第41話 人体改造(人体とは限らない)
ブクマありがとうございます!
魔術知識を早速応用して、擬似人体をアップデートする。
主にやるのは魔術回路を骨格から靭帯、筋肉、関節包に至るまで刻み付けることだ。例えば骨に小型の強化用魔術陣を敷き詰めることで魔力を通す限り、一部破損したとしても変わらない強度を保つことができる。より精密で効果の高い陣にするには魔石を使用するらしいが、手持ちにないので却下せざるを得ない。罠の方には罠に掛かったゴブリンやらの魔石が腐るほどあるのに、残念だ。転移とかできたらいいのに。
骨や靭帯には強化や斥力などで摩擦力や外力に対抗する一方で、筋肉には基本的に攻撃用術式を刻む。筋肉などどうせ、再生可能で形が自由に変えられるスライムで構成されているのだから、硬く変化させる必要などないのだ。
あとは特殊設備として熱魔力変換装置を備えておく。熱というのは分子の振動であるが、同時に全てのエネルギーが最終的に到達するエネルギーの形である。
魔術回路もその例外ではなく、モーター回路のごとく、エネルギーを変換する過程で光や熱などが発生する。しかし、熱魔力変換装置はそのロスで出る熱すらも魔力に変えられる。変換効率が低いのが難点なのだが、繰り返すことでその欠点も埋められる。実質的なエネルギー変換効率は1に限りなく近い。また、この魔術の結果、魔術の効果範囲内において熱が奪われる、つまり温度が下がるのだから、魔力を使わされる氷属性魔法の上位互換足り得る。と言っても速度の点で大きく劣るが。
この魔術はあのマシーンのデータベース上にあったらしいが、なぜそれを使わなかったかというと、
≪高い魔力を持つ魔素は放っておくと魔物に変化してしまうため、この魔術は禁じ手中の禁じ手。私を操る人の承認なしに行えません≫
と、こういうことらしい。使えばいいのに。
また、スライム製の脂肪層を体にまとわせ、その脂肪層の色を術式で変えることで、体表の色を変えることに成功する。毛髪の類や、爪、皮膚表面などを、サイズ調整して密度を高め硬くなったスライムで構成すると、見た目は人間になる、一応。とはいえ、前世で形成外科とかしていた、というようなこともないのでパーツの配置、大きさがうまくなくて見目は悪い。左右の均等はせめて細胞ひとつ分サイズの単位から保っているが。
骨の強度を上げた状態で脂肪層を臀部や腰回り、大腿部、足裏、手掌などに優先的に回しクッション性を高めた状態で4足歩行や2足での起立に挑戦する。術式による重量の分散が行われているため以前のように骨を折るへまはしない。
それでも2足歩行というのは厄介で、2点支えることからくる不安定さから神経を使わされる。具体的に言うと、背骨を安定させつつ、下肢の筋肉の緊張具合を常に調整しないといけない。
歩行となるとさらに複雑さが増す。何しろ重心が動くのだ。支えとなるはずの2つの足のうちどちらかが前に振り出されるのだから上下にも動き得る。本能とか無意識の偉大さをここで思い知るとは。まだ飛んだり跳ねたりは遠い。
次に攻撃系魔術回路に魔力を通し、稼働準備までをやってみる。低コスト高威力のために全火砲発射するのに十分な魔力量があっても、そのうちの一つを発射するだけで大体一般的な、鉄鎧くらいならば貫通できてしまうらしいのでそうそう使いたくはない。
これが例のデータベースに載る最低クラスというのだから、たとえ、ステータスという生物の素体としての強さを引き上げる要素があったとしても、高すぎる威力のオンパレードである。
この威力がステータスに表れないとなると、このアドバンテージは大きい。初見殺し万歳だ。当然秘匿して、切り札として使う。おら、わくわくすっぞ。
さらに、熱魔力変換装置を起動させてみる。「魔物を発生させるほど」というのがどういうものなのかよくわからないが、魔物の自分にとっては栄養に違いない。高濃度の魔力、というものがどんな感覚なのか興味がある。
ピコン!スキル【魔力操作】のレベルが上がりました!
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新たなスキルを得るのは人里に下りてからです




