功してるんだね。
これが初めての、「生き物との戦闘でない接触」であることを思うと少し悲しいが、野生なんてそんなもんだよね。
オークの肩に担がれた状態であるのが情けないが、とりあえずオークの巣へGO!
ああそうだ、魔力感知をオフにしておこう。肉体の動かし方には眼球や耳なども含まれている。他の感覚で補助するのはよろしくない。
オークの巣はどんな場所かと思ってきてみれば、ただの洞穴だった。ほんと馬鹿なのかな?水攻め、火攻め、毒待ったなしなんだけど。まあやらないけど。
他のお迎えのオークが出てきたのを確認して、自分を担いでるオーク1の肩を肘と膝とで挟み込み圧迫・粉砕する。オーク1の悲痛な(ちょっとよくわからないけど)叫びが洞穴に木霊する。
うん、ステータス上可能だとは思ったけど実際にやってみるとびっくりするな。
次いで膝をついたオーク1の肩から降り、喉笛を握りつぶす。これもできたのか。
総頸動脈を千切ってしまったため、血潮が降り注ぐ。
楽しくなってきた。
懐に入って貫手でオークの胸骨や肋骨、心臓、背骨、筋群を貫き、即死に至らしめる。背中側から見れば手がオーク1の背から生えているように見えるのだろう。シュールな光景だ。
かなり脂肪が分厚く、またオークの筋肉が分厚いので、引き抜くのに少し時間がかかる。
「ブげゴぼっ」苦鳴を漏らし、絶命したのを確認しつつその死体を振り回して周りのオークを吹き飛ばす。握ったオークの手首の骨が砕ける音が聞こえた気がしたが、どうせ死んでるし関係ない。両足を地面にめり込ませ、薙ぐ。オークが壁にぶつかり洞穴の壁との間で肉がつぶれる音もする。多少リーチがつぶれて短くなっても、関係ない。獲物の素材はそこらへんに転がっているのだ。
持ち手がつぶれてしまったので得物を回転力を利用して投げつけ、少なからず体勢を崩したオークどもを肘撃ち、握りつぶし果ては噛み付きなどで撃破していく。どんどん奥から出てきてくれるのでこの殺戮は終わることがない。洞穴というのは一度に襲い掛かってくる数が制限されるという利点があり、集団戦には適さない。ほんと数の利生かせないのに何でここに篭もってるんだろうか。まあいいや、とにかく目の前の獲物を狩ることに専念する。
狩り楽しい楽しい。飛び散り、降りかかる血漿、脳漿、髄液。吹き飛ぶ肉片、骨片、内臓。そして断末魔。ああ、
「タぁのしィなあ!」
少し声が漏れてしまった。発声能力に難あり・・・か。発声練習もしないとなあ、ボヤキながらも殺す手はやめない。ようやく筋群の使い方が分かってきたところなんだ。重心の運び方なんかもおぼつかない状態なのでまだまだ殺戮対象には全滅してもらうわけにはいかない。ほら、また転びそうになった。いや、そもそも血糊や死体なんかで足場が相当悪いのか。
足場をよりよくするためにも進んでいく。死体の消化は・・・後でいっか。身体が急に重くなるのはよろしくない。
オークがこの人体を軽々と持ち上げたことから察するにオークのほうが重いので、こちらが単純に一体オークを吸収したとすると、重量は2倍以上へと変わってしまうのだ。
進んでいくと、突然ひらけた視界に何かが映った。広間らしい。そして視界に移ったそのモノに目を向けると
明らかにオークの大きさではない、穴だらけのぼろい布がかかった膨らみだった。布の間からヒトの物と思わしき指先、長髪が覗いている。
近寄って、布をはぐ。周りに集っている虫から中身はもう予想がついていた。
中から出てきたのはニンゲンの亡骸だった。ピンクであったであろう肉の、黒く変色した断面。頭部であったであろう部分には毛髪が大量にくっついていた。女性だったのだろう。多分。四肢は本来ありえない角度で曲がっており、骨が関節部から覗いている。開放骨折かよ。胴体に目を向けると、背骨はまだ原形をとどめているものの、鎖骨はもちろん肋骨から胸骨まで折られていて、胸部のふくらみは引きちぎられ、女性の象徴である陰部などは腹側から明らかに人為的に抉られてすらいた。
転生前とを合わせても見たこともない、醜悪に殺されたご遺体がそこにはあった。
もちろん自分も誤って人を轢殺してしまったことはあるけれど、ちゃんとスライムとしておそらく正しく、遺体は食べて処理、もとい供養をしたと思っている。だが、この遺体は、生殖目的であったのにもかかわらず、骨折までして、明らかに悪意を以て殺されたとしか考えられない。せめてもの情けは遺体にぼろとはいえ布がかぶせられていたことか。
それでも、あまりに醜悪。そっと布をかけなおす。
遺体を観察していた時間に、オークが広間に入ってきたようだ。棍棒ではなく、なぜかは知らないが、剣を持っているものや、杖の様なものを持っているもの、サイズがちぐはぐとはいえ、鎧を着ているものなど装備の多様性が一気に上がった。多少殲滅の難易度が上がったかもしれない。
活舌や発声の問題で長い言葉を話しかけることが難しいので心の中で呟く。
すまないが、自分には生殖本位のお前たちの行動が理解できないし、わかろうとも思わない。あのような遺体を見せられては歩み寄る道はないし、だからこそ、醜悪だと思い、存在自体が不快だ。
とりあえず、死ね。
その心の中でのつぶやきを最後に、踏み込み、先頭のオークを吹き飛ばした。
人体になると描写が自然と多くなる。




