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理系スライムは汚物の海から這い上がる  作者: 愚痴氏
第二章 現地種族との接触
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第101話 技術とスキル、そして脳筋

なんか、lv表記が「レベル」のとこだけ間違えてたらしいです。ありがたい。

いや、気づきませんもん(自己弁護)

続く弾丸を避けるため、ついに地面に崩れ落ちるような形でスライディングしながらも、脚についていた氷の余りで向かった先にある弾丸の威力を物理的に相殺、叩き落とす。




同時にジャコン、と弾倉の最後の銃弾がオートマチック式に薬室に送り込まれると共に、弾倉の魔力反応のパターンに変化。



エコーロケーションが通じず内部が不鮮明になった1秒にも満たない刹那。そんな空白を置いて、弾倉は8割程が充填された状態で再出現した。

パターン変化の仕方は空間的・時間的に解析を加える必要がある。初見から、一見しただけでは違いなぞわかろうはずもない。



ロクに起き上がる事すらままならない状況の中、再開された発砲から逃れるべく身をよじりつつ、柔道の受け身の要領で中身(ほね)のない腕を地面に叩きつけ、衝撃で地面をめくりあげる。



巻き上げられた(つぶて)がこちらの身体を叩くが、それより重要なのは、衝撃の規模が半径500mを優に超えたため、銃を持つ女、余ったメイド諸共に体勢を崩すことに成功したことだ。


地鳴らしという奇策は、用意のない相手にはすこぶる有効だがその反面、用意されてしまえば両方の手番を潰すだけ、という残念な結果にもなりえるため、積極的には使えない。

ともあれ、両方ともに体勢を立て直す時間は稼げた。



魔力を感じる弾丸。あからさまに何かあると告げているに等しいのに、わざわざ掛かりに行く真似はしたくない、というのが人情だろう。


ほぼ全く同じ魔力パターンが再び揺らめいているのを見て取り、銃撃をいい加減やめてほしいものだ、と心中で独り言ちる。

『転移』というからには、移動に際して間にある空間をスキップするという仕様上、”始点”と”終点”がなければ起こりえない。


銃に弾丸を補充する関係上、“終点”は弾倉なのは確定している。

問題となるのは“始点”。空間的に完全に同じ場所に弾が補充される、などということは考えにくいから、おそらくはその誤差にしか見えない変化の部分こそが”始点”を示しているのだろう。


それならば。確実性に欠けるものの試してみる価値はある。

弾丸の進路を算出し、自分に着弾するもののみを狙ってその進路を邪魔しないよう、身体を変化させ、自分自らに穴を開ける。

持ち札をさらに一つ切ってしまうようで、貧乏性が疼くのだが、必要経費と割り切って。


回避運動をやめ、最短距離を突っ切る私を遮るものは何もなく、ゆえに地を踏み抜き、音速を超える速度で走れば、1秒もかからない。


瞬時に接近するとともに、反応すらできないだろうとその顔面目掛けて放たれた前蹴りは、目が慣れていたのだろうか、軽くスウェイで躱されてしまう。

片足を蹴り脚に使った状態、軸足を重心移動に使っており、さらに蹴りが届くという零距離の状況。


そんなときにこめかみに銃口を突き付けられているとすれば、やることは一つだけだろう。

頭を全力で逸らしながら前腕部までの腕を銃身に叩きつけ、狙いを無理やり逸らすことだけだ。


20kgを優に超えるその重量からもたらされる運動エネルギーを衝撃(インパクト)の瞬間開放し、ストックを含め1mを大幅に超える大きさの銃をひしゃげさせた。


・・・いや、少し勘違いがあったのだ。“魔力の反応がなかろうと、物理攻撃に対する何らかの対策は施して、近接戦闘で少なくとも丈夫な棒として役割は果たせるようにしているだろう”と。

感知能力のほぼすべてを薬室や弾倉での反応を眺めるために集中していたのもよくなかった。


結局、銃身は大きくひしゃげた状態で銃弾を通過させなくてはならず、起こった結果は。



場違いな金属のひしゃげる音と、金属の破片が目に、腕に肩に頭に胸に脚に。


すなわち暴発。


曲がり、銃身が弾丸を通過できなくなったがために弾丸の運動エネルギーが折れた銃身を食い破って、銃弾や銃身の破片を大音声の不協和音・体をなさなくなった魔力とともに無為に撒き散らす。

一つ一つが猛烈なエネルギーを伴って。



撒き散らされた破片は銃を持っていた女、そして私に平等に降り注ぎ、

片方にだけ綺麗に風穴があくという結果をもって耐久性を示すステータスの差を示した。


「っぎいぃ・・・!」

銃を把持していた右手がズタボロ、顔貌の片側も穴だらけになり苦鳴と血液を漏らしながらも左手を後ろ手に回し、腰に差していた短剣を引き抜き、振りかぶってくる。



・・・本当にこれ、訓練か?

もはや転移云々は関係なくなっている。

それとタイミングを同じくして後方に控えていたメイドが女に対して魔力の経路(パス)を通して何らかの魔法を使う。


とうとう本性を出してきたか。

そんな意味もない思考を投げ捨て。

首周りの筋肉を動かして人体にはおおよそ真似できない動きで、首筋を狙って放たれる短剣捌きについていき、その短剣を受け止める・・・歯で。


ぎゃりぎゃり、と顎を通じて耳障りな音がいっそうよく耳に響くのをこらえて、

折り砕かない程度にやさしく持っている手首を痛めつけにかかると、察したのかあっさりと短剣を離し、一歩後ずさった。


しかし元が零距離、身長差もあいまって稼げた距離はわずか。

よってこちらが息を吸い込みながら大きめに足を振り上げれば、ちょうどその爪先が腹部に突き刺さった。


さらなる苦悶の表情を浮かべる女をそのまま蹴り上げ、

宙に浮いたところで、空気塊と魔力を除いた魔素とを高高度にまで圧縮した、息吹(ブレス)を口から放つ。



空中で巨大な空気の弾を食らい、重心から離れた場所に食らったせいか錐揉み状、面白いように吹き飛んでくれる女。

同時に轟音・衝撃波と共に空気を侵食する魔素が女とメイドの間の魔力経路(パス)をも物理的に浸食し、経路(パス)を通る魔力量をガタ落ちさせることでその魔法の効力を弱めていく。

そこに驚きの表情を浮かばせかけるメイド。


その表情の変化が起こりきる前に。


壊れかけた両腕すらも駆使して接近し、横殴りに体当たりを仕掛ける。


・・・やはり体重が軽いと吹っ飛ばしやすくて助かる。

接触ついでにその肉体に魔素のみを無理やり流し込むことで昏倒させた。

魔力を含まない魔素を注入しただけで倒れたのは、体内の魔力量と魔素量のバランスが崩れたことで身体が防衛反応を引き起こしたためだ。

生体反応に例えると、水のみを摂取しすぎたことによる低ナトリウム血症などの病態に近いか。


私の様な、群衆(レギオン)ならば分裂することでそれらの影響を最小限に抑えることができるが、1つの個体においてはその排泄機構にも限度があるのだ。


このような、ファンタジー世界ならではの病気もあるので生体(ゴブリン)実験は大変有用だと言えるだろう。


さて、と。

咳き込みつつも倒れ込んでいた体勢から起き上がり、未だに意識がはっきりとしない様子の女に首根っこを掴んでいたメイドを投げつけ、仰向けに再び転倒させる。メイドに流し込むより大量に魔素が吸収されているはずだが、何とか意識は保っているらしい。


「っはぁ・・・っ?!!」

再度呼吸を止めたところに近づき、そのがら空きの胸板を上からあらん限りの勢いで踏み付けると、

ぽきぽき、とその肋骨、胸骨に鎖骨が折れていく感触を感じる。


口をパクパクと開閉させながらも呼吸すらできず痛みに耐える様子はむしろ滑稽だが、

痛めつけることだけが目的ではない。


ここまで手札を切ったら、もういい(・・・・)か。

何度目かになって新たな手札を切るまでの判断基準が相当に緩くなってしまっていることを自覚しながら、

抵抗の様子もなく地面にさらされている女の頭を軽く踏みにじり、自棄(やけ)気味に新たな手札を切る。


”なんとなくできるだろう”という直観によるもの。

本来異種族・異民族とコミュニケーションを図るために作られたはずの意思疎通用プログラム。


一方的な意思の伝達が主目的なはずのものも、”なんとなくだができる”という確信をもって悪用することで、その表層心理くらいは、そしてわざと隠そうとすることくらいは逆に読み取れる。



本来ファンタジー(まほう)でやるだろうことを、|物理学・生物学・化学に心理学かがくと少々のマンパワーで。


魔力を介さないし、ステータスにも関係なく”表から元々見えていること”を土台に心理を立脚するこの技術は、

例え身体強化スキルを常に付与し続けている私と張り合うほどの実力者ですらもその中身をさらけ出すことになるのだ。



ピコン!スキル【重力魔法】を得ました!

ピコン!スキル【異相時間】を得ました!

ピコン!スキル【転移魔法】を得ました!


一応参考のために。

ステータス的には、

強化魔法を使ったアリス>次期魔王ヴァルヴァラ>>(ハイレベルな人外の壁)>ヴァルヴァラ(ヒト化による弱体化状態)>メイド>アリス(強化魔法を一切使わず、群衆としての性質を発揮しない状態)>>>一般的な非戦闘員の人間

です。

主人公弱ッ!!となるでしょうが、群衆だからね、仕方ない。


あと、絶対突っ込まれるだろうと思って書いておきますが、

次期魔王さんは最初から隙あらば殺そうとしてましたからね。


”あれ?コイツ集団的意識ほどのハチャメチャな強さないな?”

→”弱いうちに殺してしまえば大丈夫だろ”

→”やはりバケモノの類だったか”


うん、この3コマ漫画感。


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― 新着の感想 ―
[一言] 殺されかけたんだ、そりゃ隙あらば殺そうともするさ
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