第23話 死体あさり
ちとグロいかもです。
異世界での人間とのファーストコンタクトが交通事故によるものだと誰が予想できただろう。
そして、まさか、この平野で交通事故を起こすと誰が予想できただろう。
いや、この地面でつぶれた肉体の持ち主Aがなぜ方向変換せず、まっすぐ離れるように逃げたのかは理解できなくもない。この円筒の直径はAの推定身長をはるかに超える。この巨体がブレーキのない状態で突っ込んできたら、小回りが利かないことに気づかずにより距離を取るように逃げるだろう。少なくとも自分ならそうする。
まずは周囲の安全確認。怪我人を救助するときの最初に行うべき行動だ。今回は意味が違うが。
さて、この状態では死んでいると考えていいだろう。死んでなくても証人を残さぬよう殺す。
まずその全身を覆い、頸部と四肢の関節部を溶かす。これで生きていたとしてもほぼ行動不能。まあ【溶解液】に溶かされるようではその生命力もたかが知れている。
次に脳を含め内臓を一息に取り込む。胃の未消化物はこの世界での食生活をうかがい知れるサンプルとなるためとっておく。
さらに残ったものから眼球の残骸を取り出す。これがうまくいけば、念願の視覚を得られるかもしれない。
死亡直後しばらくなら培養液などで栄養しなくてもたぶん大丈夫。
残った肉体部には皮膚に一部魔力反応がみられる部分があったので大きめに切り出し、あとは消化してしまう。
残るは装備だが、胴体に纏っていたものを触ってみて、少し溶かしてみたところ、金属製ではなく、生物由来の素材であることは分かった。ただ、少し硬い。下半身にまとっていたズボン、靴含めて同様。革鎧という奴だろうか?【鑑定】。
名前:溶けかけの革鎧
溶けかけの革鎧。安物だったのにさらにみすぼらしく。
腰部の武器はっと・・・どうやら剣のようだ。さすがファンタジー。【鑑定】。
名前:鋼の剣
数打ち品の安物だが数度しか使われてないようで、刃こぼれも少ない。
日本刀やなんやのようにカーブがつけられてはいない。これが直剣というやつだろうか。
背負い袋に【魔力感知】の反応。無論【鑑定】。
名前:マジックバッグS
数打ち品のマジックバッグ。
・・・マジックバッグに数打ち品なんてあるんだ。
背負い袋をあさっていると、ファンタジー世界に似つかわしくないものが出てきた。すかさず、【鑑定】。
名前:魔砲ヴァリス
先込め式。長らく使われてきたもののため、銃身の歪みなどがみられ、もうそろそろ寿命。
銃身をなぞると、使用されてきたことによる細かな傷と、特徴的な傷が見つかった。特徴的な傷は深さ的に、人為的につけられたものらしい。まあこの世界の文字とかわかんないけどねっ!
先込め式ということは、生前に歴史の授業で習った、織田信長が武田信玄の息子を打ち破る際に使われたとかいうアレと同じシステムということか?
さらにあさると、【魔力感知】に反応があるものを見つけた。【鑑定】。
名前:魔石
Iランクの魔石。
魔石にランクがあるのはテンプレ感半端ないが、変に扱ってもまずい。とりあえずおいておく。
ってゆうか、魔石多すぎだろ!拾ってきたにも多すぎる。周囲の状況から察するに遠征帰りと考えると納得がいくが。
あとは・・・見たところ、食料のようだ。【鑑定】。
名前:干し肉
オーク肉の干し肉。噛めば噛むほど滋味が広がる。お母さんの味。
くっ・・・!!!【鑑定】さんキャッチコピーの才能あるわー。そういえばスライムのこの身体、体に不要かどうかしかわからなくて、人間並みの味覚はないんだった。お母さんの手料理が恋しくなってきたじゃないか。こんなことならあの死体の舌採取しとくんだった。すべて【鑑定】さんのキャッチコピーが悪い。
それと、味覚で吹っ飛んだけど、オークってやっぱりいるんだな。
もう一つ【鑑定】。
名前:固焼きパン
保存がよくきく。口で噛むには硬すぎるからふやかして食べる。
この二つから察するに、食生活は地球の中世並みか?歴史には疎いのでテキトーだが。
さて、入手したものは確認したし、移動しよう。
分身体スライム達にまた件の円筒形態へと移行させたところで、
渦巻き管を形作るスライム達から自然の音の解析が大方終わったことが知らされた。
ピコン!『聴覚』を得ました!
やったね!




