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第1話 理系、スライムに転生する

目をあけると、そこは汚物の海であった。

いや、目をあけると、という表現はおかしい。なぜなら、この体には目など存在しないのだから。


流体で構成された、流動するしか能のない肉体。子供の一突きでさえ命を奪われうる脆い核。つまり。この世界において最底辺をなす、ただただ自我も持たず周辺の死体をあさるスライムというファンタジー存在へと転生してしまったのだ。


思い返すは体感時間にして約1時間前。あの自分勝手極まりない女神とのやりとりである。



(どこだここ?)

目を覚ますと、真っ白な世界が広がっていた。

眼前には一人の女性が仁王立ちしていた。

ものすごく、、、綺麗なんだろうか?

これまであってきた人と明らかに一線を画す感じがして断言しづらい。

ここまでの人生においてどの類型にも当てはまらない存在なのだと、言葉も交わしていないにもかかわらず、半ば本能で理解できた


『ここは神界よ。』


鈴を転がすような声が脳内に響く。

『これでやっとアンタをいじめることができるわ!』

早速キャラ崩壊した。



こういうのをあげて落とす、とでも言ったらいいのか。

直視にたえなくて、そっと視線を明後日の方向に飛ばす。

なんだこいつ?新手のデレか?いやそれはない。男子校出身の理系男子は期待したら負けだ。なんかの罰ゲームと捉えて間違いな...


『だから!神界にいるんだから!女神様だって気づきなさいよ!』


(まあこの自称駄女神はほっといて...ん?待てよ?思考読まれてないか?いじめるってワードも出てた気がするんだが)


やっと女神(?)の方を見る。すると、ものすんごく偉そーな表情をした女神様(?)がいたのだ。

『やあっと思考を読んでることに気づいたわねこのスカポンタン。全く、この私が人のレベルまで思考速度を落としてるんだから感謝なさい!さて、どうしてくれよう?』


まさか、ナニカされちゃうのか?でもナニカされるような覚えはないんだが。至極真っ当に大学生活送ってただけだし。

何かの復讐にしてはあまりにも身に覚えのない、まさしく暴論と呼んで差し支えない言葉はしかし、心に何の波紋も起こさない。


『うるさい!

私の思い通りにならないイレギュラーなんて排除してやる!

全人類は私の手のひらの上で踊ってればいいのよー!ぶわっはっはっはっはー!あっはっはははははは...ごほっぼほほほほっ』

涙目になりながらこちらを睨んでくる。何この子弄ると面白そう・・・とちらりと考えた瞬間、睨みがキツくなった。やっぱ思考読まれてるねうん。


さて、思考が読まれてることを確認したが、どうしてここにいるんだ?自分はどうなったんだ?


『切り替え早いと楽だから好きよ。アンタは死んだ。私がDNAまできっちり壊してあげたよ♪親御さんにはきちんと私があなたのせいで受けた精神的苦痛を賠償してもらうようにしたわよ?金銭面で苦しんでるよ。ねえ、見たい?ねえねえ、見たい?でも見せてやんなーいwww』


いちいちカンに触るような言い方を選んでるのがわかる。稚拙だが。

しかし、現世で自分が貴女にどんな精神的苦痛を与えたか知らないが、それを親に被せるのは横暴が過ぎるのでは?

心の底に澱のごとく後悔が積もってくるのを感じる。


親の死に目に会えなかった。


それはまだ諦める。いや、諦めるしかない。

しかし、死んでいたとしても自分という存在はここにいる。

それなのに親族にそのしわ寄せを食らわせるなど、悪辣としか言いようがない!



『だから言ったでしょ、全人類は手のひらの上だって。

つまり、私のオモチャなのよ!自動で生まれて、増えていくオモチャを大事に扱うやつがどこにいるのよ?

絶対に減刑はしない。アンタは自責にずっと苛まれるがいいわっ!

ちなみにこの運命は運命神たる最高権力をもって決定付けてやったから変えられない。私ですらね?

ふふふ、絶望した?まあ、ちゃんと一般市民が一生使って稼げる金額以内には留めておいたから♪ きっとアンタの親御さん、心中するほどの額ではなくて.いっそう最期まで苦労するんだろうなあ〜 ふふっ♪』


その時、何かが切れる音がした気がした。無論、ここで怒っても何にもならない。だが、決めた。こいつはいつかボコるっ!!!


『うわ怒ってる怒ってるwwwそれでね、アンタにはとある世界に行ってもらう。剣と魔法の世界だよ♪アンタ、憧れてたっしょ?よかったねー願いが叶えられてwwwそこで最底辺の一角であり、分解者に位置付けされる、スライムとして生きなさい。刑罰はそれだけよ。』


存外単純な刑罰に一瞬、怒りを忘れ、アホ面を晒した。しかし、何か裏がある。そう思えてならない。

『ふふふ、何もないよ?ただそこで私の思うように踊ればいいだけ。簡単でしょ?さて、話しすぎたわね、

早速送るわね♪ さあ、踊りなさい?』

そこで自分の意識は暗転。


今に至るという訳だ

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