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第14話 長い夜

説明回です。論理とかうっとうしいわ!!って方は飛ばしてもらって構いません。

リーゼン国中央ゴミ処理局局長室にて。



「なにっ!WBCが全滅しただと!?!」

アルトは聞き返さずにはいられなかった。ついでに声が裏返った。

「は、はい。投下したWBC計13体全滅しました。」

職員はいつもと異なる局長の様子に少しビビりながらも答える。

「なぜもっと早く報告しない!!」

「すみませんっ!!!」


なぜ怒り出したか。それは局にあるWBCの残りの個体数が原因である。7年前のあの事故でWBCを大量に消費して、補充されて以降、全く補充していないのだ。スライムをベースに改造されたWBCは経年劣化し、定期的な交換が必須にもかかわらずだ。

10年間他の局では7年前のような事故が起こらなかったし、起こったとして、所詮スライムであるから国家の保有する戦力で殲滅でき、わざわざWBCを造るコストに見合わないと国家予算から削られたのである。ちなみに局内で完結した7年前の事故は他国にはバレていないのもあって、悪用が可能なWBCの製造技術は他国には輸出していない。他国での変異スライムの暴走よりも、WBCの製造技術が悪用されて自国に害が及ぶリスクを重く見たわけだ。ファンタジー世界といえど、現実。世知辛い。


とにかく、経年劣化でかなりのWBCが使用不可能だ。使用できるのといえば、30体前後。WBCが全て破壊されても国に報告すれば、直ぐに軍がきてくれて、殲滅してくれるだろうが、その場合、最悪、局長が事故を起こした責任を取って辞任せねばならない。妻子持つ身であり、10年間局長の地位を保ち続ける男にはそのリスクが高まったことすら耐えがたい(主に男のプライド的問題で)。


何かしらのスライムを倒す存在Xがいることはわかっていた。ここで問題となるのは、

「…で、どのようにWBCの反応は消失したわけだ?」

その存在Xの攻撃手段である。


人造魔物であるWBCには耐性を持つスライムを考えて、2種類の魔法と直接攻撃のための【身体強化】と【魔撃】を使えるようにしてある。さらに、その存在が複数であった場合、より【魔力感知】に反応を示すものを集団で攻撃するようになっている。スライム程度では【魔力感知】から隠蔽するすべを持たないのでその中でより脅威度の高いものから、ということだ。スライムほどの大きさのWBCが分散した状態でやられたのなら、その存在がとてつもなく大きいか、複数いることになる。また魔法を使ったのならその反応があるはずだ。


「かなりの広範囲を散らばった状態で、ほぼ同時に倒されてます。なお、魔法を使った痕跡はありません。」


職員の報告が示すことは、範囲攻撃を持つ一体、もしくは統率のとれた複数体の存在X。どちらにせよ、厄介だ。国に出す、事故に伴うWBCの消耗の報告書とWBCの製造もしくは代替的な対スライム兵器の開発を求める文書の草案を頭の中で考えつつ、局長は指示を出す。


「残りのWBCで包囲殲滅しかないな。そもそもWBCは細かい指示など受け付けん」

「わかりました。」


職員が部屋を出ると、アルトは椅子に背中を預け、少しの間、書かなければならない書類の量にため息をついた。

論理に矛盾や穴…ないかなあ…

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