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2. 転生完了!初めての○○

昨日に続き二話目です!今だに昨日の初投稿の緊張ががが……

2.転生完了!初めての○○


「んん……ここ、は……?」

 

 身体がなんだか気だるい……ずっと眠っていたような感じだ。ゆっくり目を開けると眩しい光が目を刺す。さっきまで何か温かいものに包まれていたような気がしたが、この温かい光だったのだろうか?


「はふ……ふわわわぁ~……」


 大きな欠伸をしてから身体を起こし、改めて周りを見回してみる。するとそこは……


「うわぁ……!!」


 緑の草原に囲まれた美しいところだった。寝ていた場所は小高い丘のようなところだったのか、辺りを一望することが出来た。真正面を見ると何も障害物が無いのではるかと奥まで見渡すことが出来た。その景色を堪能して私はさっきまでのことを思い出した。


「そっか私……地上界に転生したんだ」


 創造神様のお役に立つためにここへやってきたんだ。直前に誓ったことを思いだしながら私は立ち上がる。そして服に着いていただろう土を払おうとお尻の辺りに手を振るうと……


 パチンッ!


「あいたっ!……へ?」


 手は服には振れず、思いっきりお尻を叩いてしまった。うう、ひりひりする……じゃなくって!!


「え、えええええっ!?な、なんで私裸なのぉ~~~!?」


 思わずその場で叫んでしまった。だ、だっててっきり服くらい着てると思っていたのにまさか裸とは思うわけが無い。視線を自分の身体に向けると、そこには慎ましい双丘とおへそが見えた。更にその下も肌色が続く……ひゃあああ!!


 慌てて何か無いか見回すも緑色の草しかない!あわわわわ……


「ど、どうしよう……!!もう、創造神様のばかぁ!!お洋服くらい着させてよぉ~~~!!」


 あまりの状況に思わず創造神様の悪口まで飛び出る始末。だが、そのお蔭であることを思いだした。


「そ、そそ、そーだ……転生する前に教えてもらった力……!あれの中にもしかしたら何かあるかも……!!」


 思い当たったのは教えてもらった便利な力!その一つを叫んでみる。


「ま、マジカルシェル!」


 その瞬間、頭の中に何かが浮かび上がった。それは収納箱のようなものを入れるような箱。今唱えたのは生き物以外のあらゆるものを自由にしまったり取り出したり出来る魔法だ。創造神様はこの地上界でも使える力として魔法を教えてくれていたのだ。勿論それだけでなく……


「わ、わあ……これがマジカルシェルなんだ……あ、お洋服があった!えーっと確か取り出す方法は……こうかなっ?」


 頭の中に浮かび上がった収納箱の中に見つけた衣服を強くイメージする。するとポンッ!と音を立てて目の前にそれが現れた。


「で、できたぁ!!……はっ、こんなことしてる場合じゃない、誰かに見られる前に早く着なくっちゃ……」


 上手く行ったことに喜ぶも、すぐに現実に戻って目の前に現れた服を身に着ける。その服はとても可愛らしい白のワンピーススカートだった。サイズも私にぴったり!……創造神様いつの間に私のスリーサイズ知ったんだろう?あれ、私って天上界にいたときと同じ容姿なのかな……?鏡は……入ってないか。確認のしようが無いね。まあ今は置いておこう。


「ふう……とりあえずこれで一安心、かな……?さてと、魔物のことがあるから早く情報集めたいな。近くに町があれば良いんだけど……」


 初めての地上界なのになんで町などのことを知っているのかと言うと、創造神様がよくお話してくれていたからだ。地上界にはどんなものがあるのか……その内容は私にはとっても楽しくっていつもそれでそれで~!ってせがんでいたっけ。友達のいなかった私にはすごく楽しい時間だったなぁ……はあ。


「……とと、感傷に浸ってる場合じゃないよ。町を探さないと……んん?あそこに見えるのは……」


 思わず暗い思い出に浸りそうになるのを頭を振って中断すると、改めて辺りを見渡す。すると遠くに建物らしきものがいっぱい建っているのを発見した。……補足だが、普通の人間では見えないほど遠くにあったのだが、女神のファムだからこそ発見することが出来たのだ。


「やったぁ、私ってば運が良いなぁ♪それじゃ早く行こう~っと!」


 こんなすぐに見つけられるとは思わなかった!思わず嬉しくって駆け出す。が……


 ごすっ!


「!!んん~~~~、いったああい!!」


 足の裏で何かを思いっきり踏みつけてしまった。涙目でそれを見てみるとただの石だった。だけどはだしで踏めばそれはかなり痛いものだった。


「ううぅ~……ふ、服の事しか考えて無かったよ……靴ってあるのかな……?……あ、あった……もっと早く気付けばよかったよぉ……ぐすん」


 出鼻を挫かれてちょっと意気消沈したけど、マジカルシェルからライトブラウンのショートブーツを取り出して履くとちょっと気持ちが落ち着いた。念のため他にも何か無いか確認すると、ある物を見つけた。


「あ、これって私が使ってた剣だ!……一回きりしか使ってないけど、少しでも慣れてるもののほうが良いよねっ」


 それも取り出して持ってみると、ズシッと私の腕に納まった。鞘に納まっているそれをすらっと抜いてみる。


「はあぁ~キレイ……!この無駄な装飾が無い、機能美に溢れた剣……最高……♪」


 うっとりと青白く輝く刀身を見て恍惚とする。戦女神である彼女の本能がこの剣の素晴らしさを心で感じ取っているのだ。傍から見れば小さな少女が抜き身の剣をもって笑っている……という恐怖のなんにでもない光景だ。


「うっとり~……あれ、私の顔……なんか小さいような?」



 ふと刀身に映る自分の顔を見つけて首を傾げる。創造神様に創ってもらった時はもうちょっと年上に見えたんだけど……今映っているのは8歳かそこらの小さな女の子だった。身長などはさすがにわからないが、ここから予測するにかなり小さいのでは無いだろうか?改めて手や腕、足を見てみるととても小さく、短く見えた。


 ついでに見える範囲で確認すると、髪の毛はプラチナブロンドのロングヘアーに、空色の瞳。おめめはぱっちりで自分で言うのもなんだけど可愛い系だ。頬もぷにっとして可愛い……って自分で自分褒めてたらナルシストになりそうだからこれ以上はやめよう。それにしても……


「やっぱり縮んでる……よね?創造神様……転生した姿まで趣味に走らなくても……」


 思わず天上界にいる創造神様を思い浮かべて溜息をついてしまった……きっと天上界から私の姿を見ているんだろうけど、きっと喜んでいるんだろうな……危ない方向で。


「……はあ、早く町にいこっと……」


 抜き身の剣を鞘に戻し、肩紐が付いているので背中に背負いながら町へ向かうことにした。若干テンションが下がりつつも、初めての地上界の空気を堪能しながら歩いていった。



「ふんふんふ~ん♪」


 時間にして約1時間。休憩無しで歩き続けているも私はちっとも疲れていなかった。普通困難小さな身体で歩き続けていたらすぐにばててしまいそうだったが、その辺は女神の力が上手く作用してくれているようだ。だが、疲労とは別の問題がやってきた。


 むずむず……


「……なんだろ、なんかお腹の下辺りが張ってるような?お腹が空いて……違う、かな?」


 初めて感じる感覚に思わず足を止める。そして下腹部を撫でていると、身体が教えてくれた。むずむずとした疼きが少し大きくなったのだ。


「……あ、これってもしかして……!うう、ホントに問答無用で来るんだ……!?」 


 思い当たったのは排泄という単語。天上界にいるものには一切の関連が無く、地上で暮らす者達にとって一生を付きまとう生理現象だった。初めてのその感覚でそれに思い当たったのはこれも創造神様の入れ知恵である。……ん?食事するのに出さないのって?考えた事も無かったから詳しくわからないよ~!


「た、確か下着脱がなくちゃいけないんだよね?でもこんな何にも無いところでどうしよ……ううぅ、だ、だめ!我慢できないかも……あ、あそこにいい木がある。せめてあの木陰に隠れてよう……!」


 段々切羽詰ってくるその感覚に焦燥感が募ってくる。慌てて見つけた木の下までなんとか辿り着くと、下着を下ろしてからしゃがみ込む。え、いつパンツ履いたかって?ワンピース出した時に一緒に履いたんだよ!ってそれどころじゃない~!


「はあはあはあ……えっと、これで良いのかな……?うう、もう駄目ぇ!!」


 その瞬間、必死で我慢していた何かが身体の中から溢れ出して来た。そして……


 しゃああぁぁぁぁ~~~……


「はあう……っ、な、なんかあったかいのが、でてるぅ……!」


 とっても恥ずかしいけど、それ以上にすごい開放感が身体を駆け巡る。ほっとするようなその感覚に、小水を出し切るまで夢心地な表情を浮かべていた……。



「はふぅ……ちょっと恥ずかしいけど……なんだか気持ちよかった……」


 溜まっていた物を出し切ってすっきりした表情を浮かべる。


「……はっ!い、いつまでも恥ずかしいところ出したままにしちゃ駄目っ……!え、ええと……そのままパンツ履いて良いのかな?でも、濡れてるし……何か拭くものないかな?……あ、葉っぱ……」


 慌ててパンツを引き上げようとしたが、股が濡れていることに気付いて何か無いか周りを見回すと大きな葉っぱが目に入った。落ちてる物を使うのは気が引けるけど、背に腹は変えられない。さささっと拭いてパンツを再び身につけた。


「ふう、これで一安心……かな?それにしても地上の人達ってこんなのが一生付きまとってるなんてうらやま……大変なんだなぁ」


 咄嗟に本音が漏れそうになってしまったから慌てて言い換える。べ、別に誰も聞いてないから良いんだけど、なんかそれを言ってはいけない気がした。


「よし、それじゃ気を取り直して先に進もう!大分歩いたからもうそろそろ着くころだと思うんだけどなぁ~」


 身体も心もすっきりした所で先を急ぐ。さっき町を見ることが出来た丘からも大分遠ざかっているし、もう少しだろう。寄り道してしまったので少しペースを上げて向かうことにした。

 

 それからしばらく進むと、きれいに舗装された道が見えてきた。どうやら私が来た方向は大分外れた道だったようだ。でもこうしたキレイな道が見えてきたということは……


「あっ、町が見えてきた~♪やったね、思ったよりも早くつけたよー」


 キレイな道を目で辿っていくと、その先には町があった。大きさはそこそこあるようで、立派な門や防壁が囲んでいた。その門の近くでは多くの人達の姿が見えた。


「わあ~、すっご~い!ここなら色んな話が聞けそうだね」


 初めての町にしてはいいところに来た!と喜んで更にペースをアップして門まで駆け出した。途中何人かの人達とすれ違ったが、驚いた顔をされただけで何も言われなかった。


 そのまま門の近くまで来ると、列を作って並んでいた。なんだろう?と首を傾げて考えても解らなかったので、列の一番後ろの人に声を掛けてみた。


「すみませ~ん、この列は何ですか?」


「ん……?ああ、これは町に入る為の入門チェックだよ。何か危険な物を持ち込まないかのチェックをしているんだよ」


 私を見て一瞬驚いたような顔をしていたが、その人は丁寧に教えてくれた。そっか、町に入るにはこういうのもあるんだね。あ、でもそうしたら……「もしかして、入るには何か特別なものが必要なの?」


「許可証のことかい?ああ、他の町に出入りするなら確かに提示が必要だけどこの町は必要ないよ。……それにしてもお嬢ちゃん、許可証を持っていないのかい?どこの町や村でも発行しているはずなんだが……?」


「え?えっと~、色々あって持ってないのっ!」


 許可証はどうやら大体の人が持っているようで、持っていないことに突っ込まれてしまった。だけど「さっき天上界から転生したばっかりだから持ってないの!」というわけには行かないので、笑ってごまかしておく。


「そ、そうなのか……そんなに小さいのに大変だったんだな……」


「……ふぇ?」


「悪い事を聞いてしまったな。……ああ、もし許可証が欲しかったらこの町の中心にある冒険者ギルドへ行ってみるといい。あそこなら身分証明書込みでの許可証を発行してくれるからな」


「あ、ありがとおじさんっ!」


 一瞬声のトーンが下がった気がするが、すぐに調子を戻すとそんなことを話してくれた。……許可証かぁ。今はこの街に入れればいいけど、そのうち他のところにいくかもしれないから早めに作っておいたほうがいいかもしれないね!とてもいい情報をくれたおじさんにしっかりお辞儀をしてお礼を告げた。


「いやいやそんなにお礼を言われるほどじゃないさ。……見たところ背中の剣以外何も持ってないみたいだし、これを餞別に上げよう。ギルドで登録するのにもお金が必要だからね」


「え……?あ、これって……」


「もしかしてお金も見たこと無かったかい?……相当酷い環境だったんだな。その剣は親の形見と言ったところか……?っと、すまんすまん!また人の事情に土足で入り込むところだったな」


「……?」


 おじさんはキラキラ光るコインが入った皮袋を私に差し出しながら慌ててそう言い繕う。私には何のことか解らなかったけど、とりあえずこのコインについて聞く。


「これは通貨と言ってだな、四種類あるんだ。この中には三種類しか入っていないんだが、順を追って説明するよ。まず、この赤茶色のコインが銅貨……一番価値が低いものだな。次にこの銀貨は銅貨100枚分の価値がある。そして次にこの金貨だ。もう何となく解ったと思うが、これには銀貨100枚の価値があるんだ。今ここには無いんだが、これの上に白金貨というのがあるんだが……殆どの人間はその実物を拝むことは無いだろうな。なので金貨一枚あれば大体のことは事足りると思ってくれれば平気だな」


「な、なるほどぉ……大体解った、かなぁ?」


「はっはっは!まあ実際に使っていけばすぐに覚えられるさ。さ、これはおじさんからの餞別だ、大事に使ってくれな?」


 そう言って皮袋の口を閉めると、ジャララっと音を立てるそれをファムの手の上に乗っけた。説明を聞いた今ならわかる……これはすごい大金だ!


「お、おじさん!私こんなにもらえないよ?だってこれ……」


「気にしないで。俺はこう見えてもやり手の商人でな、それなりに稼いでいるんだ。だからそれくらいなら問題ないのさ」


「で、でもぉ……」


 優しく言ってくれるけど、それでも躊躇してしまう。そんな私におじさんは「そうだな……」となにか思いついたように言った。


「どうしても気になるなら……そうだ!お金が稼げるようになったら、俺の店で何か買ってくれると嬉しい。俺の店は全国展開してるんだ。ジェリーズ商店って名前なんだが、もし見かけて思い出したら是非寄ってくれよな!」


「おじさん……ありがとうっ!絶対お金稼げるようになったらお買い物しに行くからね!」


「ああ、楽しみに待ってるよ!……おっと、俺の番が来たみたいだな。それじゃあ、また縁があったら宜しくな!」


「色々ありがとっ!またね~♪」


 とっても親切なおじさん、ジェリーさんは気のいい笑顔を見せながら門で荷物チェックをしている人達のところへ向かって行った。その後すぐに私の方にも別の方向から声が掛かった。


「次の方~!」


「は~い!」


 ジェリーさんの方に視線を向けていた私は思わず大きな声で返事してしまい、周りの人からの視線を集めてしまった。は、はずかし……!思わず赤くなってしまった顔を隠すためにてててっと声を掛けた人のところへ駆け寄った。


「荷物のチェックをさせてくださいね……って、荷物はそれ以外無いのかな?」


「はい!あ、あとこの皮袋だけです」


「……そうか、今まで大変だったと思うがこの町で幸せになれることを祈ってるよ。さあ、チェックは完了だ。中に入っていいよ!」


「え?あ……ありがと、う?」


 さっきのジェリーさんといい、一体何のことかわからなかったけれどとにかく無事に町の中へ入る許可がもらえたので門を潜って中に入った。

 

 こうして私は地上界で初めて、人々が暮らす場所へと足を踏み入れたのだった……。

ここまで読んで下さりありがとうございました!

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